イクメンプロジェクト

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イクメンプロジェクトは、厚生労働省雇用均等・児童家庭局が平成22年度より行っているプロジェクトである。「イクメン」は、子育てを楽しみ自分自身も成長する男性、または将来そのような人生を送ろうとしている男性のことを指す。平成22年度の改正育児・介護休業法の施行を機に、男性の育児参加の社会的気運を高めることを目的として発足した。スローガンは「育てる男が、家族を変える。社会が動く。」である。

沿革・概要[編集]

男性の約3割が育児休業をとりたいと考えている一方で、実際の取得率は2.63パーセント(平成23年度)※1に過ぎず、こうした状況を踏まえ、平成22年6月に策定された「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)において、男性の育児休業取得率に係る社会全体としての数値目標が平成32年までに13パーセントと具体的に掲げられた。

また、父親も子育てが出来る働き方の実現に向けて、「パパ・ママ育休プラス」制度の導入等を内容とする改正育児・介護休業法が成立し、平成22年6月に施行されることとなった。こうした状況を受けて、平成22年6月、男性の育児休業取得促進事業として、「イクメンプロジェクト」が発足。男性の育児休業の取得促進に向けた職場や地域における意識啓発、男性が育児をすることについての社会的気運の醸成を目的とした周知啓発活動を実施した。 平成23年度においては、地方自治体や民間企業等による男性の育児参加の社会的気運醸成のための自発的な取り組みにつながるような事業を実施し、広がりのある気運の醸成を目指している。

平成23年度、男性育児休業取得率が過去最高となる。 ※1 平成23年度雇用均等基本調査

なお、日本において男性が育児をしなくなったのは、明治以降の近代化の中で行われた富国強兵策や家父長制が原因との指摘がある。幕末の頃、来日した外国人は、育児に参加する日本人男性の姿を書き残している[1]

イクメンプロジェクト推進チーム[編集]

プロジェクトの方針や内容などを多角的に検討、さらには広報・推進するために、様々な分野で活躍する専門家で構成された推進チームを設置している。

ホームページの主なコンテンツ[編集]

  • イクメン宣言:子育てを楽しんでいる男性、または将来子育てを楽しみたいと思っている男性の決意や夢を「イクメン宣言」として登録
  • イクメンサポーター宣言:個人と企業・団体の2種類のサポーター宣言がある。サポーター(個人)はイクメン本人でない妻や祖父母などを対象に、イクメンへの応援メッセージなどを登録。サポーター企業・団体はイクメンプロジェクトの趣旨に賛同する企業・団体が、イクメンプロジェクトやイクメンへの応援メッセージを登録
  • 育児・育児休業体験談:育児や育児休業を取得した体験などを登録
  • イクメンの星:イクメン宣言をした人が投稿した育児・育児休業体験談の中から、推進チームで選考し、「イクメンの星」としてサイト上で紹介

なお、平成24年5月25日時点での登録数は、イクメン登録で1559件、イクメンサポーター(個人)で403件、イクメンサポーターで(企業・団体)460件となっている

平成23年度から拡充されたホームページの主なコンテンツ[編集]

  • イクメンサポーターの活動登録:イクメンサポーター企業・団体が、組織内で取り組んでいる活動(具体的には、働きながら安心して子育てができる職場環境の整備のための制度の導入や、利用をサポートしている事例)を登録
  • イクメンプロジェクトチャンネル:各地で行われたイベントの様子や、関係者、有識者、著名人などからのメッセージが動画で見ることができる
  • イクメン公式ソング『家族のわ』:イクメンプロジェクトの公式ソングとして、ホームページ上で試聴、ダウンロードすることができる http://ikumen-project.jp/song/index.html
  • 公式ツイッター https://twitter.com/ikumen_project

ホームページのリニューアルと同時に、「イクキューイくん」というゆるキャラが登場。イクメンプロジェクト事務局 広報部のつぶやき担当で、和歌山ラーメンが大好物らしい。

イクメン オブ ザ イヤー[編集]

厚生労働省の後援、イクメンプロジェクトの特別協力により、2011年に創設。育児を楽しみながら頑張った男性を表彰する。表彰イベントはイクメン オブ ザ イヤー 実行委員会が制定したイクメンの日(10月19日・2011年に日本記念日協会認定)に実施されている[注 1]。2023年は「イクメン / 男性育休 オブザイヤー」に改名され実施された[注 2][2]

歴代受賞者[編集]

2011年(第1回)
中山秀征つるの剛士遠藤保仁
2012年(第2回)
2013年(第3回)
2014年(第4回)
2015年(第5回)
2016年(第6回)
2017年(第7回)
2018年(第8回)
2019年(第9回)
2020年(第10回)
2021年(第11回)
2022年(第12回)[9]
2023年(第13回)[2]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 2017年は前日の10月18日に実施。
  2. ^ ただし、アルファベット表記は「IKUMEN OF THE YEAR」、主催も「イクメン オブ ザイヤー実行委員会」のままである。
  3. ^ 授賞式には荻澤滋(県副知事)、佐藤憲秀(協議会会長)、ぐんまちゃん(県マスコット)が出席。

出典[編集]

  1. ^ 伊藤公雄京都大学教授. “日本における男性問題男女共同参画の視点から(PDF)”. 国立女性教育会館. 2013年12月24日閲覧。
  2. ^ a b フィッシャーズ・ンダホ、育児&YouTuber活動の両立に苦労した過去「最初は理解を得るのに難しいこともあった」グループの変化語る”. モデルプレス. ネットネイティブ (2023年10月19日). 2023年10月19日閲覧。
  3. ^ a b c d e 織田信成、長男がフィギュア開始「才能ある」 『イクメン オブ ザ イヤー』で親ばか全開”. ORICON STYLE (2015年10月15日). 2015年10月15日閲覧。
  4. ^ a b “ユージ、自分似の次女に心配「娘がJOYって言われるのは許し難い」”. SANSPO.COM. (2016年10月19日). https://www.sanspo.com/article/20161019-GSVFL4OKT5O35NJETHY4Y4M7ZU/ 2016年10月19日閲覧。 
  5. ^ “キティちゃんパパ「イクメン オブ ザイヤー」に 保育士不足解消でも一役”. ORICON STYLE. (2016年10月19日). https://www.oricon.co.jp/news/2080174/full/ 2016年10月19日閲覧。 
  6. ^ a b c d e “「母乳出てほしい」と爆笑問題・田中裕二さん 「イクメン オブ ザ イヤー」受賞”. 産経ニュース. (2017年10月18日). http://www.sankei.com/entertainments/news/171018/ent1710180006-n1.html 2017年10月26日閲覧。 
  7. ^ a b c d e りゅうちぇる、イクメン賞に恐縮「当たり前のことをやってきただけ」、ORICON NEWS、2018-10-18 15:20。
  8. ^ ラグジュアリーファミリー雑誌「MADURO」が「イクメンオザイヤー」公式媒体に選出。イクメンオブザイヤーファッション部門は”二代目中村獅童“さんに決定!、PRTIMES(MADURO ONLINE)、2018年10月20日 18時30分。
  9. ^ “『イクメンオブザイヤー 2022』EXILE・松本利夫、大久保嘉人ら5人が受賞”. ORICON NEWS. (2022年10月19日). https://www.oricon.co.jp/news/2253666/full/ 2022年12月20日閲覧。 

外部リンク[編集]