イギリス気象庁

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イギリス気象庁
Met Office
組織の概要
設立年月日 1854年
管轄 イギリスの旗 イギリス
本部所在地 デヴォン州 エクセター
行政官 John Hirst
上位組織 BIS
ウェブサイト
エクセターにあるイギリス気象庁の建物

イギリス気象庁(いぎりすきしょうちょう、: Met Office[1]、略: UKMO[2])は、イギリスの国立気象サービスであり、ビジネス・イノベーション・職業技能省Executive agency(執行機関)の一つ。本部はデヴォン州エクセターにあり、国内の気象分野の人材育成と世界中の気象予報関係者のための研修施設を併設する。2012年現在の Chief Executive(長官)は、John Hirst (ジョン・ハースト)[3]

ハドレー気候予測研究センター英語版および国立気象学図書館・アーカイブ英語版もイギリス気象庁の一部である。

沿革[編集]

1854年にロバート・フィッツロイ (Robert FitzRoy) の下、航海者向けのサービスとして、Meteorological Officeの名において、商務省 (Board of Trade) 内に小さな部局が設立された。1859年10月にアングルシー島沖で嵐の中を航行していた客船が難破し、459名の乗員の命が失われたことを契機に、初めて風に関する警報サービスが開始された。1861年、フィッツロイは英国内の沿岸15ヶ所に観測所のネットワークを構築し、海上の船舶に対して目視による風に関する警報を発表して提供する業務を開始した。

1870年代に電信が発達すると、より迅速な警報の伝播や気象データの収集が可能となり、観測網から得られたデータを基に天気図を作成し、広範囲の気象概況の分析を実施するようになった。

1861年、新聞紙上で気象予報の情報提供を開始した。しかし、紙上における予報の発表は1866年5月に一時途絶え、1879年4月1日まで再開されなかった。

国防省とのつながり[編集]

第一次世界大戦後の1919年に、イギリス気象庁は空軍省に移管され、気象観測業務はアダストラル・ハウス(空軍省の拠点)の屋上で実施されるようになった。この時期、"The weather on the Air Ministry roof" (空軍省屋上の天気) のフレーズを生んだ。航空業務において正確な気象情報のニーズが高まると、各地に所在するイギリス空軍の基地内に観測およびデータ収集拠点を多数設置した。これら多くの軍用施設内の観測地点は今日においても天気予報の中で言及されている。1936年には予報も含む業務がイギリス海軍に分割され、本庁とは別に独自の業務を行った。

1990年4月、国防省の執行機関に移行したことにより、準政府機関として、商業的な活動も要求されるようになった。その後、行政機構改革を受けて、2011年7月18日にビジネス・イノベーション・職業技能省へと移管された[4]

紛争時に前線部隊に随行して、戦闘地域で優勢に展開するための助言を軍(特にイギリス空軍)に与える Mobile Met Unit (MMU) も、イギリス気象庁の支分部局として知られる。

所在地[編集]

2003年9月、8000万ポンドの建設費をかけて、本部庁舎がデヴォン州エクセターエクセター国際空港英語版A30道路 (A30) の付近に移転し、2004年6月21日に正式に開庁した。旧来の本部庁舎はバークシャーブラックネルに位置し、さらにアバディーンジブラルタルフォークランド諸島に予報センターを置いている。このほか、外部機関としてメソスケール気象学合同センター英語版(JCMM)がバークシャーのレディング大学英語版内に、水文気象学研究合同センター英語版(JCHMR)がオックスフォードシャーのウォーリングフォードに所在する。また、英国内外の多くのイギリス陸軍および空軍の基地内(紛争地帯の前線ラインも含む)にイギリス気象庁職員が駐在する[5]イギリス海軍の気象予報業務は一般に海軍職員により独自に行われ、イギリス気象庁職員は関与しない。

予報業務[編集]

発足当初からの伝統があるShipping Forecast(航海用予報)は現在、イギリス諸島周辺の広い海域を対象とし、BBC Radio 4の放送で情報が提供されている。

気象予報や警報の業務ももちろん行われている。警報の類に関しては、National Severe Weather Warning Service(国立荒天警報局)が担っている。

世界気象機関(WMO)の世界気象監視計画(WWW)で決定された世界規模気象センター(WAFC)をイギリス気象庁が担っている(WAFC London)。WAFCは2か所あり、もう1つはアメリカ国立気象局(NWS)である。

また、日本では環境省や都道府県の環境部局が担う、大気汚染の監視や警報の業務も行っている。大気汚染のレベルはAir Quality Index(大気質指数、AQI)として発表されている。

観測所[編集]

観測所の機械化・自動化・無人化が進行しており、昼間(業務時間)や機器の故障時に有人観測を行うほかは、ほとんど無人である。多くの観測所では、天気を現在天気計や監視カメラで観測する手法が普及している。

脚注[編集]

  1. ^ この名称は当初、旧来の正式名称であるMeteorological Officeの略称であったが、その後この略称が定着し、現在はこちらが代わって公的に正式名称として採用され、使用されるようになった。
  2. ^ United Kingdom Meteorological Officeの略称。
  3. ^ http://www.metoffice.gov.uk/about-us/who/management/executive
  4. ^ UK Met Office switches departments in Whitehall shake-up”. Clickgreen.org.uk. 2011年7月18日閲覧。
  5. ^ Met Office defence: Supporting operations

外部リンク[編集]