アンモニウム白榴石

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アンモニウム白榴石
分類 ケイ酸塩鉱物
シュツルンツ分類 9.GB.05
Dana Classification 76.2.2.2
化学式 (NH4,K)AlSi2O6
結晶系 正方晶系
モース硬度 5.5 - 6
光沢 樹脂光沢
白色
比重 2.29
文献 [1][2]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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アンモニウム白榴石(アンモニウムはくりゅうせき[3]、ammonioleucite)またはアンモニオ白榴石(アンモニオはくりゅうせき)は、鉱物ケイ酸塩鉱物)の一種。化学組成は (NH4,K)AlSi2O6結晶系正方晶系白榴石英語版 (KAlSi2O6) のカリウムアンモニウムイオンと置換したものであり、沸石グループの鉱物であるが結晶水を持たない。

アンモニウム基を含むケイ酸塩鉱物としては、アンモニウム長石英語版砥部雲母に次いで3番目に発見された。

産出地[編集]

群馬県藤岡市下日野・鈩沢(たたらざわ)で、鉱物科学研究所堀秀道により発見された。2022年現在も同地以外では発見されていない。方沸石 (NaAlSi2O6・H2O) が熱水と接触することによりナトリウムアンモニウムイオンと置換し、脱水して生成したと考えられており、発見前に同じ方法で合成も行われていた[4][5]

鈩沢部落南方の採石所で、三波川変成帯緑色片岩苦灰石化作用を受け変質して生じた細脈から白色鉱物として発見され、堀秀道や長島弘三らによって研究された結果新鉱物であることが確認された。堀秀道はアンモニウム白榴石の発見により1986年6月4日に櫻井賞を受賞した。

性質・特徴[編集]

主に白色をなし、樹脂光沢をもつ。発見当時は結晶の形状から方沸石と思われたが、ガラス光沢の方沸石とは光沢が異なるため分析したところ白榴石と似たパターンが得られたことが発見の契機となった。結晶は双晶が多く、結晶構造は粉末のリートベルト法により解析された。

上記の生成の過程から、標本の内部には未変性の方沸石が残ることが多い。

脚注[編集]

  1. ^ Ammonioleucite (英語), MinDat.org, 2011年10月24日閲覧
  2. ^ Ammonioleucite (英語), WebMineral.com, 2011年10月24日閲覧
  3. ^ 松原聰宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会国立科学博物館叢書〉、2006年、5頁。ISBN 4-486-03157-1、ISBN-13:978-4-486-03157-4。 
  4. ^ Barrer R.M. (1950) Ion-exchange and ion-sieve processes in crystalline zeolites. Journal of Chemical Society, 1950, 2342- 2350.
  5. ^ Barrer R.M., Baynham J.W. and McCallum N. (1953) Hydrothermal chemistry of silicates. Part V. Compounds structurally related to analcime. Journal of Chemical Society, 1953, 4035-4041.

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]