アンサール・アル=シャリーア (チュニジア)
チュニジアのアンサール・アル=シャリーア(Ansar al-Sharia、アラビア語: أنصار الشريعة)は、チュニジア国内で活動するイスラム過激派組織。1,000人程度の勢力をもつとされている[1]。チュニジア政府[2]をはじめ、国際連合、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカ合衆国からテロ組織と認定されている[3]。
背景
[編集]ジャスミン革命後、ザイン・アル=アービディーン・ベン・アリー政権下で、それまで政治犯として収監されていたイスラム主義者たち多数が解放され、その中には2000年6月にタレク・マールフィとともにチュニジア戦闘集団を結成したアブ・アヤド・アル=チュニシ (Abu Ayadh al-Tunisi) らも含まれていた[4]。
アブ・アヤドは、2011年4月にアンサール・アル=シャリーアを結成した。この集団は、メディア部門としてアル=ケラワン・メディア財団 (al-Qairawan Media Foundation) を設立し、ブログやFacebookページ、雑誌などのメディア回路を設けた[5]。
アンサール・アル=シャリーアは、収監中のイスラム主義者の釈放を求める運動を展開し、その対象はオマル・アブドッラフマーンやアブ・カターダ、さらにイラクの聖戦アル=カーイダ組織に加わってイラクで収監されているチュニジア人戦闘員たちに及んだ[5]。
アンサール・アル=シャリーアは、2012年にケルアンで全国大会を開催し、そこでアブ・アヤドは、チュニジアのメディア、教育、観光、商業分野のイスラーム化と、世俗的性格のチュニジア労働総同盟に対抗するイスラム主義労働組合の結成を呼びかけた[6]。
アンサール・アル=シャリーアのメンバーは、チュニジアにおけるイスラームへの冒涜に対する諸々の抗議活動に定期的に加わってきており、多数の暴力沙汰に関わってきたものと疑われており、その証拠はほとんど提示されていないものの、活動自体が禁じられてきた。チュニジア内務省は、2013年における一連の政治的暗殺を背後から操っていたのはアンサール・アル=シャリーアであったと糾弾している[7]。関連する事件には、2011年10月に起きた映画『ペルセポリス』を放映したテレビ局への襲撃、2012年6月の議論を呼んだ美術展覧会への襲撃[8]、2012年9月のアメリカ大使館襲撃事件[9]や、チョクリ・ベレイド(2013年2月)とモハメド・ブラヒミ(2013年7月)の暗殺事件などがある[10]。
対外関係
[編集]テロ組織としての指定
[編集]以下の国ないし組織は正式にチュニジアのアンサール・アル=シャリーアをテロ組織として認定している。
国 | 日付 | 参照 |
---|---|---|
チュニジア | 2013年8月 | [11] |
アメリカ | 2014年9月23日 | [12][13] |
イギリス | 2014年4月 | [14] |
連合
[編集]アンサール・アル=シャリアと同盟関係にあるテロ組織。
テロ組織 | 日付 | 参照 |
---|---|---|
ISIL | 2014 | [15][16] |
Ansar al-Sharia (Libya) | 2013 | |
Katibat Uqbah Ibn Nafaa | 2013 |
脚注
[編集]- ^ “Meeting Tunisia's Ansar al-Sharia”. Foreign Policy (8 March 2013). 2014年1月10日閲覧。
- ^ “Tunisia declares Ansar al-Sharia a terrorist group”. BBC News (2012年8月27日). 2014年1月10日閲覧。
- ^ “US Declares Ansar al-Sharia a Terrorist Organization”. BBC News (2014年1月10日). 2014年1月10日閲覧。
- ^ “Tarek Maaroufi: Tunisia’s Most Notorious Jihadist, Returns Home”. Tunisia Live (2012年4月1日). 2014年1月10日閲覧。
- ^ a b “The Salafi Challenge to Tunisia's Nascent Democracy”. Washington Institute (2011年12月8日). 2014年1月10日閲覧。
- ^ “Radical Islamists urge bigger role for Islam in Tunisia”. Reuters (2012年5月21日). 2014年1月10日閲覧。
- ^ Noureddine Baltayeb (2013年10月3日). “Tunisia: New Details in Opposition Assassination Point to Libyan Islamist”. Al Akhbar 2014年1月10日閲覧。
- ^ “Tunisia: Conservative Islamists Riot Over Art Exhibit”. New York Times (2012年6月12日). 2014年1月10日閲覧。
- ^ “Two dead as protesters attack U.S. embassy in Tunisia”. Reuters (2012年9月14日). 2014年1月10日閲覧。
- ^ “Tunisia leaders evicted from police memorial”. Al Jazeera English (18 October 2013年10月18日). 2014年1月10日3閲覧。
- ^ http://www.bbc.com/news/world-africa-23853241
- ^ http://www.state.gov/j/ct/rls/other/des/123085.htm
- ^ http://www.police.govt.nz/sites/default/files/publications/designated-entities-26-11-2014.pdf
- ^ https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/324603/20140627-List_of_Proscribed_organisations_WEBSITE_final.pdf
- ^ “allAfrica.com: Tunisia: Ansar Al-Sharia Tunisia Spokesman Backs Isis”. 25 September 2014閲覧。
- ^ Abdallah Suleiman Ali (3 July 2014). “Global jihadists recognize Islamic State”. Al-Monitor 25 September 2014閲覧。
関連文献
[編集]- Daveed Gartenstein-Ross, Bridget Moreng & Kathleen Soucy, Raising the Stakes: Ansar Al-Sharia in Tunisia's Shift to Jihad (International Centre for Counter-Terrorism - The Hague, 2014)
- Daveed Gartenstein-Ross, Ansar al-Sharia Tunisia's Long Game: Dawa, Hisba and Jihad (International Centre for Counter-Terrorism - The Hague, 2013)
外部リンク
[編集]- アンサール・アル=シャリーア (@AnsarShariaa_tn) - X(旧Twitter)