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アンカーボルト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
市販のアンカーボルト(M12)
木造建築物の基礎に埋め込まれたアンカーボルト。短いのは土台用のM12、長いのはホールダウン金物用のM16。
貯水タンクを基礎に固定しているアンカーボルト(画面右下)。

アンカーボルト英語:anchor bolt)とは、木材鋼材といった構造部材、もしくは設備機器などを固定するために、コンクリートなどの母材に埋め込んで使用するボルトのこと。

引張りせん断に抵抗することによって、母材に取り付けられた構造部材や設備機器が、分離・浮遊・移動・転倒することを防ぐ役割をもつ。

主な用途

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種類と施工方法

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埋込アンカー

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先付けアンカーとも呼ばれる。コンクリート打設前に、鉄線を用いて、鉄筋に強固にアンカーボルトを結束する。鉄筋への結束だけでは位置精度が十分に出ない場合は、型枠に穴を開けてアンカーボルト固定したり、位置出し材を取り付けてそれに固定したりする。近接した複数のアンカーボルトを高精度に配置するには、あらかじめ用意した鋼板に複数の穴をあけ、アンカーボルトを差し込み、点付け溶接するなどして、複数のアンカーボルトを一体化する。いずれの場合も、埋め込み長さ、出の長さを間違えないように注意する。その後、コンクリートを流し込み、凝固するのを待つ。

  • 一般建築資材として使用されるものの形状は、L型、J型などで、太さや長さは用途に応じてさまざまである。
  • 材質は、一般構造用圧延鋼(JIS G 3101)のSS400・SS490、あるいは、建築構造用圧延棒鋼(JIS G 3138)のSNR400A・SNR400B・SNR490Bなどがある。
  • 表面処理は、素地(無処理)のものや、電気めっきや溶融亜鉛めっきを施したものがある。
  • 建築構造物や土木構造物の基礎(この場合の基礎は橋台なども入る)の場合には、コンクリート打設前に、あらかじめアンカーボルトを埋め込んでおく。この場合、アンカーボルトは鉄筋に結束するか、アンカーボルト用の架台に取り付けて固定する。

打ち込みアンカー

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あと施工アンカーの一種で、打ち込みたい位置に指定された径と深さの穴をハンマードリルなどで開け、コンクリートの切り粉をブロワーなどで除去し、アンカーボルトを埋めるか打ち込んでから、さらにアンカーの芯か外周部を打ち込み棒を使ってハンマーで叩くと、外周部が膨らんでコンクリートに固定されるという仕組みである。内周部にメスネジが切ってあり、全ネジなどを差し込んで構造物を固定するものと、あらかじめオスネジを切ってあるボルトが外に出るようになっているものがある。

かつては火薬を用いた鋲打ち銃によって打ち込みを行っていたため、事故が多かった。そこで熟練工でなくても安全に施工できる技術として、芯棒を打ち込むだけの安全かつ簡単な施工で、しっかりと取り付けできる現在の芯棒打ち込みアンカーが開発され、「オールアンカー」という商品名で三幸商事より商品化された。

締付けアンカー

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あと施工アンカーの一種で、取り付けたい位置に規定の径と規定以上の深さの穴を開け、切り粉をブロワーなどで除去し、アンカーボルトを埋め、アンカーのナットを規定のトルク値まで締めつけることによって固定する。

ケミカルアンカー

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あと施工アンカーの一種で、化学反応を利用した接着剤によって全ネジや、異形鋼棒を固定するものである。日本デコラックス社の商品名で、正式には接着系アンカーという。薬材が試験管のようなガラス容器やフィルムで覆われたものはカプセル型接着系アンカーとも呼ぶ。

母材にドリル、コアマシン、削岩機などで穴を開け、ブロワーで切り粉を除去し、更にケミカルブラシで孔壁の粉塵を除去、更にブロワーや集塵機で清掃したあと、ケミカルアンカーを穴に挿入。先端を斜めに切った全ネジや異形鋼棒を打ち込みあるいは回転打撃を与えて攪拌することによって化学反応が起こり硬化する。

セメントカプセルは、事前計量型のセメント系粉体を水透過性被膜で包み、使用時に所定の水量を吸収してグラウト化する定着材である。ロックボルト等の地山定着を主用途としつつ、無機系グラウトによる耐火性等を重視する場面で、アンカー定着(付帯部材の固定等)に応用されることがある[1][2]。同様の孔内定着材である樹脂カプセル(ポリエステル等)と比較して、材料系(有機/無機)、施工性、初期強度発現などの特性が異なる[3]

基本的な設計方法

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  • (1)母材の破壊により決まる許容引張荷重、(2)アンカーボルトの降伏により決まる許容引張荷重、(3)母材との界面の付着破壊により決まる許容引張荷重、(4)アンカーボルトの許容せん断荷重を計算し、用途によって必要な許容引張荷重と破壊モードの検討を行う。また群効果、はしあき、へりあき、母材の状態による影響も検討しなければならない。
  • アンカーボルトの引き抜き強度は、一般的に、アンカーボルトのコンクリートに接する表面積に比例し、深く埋め込むほど、また、太いアンカーボルトほど、引き抜き耐力が大きくなる。埋め込み長さは、一般的に、直径の35~40倍必要である。埋め込み長さが短いと、アンカーボルトが所定の耐力に達する前に抜けてしまい、アンカーボルト本来の強度や粘りを発揮できない。また、引き抜き強度を増大させるために、ボルトの先端を曲げたり、先端にプレートを取り付けたりする。

関連項目

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参考文献・外部リンク

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  • 日本建築あと施工アンカー協会
  • ねじの業界紙 / 株式会社ファスニングジャーナル
  • ケミカルアンカーの分類 /コマースマネージメント株式会社
  • 国土交通省「あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針」[4][5]
  • 日本建築あと施工アンカー協会(JCAA)「設計・施工指針(案)」[6]
  • EOTA, EAD 330499-00-0601 Bonded fasteners for use in concrete(接着系アンカーの欧州評価文書)[7]
  • ACI, ACI 355.4-11 Qualification of Post-Installed Adhesive Anchors in Concrete(接着系あと施工アンカーの適合性評価)[8]
  • JIS B 1220 / JIS B 1221(構造用両ねじアンカーボルトセット/同切削品)[9][10]
  • NEXCO「トンネル施工管理要領」(定着・固着の管理様式等)[11]
  • 農林水産省「農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル[水路トンネル編] 第10章 ロックボルト補強工法」[12]

脚注

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  1. ^ トンネル施工管理要領(令和6年7月改定)”. NEXCO (2024年7月). 2025年10月6日閲覧。
  2. ^ 農業水利施設の補修・補強工事に関するマニュアル[水路トンネル編]第10章”. 農林水産省 (2021年6月17日). 2025年10月6日閲覧。
  3. ^ ETAG 001 Annex E(bonded anchors)” (英語). EOTA (2013年). 2025年10月6日閲覧。
  4. ^ 指針の案内ページ”. 国土交通省. 2025年10月6日閲覧。
  5. ^ あと施工アンカー・連続繊維補強設計・施工指針(PDF)”. 国土交通省. 2025年10月6日閲覧。
  6. ^ 設計・施工指針”. JCAA. 2025年10月6日閲覧。
  7. ^ EAD 330499-00-0601” (英語). EOTA (2017年). 2025年10月6日閲覧。
  8. ^ ACI 355.4-11” (英語). ACI (2011年). 2025年10月6日閲覧。
  9. ^ JIS B 1220:2015”. 2025年10月6日閲覧。
  10. ^ JIS B 1221:2010”. 2025年10月6日閲覧。
  11. ^ トンネル施工管理要領(令和6年7月)”. NEXCO (2024年7月). 2025年10月6日閲覧。
  12. ^ 第10章 ロックボルト補強工法”. 農林水産省 (2021年6月17日). 2025年10月6日閲覧。