アレクセイ・ポピリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アレクセイ・ポピリン
Alexei Popyrin
2022年BNP パリバ プリムローズ ボルドーでのアレクセイ・ポピリン
基本情報
フルネーム Alexei Popyrin
国籍 オーストラリアの旗 オーストラリア
出身地 同・シドニー
生年月日 (1999-08-05) 1999年8月5日(24歳)
身長 196cm
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2017年
ツアー通算 2勝
シングルス 2勝
ダブルス 0勝
生涯獲得賞金 3,966,686 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 3回戦(2019・20・23)
全仏 2回戦(2019)
全英 2回戦(2019)
全米 3回戦(2019・21)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 3回戦(2019)
全仏 2回戦(2023)
全英 2回戦(2021)
全米 1回戦(2021-23)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 1回戦(2019)
国別対抗戦最高成績
デビス杯 準優勝(2023)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 39位(2024年10月23日)
ダブルス 235位(2022年6月27日)
2024年2月21日現在

アレクセイ・ポピリン英語: Alexei Popyrin, 英語発音: /əˈlɛksi ˈpɒpɪrɪn/; 1999年8月5日 - )は、オーストラリアシドニー出身の男子プロテニス選手。身長196cm。右利き。バックハンド・ストロークは両手打ち。これまでにシングルスツアー2勝を挙げている。自己最高ランキングはシングルス39位、ダブルス235位。

選手経歴[編集]

ジュニア時代[編集]

1999年8月5日、ロシア人の両親のもとに、オーストラリアシドニーに生まれた[1]。4歳の時に、シドニー郊外のニューサウスウェールズ州ホーンズビーにあるキム・ウォーウィックテニスアカデミーでテニスを始めた[2][3]。2008年には全豪オープン男子シングルス3回戦のレイトン・ヒューイットマルコス・バグダティス戦を見学している[4]

8歳の時に、父親の仕事の関係でアラブ首長国連邦ドバイに転居し、ドバイで2年間を過ごした。その後はスペインアリカンテに転居し、アリカンテでは近所にアレックス・デ・ミノーも住んでいた[5]。その後はフランスニースに住んでいたこともあったが[6]、やがてスペインのマルベーリャに落ち着いた[7]。2011年にはオーストラリアのU-12グラスコート選手権シングルスで優勝し、U-12クレーコート選手権ダブルスでも優勝した。同年にはヨーロッパのU-12ツアーに参加し、スイスとイタリアの計3大会で優勝した。2013年と2017年にはITFジュニアサーキットに参加した。

2017年 プロ転向[編集]

2017年には全豪オープンジュニア男子ダブルスで優勝した[8]。全豪オープンに続いて4大会連続で優勝し、計22連勝を達成した。この中には2017年全仏オープンジュニア男子シングルスも含まれている。ジュニア男子シングルスの世界ランキングで2位となり、ポピリンはプロツアーへの参戦を決意した[9]

2017年7月には、ポーランドのムロンゴヴォで開催されたフューチャーズ大会で、ITFが主催するプロ大会で初めて優勝した。これにより初めて世界ランキング1000位以内に食い込んだ。2017年にはさらにフューチャーズやチャレンジャー数大会に出場し、世界ランキング622位で2017年を終えた。

2018年 グランドスラム初出場[編集]

2018年1月のシドニー国際では、予選でニコラ・マユフェデリコ・デルボニスを下し、はじめてATPワールドツアーの本戦に出場したが、1回戦でジョン・ミルマンに敗れた。1月末の全豪オープンにはワイルドカードで出場し、4大大会に初出場したが[10]、1回戦でティム・スマイチェックに敗れた。19歳だった2018年2月にデビスカップデビューし、オーストラリア代表としてボスニア・ヘルツェゴビナ代表と対戦した[11]。その後半年間はヨーロッパでチャレンジャー大会に出場して、世界ランキングを上昇させた。

8月に中国の済南市で開催されたチャレンジャー大会では、予選を突破して本戦に出場した。本戦決勝ではイギリスのジェームズ・ウォードに勝利し[12]、ATPチャレンジャーツアーで初優勝した[13]。8月末には世界ランキングがトップ200に入った。10月にのストックホルム・オープンでは予選を突破して本戦に出場したが、1回戦でジョン・ミルマンに敗れた。翌週のスイス・インドアでは、予選でブノワ・ペールマッケンジー・マクドナルドに勝利して本戦出場を決めた。本戦1回戦ではマシュー・エブデンに勝利し、ATPワールドツアーでの初勝利を挙げた[14]。年間最終ランキングは147位。

2019年 トップ100入り[編集]

2019年全豪オープンでのアレクセイ・ポピリン

ブリスベン国際シドニー国際にはワイルドカードで出場したが、両大会とも1回戦で敗れた。全豪オープンにもワイルドカードで出場し、1回戦ではドイツのミーシャ・ズベレフに7-5, 7-6(7), 6-4のストレートで勝利、4大大会での初勝利を飾った。2回戦では第7シードのドミニク・ティエムに7-5, 6-4, 2-0(不戦勝)で勝利したが、3回戦で第28シードのリュカ・プイユに6-7(3), 3-6, 7-6(10), 6-4, 3-6のフルセットの末に敗れた。

全仏オープンではワイルドカードにより、本戦初出場。1回戦ではウゴ・アンベールを3-6, 6-3, 7-6(10), 6-3で下して2大会連続4大大会初戦突破を飾った。2回戦では第31シードのラスロ・ジェレに4-6, 6-7(4), 4-6のストレートで敗れたが、大会後の6月24日の世界ランキングで99位となり、初のトップ100入りを果たした。

ウィンブルドン選手権では予選を通過し、本戦1回戦でパブロ・カレーニョ・ブスタを7-6(5), 7-5, 6-2のストレートで破り、大会初勝利を挙げた。2回戦では第11シードのダニール・メドベージェフに7-6(6), 1-6, 4-6, 4-6で敗れた。同月のアトランタ・オープンでは本戦ストレートイン。さらにベスト8進出を果たし、準々決勝でキャメロン・ノリーに5-7, 4-6のストレートで敗退。全米オープンでは本戦初出場。3回戦まで駒を進め、3回戦では第24シードのマッテオ・ベレッティーニに4-6, 4-6, 7-6(3), 6-7(2)で敗れたが、今季は4大大会において飛躍した一年となった。年間最終ランキングは97位。

2020年 グランドスラム3回戦進出[編集]

全豪オープンでは2年連続3回戦進出して、第4シードのダニール・メドベージェフに4-6, 3-6, 2-6のストレートで敗退。全仏オープンではロイド・ハリス英語版に4-6, 4-6, 6-7(7)のストレートで初戦敗退。年間最終ランキングは113位。

2021年 ツアー初優勝[編集]

全豪オープンでは1回戦で第13シードのダビド・ゴファンを3-6, 6-4, 6-7(4), 7-6(6), 6-3のフルセットで下して、2回戦ではロイド・ハリス英語版を2-6, 6-1, 3-6, 7-6(5), 3-6のフルセットの末に敗れた。

2月のシンガポール・オープンに出場し、準決勝でマリン・チリッチを下して、決勝でアレクサンダー・ブブリクを4-6, 6-0, 6-2の逆転で破り、ツアー初優勝を果たし、キャリア最高ランキング82位を更新した。

全仏オープンでは1回戦で第3シードのラファエル・ナダルに3-6, 2-6, 6-7(3)のストレートで初戦敗退。ウィンブルドン選手権では1回戦で錦織圭に4-6, 4-6, 4-6のストレートで敗退。

全米オープンでは1回戦でラドゥ・アルボットを6-3, 6-7(3), 6-3, 6-3、2回戦では第15シードのグリゴール・ディミトロフを7-6(4), 7-6(4), 4-0の時点で途中棄権したことで不戦勝となり、大会初の3回戦進出をする。3回戦では第24シードのダニエル・エバンスを6-4, 6-3, 3-6, 4-6, 6-7(1)のフルセットの末に敗れた。パリ・マスターズでは1回戦で同胞のアレックス・デミノーを6-0, 6-3、2回戦でステファノス・チチパスを不戦勝で下して初の3回戦進出。3回戦では同胞のジェームズ・ダックワース英語版に敗退。年間最終ランキングは61位。

2022年 トップ100圏外[編集]

2022年BNPパリバ・プリムローズ・ボルドーでのアレクセイ・ポピリン

BNPパリバ・プリムローズ・ボルドーで、決勝で第6シードのクエンティン・ハリスに勝利し、自身2度目のATPチャレンジャーツアー優勝を果たした。年間最終ランキングは121位。

2023年 ツアー2勝目 デビス杯準優勝 トップ50入り[編集]

1月、シーズン開幕戦でアデレード国際1に出場。初戦で第2シードのフェリックス・オジェ=アリアシムを6-4, 7-6(5)のストレートで下す。2回戦でもマルコス・ギロン英語版を4-6, 6-4, 6-3で下し、ベスト8に進出。準々決勝では西岡良仁に6-7(4), 7-6(8), 2-6で敗退。全豪オープンにも出場し、1回戦で曾俊欣に4-6, 7-6(5), 6-7(5), 7-6(4), 6-1のフルセットの末に勝利。2回戦では第9シードのテイラー・フリッツにも6-7(4), 7-6(2), 6-4, 6-7(6), 6-2のフルセットの末に勝利し、自身4回目となる対トップ10選手に勝利し、3回戦進出。3回戦ではベン・シェルトンに3-6, 6-7(4), 4-6のストレートで敗退。

2月、マナーマ・チャレンジャー英語版ではベスト8進出。準々決勝ではタナシ・コキナキスに敗れた。ドバイ・テニス選手権ではパーヴェル・コトフ英語版に敗退。

3月、BNPパリバ・オープンでは予選を通過して、1回戦でジャン・ジジェン英語版を6-4, 5-7, 6-1で下す。2回戦ではホベルト・ホルカシュに3-6, 3-6のストレートで敗れた。マイアミ・オープンでは2回戦でボーティック・ファン・デ・ザンスフルプに敗れた。

4月、モンテカルロ・マスターズでは予選を突破し、初戦を突破。2回戦ではニコラス・ジャリーに6-3, 5-7, 4-6で敗れた。マドリード・オープンではクエンティン・ハリーズ英語版に4-6, 6-4, 6-4で敗れた。

5月、イタリアン国際では予選を勝ち抜き、1回戦でクリストファー・オコネル英語版に6-2, 7-6(5)のストレートで破り、2回戦ではフェリックス・オジェ=アリアシムに6-4, 4-6, 7-5のフルセットの末に勝利して、自身5度目の対トップ10選手に勝利。3回戦ではロマン・サフィウリン英語版に7-5, 7-5のストレートで下すも、4回戦ではホルガ・ルーネに4-6, 7-5, 4-6のフルセットの末に敗退するも、マスターズ初の4回戦進出を更新した。全仏オープンでは1回戦でアスラン・カラツェフに3-6, 7-6(4), 1-6, 2-6で初戦敗退。

6月、ロスマーレン・グラスコート選手権では2回戦でタロン・フリークスポール英語版に3-6, 2-6で敗れた。クイーンズ・クラブ選手権では予選を突破するも、ジョーダン・トンプソンに4-6, 4-6のストレートで初戦敗退。

7月、ウィンブルドン選手権では1回戦でドミニク・シュトリッカー6-3, 3-6, 2-6, 6-4, 5-7のフルセットの末に敗退。クロアチア・オープンでは準決勝ではマッテオ・アルナルディ英語版に6-7(2), 7-5, 6-3のフルセットで勝利し、決勝進出。決勝ではスタン・ワウリンカに6-7(5), 6-3, 6-4のフルセットの末に勝利し、ツアー2度目の優勝を果たし、大会後にはキャリア最高57位を更新。

8月、ウエスタン・アンド・サザン・オープンではベスト8進出。準々決勝ではホベルト・ホルカシュに1-6, 6-7(8)のストレートで敗退が、トップ40入りを果たした。全米オープンでは1回戦で前述のシュトリッカーに3-6, 4-6, 6-3, 3-6で敗れた。

9月、アスタナ・オープン英語版ではセバスチャン・コーダに6-7(5), 7-6(4), 4-6で初戦敗退。

10月、上海マスターズでは前述のアルナルディに6-4, 3-6, 4-6で初戦敗退。ジャパン・オープンではベスト8進出。準々決勝では望月慎太郎に5-7, 6-2, 5-7で敗退。パリ・マスターズでは前述のジャリーに5-7, 6-7(6)で初戦敗退。

11月、デビスカップ2023英語版ではデビスカップオーストラリア代表として参戦し、フィンランド戦でシングルス勝利し、決勝進出に貢献。決勝ではデビスカップイタリア代表に敗れ、準優勝となった。年間最終ランキングは40位。

成績[編集]

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2018 2019 2020 2021 2022 2023 通算成績
全豪オープン 1R 3R 3R 2R 1R 3R 2–2
全仏オープン A 2R 1R 1R 1R 1R 1–1
ウィンブルドン A 2R A 1R 1R 1R 1–1
全米オープン A 3R A 3R 2R 2-1

大会最高成績[編集]

大会 成績
ATPファイナルズ A 出場なし
インディアンウェルズ 2R 2019, 2021, 2023
マイアミ 3R 2021
モンテカルロ 2R 2021, 2023
マドリード 3R 2021
ローマ 4R 2023
カナダ Q2 2022
シンシナティ QF 2023
上海 1R 2023
パリ 3R 2021
オリンピック A 出場なし
デビスカップ F 2023
ATPカップ A 出場なし
ユナイテッド・カップ A 出場なし

脚注[編集]

  1. ^ No more junior tournaments for Aussie teen star”. Sunshine Coast Daily (2017年6月18日). 2019年3月10日閲覧。
  2. ^ New Aussie emerges”. The Australian (2017年6月11日). 2019年3月10日閲覧。
  3. ^ Tennis Australia Player Profiles: Alexei Popyrin”. Tennis Australia. 2019年1月18日閲覧。
  4. ^ Popyrin on the brink of Open breakthrough”. Newcastle Herald (2019年1月18日). 2019年3月10日閲覧。
  5. ^ Aussie French Open junior champion Alexei Popyrin ready to take talents to professional ranks”. Herald Sun (2017年6月18日). 2019年3月10日閲覧。
  6. ^ Australian Open 2019: Teen star Alexei Popyrin keen to add to historic achievement”. Nine.com (2019年1月17日). 2019年3月10日閲覧。
  7. ^ Local Teens Highlight Marbella's Challenger Return”. ATP Tour (2018年3月30日). 2019年3月10日閲覧。
  8. ^ ENORME. Duarte Vale está na FINAL de pares juniores do Australian Open 2017” (2017年1月26日). 2019年3月10日閲覧。
  9. ^ POPYRIN CONTINUES RISE WITH POLISH TITLE”. Tennis Australia (2017年7月10日). 2018年10月16日閲覧。
  10. ^ Alexei Popyrin and Jason Kubler secure Australian Open wildcards”. Herald Sun (2018年1月6日). 2018年1月7日閲覧。
  11. ^ Bound for Madrid: Aussies win Davis Cup tie against Bosnia and Herzegovina”. The Age (2019年2月2日). 2019年3月10日閲覧。
  12. ^ Aussie Teen Popyrin Reflects On First Challenger Title”. ATP (2018年8月18日). 2018年12月29日閲覧。
  13. ^ POPYRIN CLAIMS FIRST ATP CHALLENGER TITLE”. Tennis Australia (2018年8月13日). 2018年10月16日閲覧。
  14. ^ BASEL: POPYRIN STUNS EBDEN, MILLMAN BEATEN”. Tennis Australia (2018年10月24日). 2018年10月26日閲覧。

外部リンク[編集]