アレクサンダー・ベイリンソン

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アレクサンダー・ベイリンソン
生誕 (1957-06-13) 1957年6月13日(63歳)
モスクワソビエト連邦
国籍 ロシア
研究分野 数学
研究機関 シカゴ大学
博士課程
指導教員
ユーリ・マニン
博士課程
指導学生
ロレンツォ・ラメロ英語版
主な業績 表現論代数幾何学数理物理学への貢献
偏屈層英語版
オペラ (数学)英語版
リー*代数英語版
主な受賞歴 オストロフスキー賞 (1999)
ウルフ賞数学部門 (2018)
ショウ賞 (2020)
子供 Helen; Vera
プロジェクト:人物伝
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アレクサンダー・ベイリンソンAlexander A. Beilinson1957年6月13日 - )は、シカゴ大学のDavid and Mary Winston Green University教授を務める数学者である。研究は、表現論代数幾何学数理物理学にわたっている。1999年ヘルムート・ホーファー英語版と共にオストロフスキー賞を受賞。2017年米国科学アカデミー会員に選出[1]

業績[編集]

1978年、ベイリンソンは連接層線形代数学におけるいくつかの問題に関する論文を出版した。雑誌『Functional Analysis and Its Application』における2ページのノートは、連接層 (数学)導来圏に関する論文の一つであった。

1981年ベイリンソンは、ヨシフ・ベルンシュタインと共にカジュダン–ルスティック予想ヤンツェン予想英語版の証明を発表した。2人とは独立に、ジャン=リュック・ブリリンスキー英語版柏原正樹もカジュダン–ルスティック予想の証明を得た[2]。しかし、ベイリンソンとベルンシュタインの証明は局所化英語版の手法を導入した。これは、表現を旗多様体英語版上に存在する幾何学的対象として広げることで、リー代数の表現の完全な圏 (数学)の幾何学的説明を構築したものだった。これらの幾何学的対象は、平行移動内在的英語版な概念を自然に含み、D-加群と呼ばれる。

ベイリンソン(左)とその生徒

1982年ベイリンソンは、スキームに対するモチヴィック・コホモロジー英語版群の存在に関する自身の予想群を発表した。モチヴィック・コホモロジー群は、アーベル群の複体のハイパーコホモロジー群英語版として与えられ、代数的位相幾何学アティヤ・ヒルツェブルフスペクトル系列英語版に類似したモチヴィックスペクトル系列英語版による代数的K理論に関連している。これらの予想群は以降、ベイリンソン–スーレ予想英語版と呼ばれるようになった。スキームに関するホモトピー論を開発したウラジーミル・ヴォエヴォドスキーのプログラムと絡み合った予想群である。

1984年、ベイリンソンは『Higher Regulators and values of L-functions』という論文を発表し、その中でK理論に対する高次単数基準とその関連をL関数に結びつけた。この論文はまた、数環 (数学)代数的K理論に対するリヒテンバウム予想英語版ホッジ予想代数的サイクルに関するテイト予想楕円曲線に対するバーチ・スウィンナートン=ダイアー予想、楕円曲線のK2に関するブロッホ予想算術多様体英語版の一般化を与えている。

ベイリンソンは1980年代半ばの間を通して代数的K理論の分野で活動し続けた。ピエール・ドリーニュと共同し、ドン・ザギエ多重対数関数予想のモチーフ (数学)的解釈を発展させた。

1990年代初期から先、ベイリンソンはウラジーミル・ドリンフェルトと共同で、頂点代数英語版の理論を再構築した。この研究は、非公式的な普及の後、2004年にカイラル代数英語版に関するモノグラフの形で出版された。これは共形場理論弦理論、幾何学的ラングランズ・プログラムに新たな進歩をもたらすものだった。

ベイリンソンは2008年にアメリカ芸術科学アカデミーのフェローに選出された[3]。1994年の秋と1996年から1998年の間、プリンストン高等研究所の訪問研究者だった[4]。2018年ウルフ賞数学部門[5]、2020年ショウ賞数学部門を[6]受賞した。

代表的な著作物[編集]

  • Beilinson, A. A.; Drinfeld, V. (2004). Chiral Algebras. American Mathematical Society. ISBN 978-0-8218-3528-9 
  • Beilinson, A. A. (1987). “How to glue perverse sheaves”. K-theory, arithmetic and geometry (Manin seminar, Moscow, 1984--1986) in Lecture Notes in Math.. 1289. Springer-Verlag. pp. 42–51 
  • Beilinson, A. A. (1987). “On the derived category of perverse sheaves”. K-theory, arithmetic and geometry (Manin seminar, Moscow, 1984--1986) in Lecture Notes in Math.. 1289. Springer-Verlag. pp. 27–41 
  • Beilinson, A. A. (1986). “Notes on absolute Hodge cohomology”. Applications of algebraic K-theory to algebraic geometry and number theory, Part I, II (Boulder, Colo., 1983), Contemporary Mathematics. 55. American Mathematical Society. pp. 35–68 
  • Beilinson, A. A. (1984). “Higher regulators and values of L-functions”. Itogi Nauki i Tekhniki, Current problems in mathematics. 24. Akad. Nauk SSSR Vsesoyuz. Inst. Nauchn. i Tekhn. Inform., Moscow. pp. 181–238 
  • Beilinson, A. A.; Bernstein, J.; Deligne, P. (1982). “Faisceaux pervers”. Analysis and topology on singular spaces, I (Luminy, 1981), Astèrisque. 100. Soc. Math. France, Paris. pp. 5–171 
  • Beilinson, A. A. (1980). “Residues and adèles”. Funktsional. Anal. I Prilozhen. 14 (1): 44–45. ISSN 0374-1990. 
  • Beilinson, A. A. (1978). “Coherent sheaves on Pn and problems in linear algebra”. Funktsional. Anal. I Prilozhen. 12 (3): 68–69. doi:10.1007/BF01681436. ISSN 0374-1990. 

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ National Academy of Sciences Members and Foreign Associates Elected, National Academy of Sciences, May 2, 2017.
  2. ^ Brylinski, Jean-Luc; Kashiwara, Masaki (October 1981). “Kazhdan-Lusztig conjecture and holonomic systems”. Inventiones Mathematicae (Springer-Verlag) 64 (3): 387–410. Bibcode1981InMat..64..387B. doi:10.1007/BF01389272. ISSN 0020-9910. 
  3. ^ Book of Members, 1780-2010: Chapter B”. American Academy of Arts and Sciences. 2011年5月30日閲覧。
  4. ^ Institute for Advanced Study: A Community of Scholars”. 2013年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月21日閲覧。
  5. ^ Paul McCartney among 9 Wolf Prize recipients”. The Jerusalem Post | JPost.com. 2020年5月21日閲覧。
  6. ^ The Shaw Prize”. www.shawprize.org. 2020年5月21日閲覧。

外部リンク[編集]