単純温泉

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アルカリ性泉から転送)

単純温泉(たんじゅんおんせん)とは、日本における掲示用泉質名に基づく温泉泉質の分類の1つである。療養泉に分類される。

泉質の定義[編集]

温泉法による規定を満たした25 以上の温泉のうち、温泉1キログラム中に含まれる気体以外の溶存物質の含有量が総量1000ミリグラム未満の温泉[1]

概要[編集]

単純温泉は日本列島の各地に見られる、比較的ありふれた泉質である。温泉水1キログラム中に溶存している気体以外の物質の含有量が1グラム未満で、25 ℃以上で湧出する温泉が該当する。言い換えると、温泉水を蒸発させた際に残る物質が、比較的少ない温泉である。このため、単純温泉は成分の少ない単なる湯と誤解されたり、または質の低い温泉だと誤解される場合がある。しかし単純温泉とは、溶質の量だけを評価しただけの分類に過ぎず、何が溶けているのかについて規定していない。よって、単純温泉と一口に言っても、個々の泉質は多岐にわたるため、単純温泉に分類されていても、一定の性質が見られるわけではない。例えば、含有する溶質の組成比によって、他の泉質の性質を帯びた単純温泉も有る。また、様々な成分を少量ずつ含んだ単純温泉も存在する。さらに、単純温泉と分類される温泉の中には、モール泉すらも存在している。例えば、十勝川温泉はモール層から色の付いた単純温泉が湧出しており、独特であるとして北海道遺産にも選定されている[2]

新旧泉質名との対比[編集]

新旧泉質名では、以下に分類される。

新旧泉質名の対応[3]
旧泉質名 新泉質名 液性
単純温泉 単純温泉 pH8.5未満。
単純温泉 アルカリ性単純温泉 pH8.5以上[1]

効能[編集]

泉質に基づく効能として、以下が挙げられる[4]

出典[編集]

  1. ^ a b 山村 2015, p. 7.
  2. ^ 山村 2015, p. 53.
  3. ^ 参考資料2新旧泉質名対照” (PDF). 環境省 自然環境局 自然環境整備課 温泉地保護利用推進室. 2018年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月26日閲覧。
  4. ^ 温泉療養のイロハ” (PDF). 環境省. p. 3. 2017年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月22日閲覧。

参考文献[編集]

  • 山村順次『47都道府県・温泉百科』丸善出版、2015年12月30日。ISBN 978-4-621-08996-5