コンテンツにスキップ

アリルアルコール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アリルアルコール
{{{画像alt1}}}
識別情報
CAS登録番号 107-18-6 チェック
PubChem 7858
ChemSpider 13872989 チェック
UNII 3W678R12M0 ×
EC番号 203-470-7
国連/北米番号 1098
KEGG C02001 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL234926 チェック
RTECS番号 BA5075000
3DMet B00381
特性
化学式 C3H6O
モル質量 58.08 g mol−1
外観 無色の液体[1]
匂い マスタードのような[1]
密度 0.854 g/ml
融点

−129 °C

沸点

97°C

への溶解度 混和
蒸気圧 17 mmHg[1]
酸解離定数 pKa 15.5 (H2O)[2]
磁化率 -36.70·10−6 cm3/mol
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
GHSピクトグラム 可燃性急性毒性(高毒性)急性毒性(低毒性)水生環境への有害性
GHSシグナルワード 危険(DANGER)
Hフレーズ H225, H301, H302, H311, H315, H319, H331, H335, H400
Pフレーズ P210, P233, P240, P241, P242, P243, P261, P264, P270, P271, P273, P280, P301+310, P302+352
主な危険性 強い毒性、催涙性
NFPA 704
3
3
1
引火点 21 °C (70 °F; 294 K)
発火点 378 °C (712 °F; 651 K)
爆発限界 2.5 – 18.0%
許容曝露限界 2 ppm[1]
半数致死量 LD50 80 mg/kg (ラット, 経口)[3]
半数致死濃度 LC50 1000 ppm (哺乳類, 1時間)
76 ppm (ラット, 8時間)
207 ppm (マウス, 2時間)
1000 ppm (ウサギ, 3.5時間)
1000 ppm (サル, 4時間)
1060 ppm (ラット, 1時間)
165 ppm (ラット, 4時間)
76 ppm (ラット, 8時間)[4]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アリルアルコール (allyl alcohol) とは、有機化合物アルコールの一種。IUPAC名は 2-プロペン-1-オール (2-propen-1-ol)。アリル化合物のひとつであり、安定な不飽和アルコールの中で最も単純な構造を持つ。

性質

[編集]

に可溶の無色透明の液体で、低濃度でエタノールのような芳香、高濃度でマスタードのような刺激臭がある。 消防法危険物に該当するが同法でのアルコール類とは「1分子を構成する炭素の数が1個から3個までの飽和一価アルコール(変性アルコールを含む)」と定義されているため、不飽和アルコールである同アルコールは第四類第一石油類(水溶性)に該当する。毒劇法による毒物で、付着や吸引などによって、皮膚粘膜炎症を起こす。

合成

[編集]

アリルアルコールは、塩化アリル加水分解、加熱したカリウムミョウバン存在下での酸化プロピレンの異性化、1-プロパノールからの脱水素、グリセリンギ酸の反応など様々な方法で得ることができる。

用途

[編集]

ジアリルフタレート樹脂、薬品、アリルグリシジルエーテル、樹脂原料、プロパンサルトン、香料難燃化剤原料などさまざまな化合物の原料として使われる。

誘導体

[編集]

アリル基が合成的に有用であることから、アリルアルコールの部分構造は全合成をはじめとする有機合成で中間体として利用される。

アリル基二酸化セレンを作用させるとアリル位が酸化を受けてアリルアルコール構造が得られる。セレノキシド酸化と呼ばれる。

セレノキシド酸化
セレノキシド酸化

シャープレス酸化はアリルアルコール構造のオレフィンを面選択的にエポキシ化する反応として広く用いられる。

シャープレス酸化
シャープレス酸化

不飽和アルコール

[編集]

構造式として描ける中で最も単純な不飽和アルコールはビニルアルコール (H2C=CH-OH) であるが、ビニルアルコールはケト-エノール互変異性によりアセトアルデヒド構造へ異性化してしまうため、一般にアリルアルコールが最も単純な不飽和アルコールとされる。

法規制

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0017
  2. ^ Haynes, William M., ed (2016). CRC Handbook of Chemistry and Physics (97th ed.). CRC Press. p. 5–88. ISBN 978-1498754286 
  3. ^ Allyl alcohol toxicity
  4. ^ Allyl alcohol”. 生活や健康に直接的な危険性がある. アメリカ国立労働安全衛生研究所英語版(NIOSH). 2024年10月13日閲覧。

関連項目

[編集]