一つの大陸の物語シリーズ
| 一つの大陸の物語シリーズ | |||
|---|---|---|---|
| ジャンル | 冒険[1]、ファンタジー[2] | ||
| 小説:アリソン | |||
| 著者 | 時雨沢恵一 | ||
| イラスト | 黒星紅白 | ||
| 出版社 | メディアワークス | ||
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| 掲載誌 | 電撃hp | ||
| レーベル | 電撃文庫 | ||
| 刊行期間 | 2002年3月10日 - 2005年5月10日 | ||
| 巻数 | 全4巻 | ||
| 小説:リリアとトレイズ | |||
| 著者 | 時雨沢恵一 | ||
| イラスト | 黒星紅白 | ||
| 出版社 | メディアワークス | ||
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| レーベル | 電撃文庫 | ||
| 刊行期間 | 2005年3月10日 - 2007年4月10日 | ||
| 巻数 | 全6巻 | ||
| 小説:メグとセロン | |||
| 著者 | 時雨沢恵一 | ||
| イラスト | 黒星紅白 | ||
| 出版社 | メディアワークス→ アスキー・メディアワークス | ||
| レーベル | 電撃文庫 | ||
| 刊行期間 | 2008年3月10日 - 2012年5月10日 | ||
| 巻数 | 全7巻 | ||
| 小説:一つの大陸の物語 | |||
| 著者 | 時雨沢恵一 | ||
| イラスト | 黒星紅白 | ||
| 出版社 | アスキー・メディアワークス | ||
| レーベル | 電撃文庫 | ||
| 刊行期間 | 2013年3月10日 - 2013年5月10日 | ||
| 巻数 | 全2巻 | ||
| 漫画:リリアとトレイズ -そして二人は旅行に行った- | |||
| 原作・原案など | 時雨沢恵一 | ||
| 作画 | 晴瀬ひろき | ||
| 出版社 | メディアワークス→アスキー・メディアワークス | ||
| 掲載誌 | comic SYLPH→シルフ | ||
| レーベル | 電撃コミックス | ||
| 発表号 | 2006年vol.1 - 2008年Vol.4 | ||
| 発表期間 | 2006年12月9日 - 2008年11月22日 | ||
| 巻数 | 全2巻 | ||
| 話数 | 全10話 | ||
| 漫画:アリソン | |||
| 原作・原案など | 時雨沢恵一 | ||
| 作画 | 晴瀬ひろき | ||
| 出版社 | メディアワークス→アスキー・メディアワークス | ||
| 掲載誌 | 月刊電撃コミックガオ!→月刊コミック電撃大王 | ||
| レーベル | 電撃コミックス | ||
| 発表号 | 2007年9月号 - 2008年3月号(ガオ!) 2008年6月号 - 2009年2月号(大王) | ||
| 発表期間 | 2007年7月27日 - 2008年12月27日 | ||
| 巻数 | 全2巻 | ||
| その他 | 隔月連載 | ||
| アニメ:アリソンとリリア | |||
| 原作 | 時雨沢恵一 | ||
| 監督 | 西田正義 | ||
| シリーズ構成 | 待田堂子 | ||
| キャラクターデザイン | 瀬谷新二 | ||
| 音楽 | 村井秀清 | ||
| アニメーション制作 | マッドハウス | ||
| 製作 | 「アリソンとリリア」製作委員会 | ||
| 放送局 | NHK・BS2 | ||
| 放送期間 | 2008年4月3日 - 10月2日 | ||
| 話数 | 全26話 | ||
| テンプレート - ノート | |||
| プロジェクト | ライトノベル・漫画・アニメ | ||
| ポータル | ライトノベル・漫画・アニメ | ||
『一つの大陸の物語シリーズ』(ひとつのたいりくのものがたりシリーズ)は、時雨沢恵一による日本のライトノベルシリーズおよびそれを原作としたメディアミックス作品。電撃文庫(メディアワークス→アスキー・メディアワークス)より2002年3月から2013年5月まで刊行された。2008年10月時点でシリーズ累計部数は250万部を記録している[3]。本作は「一つの大陸」に存在する二つの連合国を舞台にしている。
日経BP社がインターネットで実施したアンケートを基に公表した「2003年度ライトノベルランキング」で10位を獲得している[4]。『このライトノベルがすごい!』作品部門では2005年版で8位を獲得している[5]。
シリーズ最初の作品である『アリソン』が2002年から2004年にかけて刊行された。その後、『アリソン』シリーズの18年後を舞台にアリソンの娘リリアを主人公とする続編『リリアとトレイズ』シリーズが2005年から2007年にかけて刊行され、またリリアの友人メグミカと彼女に想いを寄せる少年セロンを主人公としたスピンオフ『メグとセロン』シリーズが2008年から2012年にかけて刊行された。そして2013年、シリーズの完結編となる『一つの大陸の物語』の上下巻が刊行され、上巻のあとがき内でシリーズの総称が『一つの大陸の物語シリーズ』に決定したことが説明された。
コミカライズは2つ存在し、『リリアとトレイズ そして二人は旅行に行った』が『シルフ』(メディアワークス→アスキー・メディアワークス)にて2006年vol.1から2008年Vol.4まで連載された。『アリソン』が『月刊電撃コミックガオ!』(メディアワークス)にて2007年9月号より2008年3月号まで連載され、その後『月刊コミック電撃大王』(アスキー・メディアワークス)にて2008年6月号より2009年2月号まで連載された。
2008年には『アリソン』と『リリアとトレイズ』を原作としたテレビアニメ『アリソンとリリア』が放送された。同作品についても本記事で解説を行う。
あらすじ
[編集]アリソン
[編集]- アリソン
- この世界唯一の大陸は中央山脈とルトニ河によって東西に分かれ、東側のロクシアーヌク連邦(ロクシェ)と西側のベゼル・イルトア王国連合(スー・ベー・イル)、2つの連合国はどちらが人間としての祖にあたるかを巡って争ってきた歴史があり、現在は休戦中である。
- ロクシェのラプトア共和国で上級学校生として過ごすヴィルヘルム・シュルツ(ヴィル)とロクシェ空軍の伍長であるアリソン・ウィッティングトンはホラ吹きとして有名なお爺さんから「戦争を終わらせることができる価値がある宝の話」を聞いていた。ところが彼が役人と名乗る男によって連行されてしまう。誘拐だと見抜いた2人は、犯人を追跡していくうちに軍事産業で儲けているテロル鉄鋼の私有地から飛行機を拝借し、スー・ベー・イルに不法侵入する。
- トラブルで飛行機は墜落し、それとは別にヴィルが怪我をするが、2人は一人暮らしの女性、トラヴァス・ラディアに助けられる。ラディアは2人がともにスー・ベー・イル出身のコラソン・ムートが経営していた孤児院「未来の家」の出であることを知り、ヴィルがふとしたことからお爺さんが元特殊部隊員であることを確信して2人とも宝を探し続けることを決めると、2人に近くのテルトという軍事基地のことを教え、死んだ息子たちのベゼル王室親衛隊の制服を貸す。
- 2人は基地に入るとルネ・ポクロット二等兵に営倉へ案内させ、お爺さんと再会する。2人が宝の具体的な場所を聞き、飛行機を奪って脱出する一方、アリソンからヘアピンをもらって解錠し脱走したお爺さんは、宝が単なる金目のものだと思っている誘拐犯一味と銃撃戦を繰り広げて時間を稼ぎ、最後は自殺する。
- 2人は追ってきたスー・ベー・イルの軍人、カー・ベネディクトを味方につけついに宝を発見する。それは壁画で、東西それぞれの国の軍事的シンボルとされてきた文様が武器ではなく、火と燭台を仲良く分け合ったものであるということが分かるものだった。
- ヴィルは宝と自分たちの命を守るため、追手のグラツ大尉を射殺する。その後、壁画の発表をベネディクトに委ね、アリソンともどもそれぞれの日常へ戻るのだった。
- アリソンII 真昼の夜の夢
- 壁画の発表でベネディクトは世界的英雄となり、終戦条約が締結された。
- 学校の冬季研修旅行でイクス王国(イクストーヴァ)に来たヴィルは、自由行動中にアリソンに“誘拐”される。ベネディクトにも会い、その帰り道の途中吹雪で迷った2人は辺境の村にたどり着くが、ベゼル語を話していたことから怪しまれ村人達に薬を飲まされ閉じ込められる。退屈のあまり2人を追ってきたベネディクトはフィオナという女性に会う。フィオナはベネディクトが「英雄」であることを知らず、彼はフィオナに好感を抱くが、彼がメモ代わりに持ってきたイクス王国のロクシェからの独立に反対する政治家、オーウェン・ニヒトーの首都・クンストでの演説ビラを見たフィオナは彼に「私を首都へ連れて行って」と訴える。
- ベネディクトは脱出した2人とともにフィオナの家にかくまわれる。そこでフィオナは自身はイクス王家の唯一の生き残りの王女であるとアリソン達に伝え、首都の演説会の場で、大勢の聴衆やラジオの聴取者の前でそれを公表したいという。その話に乗ることにした3人は飛行機で首都に飛び、演説中の広場へと急行することにする。
- アリソンとヴィル、ベネディクトとフィオナは2台の飛行機で首都へ向かうが、機上でフィオナはベネディクトにたとえ計画が失敗しても、誰かには本当のことを知っていて欲しいからと、自分は本物のフランチェスカ王女ではなく、これから皆を騙すのだという。事情を聞いて納得したベネディクトは、本当に英雄といえるのはアリソンとヴィルであり、自身も偽物の英雄であると明かす。
- 警備の関係からフィオナとベネディクトは「昼の夜」こと日食に乗じて降り立ち、アリソンとヴィルは上空からラジオで状況を把握することになる。
- フランチェスカ王女であると名乗り出たフィオナに対し、ニヒトーは異議を申し立てるが、フィオナは王家の者の証である、「お印」の描かれたペンダントを証拠として示す。元王室警護官で、フランチェスカのペンダントを見たことがあるワレン警部が鑑定に名乗りを上げ、本物と確かめられる。
- 引き下がろうとしたニヒトーに対し、フィオナはニヒトーの家紋入りのカフスボタンを示し、彼を10年前に王宮を襲撃した犯人のひとりだとして告発する。ニヒトーはワレンを刺し、子供を人質に逃亡をはかるが、アリソンとヴィルの援護のうえ、ベネディクトが殴って止める。ニヒトーは妻子が私刑を受けないように頼み、投身自殺する。
- その後、フィオナと面会したヴィルは、フィオナがフランチェスカの双子の妹であることを指摘し、また、彼女の過ごした村が防護されていたことや村に飾られたフランチェスカの「お印」が実際はフィオナのものであるという推定から、村人はすべての事情を知っており、なんの負い目もなく帰ることができることを伝える。
- アリソンIII<上> ルトニを車窓から、<下> 陰謀という名の列車
- 東西2国間の旅行が解禁され、ルトニ河に橋が架かり、大陸横断列車の運転が始まる。アリソン、ヴィル、フィオナはベネディクトの招待で乗車し、ロクシェの富豪たちと4人で楽しい旅行になるはずだったが、スー・ベー・イルに入った後、車掌長が殺害・車外へ遺棄され、車掌や客室乗務員が殺されるという事件が発生する。
- 列車は一時軍用集積地へ退避し、貴賓車両に乗っていたテロル財団総帥のゴーティエ・テロルが脅迫状を受け取ったことを明かす。狙われているのがテロルであるということから、客車を切り離しテロルとその秘書兼ボディーガードのイーエン、テロルの護衛でスー・ベー・イルの軍人ストーク少佐たちが引き続き列車に乗り、他の乗客は旅行を中止しその場に待機することとなる。ストークの依頼でベネディクトら4人も彼らに同行することになるが、前後から襲撃を受ける。その対処の最中、ヴィルはストークに対し乗務員たちの殺害が彼の仕業であることを指摘し、ストークからテロルがロクシェを裏切りスー・ベー・イルで再起を図るべく、列車事故での死亡を偽装しようとしていること、ストークの目的はテロルとイーエンの逮捕と、彼らの手引をしたスー・ベー・イル軍人の摘発であることを聞く。襲撃者を撃退したところで、ヴィルたち4人はストークが自分たちの味方ではないと察知したイーエンに襲われ、逆に彼を殺害し、ストークとともに貴賓車両へ行った彼らは覚悟の自殺を遂げたと思しきテロルを発見する。
- 列車は道中のリリアーヌという街に到着し、ロクシェ出身の3人は数日以内に送還されることになる。その街にあった教会でベネディクトはフィオナに結婚を申し込み、誓いのキスを交わす。そしてヴィルはストークに自身の推理を話し始める。
- それは、ストークの真の目的は、テロルを確実に殺害し、かつスー・ベー・イル軍の大規模なスキャンダルを防ぐというものだった。また、車掌長の遺棄の現場を目撃したアリソンとヴィルを殺害しなかったことやその後の言動から、ストークはかつてアリソンの父を裏切って殺害し、スー・ベー・イルへ逃亡したアリソンの父の元部下であると指摘する。
- それを聞いたアリソンはストークに銃を向けるがヴィルが押し留め、ヴィルは自分からは決して真実を明かさないストークに対し、今度は「お会いできて光栄です」とアリソンの父であるオスカー・ウィッティングトンの名で呼びかける。
- ストークはヴィルの推理をすべて肯定し、ぎこちない父娘の対面の場面の中、アリソンは思わずヴィルと一緒に住む予定であると言ってしまう。ヴィルはアリソンの意図が汲めていないような態度をとるが、2人はキスを交わす。
リリアとトレイズ
[編集]- I・II そして二人は旅行に行った
- アリソンとヴィルの娘、リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ(リリア)はロクシェ首都の上級学校に通っている。アリソンは空軍のテストパイロットであり、ヴィルはリリアが生まれる前に死亡を偽装し、現在はスー・ベー・イル陸軍のトラヴァス少佐としてロクシェ首都のスー・ベー・イル大使館に勤務し、アリソンの恋人ということになっている。
- 夏休み。アリソンが急な任務で出かけられなくなり、リリアは遊びに来ていたトレイズと旅行に出る。トレイズはベネディクトとフィオナの息子だが、イクスでは双子のきょうだいであるメリエルのみが王女として公に発表され、王子・トレイズの存在を知るものはロクシェの大統領やスー・ベー・イルの王族など僅かな人物に限られており、リリアもトレイズの素性は知らない。目的地はトルカシア国のラーチカというクウルズ内海に浮かぶ海上都市。リリアがずっと来たかった観光地だったが、イクスに客をとられたなどの理由により寂れている現状を知る。2人はカルロという少年と知り合うが、カルロは無許可で観光案内をしていたことと、帰れる家がないことから「導師様」と呼ばれるアイン・モルソーの経営する子供の自立支援施設に送られることとなる。
- 2人は遊覧飛行機に乗ることにしたが、不時着していると思しきトルカシア国防軍の飛行機を見つけ助けようとしたところ、リリアたちの飛行機のパイロットが撃たれ死んでしまう。その光景を目撃した2人は追われ、街へ戻るべく歩いているうちにモルソーに出会う。2人はモルソーから、ラーチカ方面へ施設の子供達を乗せて飛ぶチャリティー飛行に同乗できる手配をしてもらう。
- 2人はカルロと再会するも、飛行士たちが空中で機を捨てて飛び降り、トレイズが慣れない飛行艇の操縦をすることになってしまう。見張っていたトルカシア国防軍の機体から「機体を捨てて逃げるなら命は助けてやる」といった通信が入るが、トレイズたちが抵抗を続けるうち、彼らから子供達を乗せた機体が遭難し、悲劇として報道されることでトルカシアの窮状を知らしめ、同情や援助を得るといった目論見を知らされる。
- トレイズたちが従おうとしないため、彼らは実力行使に出ようとするが、そこへアリソンが助けに来て、国防軍の機体を撃墜する。飛行艇は不時着し、2人や子供達はロクシェ軍に助けられる。カルロとトレイズは、実はカルラという女の子であること、王子であることという秘密を交換して別れる。
- トレイズの元にトラヴァスが現れ、トレイズからの命令という体裁で国家機密に当たる今回の件を説明する。モルソーは元々スー・ベー・イルのスパイであり、その任は一部の孤児をロクシェの倒錯した嗜好を持つ有力者に売ることで、弱みを握ることにあった。今回の騒動の首謀者もまたモルソーだったが、その意図は不明で、少なくともいずれかは飛行機の操縦ができると分かっていたはずのリリアとトレイズを飛行艇に同乗させた理由もはっきりしなかった。また会話の中で、トレイズはトラヴァスたちが自分たちが乗っていなければ飛行艇の遭難を看過し施設の暗部が潰れたことを示すつもりであったこと、モルソーが既に抹殺されていることを看破する。
- その後、トレイズはモルソーが単純に善人だと信じているリリアの様子を見て思いを巡らすも、次の休みにはイクスに招待することを約束する。
- III・IV イクストーヴァの一番長い日
- 冬休み。リリアとアリソンは、トレイズの誘いを受けてイクスを訪れる。大晦日の晩、アリソンはリリアとトレイズを2人きりにすべく町へ出る。新年を迎え、トレイズはリリアに自身の秘密を打ち明けようとするが、そこへ血まみれの元王室警護官のおばさんが転がり込んでくる。王宮の離れではベネディクトとフィオナがイクスの自然の記録映像を撮っていた撮影隊をゲストに小規模なパーティを催していたのだが、その撮影隊がフィオナたちに何事かを尋問すべく、離れにいた人々を人質に立てこもっていたのだ。決死でやって来たおばさんから状況を聞いたトレイズは、単身での救出は不可能なことをリリアに諭され、離れの自分の部屋にある無線機で救援を呼ぶことを思いつき、リリアも半ば強引に同行する。
- 撮影隊のリーダー、エリシア・ラウリーは、フィオナにイクストーヴァの秘宝とは何かと尋ねるが、フィオナは秘宝のことなど何も知らない。時間を稼ぐうちにトレイズが離れでの作戦を始め、近くの飛行場へ無線で呼びかけるが、肝心なことを言えないうちに撮影隊が現れ、発見はされなかったものの無線機を破壊されてしまう。
- フィオナはエリシアがオーウェン・ニヒトーの娘、クレアであることを看破し、自身がフランチェスカの妹であり、本当に何も知らないことを明かす。クレアたちはフィオナの正体を暴露することに方針を変更し、フィオナとベネディクトを連れて離れから脱出するが、人数の偽装に引っかかったトレイズが離れに残った撮影隊に撃たれて滑落し、リリアはトレイズのペンダントを預かっていたことからスー・ベー・イルにいるメリエルと誤解されてしまう。
- 連絡を受けたクレアほか2名は離れに戻るが、残りは陰謀を察知してやって来たトラヴァスとその部下たちに全滅させられる。トラヴァスに助けられたフィオナとベネディクトは離れに戻り、隊と合流しようとしたクレアたちとは入れ違いとなる。フィオナたちはクレアからメリエルを人質に取ったと無線が入りフィオナ1人で来るよう要求され、ライフルを撃たれて生存していたところを回収したトレイズから事情を聞く。トレイズはフィオナに化けてクレアの元に行き、クレア以外の撮影隊を全滅させる。
- その後、ベネディクト、リリア、トレイズは、アリソンとクレアも交え、クレアの持っていたイクスの古い地図に従って飛行機に乗り、中央山脈へ秘宝を探しに行く。その谷は周囲の急峻な地形に似合わない比較的穏やかな気候で、古いイクス語を喋る人々が住んでいた。トレイズが王子の身分を明かして話を聞くと、人々はただ谷を守るためにおり、秘宝のことは何も知らないと言う。しかし、徒歩でスー・ベー・イルへも抜けられることがわかる。
- この事実こそが秘宝であり、これがもし戦時中であれば、中央山脈から進軍できることは戦略上非常に有用であり、ロクシェが圧倒的有利になるものであった。しかし東西の宥和や交通機関の発達が進んでいる現状ではそれほどの価値はない。クレアは落胆し、この谷は公表され、イクストーヴァ回廊と呼ばれることになる。
- 一方スー・ベー・イルにいるメリエルは、ベゼルの王女マティルダから、トレイズを自身の伴侶として迎えたいという話を聞く。
- V・VI 私の王子様
- トレイズはメリエルに、20歳までに自分が伴侶を見つけられなかった場合、マティルダに婿入りすることになっていることを教える。
- 春休み。リリアは休み明けのダンスパーティーの相手が決まらないまま、アリソンと一緒に列車での旅行に行くことになるが、列車のエンジンが故障し、立ち往生する。次の列車はロクシェを訪問していたマティルダの護衛のため、トラヴァスたちがチケットを買い占めたものだったが、その列車ががら空きなのを知った乗客たちは同乗を要求し、トラヴァスはトラブル回避のため、食堂車より前は立入禁止という条件で容認する。しかし、この乗客には「囚人四十二番」と呼ばれるスー・ベー・イルの凶悪な殺人犯が紛れていた。彼はある依頼のもと、牢から出されて陰謀を巡らせており、この状況も彼の計画通りである。
- トラヴァスはアリソンとリリアがこの列車に乗っていることを知り、リリアはマティルダに同行していたトレイズと鉢合わせる。さらにマティルダも顔を出してしまい、リリアは身分を隠したマティルダと仲良くなる。
- しばらくして、夫婦ものの夫が学生が泡を吹いて倒れていると知らせに来る。学生は死亡し、トラヴァスたちが配った昼食に毒が入っていたのだという騒ぎになるが、それに乗じて妻のほうが列車の屋根を移動していたところを捕らえられる。夫は暴れるが制圧され、彼が2人は実際の夫婦ではなく、出所直後のところを雇われたもので、トラヴァスたちが宝石を輸送していると教えられ、謎の男からの指示通りに行動していたと白状するも、夫婦とも飲まされたと思しき毒で死亡する。
- 事件が起こったことから、トラヴァスは乗客たちを置いていくことにする。ルトニ河の近くまで行き、車でスー・ベー・イルへ出るため、トレイズも乗客たちと一緒に残されることとなった。
- トラヴァスたちは彼らが金塊を運んでいると考えている地元の過激派組織の襲撃を受けるが、難なく撃退する。首謀者が彼らに適切な情報や作戦、装備などを与えなかったことを訝しんだトラヴァスは、本当に狙われているのはトレイズで、ここまでのことは自分たちとトレイズを引き離すための作戦だったと気付く。マティルダはリリアがトラヴァスの娘だと見抜いていたが、トラヴァスがあくまで自身の護衛を優先し、予定通りスー・ベー・イルへ渡ろうとしているのを知ると、列車の乗客を助けに行くことを宣言し、車で引き返すことになる。
- 一方、四十二番は代わりの機関車で移動している列車を別の線路に入れさせ、さらに連結を解いて皆を置き去りにする。先に行った車両にはリリアを呼び寄せており、またトレイズ宛てに車で1人で来るように書き残していた。トレイズはマティルダたちが乗ってきた車でリリアを助けに向かう。
- 走行し続ける列車の上でトレイズは四十二番と対峙する。四十二番は列車に爆弾を仕掛けていたが、近くの基地から飛行機を借用したアリソンによって排除される。そんな中、四十二番はリリアにトレイズが王子であることを教える。さらにリリアのことが好きかと尋ねられたトレイズはよく分からないと返すが、四十二番はトレイズはリリアのことが好きであるということを力説する。激しい格闘の末、トレイズは四十二番とともに列車から身を投げる。
- 四十二番は死体で発見され、リリアは行方不明のトレイズについて報告を待つ中新学期が始まるが、そこで転校生としてトレイズが紹介される。リリアはトレイズに掴みかかって「いろいろ聞きたいことがある」と言い、トレイズは「いろいろと言いたいことがある」と返すのだった。
メグとセロン
[編集]本作は『リリアとトレイズ』と並行した時間の出来事が、ロクシェ首都の第四上級学校を中心に描かれている。
- I・II 三三〇五年の夏休み<上・下>
- 第四上級学校の学生であるセロン・マクスウェルはスー・ベー・イルからの転校生、シュトラウスキー・メグミカ(メグ)に一目惚れするが、話しかける機会のないまま夏休みを迎えてしまう。寮生のセロンは一旦帰郷するが、由緒あるロクシェ武家の子で、親友であるラリー・ヘップバーンから、ともに演劇部の合宿の手伝いに参加することを誘われ、再び学校へ行く。合宿にはコーラス部も参加しており、その中にはメグもいた。さらに、オーケストラ部でラリーの幼馴染だったナタリア・スタインベックとも知り合い、4人は仲良くなる。それに演者の助っ人として参加する学者の息子で、セロンとは元々知り合いだったニコラス・ブラウニング(ニック)を加えた5人のもとに、新聞部のジェニー・ジョーンズが1枚の写真を持って来る。それは学校内の古い倉庫の、地下から覗いた窓に人影らしきものが写っているものだった。
- 新聞部はゴシップ記事が多く、新聞をゲリラ的に張り出していることから信用がなく、現在はジェニー1人が無認可で活動しているためトリックが疑われるものの、セロンたちは現場に人影と見間違えるようなものがないことを確認し、大人に報告をする。しかし当直の教師、マーク・マードックからも、当の窓を塞ぐ工事のため構内に入っていた業者のハートネットからも軽くあしらわれてしまう。ハートネットには写真を没収された上、新聞部の部室に行くとネガもなくなっていた。
- セロンはネガが盗まれたことを確信し、マードックとハートネットの一方、あるいは両方の仕業であると考える。地下に人がいるなら、窓が塞がれると閉じ込められてしまうこともあり、一行は写った人物を助けに行き、本人から事情を聞くことを決める。
- 地下は非常に広く、一行それぞれの才覚を用いて先に進んでいくと、奥には整理された部屋があり、セロンとニックが鎌をかけると、年配の男性が現れた。彼は2年ほどここで暮らしているというが、食料の入手先といった質問には答えず、窓が塞がれてしまうことは知っていても外には出られないと言う。彼がメグに反応し、スー・ベー・イルから来たことが分かるが、両国のどちらにも居場所がないという。
- そこに別の男の声が響き、彼にセロンたちを襲って口封じをするようけしかける。彼はその声に従って暴れ始めるが、ラリーとセロンが抵抗し、セロンにスー・ベー・イルへの郷愁を誘う歌を歌うよう頼まれたメグによって、彼は戦意を喪失する。
- 声の正体はマードックであり、彼は証拠のないことと教師の立場を利用してラリーたちの口封じをしようとするが、そこへ実は連邦警察の捜査員だったハートネットが介入し、マードックは彼の仲間によって確保される。
- ハートネットは一行に背景の説明を始める。地下の男はマードックの弟・バートであった。マードック兄弟は約30年前の戦争で軍人として戦っていたが、バートはスー・ベー・イルの捕虜になり、ロクシェに帰らないことを選んだ。それはどちらか一方のみが戦争から帰還した場合、そちらが幼馴染の女性と結婚するという3者の約束があったためと考えられる。その後、マードックの知り合いがスー・ベー・イルへの旅行の際にバートが生存していることを発見し、マードックは自ら事実を確かめ、バートをロクシェに連れ戻した。ハートネットはマードック夫人からのリークを受けて捜査に乗り出していたのだった。
- マードックがわざわざバートを連れ戻して秘匿した理由についてはまだわかっていなかったが、ラリーが軍人恩給のためであると指摘する。マードックが受け取っていた長期間のバートの恩給は莫大な金額になっており、生存していたとなればそれを返還しなければならない。
- 動機も分かったため、事件は一段落したといえるが、マードックは犯罪者、バートは戦時亡命者として蔑まれることが予想され、これでは誰も幸せにならない。そこでセロンが「マードックは弟だと勘違いして無関係なスー・ベー・イル人をロクシェに連れて来た」ということにし、バートをメグの知り合いの大佐を通じて法的にはスー・ベー・イルである大使館へ送ってしまうことを発案する。ハートネットは警官として反対するも、身分を詐称して学校に潜入してきたという負い目を利用して封じる。
- ハートネットはその後新聞部の部室を訪れ、セロンたち一行に件のスー・ベー・イル人はバート・マードックではないと公式に確認されたということになったと伝える。また、学校、特に有名人や金持ちの子弟が集う第四上級学校には捜査に入りにくいため、今後何かあったら協力して欲しいと頼む。一行はそれを受諾し、ジェニーはハートネットとの連絡の取りやすさにかこつけて彼らを新聞部に入れるのだった。
- III ウレリックスの憂鬱
- 演劇部の合宿の中日にあたる4日目、新生新聞部の6人は演劇部副部長のソフィア・ウレリックスから部長、アーサー・シアーズが友人とどうしても手に入れたいものとして話していた"五十の蜂"を探して欲しいという依頼を受ける。ソフィアはアーサーに恋しており、それをプレゼントに添えて、合宿中に告白したいとのことだった。合宿最終日はソフィアの誕生日でもある。6人は空いた時間を利用して"五十の蜂"の調査に当たる。
- 新聞部はアーサーとソフィアの人物像を調べ、言葉については知り合いに尋ねたり、様々な専門用語や似た発音のベゼル語などを検討するが、めぼしい成果は上がらない。そのまま状況をソフィアに報告することになるが、メグは"五十の蜂"の正体がわからなくとも告白すべきだということを力説する。その中で蜂からの連想で女王について言及があり、それを聞いたセロンは、以前に得た情報から"五十の蜂"の正体に気付く。
- 演劇部は男女が交互に部長・副部長の役をこなす伝統があり、2代前の部長が中退してプロになったため、当時の副部長が部長となって周期がずれてしまったが、本来はソフィアが部長になるはずだった。ソフィアたちの代は演劇部創設50年目にあたり、"五十の蜂"とは50番目の女性リーダー、つまりはソフィアのことであった。
- 新聞部は2人が相思相愛であることを確認する。ジェニーが合宿期間後の夏休みの部員たちの予定を確認し、部員たちは連絡先を交換する。セロンが受け取ったメグからのメモには、連絡先だけではなく彼女からのメッセージが書かれていた。
- IV エアコ村連続殺人事件
- 新聞部は富裕層向けの別荘地、エアコ村へ合宿へ行く。ジェニーの別荘で彼女からカメラの扱い方を教わった部員たちは、3手に分かれて村を撮影することになり、部員たちの協力でペアになったセロンとメグはハンナ・ローレンスという老婦人と知り合う。ハンナは、村の若者がいたずらで植木鉢を壊していくので困っているという話をする。
- 村では昨晩不良グループの若者が不審な交通事故で死亡しており、さらにその晩、別の不良が刺殺される。これが連続殺人だと考えた第一発見者のセロンたちは刑事と話し、交通事故も殺人事件として捜査されていることを察する。村の少年のニールから話を聞き、村に4つある不良グループが大それたことをしそうにないと思っていたセロンは、翌日部員とニールとともに、彼らが疑われないよう、また次の標的とならないように出歩かず、大人しくしているよう警告して回る。その途中、村に指名手配中のプロの殺し屋がいるという匿名の通報を受け、真偽も含めて確認に来ていたハートネットと再会する。
- 夕方、ジェニーの別荘を訪れたハートネットは、メグとセロンがハンナの家で撮った写真を見て、写っていた庭師のハンプルトンが追っていた殺し屋だと知る。ハンプルトンは住み込みで、ハンナの家には他には誰もいないため、ハンナを夕食に招待するという名目で呼び出し、1人のところを確保する作戦を立てるが、ハンプルトンはハンナに付き添ってやって来たため、ハートネットはその場で彼を逮捕する。
- ハンプルトンは抵抗せず、通報者がハンナであること、病気で先の長くないハンプルトンが進んで自らの素性をハンナに教えたことなどが語られるが、ハートネットが地元警察と連絡を取ろうとするとセロンがそれを止める。
- 不良たちを殺したのがハンプルトンであると確認したセロンは、続けてこれまで依頼以外で殺人をしたことのないハンプルトンに、誰の依頼だったのかを問う。本人は依頼の存在を否定するも、ハンナが依頼者として名乗り出る。セロンは植木鉢の花か、と尋ね、ハンナはそれは目についたきっかけに過ぎず、夜に出歩く彼らは標的にしやすかったためだと答え、殺人そのものの理由については悪いことをして地獄に行くためだという。それを聞いたセロンは、そこに誰がいるのかと問う。
- ハンナの夫は生前、ロクシェ史上最長の任期を務めた法務大臣であり、多くの死刑執行命令を出した。彼は死刑執行を殺人と認識し、死ねば地獄に落ちるだろうと語っていたという。交通事故で死亡した娘夫婦や孫のいる天国ではいけなかったのかと問われたハンナは、夫は一人きりであり、自分はどんなことがあっても愛する人と一緒にいたいのだと答える。
- ひどく動揺したメグはやけ食いをしてふて寝をし、翌日セロンに、「もし好きな人が出来たら、たとえ地獄でもずっと一緒にいたいと思うか」と尋ね、セロンが肯定すると、「私もそうだといいな」と呟く。
- V ラリー・ヘップバーンの罠
- 事件の影響で合宿は中止になり、予定が合わないため新聞部は会合の機会がないまま夏休みが明ける。新学期になっても、演劇部の公演が近いため、メグ、ナタリア、ニックはなかなか新聞部に顔を出せない中、ラリーが下級生のステラ・ホイットフィールドから告白される。彼女は男の子と付き合ったことがなく怖いので、まずは学校内だけで会いたいと言い、ラリーはそれを受け入れるが、新聞部のメンバーに彼女を調べて欲しいと頼む。
- ステラはセロンも製品を使っている同族経営の腕時計会社の娘で、本人も腕時計が大好きだと言う。ステラは衆人環視の中ラリーと一緒に食事をし、積極的にくっつくといった行動を取るばかりでなく、ラリーとの関係を周囲に尋ねられると、結婚も視野に入れた交際をしているというラリーからすれば飛躍したことを公言しているという。さらに本人から交際のことを聞いたというステラの祖父からヘップバーン家に電話がかかってくる。ステラの祖父はラリーを気に入るが、唯一の孫であるステラの相手は会社を継ぐため時計技師として入社しなくてはならないと言って軍人志望のラリーを困惑させる。さらにステラの祖父は、ステラは腕時計嫌いに育ってしまい、自分の腕時計も持っていないという、ラリーの知るステラとは正反対のことを言う。
- ジェニーは「ステラは上級生の男子から付きまとわれている」という噂を追う。集めた情報によると、その生徒はライナス・フランシスといい、実家は首都百貨店を経営している。さらにステラはライナスに付きまとわれているようには見えず、むしろ楽しそうに笑っており、付き合っているようだったという証言を得、ライナスは放課後に社会人向けの技術学校へ行き、腕時計を自作していることが判明する。
- ラリー、セロン、ジェニーはここまでの情報をまとめて話し合うが、ジェニーが「2人は過去付き合っていたが別れ、ステラのラリーへの態度は完全に縁を切ったというライナスへのアピール」と考えれば一応の説明はつくと発言すると、ラリーは煮えきらない態度をとる。ジェニーが問い詰めると、ラリーは最初からステラが自分のことを好きではないと分かっていたと明かす。
- ラリーはステラが自身を陽動に利用していると言い、ステラの真意は不明だが可能ならばステラに協力したいこと、しかし本人に直接質せば自分は別れを告げられ、自分同様に親に紹介できるような出自の男子を利用して同じことを繰り返すだろうが、そんなことはさせたくないことをセロンとジェニーに言う。
- 3人はステラとライナスは現在も好き合っているという見解で一致するが、だとすれば家業がしっかりしているばかりでなく、腕時計を自作できる技術を持っているライナスを紹介できない理由がわからない。さらなる情報が必要だと判断するが、すでに一通りの取材は終えており、行き詰まったかと思えるところに、残りの3人が久しぶりに新聞部に顔を出す。
- メグとナタリアはライナスのことを知っており、これまでの調査で得た情報の一部を持っていたことがわかる。ニックは知り合いでこそなかったものの、フランシス家はかつてホイットフィールド家の者だったが経営方針を巡って袂を分かち、両家は現在も犬猿の仲であることを教え、状況が明らかになる。
- ラリーはステラとライナスを呼び出し、2人が学校で腕時計好きのゆえ知り合い、好き合うようになったが、両家の関係のためそれを隠さねばならなかったことを指摘し、将来への唯一の突破口としてホイットフィールド家が主催し、最優秀者は入社が確約される自作腕時計のコンテストにライナスが応募していたが、2人が会っていたことが噂になり始めたため、事前の握りつぶしを防ぐべく隠れ蓑が必要になったことを確認する。
- その日ライナスが受賞したことが発表されており、ラリーはライナスに祝いの言葉を述べるが、ライナスはコンテスト応募に際し嘘の個人情報を使っており、そこを攻撃されて受賞が取り消しになることを危惧する。しかしラリーはこの学校には金持ちの子女が多くいることを指摘し、受賞を既成事実化して知らしめることで、ホイットフィールド社が峻拒することが得策ではない状況を作ればいいとして、セロンが持ってきた新聞部の作成した新聞を見せる。そこには事の顛末と、ラリーが予め事情を知った上で2人に協力していた旨が記されていた。新聞部は学校中に新聞を張り出し、ラリーは2人を勇気づける。
- その後、ステラとライナスがステラの祖父に直談判のすえ、許しを得たことが語られ、2人はラリーに腕時計を贈る。それはラリーが欲しがっていた高価な軍用腕時計で、「ヘップバーンの騎士様へ」という文字が刻まれていた。
- VI 第四上級学校な日々
- マードックが復職し、新聞部の顧問に就任する。これによって新聞部は正式な部活動として認められるが、セロンはマードックに、地下室の事件についていくつか質問する。
- マードックは「件のスー・ベー・イル人はバート・マードックではない」と認定された際に「そんなはずはない」と主張した理由について、バートは何があろうと自分の弟であり、たとえ自分が逮捕されようがそれを否定することはできなかったと答える。軍人恩給の返還については、財産を処分すれば不可能ではなかったが、そうすれば自分たち夫婦は著しく困窮すると答える。最後にバートをけしかけたことについて、「それでどうにかなると思ったのか」という角度からの質問を受けると、行き当たりばったりに出任せを言ったと認める。マードックは顧問の仕事はするが、新聞部の活動には口出ししないということを遠回しに言って去る。
- 校外の公園で、学校主催で3人1組の部対抗オリエンテーリングが開催されることになり、ジェニーは新生新聞部の誇示のため、優勝を要求する。経験のあるラリーが学校の独自ルールを確認し、勝算があるとみて、各チェックポイントで学業に関係のあるクイズが出題される関係からセロンをチームメンバーに選び、ジェニーがもう1人をメグに決める。
- この企画は自然の中でのレクリエーションといった性格が強く、真剣に優勝を目指すチームは他に見受けられなかった。ラリーは軍事的な才覚を活かし、迷わないための工夫をこらしながら森を抜ける効率的なルートを通るといった行動をとっていたが、そこでスキー部のチームと出会い、彼らも同様の手法をとり、優勝を狙っていることを知る。彼らは運動部かつ上級生であり、体力面で不利だったが、彼らは知能面での弱点を埋めるために重い百科辞典を持ち歩いており、クイズの解答にも時間をかけていたためまだ勝機はあった。
- 最後のゴールを目指すに当たり、3人はスキー部に追いつかれそうになるが、メグを先陣に棒幅跳びの要領で川を飛び越えることで1秒差で優勝する。
- 一方ジェニーがメグをメンバーに選んだのは、ナタリアとニックの秘密を探ろうとしてのことで、ジェニーたち3人は優勝どころか踏破も目指さず、座って話をしていた。しかし2人には秘密と言えるようなものはなく、エアコ村で今とは全く違い、長髪で清楚なお姫様のようだったということを知っていたため、逆にジェニーの過去について探りを入れる。
- ジェニーは最初は渋っていたが、やがて決心し、かつていとこのお兄さんに恋し、迎えに来てくれるのを夢見ていたが、彼はジェニーの姉と結婚したという失恋の経験を話す。そして、こと恋愛に関しては待っているだけでは駄目で、自ら全力で進まなくてはならないと学んだと語る。
- オリエンテーリングと同日、ラプトア共和国から1ヶ月間、国費での留学生がやってくる。留学生の「あなた」は苦労しつつも第四上級学校に慣れていくが、友達ができず、そのことを教師に相談すると、部活動への所属を提案され、あなたは新聞部に興味を持ち、ジェニーが入部を許可する。
- セロンの提案で、次の新聞はあなたから見た首都についての記事を書くことになり、あなたは新聞部に案内され、首都を満喫する。あなたが書いた新聞も評価され、良い思い出になった。
- ラプトアへ帰る直前、あなたはジェニーから密かに依頼を受ける。それは、セロンがメグを好いているということをメグに知らせる手紙を書いて欲しいというもので、あなたは承諾する。その後、あなたはジェニーから電話で、「大変なこと」になったという報告を受ける。
- VII 婚約者は突然に
- 「あなた」は「大変なこと」について詳しい話を聞く。
- 年は明けて三三〇六年最初の月。メグはあなたからの手紙を読んで悩み、リリアに相談する。とにかくセロン本人に真偽を確かめてみるということになるが、新学期になり、メグは新聞部員たちの前で「セロンは私のことが好きか」と訊いてしまう。あなたからの手紙のことを聞いたセロンは誤魔化すが、メグは続いて「勘違いでよかった、さもなければ自分で告白できないセロンのことを嫌いになっていただろう」と発言し、セロンは逃げるように立ち去る。一方メグも、ナタリアからもう一度話をすることを提案されると動揺し、話をするにしても自分からは場を作らないことを言って立ち去る。この時、メグが男女交際と結婚を直接的に結びつけて考えていることが分かる。
- セロンとメグの仲はぎくしゃくし、ほとんど顔を合わせる機会もないまま時は過ぎ、実際には全員知っていたものの、セロンはメグ以外の新聞部の前で自分の想いを告白する。彼らの励ましを受けてセロンはメグに告白することを決意するも、翌日から大寒波が襲い、6日続けて休校になったことで気を挫かれてしまう。
- そんな折、セロンは女子生徒に声をかけられ、突然キスされる。母と妹からのキスに慣れているセロンは動じなかったが、偶然その様子を目撃したメグは憤慨する。
- 休日を挟んで次の学校の日、セロンが不在の新聞部のもとへ、ケネス・エインズワースという生徒が依頼に来る。その内容は、自分には親が決めた同じ学校の許嫁がいるが、その許嫁は次々と年下の美少年に目をつけては浮気をしており、浮気の証拠写真を手に入れ婚約を破談に持っていきたいというものだった。ケネスは何度か実際に彼女がキスをしている場面を目撃していると言い、前の学校の日も見たという。許嫁の名はブリジット・アーミテイジといい、セロンにキスをしたのと同一人物である。メグはケネスに強く感情移入してやる気を見せる。
- 翌日、セロンはラリーからケネスの依頼について聞く。セロンはケネスが寮生であることやカメラが趣味で、現像さえ自分でこなすことなどを教え、ケネスがそれらに言及しなかったことを聞く。そして、今度はメグ以外の新聞部のもとへブリジットがやって来て、ケネスからモラハラの被害を受けているため、証拠を録音して婚約を破棄したいという依頼をする。
- 相反する依頼に少しく混乱する新聞部だったが、どちらが正しいのか、あるいは両方とも本当なのかを確認する意味も込め、調査に乗り出す。しかしセロンは、両者とも嘘をついていると言う。
- ブリジットの評判はかなり悪く、撮影こそ出来なかったものの、浮気の現場も簡単に目撃することが出来た。ジェニーとメグは誰もいない校舎の教室へ行くブリジットを尾行して密かに証拠を撮影しようとするが、続いて教室に入ったのはセロンだった。ブリジットからの依頼について聞かされていなかったメグは暴走して教室に乱入するが、ジェニーにとりなされる。少々のやり取りののち、ブリジットは再びセロンにキスし、ジェニーがその様子を撮影する。
- 新聞部は揃ってケネスにも問題がある場合のことを話し合う。メグはあくまでケネス側に立つことを表明し、セロンにどちらの味方なのかと問い詰める。するとセロンはケネスの味方だと言う。メグはそれを信じられず、2度もブリジットとキスをしたことを指摘する。このため新聞部はケネスが最近目撃したというキスの相手もセロンだったことを知るが、ケネスがそれを目撃したと聞いたセロンは、メグに彼女が目撃した場所と周囲に誰もいなかったことを確認する。校舎内ではメグの目撃した位置からしかその場は見えなかったためだが、ケネスが校庭からそれを見たと言っていたことを聞くと考え込む。
- その夜、メグは弟のクルトに知り合いのことと称して自分とセロンの恋愛事情と、自分がどうしても納得がいかずいらいらし、苛立つ理由もわからないためさらに嫌になるという話をし、クルトからメグはセロンのことが本気で好きであり、告白されるのを待っているだけだと指摘される。
- 準備が整ったため、ブリジットにケネスを呼び出させ、2人での会話を密かに録音することになる。するとケネスはモラハラ発言をするが、そこへセロンが出ていき、ケネスに「もう止めにしないか」と言って2人を新聞部の部室に誘う。
- ケネスとブリジットはお互いに新聞部に依頼したことを話し、お互いの浮気とモラハラをなじり合い、親との喧嘩も上等であるとして証拠を受け取り出ていこうとするがセロンが止め、相手の浮気とモラハラについて、2人ともが共謀して嘘をつき、わざとそのような行為を演じていることを指摘する。それは縁談を破談にするための自爆的な作戦で、セロンはブリジットの浮気があまりにもあからさまだったためわざと証拠を撮られたがっていると、またケネスが目撃したという日は大雪だったことから、実際には見ておらずブリジットから聞いたのだと考え2人とも嘘をついているという思いを強くする。さらに、ケネスがセロンのいる前でも暴言を吐いたことが決定打となった。セロンは2人の評判が地の底まで落ちてしまうこのようなやり方はやめるべきだと諫言するが、ブリジットは構うものかと答え、セロンの推理を肯定する。
- ブリジットは選択権のない自分の不満を話し、自分たちの望む通りにさせてほしいと言うが、セロンはそれは本当に2人が望んでいることなのかと尋ねる。すると、ケネスがもうやめにしようと言い出す。セロンがケネスが自分で証拠写真を撮らなかった理由を尋ね、それはブリジットが他の男とキスする場面を見たくなかったためだと指摘すると、メグはケネスがブリジットのことを好きだと気付く。
- ケネスはそれを認め、初めてブリジットに自分の思いを告げる。そのうえでブリジットが傷つかない形で婚約破棄のために尽力しようと言うが、ブリジットは自分が一番嫌いなものは、他人に勝手に決められることだと言って鋏でケネスを刺す。ブリジットは続けてメグも刺そうとするが、セロンが身代わりになり、ブリジットはニックに気絶させられる。
- 事件はマードックによって事故として処理され、セロンは入院する。セロンは病室へ見舞いに来たメグに、もしメグが死んでしまっていたら後追いで自殺をしていたかも知れないと言い、好きな人とはたとえ地獄でも一緒にいたいと言って勉強中のベゼル語で告白する。メグはそれを受け入れるが、プロポーズだと理解しており、見舞いに来たセロンの母と妹とともに盛り上がる。一足飛びにメグと婚約者になったセロンは、理解が追いつかないまま、母から今日の記念にメグに贈りたいものはないかと尋ねられ、ホイットフィールドの腕時計と答えるのだった。
一つの大陸の物語
[編集]- トラヴァスは、ロクシェの大使館での任務を終え、軍用飛行機でスー・ベー・イルへ帰る。彼は陸軍を辞するつもりである。
- 新聞部では、ニックが何かと話題になっている転校生のトレイズが、アサシン[注釈 1]ではないかという仮説を立て、彼の秘密を探ることになる。セロンは、ケネスたちの事件での反省から反対を言い出せなかったメグに、自分も共犯になるので、リリアに新聞部がトレイズのことを探っていることを伝えていいと言う。
- 新聞部は調査に乗り出すが、成果は上がらず、代わりに臨時ロッカーについての話が多く得られる。臨時ロッカーは、生徒個人のロッカーとは別に、必要なときに利用できるものだが、最近空きがなく、周辺ではいい匂いがすると言う。
- トレイズはセロンに忠告の礼を言い、臨時ロッカーの件について聞く。トレイズは過去イクスであったロッカー絡みの事件の話をし、生徒が特徴的な匂いがするという麻薬の運び屋となっている可能性があるという結論に至る。セロンはトレイズのことは伏せて新聞部にそれを話し、新聞部は密かに臨時ロッカーの定点撮影を始める。撮影を続けるうち、ジェニーは匂いの紛れる雨の日に限って臨時ロッカーへ来る、不審な生徒を発見する。
- ジェニーたちはそのフリオ・エデルマンという生徒を追ううち、彼が物品の受け渡しをし、危うくトラックに撥ねられかけるところを助ける。彼は美人局ののち脅迫されて協力させられたことを話し、警察に保護してもらおうとすると、相手の者たちに首都警察には仲間がいると教えられたと言って拒む。セロンたちはマードックを呼び出し、バートのいた地下室でエデルマンを匿う。
- セロンたちはハートネットを呼び出し話をするが、証拠もなく、連邦警察は動くことが出来ない。その後オーケストラ部のレナ・ポートマンから首都警察の信頼の置ける刑事を紹介してもらったセロンたちは、エデルマンを警察へ送る。彼が学校を出る時、狙撃手が狙っていたが、この攻撃はトレイズの補助をするため首都にいたイクスの王室警護官に目標は不明ながらも察知されており、彼らからライフルを渡されていたトレイズの狙撃によって阻止される。
- ハートネットは刑事に、麻薬組織にトラヴァスというスー・ベー・イル軍人が関わり、密輸を図っていた可能性が浮上したが、彼は飛行機事故で死亡したとの情報が入っていると話し、元々トラヴァスと知り合いだった刑事はハートネットに詰め寄る。リリアのもとにもトラヴァスが死亡したという連絡が入り、リリアは動揺するが、アリソンは「また死にやがったか」と笑みを見せる。
- しかしこの事故はトラヴァスの工作ではなく、飛行士の弁当に仕込まれた爆弾が爆発したために起きたものだった。飛行士は爆弾で全員死亡し、トラヴァスは重傷を負いつつもなんとか生きて飛行機をルトニ河に着水させる。
- トラヴァスは自分が何者かに暗殺されかかったと判断する。トラヴァスは死んだ飛行士の1人と服を交換し、顔を潰して自らの死を偽装すると、数日間這いずって進むが、やがて極限を迎えて動けなくなる。
- そうして倒れているトラヴァスを「あなた」が発見する。あなたはベゼル語を話すトラヴァスをスー・ベー・イル人だと思う。トラヴァスは狙われている現状から警察を呼ぶのを拒むが、あなたは首都でトラヴァスと出会い、ロクシェ語で彼がラプトアに住んでいたことがあると話していたのを思い出し、それに従うことにする。
- トラヴァスはあなたの家で医師の診察を受けるが、結局明日警察を呼ばざるを得ないという結論になる。さらに、医師と入れ違いでサイラスというバイクの旅人がやって来て、雨がしのげる場所を貸してほしいと言い、納屋に泊まる。翌日、家に傷病者がいるのを察したサイラスは、あなたの父から事情を告げられ、あなたたち一家が面倒を被るのを避けるため、自分が見つけたことにして警察に連絡しようかと申し出る。眠ったままのトラヴァスの顔を見たサイラスはしばらく固まり、あなたにトラヴァスがスー・ベー・イル人ではないかと確認すると、電話でトラヴァスの入院の手配をし、警察には連絡しないよう厳命し、呼び寄せたヘリコプターでトラヴァスを運ぶ。
- トラヴァスは病院で目を覚ます。逃走が不可能なことを確認すると、医師も正体を知らない男に助けられたことを知り、詮索をしない医師たちのもとで入院生活を送る。やがて病院に警察が現れてトラヴァスの身元を確認しようとし、トラヴァスは窮地に陥るが、そこに男が現れ、トラヴァスの名前はヴィルヘルム・シュルツだと言う。驚愕したトラヴァスは男の顔を見て、彼が学生時代の親友、マシュー・サイラス・エプスタインだと知る。サイラスは警察に作り話をして彼が集めたヴィルの書類を見せ、警察は書類の内容についてヴィルに質問し、ヴィルの答えに相違がないことを確認して立ち去る。
- ヴィルとサイラスは唯一絶対に信頼できる場所であるイクスに向かいながらお互いについて話し、サイラスは今回の件について、ヴィルはスー・ベー・イルでの事故で死亡したことになっているのだからスー・ベー・イル人の身分になったはずであり、現在スー・ベー・イル人として追われているのならばヴィルに戻ればいいのではないかと考えたと語る。
- ヴィルはフィオナとベネディクトと会って事情を話し、今まで似たようなことをしてきた自分ではあるが、飛行士たちの復讐をしたいと話す。サイラスは止めようとするが、フィオナとベネディクトは賛意を示し、フィオナはサイラスにトラヴァスは個人の復讐などには一切こだわらない人間であり、彼は今ヴィルとトラヴァスの中間ぐらいにいると話す。
- サイラスと別れ、トラヴァスは墜落した機体に戻り、自分の運んでいた鞄の中身の情報を回収したいと話す。飛行士が「早弁」をしていたためにタイミングがずれていたのだが、飛行機は本来イルトア山脈に墜落するはずであった。ベネディクトはフィオナに、その理由として目撃者がいないこと、不時着が不可能で生存者をつくらないことの他、軍事拠点が近くにありその後の捜索がしやすいことを挙げ、トラヴァスの運んでいたマイクロフィルムにトラヴァスが悪事を働いていた証拠が見つかるだろうと説明する。つまりトラヴァスは暗殺に乗じて様々な罪を着せられていたのだが、トラヴァスはあえて破棄しなかった情報を回収し、逆にそこから黒幕を炙り出そうというのである。
- トラヴァスとベネディクトは飛行機で墜落現場へ向かうが、そこで黒幕の私兵たちと交戦する。2人はフィオナからの連絡を受け、無理を押して助けに来たアリソンとともに彼らを倒し、トラヴァスは鞄を回収するが、そこでトラヴァスは私兵のリーダー、コーネリアス元中尉と銃撃戦になる。争いの末、膠着状態に陥ったところに日食が訪れ、コーネリアスはそれに乗じて襲いかかるが、トラヴァスとアリソンの連携で撃破される。
- トラヴァスたちは私兵の観測機の飛行士に案内させ、元テルト基地だった余剰軍備の集積地へ行き、応急処置や燃料補給をする。トラヴァスはマイクロフィルムを読むためにもスー・ベー・イルの首都へ行くと話し、ベネディクトとアリソンの送ろうかという申し出を近くに母がいるからと断り、3人は義母たるラディアに会いに行く。
- ロクシェでは刑事がトラヴァスの後任のキンスキー・ルート少佐と接触する。刑事はあくまでトラヴァスが無実かつ生存していると扱い、「周りから言われたことと、これからトラヴァスに言われることのどちらを信じるのか」と言われたキンスキーは押し黙る。
- アリソンはトラヴァスを助けるのに他の基地の飛行機を盗んで飛ばしており、リリアを助けたときと違って理由を説明できなかったため空軍を不名誉除隊となってしまう。収入がなくなり、まともな再就職も望めないため、今後の生活を危惧するリリアに対し、アリソンは死んだヴィルと再び結婚すると言い出してリリアを困惑させる。
- アリソンとヴィルの一風変わった結婚式が開かれる。参加者は付き添いの先生を連れたカルロ、新聞部員、サイラスとその家族、リリアとトレイズ、マティルダとアイカシア・クロス少将を名乗っているアリソンの父およびその護衛のトラヴァスの元部下たち、アイカシアの命令を受けてやって来たメグの知り合いの大佐とキンスキーで、イクス王家は主催者側である。リリアに挨拶に来たマティルダを見たメグが気絶するなどのトラブルはありつつ、総じて和気藹々とした雰囲気の中、ヴィルが紹介される。事情は知らず、トラヴァスのことを知っている者たちは一様に驚き、リリアは「幸せになりやがれ」と微笑む。
- 一方、トラヴァスの暗殺を指示した張本人だったキンスキーは狼狽し、大佐からこの場でヴィルを射殺するよう指示される。キンスキーはヴィルと話し、ヴィルから「自分の気付けなかった麻薬密輸犯を捕まえて欲しい」と言われると怒りを見せるが、ヴィルは続けて、ルネという彼の本名で呼びかける。キンスキーはヴィルがかつてテルトで会った偽親衛隊だったと気付き、アリソンとベネディクトも彼がルネだと気付く。ヴィルはキンスキーに「私を信じてほしい」と言い、キンスキーは彼が行動に出ないために拳銃を抜いた大佐を妨害して、「麻薬を密輸していたのは本当は誰なのかを調べる」と言う。ヴィルからマイクロフィルムを受け取ったキンスキーは、大佐を連行しながら「結婚おめでとう」と言い残し去る。
- 結婚式は一般的な進行を始める。メグはセロンに、シュトラウスキー家はアサシンの家系だったと伝え、素早くキスをする。
登場人物
[編集]アリソンからの登場人物
[編集]- アリソン・ウィッティングトン
- 声 - 水樹奈々[6]
- ロクシェ空軍所属の飛行機乗りで階級は伍長。明るく行動力に溢れた17歳の少女。透き通るような金髪と蒼い瞳を持つ。寝相と寝起きがとても悪い。ヴィルを一途に想っているが、なかなか言い出すタイミングが無い。
- 軍人であった父を8歳の時に亡くし、以後12歳まで「未来の家」で育った。それ以前からベゼル語を自由に話す。高い身体能力と軍仕込みのサバイバビリティを備えている。銃による直接射撃は苦手だが、戦闘機の機銃は的確に当てられる。
- アニメ『アリソンとリリア』では、妊娠をヴィルに告げようとした矢先に父と同じ道を選んだヴィルを、妊娠の事実を秘したまま別離の涙をこらえて、笑顔で送り出した。
- 『リリアとトレイズ』では、ヴィルと結婚し、アリソン・ウィッティングトン・シュルツ(アリソン・シュルツ)(声 - 桑島法子[7])という名前になっている。35歳で娘のリリアとロクシェ首都で2人暮らし。ロクシェ空軍所属のテストパイロットで階級は大尉。年齢を感じさせないほどの美人。相変わらず寝起きは最悪で、飛行訓練が無い時には適当な理由をつけてサボろうとする。しかし目が覚めて仕事着に着替えると、見た目は完璧な軍人になる。今も射撃が苦手だが、機銃なら当たる。
- 名前の由来は、作者の知人の娘そのままである[8]。
- 『このライトノベルがすごい!』女性キャラクター部門では2005年版で5位を獲得している[9]。
- ヴィルヘルム・シュルツ
- 声 - くまいもとこ[6]
- ヴィルと呼ばれている。アリソンと共に「未来の家」で育った。現在はロウ・スネイアム記念上級学校の5年生。
- 性格は温和でのんびり屋。子供の頃からアリソンに振り回されているが、文句も言わず付き合っている。銃の腕前はかなりのもので、カアシ祭り(射撃大会)では6位に入賞するほど。優れた頭脳と、養母であるムート譲りの鋭い洞察力と記憶力を有し、作中の謎解きは専ら彼の担当。ただし恋愛事に関してはかなり鈍感であるが、彼自身もアリソンを想っている。アリソンの父に誘われ、ヴィルの名を捨て世界平和のために働く道を選ぶ。
- 3歳頃に言葉が遅いという理由で「未来の家」の前に捨てられており、名前が分からなかったらしい。作中での「ヴィルヘルム・シュルツ」という名の由来は、「未来の家」の院長であるコラソン・ムートの祖父から。
- 名前の由来は、「ヴィルヘルム」がドイツ風ということで、「シュルツ」は「ピーナッツ」の作者「チャールズ・M・シュルツ」より[8]。
- トラヴァス
- 声 - 森川智之[7]
- 『リリアとトレイズ』から登場する[注釈 2]スー・ベー・イル陸軍少佐。ロクシェにあるスー・ベー・イル大使館の駐在武官補で秘密情報部員。アリソンの現在の「彼氏」。
- その正体はヴィル。スパイ活動のため「ヴィルヘルム・シュルツ」という存在を消す必要があり、ヴィルはロクシェの連邦大卒業後にでの列車事故で死んだことになっている。壁画発見の旅の際に出会ったトラヴァス・ラディアの養子として別の人生を歩むことになる。
- アイカシア学校で教育を受けた後、東西問題を解決する仕事に就きながら、全世界の平和の為にロクシェの犯罪摘発にも積極的に関与している。娘のリリアが人質にされた時にも冷静かつ客観的な視点で話すなど、冷静な判断を下せるようになった。
- 『一つの大陸の物語』では大使館での任務を終え、陸軍を辞めようとしていたところを暗殺未遂に遭う。紆余曲折のすえ、ヴィルに戻りアリソンと再び結婚する。
- カー・ベネディクト
- 声 - 山寺宏一[6]
- スー・ベー・イルの空軍少尉。24歳。凄腕のパイロット。元陸軍所属で西側の出身。
- 女性に声をかけることが好きで、当初はアリソンに対してもアプローチしていた。"宝"を狙う一団のメンバーだったが、ベネディクトは宝については知らされておらず、新型機のテストという名目で参加していた。ヴィルの希望により、発見した“宝”である壁画を世界に公表することとなったため、以後は歴史的英雄として普通の生活が出来なくなってしまった。壁画の発表により、異例のスピードで少佐に昇進する。スー・ベー・イルでは「姓・名」の順であるため、「カー」が苗字。
- 『リリアとトレイズ』ではフィオナと結婚し、王配としてイクストーヴァで生活している。
- フィオナ
- 声 - 能登麻美子[6]
- ロクシェの国境沿いの国・イクストーヴァに住む20歳の女性。通称フィー。短い黒髪を持ち、人里離れた谷の村に住んでいる。イクス王国王女・フランチェスカの双子の妹であり、姉とはその死に目に立ち会っているが、彼女が実の姉だと気づくのは姉の死後、しばらく経ってからである。自身の存在は秘されていたため、フランチェスカとして女王になる。フィオナとしてのお印は右下を向いたリンネ草で、姉のものとは左右対称のお印になっている。
- 趣味も特技も写真撮影。普段はとても穏やかな性格だが、敵には毅然として立ち向かう強さも持ち合わせている。
- 名前の由来は、響きがきれいなため[8]。
- ヴィルの友人
- ヴィルの同級生で不真面目だが友人思い。単位はいつも危ない。ラプトア共和国で3番目の大富豪であるエプスタイン家の御曹司だが、『アリソンII』で実家が大富豪であること、『アリソンIII』で実家がエプスタイン家であり、12歳の妹・ユーフェミーアがいることなどが断片的に明かされたのみで、本人の名前は一切言及されない。『アリソンとリリア』ではマシュー(声 - 西墻由香)という名がエンドクレジットに記載されている。
- 『一つの大陸の物語』でマシュー・サイラス・エプスタインという名が明かされる。バイクで方々を旅しており、旅の途中偶然トラヴァスと出会い、一目で死んだはずのヴィルだと気付き彼のために尽力する。
- アリソンの同僚たち
- ロクシェ空軍の一部隊。隊長以外は全員が軍規違反者というフランクな人たち。ロクシェ各地を転々としており、実験と称して密貿易を盛んに営んでいる。アリソンのヴィルへの想いは隊では公然のものである為、折に触れて彼女に協力している。
- コラソン・ムート
- 声 - 藤田淑子[7]
- 「未来の家」を経営していた女性。故人。会った者誰もが敬意を抱くような人物で洞察力も鋭い。ベゼル貴族の出だがロクシェに亡命したため、祖国からは裏切り者扱いされている。
- アリソンの父が自分が「死んだ」あとにアリソンを預けるために訪れた際、彼がスー・ベー・イル人であることを察し、「スー・ベー・イル軍人が訪れるときは、自分を殺しに来るときだと思っていた」という旨を語り、アリソンの父に「スー・ベー・イルのスパイの手を借りて国境を超えたが、その後スー・ベー・イルに利することは何もしていない」と推察されている。
- トラヴァス・ラディア
- 声 - 津田匠子
- スー・ベー・イルへ不時着したアリソンとヴィルを助けた老婦人。トラヴァス家はベゼル貴族の1つだが夫と息子達を戦争で喪い、復讐の為に緩衝地帯のすぐ近くに住んでいる。息子たちが着ていたスー・ベー・イル軍親衛隊の制服を大切に保管しており、アリソンとヴィルに空軍基地の存在を教えて貸し与えた。貴族同士の繋がりでコラソン・ムートのことも多少知っている。
- 『リリアとトレイズ』では同じ場所に住み、スー・ベー・イル首都の孤児たちに自然の中での学びを与える施設『未来の村』の村長になっている。
- ホラ吹き爺さん
- 声 - 家弓家正[7]
- ロクシェのラプトア共和国・ネイト地域に住む老人。ホラ吹きとして周囲に知られる。
- その正体はロクシェのワルター・マクミラン元陸軍中佐であり、嘘の中に作戦の際に自身が発見した「戦争を終わらせることができる価値がある宝」の話を紛れ込ませていた。その作戦とはロクシェを守るための毒ガス散布であり、また、「宝」を守るためにそれを破壊しようとした部下を皆殺しにしてしまったことから、自身で宝を発表することはできなかった。
- ノーマというお手伝いがおり、彼女には嘘を言わなかった。
- グラツ・アンスガー大尉
- 声 - 土師孝也
- スー・ベー・イル陸軍の諜報部員。30代で娘が1人いる。
- オーウェン・ニヒトー
- 声 -速水奨[7]
- イクス王国の政治家。首都・クンスト出身の45歳。6歳になる娘が1人いる。イクスの連邦からの独立反対派に属する。テロル財団経営顧問。
- 王宮に放火し、前女王一家を殺害した張本人。妻子はこのことを知らなかった。
- 『リリアとトレイズ』では、イクスの歴史について調べているうちに偶然"秘宝"の存在を知り、前女王にそれを戦時中のロクシェに役立てるよう進言したところ相手にされなかったばかりかイクスから実質追放され、王家に恨みを持っていたことが語られている。
- リーン・ワレン
- 声 - 内海賢二
- イクス王国の首都警察の警官。階級は警部。もと王室警護官で、幼い頃のフランチェスカにお印のペンダントを見せてもらったことがあり、フィオナが持ってきたペンダントを確認した。その後、一家でフィオナの谷へ引っ越す。
- 『リリアとトレイズ』でも首都の警察に勤務しており、警視監になっている。孫がいることが語られている。
- 『一つの大陸の物語』ではフィオナのことを知っていることを暗に示したヴィルを何も聞かずに王宮へ連れて行った。
- ストーク・フレン
- 声 - 田中秀幸[7]
- スー・ベー・イル陸軍少佐。40代。中肉中背。青い眼を持つ。変装したベネディクトやフィオナの正体を見抜くなど観察眼に優れている。その容貌は学者のような雰囲気すらあるが、任務の為ならば無関係の者を犠牲にするような非情さを有する。
- その正体は陸軍情報部将校アイカシア・クロス大佐であり、更には死んだはずのアリソンの父親、オスカー・ウィッティングトンだった。
- 『リリアとトレイズ』では少将となっており、スー・ベー・イル首都で活躍中。トラヴァスの上官でもある。
- フランチェスカ
- 声 - 能登麻美子
- イクス王国の王女。故人。本編の10年前、王宮の火災の際にフィオナの「おじいさま」であるトレーズ・ベイン医師にフィオナの村に運ばれる。フィオナと束の間話すが、死の際にあっても重要なことは何も語らず、自身のペンダントと下手人の証拠であるカフスボタンを飲み込み、のちにフィオナが発見するよう仕組んでいた。
- ゴーティエ・テロル
- 声 - 鈴木清信
- ロクシェのテロル鉄鋼を中心としたテロル財団の総帥。自社の開発した兵器でロクシェ軍に多大な貢献をしてきたが、列車砲の情報がアイカシアによってスー・ベー・イルに漏洩したのを皮切りに、自分を買ってくれるのであれば東西どちらの陣営でもよくなっていった。
- 後ろ暗いところも多く、終戦によって利用価値が大きく減少したため、近く逮捕される見込みであり、スー・ベー・イルへ逃亡をはかる。
- 『アリソン』第1巻ではアリソンとヴィルがテロルの私有地からスー・ベー・イルへ飛行機を飛ばしており、『アリソンII』で登場したオーウェン・ニヒトーはテロル財団の顧問の経歴があり、『アリソンIII』では本人が登場する。
- ルネ・ポクロット
- 声 - 小林ゆう
- 王立陸軍テルト基地駐在の二等兵。親衛隊を偽装したアリソンとヴィルに基地内を案内させられる。ロクシェ語がわかり、2人が偽物だと知るが、事件の後も沈黙を守った。『アリソンIII』ではロクシェ語ができることから特技上等兵となっており、捕虜ののち戦時亡命者となったロクシェ人の父からロクシェ語を教わったことが語られている。
- 『一つの大陸の物語』ではトラヴァスの後任のキンスキー・ルート少佐として登場。
リリアとトレイズからの登場人物
[編集]- リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ(リリア・シュルツもしくはリリアーヌ・シュルツ)[注釈 2]
- 声 - 水樹奈々[7]
- アリソンとヴィルの娘。15歳。眼や髪の色は父親似の栗毛に薄茶色の瞳で、時々アリソンの蒼い目と金髪が欲しかったとぼやく。
- 本名はベゼル・イルトア王国連合(スー・ベー・イル)の古い風習に則っている。名前の由来は母アリソンと父ヴィルヘルムが将来を誓ったスー・ベー・イルの花の都「リリアーヌ」であり、都の名の由来はかつてスー・ベー・イルの女王であった「リリアーヌ」という強く美しく素晴らしい女性から。
- 子供の頃から母に違法で飛行機の操縦を教えられる。王家や貴族が話す正統なベゼル語を話すことができ、保育所に入るまではどこの家庭でも二カ国語で話しているものだと思っていた。
- おとなしめの印象を与える可愛らしい容貌をもつが、性格は明朗快活。気の強いしっかり者である反面、やや直情的な面があり無茶をする事も。母親とは違い、犯罪に関しての抵抗感が強い。過去のトラウマ(アリソンが原因)から、閉所恐怖症・暗所恐怖症・金髪恐怖症。
- 恋愛には鈍感で、トレイズの寄せる気持ちに気付いていない。彼に対しては基本的にそっけなく、かなりぞんざいな扱いや暴言を吐くこともあるが、頼りにしている所もある。実際は無意識の内にトレイズに好意を寄せているようである。
- 『リリアとトレイズII』では自分の特技であるベゼル語と飛行機の操縦をトレイズもできるために反感を持っていたが、トレイズが泳げない[注釈 3]ことを知ったことをきっかけにそのように嫉妬している自分に気付き、考えを改めた旨を語っている。
- トレイズ[注釈 2]
- 声 - 吉野裕行[7]
- リリアの幼馴染。ベネディクトとフィオナの息子。16歳。母親似で黒髪に茶色の目、優しそうな印象を与える中性的で整った容貌の持ち主。名前の由来はフィオナが幼少時代世話になった医師トレーズ・ベインから[注釈 4]。
- 性格は穏やかで、活発な姉のメリエルとは対照的。幼なじみのリリアに対しては、能天気かつ気障で皮肉屋な一面も見せている。長年のメリエルに負けないための鍛錬の結果、戦闘技術や銃の腕前はかなりのものになった。口下手で、どちらが兄・姉か[注釈 5]で双子のメリエルと会う度に言い争うが、口では全く勝てない。
- イクス王国の王子であり、慣習のためロクシェとベゼル王国のトップ以外には存在が秘されている。旅行の際に銃の使用許可が出るなど地位は王族と同様。少年期のヴィルとは違い、正当防衛の為の殺人ならば躊躇なく行っている。お印は鷹。
- スー・ベー・イル空軍の軍人だった父の教えで飛行機の操縦ができ、ロクシェ語・ベゼル語が話せる。これに加え、イクス王国の古語であるイクス語が話せるという特技を持つ。
- リリアに対してはイクスの宿屋の息子であるということになっており、王子である事と彼女への想いを伝えようとしているが、自他共に認めるヘタレであるため全く言い出せないばかりか、強気な彼女に頭が上がらない。20歳までに自身で伴侶を見つけられない場合、ベゼルの王女・マティルダの婿となる約束になっているが、自分でも本当にリリアが好きなのか、婿入りの約束に対する逃避に過ぎないのかよく分からないでいる。
- 『リリアとトレイズVI』の終盤で「トレイズ・ベイン」という名でリリアと同じ学校に転校してくる。
- メリエル
- 声 - 斎藤千和[7]
- トレイズの双子で自称姉。髪と目の色はトレイズと同じ。イクス王国の王位継承者で、エーデルワイス(セイヨウウスユキソウ)の花のお印を持つ。しっかり者で、イクス王国の将来について親よりも真剣に取り組んでいる。小さい頃から機械いじりが好きだが、飛行機の操縦などには興味を持たない。トレイズを「ヘタレ」と呼び出した張本人。ベゼル国のマティルダ王女と親交が深く、トレイズに彼女と結婚する事を強く勧めている。
- 幼い頃トレイズがリリアの長い髪を褒めたことから、髪を伸ばすことを決めたというエピソードがある。
- グラツ・アクセンティーヌ(アックス、アン)[注釈 6]
- 声 - 豊口めぐみ
- 20代後半のスー・ベー・イルの王立陸軍特殊部隊員(中尉)。故郷はイルトア王国。トラヴァスの部下で射撃の腕はかなり良い。『アリソン』でヴィルが射殺したグラツ・アンスガー大尉の娘で、謎の人物にトラヴァスが親の仇であると聞かされ、殺意に近い憎しみを抱いている。
- 『リリアとトレイズIV』ではまだ人を殺したことがないこともあり、トラヴァスを撃とうとする人物を前に体が動かなかったが、『VI』では排除に成功している。
- ウェルキンス(ウーノ)
- 声 - 小林俊夫
- 30代のスー・ベー・イルの王立陸軍特殊部隊員(大尉)。トラヴァスの部下&お目付け役。髪を刈り込んでいる。
- ベルシュタイン・ケイン(イズマ)
- 声 - 西凜太朗
- 20代のスー・ベー・イルの王立陸軍特殊部隊員。貴族。大叔母はマティルダのお華の先生。ベゼル王国の貴族の1つであるベルシュタイン家の次期当主。
- シュトラウスキー・メグミカ(メグ)
- 声 - 高垣彩陽
- →「§ メグとセロンからの登場人物」も参照
- カルロ
- 声 - 福圓美里[7]
- ロクシェ連邦トルカシア国・ラーチカのストリートチルドレン。ボサボサの短髪でかなり胆が据わっている。10歳。トレイズ曰く「小生意気」。リリア達と出会った後に入れられた孤児院の中ではリーダー的存在で、他の子供からの信頼がとても厚い。行動力はかなりのもの。実は「カルラ」という名前の女の子だが、その名で呼ぶと怒る。リリアと会ってからはさらさらのロングに憧れるようになり、将来はそういう風になると宣言した。
- アイン・モルソー
- 声 - 堀勝之祐
- トルカシアで孤児院を経営し、「導師様」と慕われている男性。実はスー・ベー・イルのスパイであり、弱みを握るため倒錯した嗜好を持つロクシェの有力者に一部の孤児を売っていた。
- エリシア・ラウリー
- 声 - 田中理恵
- ロクシェ首都の映画会社"ラウリー・プロダクション"の24歳の若き社長。部下から「お嬢」と呼ばれると怒る。正体は『アリソンII』で死亡したオーウェン・ニヒトーの娘クレア・ニヒトー。父の死を逆恨みし、イクス王家に復讐を誓う。父の遺志を継いでイクス王家に伝わる「宝」を手に入れる為、イクス王国の記録映画の撮影を装って王国内を調査していた。『一つの大陸の物語』では、まだフィオナを狙っている発言をしているものの新人のイクス王室警護官となっており、トラヴァスの元部下たちに指示を出した。
- マティルダ(ヒルダ[注釈 7])
- 声 - 藤村知可
- 20歳、ベゼル王室の長女にして次期女王。メリエルと親しい。ロクシェ訪問の際、リリアと知り合い身分を隠したまま意気投合、友達になる。リリアとトラヴァスとの関係や、イズマの出自を見抜いたりと観察力や洞察力が鋭く、行動力も併せ持つ。身分と年齢が釣り合うような結婚相手が国内にいない事から、トレイズとの婚約話が密かにあがっている。トレイズに好意を抱いているらしい。
- 囚人四十二番(ウィーゼル[注釈 8])
- 声 - 川島得愛
- スー・ベー・イル出身の連続殺人鬼。1〜18歳の可愛い男を狙うゲイであり、その男を様々な形で『愛した』後残酷な方法で殺害する異常性欲者だが、無辜の女性は絶対に殺さない。トラヴァス達の裏をかくほどの頭脳の持ち主。警察に捕まる前は医者をしており、周りから尊敬される人物だった。両親は自殺している。トレイズのことを性的な意味で気に入っている。監獄に入れられていた(懲役420年)が、トレイズの殺害を交換条件に秘密裏に釈放され、正体を隠してロクシェに向かう。
- アニメ版ではゲイや異常性欲者などの設定はまるまる削除され、冷静沈着な性格の持ち主となっていた。
- ベッサー公爵
- 声 - ふくまつ進紗
- スー・ベー・イル法務大臣。10歳の息子がおり、トレイズを葬り、息子をマティルダの結婚相手にすることを目論んで囚人四十二番を刑務所から出した。
- 刑事
- 名前不明の首都警察の刑事で、階級は警部。口調が荒く、トラヴァスに「スー・ベー・イル人は嫌いだ」と発言しているが、「優秀なスー・ベー・イル人は特に嫌い」とも言い、彼のことを評価している。
- 『一つの大陸の物語』ではハートネットに「優秀で嫌なヤツは嫌い」と発言している。
メグとセロンからの登場人物
[編集]新聞部のメンバー
[編集]- シュトラウスキー・メグミカ
- 第四上級学校三年生の16歳の少女。愛称は「メグ」。黒髪黒目で2つに分けてお下げにしている。スー・ベー・イル出身。リリアの親友。
- 父親の仕事の関係で14歳の時にロクシェにやってきた。引越しの後しばらくロクシェ語の勉強をしてから学校に転入したため、年齢はセロン達の1つ上だが学年は同じである。
- 性格は「正義感溢れる天然系(?)」と例えられる。一見大人しく控えめだが、芯はかなり強い。ロクシェ語をまだ十分に習得していないので発音が苦手で、自然と敬語になったり単語や文法がたまにおかしくなる。弟曰く「怒ると怖い」。
- コーラス部に所属しており、部で一番の歌唱力の持ち主である。王室マニアで、『リリアとトレイズ』でリリアがマティルダの素性を知らずに2人で写った写真をメグに見せたときと、『一つの大陸の物語』でマティルダ本人に会ったときには気絶しており、後者では「マティルダの侍女にしてもらえるなら、セロンとの婚約は取りやめる」と言い放った。
- 『一つの大陸の物語』ではその5年ほど後のことについて、彼女の名前が「メグミカ・シュトラウスキー・マクスウェル」と記載されており、セロンと結婚したことが示唆されている。
- セロン・マクスウェル
- 第四上級学校三年生の15歳の少年。黒い髪と灰色の瞳を持つ。母親のカレンが社長を務める大手冷凍食品会社の御曹司。リイナという4歳下の妹が1人いる(父は離婚している)。実家が遠いために学校では寮に住んでいる。
- 容姿端麗頭脳明晰、歌以外のほとんど全てを得意とする。優等生で性格も悪くないため女子に高い人気を誇るが告白は全て断っている。読書家で、知識欲が強いらしく自分が知らないことを他人が知っていると密かに悔しがる。メグのことがきっかけとなりベゼル語を独学で習得しようと頑張っているが、苦戦している。
- 基本的に冷静で思考も柔軟だが、初恋の相手であるメグミカに対しての対応は奥手かつ臆病。メグに一目惚れした授業の日から夏休みまで、声をかけることもできなかった。
- 四年生になるとレジデントアシスタント[注釈 9]も務めるようになる。
- 母の会社は元々は冷凍した食材を扱っており、現在主力の調理済み食品の冷凍はセロンの発案によるもののため、会社から継続してアイディア料が支払われており、多額の貯金がある。
- 名前はロクシアーヌク連邦のシンボル「セロンの槍」に由来するもので、ロクシェではポピュラーな男性名という設定になっている。
- ラリー・ヘップバーン
- 第四上級学校三年生の15歳の少年。セロンとは入学以来の大親友。短く刈った金髪と碧眼を持ち、背はやや低め。
- 家は古くから続く由緒正しい軍人の家系で、自身も軍人志望。6つ上の兄がいる。立派な士官になるため毎日鍛錬し、また誰に対しても明るく接するよう心掛けている。逞しい体躯を持ち陸軍で習った格闘術や古参兵に習ったピッキングなどの技術も持つが、勉強は苦手でセロンに教えてもらっている。趣味は野外活動とキャンプと筋トレ。お茶を淹れるのが得意。また方向感覚にも優れる。
- ナタリアとはかつて屋敷が隣同士の幼馴染だったが本名ではなく愛称しか覚えていなかったため、再会した当初はそのことに気付いていなかった。
- ナタリア・スタインベック
- 第四上級学校三年生の15歳の少女。幼馴染のラリーには「ナータ」、それ以外の新聞部員には「ナーシャ」と呼ばれている。女子にしては高い身長と黒い瞳を持ち長い茶髪を後ろで結い上げて眼鏡をかけ、冷たい印象を与えるほど整った顔立ちの持ち主。かなりの大食漢かつ太らない体質でまわりを驚かせる。著名な音楽家を両親に持つ。楽器の演奏の腕は優れており本人も音楽自体は嫌いではないが、仕事にしたいとは思っていない。
- 親を安心させるためオーケストラ部に所属しバイオリンを弾くが、部長のレナとは仲が悪い。
- ニコラス・ブラウニング
- 第四上級学校三年生の15歳の少年。通称「ニック」。中性的な容姿で緑色の眼を持ち、長い茶髪を背中まで長く伸ばしている。2人の姉には女の子のように育てられた。両親とも大学教員という学者肌の家系。セロンとは1年前の乗馬の授業からの顔見知り。美形であるため、女子の人気はセロン同様とても高い。
- 演劇部には所属していないが、助っ人として合宿に呼ばれた。棒術にいたっては幼いころから習っているらしく、家でも練習はやっている。
- ジェニー・ジョーンズ
- 第四上級学校三年生の15歳の少女。自称“新聞部”の部長。小柄な体格でショートカットの赤毛と薄茶の瞳。2年前は髪は長く、おとなしいお嬢様だったらしい。家はロクシェ最大の自動車会社「ジョーンズ・モーターズ」でロクシェで1、2を争う大富豪。学年トップ10から落ちたことが無く、半年でベゼル語をある程度理解できるほど聡明。
- 新聞部の部長で設立者でもあったが、壁新聞にあることないこと書き立てるうちに部員が全員去って部として認可されなくなったため無認可でゲリラ的にでたらめを書き立てて貼り付けていた。しかし、本人は最後に疑問系にしていることから嘘ではないと主張している。
- 演劇部での夏季合宿を機に知り合ったメグミカ、セロン、ラリー、ナタリア、ニコラスの5人が入部することになり、ナタリアが副部長、セロンが会計になった。
- あなた
- 1か月間、ラプトア共和国から第四上級学校に留学することになった生徒。あなたの登場する章は地の文から二人称で記され、名前、容姿、性別の描写はされていない。一人称は「私」。友人づくりを企図して新聞部に短期入部する。新聞部からは「新人君」と呼ばれる。
- 『一つの大陸の物語』では犬や馬を飼っていること、遠方の農業学校に通っている兄がいることなどが明かされている。
第四上級学校生徒
[編集]- ソフィア・ウレリックス
- 第四上級学校五年生。演劇部の副部長。首都に本社を構える「ウレリックス不動産」の令嬢。アーサーとは長いつきあいで、彼に想いを寄せている。
- アーサー・シアーズ
- 第四上級学校五年生で演劇部の新部長。気弱そうな風貌でメガネを掛けている。
- 演劇部の部長は本来ソフィアがなるはずだったが、前年度の間に部長が交代したために、部長は男女が交互に勤めるという部の慣例から彼が部長となった。そのため、ソフィアに負い目を感じている。
- 家は189年続く老舗の菓子屋で、その家業を継ぎ次代にしっかりと引き渡す事が夢である。
- ステラ・ホイットフィールド
- 第四上級学校二年生。腕時計メーカーのホイットフィールド社の一人娘。ラリーに告白し、学校内では周囲に見せつけるようにラリーと仲睦まじい様子を見せる。
- だがそれはライナスがホイットフィールド社が開催する時計コンテストで入賞するまでの隠れ蓑でしかなく、本当はライナスと相思相愛の仲であった。だが両者の祖父の関係が修復されていないことから、家族にライナスのことが伝わらないようにと考えたことであった。
- ライナス・フランシス
- ステラに付きまとっていたと言う噂があった生徒で学年は六年。ゴリラと称されるほどたくましい体躯だが反して性格は気弱で、細かな作業を得意しており、楽器の修理もこなせる。
- 実はステラとははとこの関係にあり、彼の祖父とステラの祖父が兄弟関係にある。ステラとは相思相愛の仲だが、昔祖父が起こしたお家騒動のために公言できずにいた。
- ウィルキンソン
- 第四上級学校六年生。スキー部部長。設立当時は人気だったが、現在は活動中の者が3名のみになってしまったスキー部の名を知らしめるため、セロン達と同じくオリエンテーリングで1位を狙う。運動は得意だが勉強は苦手な様子。
- ブリジット・アーミテイジ
- 第四上級学校六年生で裁縫部の副部長。許嫁のケネス・エインズワースがモラルハラスメントを行ってくるので別れるために証拠が欲しいと新聞部に依頼してくる。実家は北の大通りにある"ドレスのアーミテイジ"でウェディングドレスが有名。
- ケネス・エインズワース
- 第四上級学校六年生で寮生。四・五年生の時はレジデントアシスタントをしており、周りからは"とても優しくて、とても頭が切れる人"と思われている。また、写真が趣味でなかなかの腕前。許嫁のブリジット・アーミテイジが浮気をしているため、証拠写真を撮るよう新聞部に依頼してくる。実家はドラード共和国の老舗宝石商"オースティン&アマビスカ"。
- レナ・ポートマン
- 第四上級学校五年生でオーケストラ部の部長。資産家の令嬢。他人への当たりが強く部員達から恐れられており、ナタリアとは仲が悪い。初登場時、ロクシェ語に不慣れなメグの歌の実力を強く疑問視する発言をするが、彼女の歌を聞くとメグのことを気にかけるようになる。
- 『一つの大陸の物語』では、生まれたばかりの実子が突然死したために追い詰められた両親が、里親に食べられそうになっていたモルソーの孤児院出身の彼女を横取りしたという秘密が語られ、その後捜査に来たが家庭が円満なのを見て沈黙を守った刑事を新聞部に紹介している。
- シュトラウスキー・クルト
- 『メグとセロン』物語開始の翌年にあたる『VI』で入学してきたメグの弟。ロクシェ語は敬語は苦手としているものの流暢に扱う。社交的で友達が多く、女の子と仲良くなる秘訣として「愛してる!」と言っている。海軍志望。
- さらに年下の弟ヨハンもいる。
第四上級学校教師
[編集]- マーク・マードック
- 第四上級学校の男性国語教師。温厚な性格の50代。演劇部の夏合宿期間中の当直担当。若いころは軍人であった。あなたのカウンセリングも担当している。
- レニー・クランツ
- 第四上級学校に勤める女性家庭科教師で演劇部顧問。30代。
エアコ村
[編集]- ニール・ロックスミス
- エアコ村に住む11歳の少年。そばかす顔に短い栗毛。職業訓練校に通っている。ジェニーとは顔見知りであり「ジー・ジー」と呼んでいた。
- 村の不良グループに入りたいがまだ何処にも入れておらず、それ故にどのグループとも接触できる。村で不良の若者が殺される事件が起き、各グループの対立が激化しそうな雰囲気を感じてセロン達に助けを求めた。
- ハンナ・ローレンス
- エアコ村に住む老婦人。品の良い風貌をした80代。たくさんの花に囲まれたこぢんまりとした家に暮らしている。
- 40年前からロクシェの法務大臣を歴史上最も長く務めたフェルディナンド・ローレンスの妻。夫には先立たれており、娘と孫もアウトバーン(高速道路)の事故で亡くした。本人も癌にかかっている。
- 指名手配犯と知りつつハンプルトンを雇い入れた。
- ハンプルトン
- ローレンス夫人の家に住み込みで働く庭師。見た目の年齢は50代ほど。頭が半分禿て痩せており気の弱い印象を受ける男。
- 本名はジェームス・エイド。14人以上を殺した凄腕の殺し屋で指名手配犯。仕事以外で殺人をした事は無い。癌に掛かっており死期を悟っている。
- ルーフ夫妻
- エアコ村にあるジョーンズ家の別荘の管理人。共に50代くらい。ややふくよかで人当たりの良い印象がある。
- ジェニーは親戚のおじおばのように慕っている。
その他の登場人物
[編集]- セオドア・ハートネット
- 連邦警察捜査員の若い男。黒髪のショートヘアで鋭い目付きをしている。ラリーを軽くあしらうほどの格闘の達人。最初は荒っぽい口調だったが、その後は砕けた喋り方をしている。
- セロンらと最初に会ったときは修繕会社の男性作業員を装っていたが、実際は捜査目的で来ていた。事件の後に警察が干渉しにくい第四上級学校の捜査協力を新聞部に要請しに来て約束を取り付けた。
- エアコ村に指名手配犯を追って来た際にセロンらと再会している。
- 『メグとセロンI』ではハインツ・ハートネットという名前だったが、『III』で言及されて以降はセオドアとなっている。その際ジェニーが「本名を言い忘れていった」と語っており、偽名であることが示唆されている。
- バート・マードック
- 第四上級学校の地下でマードックに匿われていた彼の弟。兄弟が出征することになり捕虜になるが、兄弟の幼馴染の女性と「どちらか一方のみが戦争から帰還した場合、そちらと結婚する」という約束をしていたため捕虜交換が行われても帰還せず、スー・ベー・イル人として暮らすことを選んだ。
- 大佐
- 名前不明で、軍人とは思えないほど太っている。ロクシェのスー・ベー・イル大使館勤務で、メグとはロクシェ首都在住のスー・ベー・イル出身者の同胞会で知り合った。バートをスー・ベー・イルに帰すのに協力する。
- 『一つの大陸の物語』では、トラヴァスとキンスキーにそれぞれ「この世では信じられないようなことも起こる。見える事実だけを見ることも必要」という主旨の発言をしていることが語られている。
- エドワード・カーツ
- ジェニーのボディーガード兼運転手の男性。40代過ぎ。短い茶髪で長身の逞しい体をしている。
- エルザ・リトナー
- ジェニーのボディーガード。短い黒髪をした20代後半の女性。
一つの大陸の物語からの登場人物
[編集]- クレー少尉
- バネット大尉、ロッド上級軍曹とともに、トラヴァスをスー・ベー・イル首都に送る任務を受け、機上で暗殺に巻き込まれ死亡したスー・ベー・イルの軍人。
- フリオ・エデルマン
- 第四上級学校の五年生。脅迫され、麻薬の一時保管および運び屋として利用されている。
- ジョン・マルクス
- トラヴァスが入院した病院の医師。トラヴァスのことを詮索せず、警察が捜査に来た際も彼の顔を隠し、嘘を言って協力した。
- コーネリアス
- 元中尉で、トラヴァス暗殺の黒幕の私兵。軍縮で軍にいられなくなった荒くれ者たちを率いているが、彼自身は部下を爆殺した咎で収監されている身の上。
世界設定
[編集]物語の舞台は大きな大陸が一つだけある世界となっている。暦は世界暦。
大陸のある惑星はその約9割が海であり、両極は氷におおわれている。衛星は1つで、月と呼ばれる。この月は公転周期が8日と短く、かなりの大きさを持っているように見える。白い月は反射率が高く、満月の時には夜でも農作業もできるほどの明るさとなる。さらに、この月は頻繁に皆既日食を起こす。その際は昼間にもかかわらず星が見えるほど暗くなり、ロクシェ語(後述)では「真昼の夜」「夜」とも呼称される(逆に皆既月食は「夜の昼の夜」とも呼ばれる)。
大陸は惑星の北半球に位置し、低緯度地方は砂漠地帯、高緯度になるほどに木々が多くなる。最南端は赤道付近、最北端は北緯60度ほどに達する。形はジャガイモに似たいびつな楕円形。またそのほぼ中央を、北緯30度弱までは中央山脈によって、それよりも北はルトニ河によって二分されている。中央山脈のほとんどは1万メートル級の山だが、大陸の他の部分には大きな起伏はなく、平坦な土地が続いている。
大山脈と大河によって、川の両岸どうしの交易は発達しなかった。また人類の起源をめぐり、ルトニ河を挟んでロクシアーヌク連邦とベゼル・イルトア王国連合(いずれも後述)の戦争が長きにわたって続いていた。だがそれも『アリソン』での壁画発見によって終結し、両国は和解。『リリアとトレイズ』時点では、列車や飛行機を利用した交流がされている。また、宗教上の理由による対立などはない様子。
国家・地名
[編集]ロクシアーヌク連邦
[編集]通称ロクシェ。以降もそう記述する。
ルトニ河の東岸に位置する、14の国と2つの特別地域の連合体。物語はほとんどロクシェにて展開する。
約200年前に成立した。セロンの槍と呼ばれる文様が正式紋章。名前の後に姓が来る。公用語のロクシェ語は、首都特別地域の周辺の文字と言葉を基にした人工言語。かつては構成国それぞれの国の言葉があったが(イクス語、カスナ語、ラプトア語など)、現在ではすべて廃れている。またそれぞれの構成国は独自の警察機構を持ち、国境をまたいだ事件には連邦警察が対応する。車は右側通行で運手席は左側にある。免許は二輪が14歳、四輪が16歳から取得できる。飲酒は20歳から可能。個人での武器所有が認められている。
判明しているロクシェ構成国・地域は以下の通り。
- 首都特別地域
- ロクシェの首都。単に「首都」と言う場合、通常は構成国の首都ではなくこちらを指す。大陸北東部に位置する、どの構成国にも属さない独立地域。直径30kmほどの円形で、中心部は官庁街、商業街、周縁部はアパートの立ち並ぶ住宅地となっている。北からの乾いた風で夏は過ごしやすく、季節風と海流で冬の寒さも緯度の割には厳しくない。
- イクス王国
- 単にイクスとも呼ぶ。以降はそう記述する。現地名はイクストーヴァ。首都はクンスト。中央山脈にある、ロクシェ最西端にしてロクシェ唯一の王国・山岳国。険しい山と氷河による深い谷が目立つ。町は、標高1500mにある長さ100km、幅数十kmのラス湖の岸に2つほど。山奥などの小規模な集落で暮らす者も多い。
- ロクシェともベゼル・イルトア王国連合とも交流を持たずに過ごしてきたが、ロクシェ成立時最後まで反対しつつも加盟した。
- 王または女王以外の王族は基本的に顔を出さず、固有の「お印」を代わりに崇敬する習慣がある。
- 王族は子供を1人しか生まず、その子供が王位を継承する。その慣習のため、双子として生まれたフィオナは本人にすら王族であることを秘して育てられ、トレイズの存在は公にはなっていない。
- 酪農と林業、ラス湖での漁業のほかに、金細工で有名。その精巧な細工品は高く評価される。また観光客が多数訪れ、それも国の収入源となっている。
- また、フィー(フランチェスカまたはフィオナ)、トレイズ、メリエルの生まれ故郷でもある。
- 谷
- フィオナの生まれ育った谷。存在が秘匿されたフィオナのために、ほかの村人をもと王室警護官などで固めた村で、フィオナはここで普通の村娘として育てられた。ヴィルは元々王室とつながりの深い地だったと推測している。フィオナがフランチェスカとして名乗り出た後は王族の保養地のような役割として維持されている。
- イクストーヴァ回廊
- 人間には越えられないとされてきた中央山脈に存在する長い谷間で、これを使用すれば、東西を行き来することが出来る。イクス王国は、これが戦争に利用されるのを避けるため、この回廊の存在を隠し、王家の秘密としてきた。しかし戦争の危機が去ったこともあり、世界暦3306年に公表された。
- 前述の子供は1人のみという規範もこの回廊の漏洩を防ぐための措置で、公表された以上撤廃されトレイズの存在が公になる可能性がある。
- ラプトア共和国
- 首都はラプトア。南端のエリサテ市は中央山脈のお膝元とも。ヴィルの通う上級学校はこの国のネイト地域にある。
- 古都のカアシでは射撃大会が開催され、そこでの入賞は全国的に栄誉なことである。
- トルカシア国
- 首都から南西に600kmほどの場所から領土が始まる。東西1200km、南北500kmのロクシェ最大の湖・クウルズ海の南岸に街がある。1500年ほど前に初代トルカシア国が成立した。クウルズ海の水上都市ラーチカは有名な観光地である。一方国全体としては貧困国で、養子の斡旋を装って孤児を首都へ"輸出"している犯罪組織が暗躍している。
- ニャシャム共和国
- ラプトア共和国の北でルトニ河に接する東西国境の国。
- ロル国
- ニャシャム共和国の北にある。ルトニ河の河口に位置し、巨大なデルタ地帯が形成されているのがみられる。
- ドラード共和国
- 首都の北側に隣接している国。首都との境界付近は首都への通勤者が住むベッドタウンとなっている。首都の富裕層の別荘地となっている風光明媚なエアコ村や、豪華な村営結婚式場で知られるパルクホ村がある。
ベゼル・イルトア王国連合
[編集]通称スー・ベー・イル。以降もそう記述する。
ルトニ河西岸にある、ベゼルとイルトアの2つの王国、そしてそれに付随するいくつかの小国によってなる。首都はスフレストス。公用語はベゼル語。曲げ短刀という正式紋章がある。スー・ベー・イル人のフルネームは名前と今の姓の間に母親の親の姓・父親の親の姓・母親の旧姓を入れるものだが、これは3305年頃には古い風習となっており、「今の姓・自分の名前」となる形式を正式なフルネームとしているのが一般的である。
その他
[編集]- 緩衝地帯
- 不意の衝突を防ぐため国境付近に設けられた、軍隊の駐留や民間人の立ち入りが禁じられたどちら側の領土でもない地域。終戦後も維持されているが、周辺の民間人は釣りなどのために日常的に立ち入っている。
- レストキ島 / 緑島
- ルトニ河に浮かぶ島で、河口付近以外では唯一の島である。レストキ島はロクシェでの、緑島はスー・ベー・イルでの呼び名である。
- 世界暦3277年の春からおよそ1年間にわたり、相手側に攻め入る足掛かりとしてこの島をめぐった紛争があった。その紛争は多くの死者を出しながらも最終的にはうやむやのうちに停戦となり、現在は両国どちらの所有でもない。
組織
[編集]- 未来の家
- スー・ベー・イルの貴族のコラソン・ムートが、ロクシェのラプトア共和国で経営していた戦争孤児院。アリソンとヴィルが育った場所。
- ロウ・スネイアム記念上級学校
- ヴィルヘルム・シュルツが通っていたラプトア共和国の上級学校。農村地帯の真っ只中にある。生徒数約1000名。
- 第四上級学校
- ロクシェの学校の一つで、中学・高校が同一になった6年制の学校。生徒数約1000名。約600メートル四方。首都特別地域に存在し(北を十二時とすると九時半の位置)、主に大学への進学を希望する学生が在籍している。カリキュラムは単位制で、各学生が好きな教科をレベルの低いものから順に習得することができる。
- ロクシアーヌク連邦軍
- ロクシェの軍隊。ロクシェ軍、連邦軍などと呼称される。ロクシェ語成立の大きな理由はこの軍の設立に際し、各構成国から集められた兵士について言語の統一が必要だったため。
- 戦争中に使用されていた武器の大半はテロル鉄鋼が製造した物であった。そのためテロル鉄鋼の総帥ゴーティエ・テロルは自分の力でロクシェは戦争に勝てると考えていた。戦後も武器開発は継続されている。
- ベゼル・イルトア王国連合軍
- スー・ベー・イルの軍隊。連合軍、王立軍などと呼称される。なお、軍内には高級貴族の子女のみが入隊を許される「ベゼル王室親衛隊」というものも存在し、隊員は一般の上官に対しても高慢に振る舞う。
既刊一覧
[編集]小説
[編集]- 時雨沢恵一(著)・黒星紅白(イラスト) 『一つの大陸の物語シリーズ』 メディアワークス→アスキー・メディアワークス〈電撃文庫〉、全19巻
- 『アリソン』、2002年3月25日初版発行(3月10日発売[10])、ISBN 4-8402-2060-3
- 『アリソンII 真昼の夜の夢』、2003年3月25日初版発行(3月10日発売[11])、ISBN 4-8402-2307-6
- 『アリソンIII〈上〉 ルトニを車窓から』、2004年3月25日初版発行(3月10日発売[12])、ISBN 4-8402-2629-6
- 『アリソンIII〈下〉 陰謀という名の列車』、2004年5月25日初版発行(5月10日発売[13])、ISBN 4-8402-2681-4
- 『リリアとトレイズI そして二人は旅行に行った〈上〉』、2005年3月25日初版発行(3月10日発売[14])、ISBN 4-8402-2993-7
- 『リリアとトレイズII そして二人は旅行に行った〈下〉』、2005年5月25日初版発行(5月10日発売[15])、ISBN 4-8402-3037-4
- 『リリアとトレイズIII イクストーヴァの一番長い日〈上〉』、2006年3月25日初版発行(3月10日発売[16])、ISBN 4-8402-3342-X
- 『リリアとトレイズIV イクストーヴァの一番長い日〈下〉』、2006年5月25日初版発行(5月10日発売[17])、ISBN 4-8402-3427-2
- 『リリアとトレイズV 私の王子様〈上〉』、2007年3月25日初版発行(3月10日発売[18]、ISBN 978-4-8402-3754-3
- 『リリアとトレイズVI 私の王子様〈下〉』、2007年4月25日初版発行(4月10日発売[19])、ISBN 978-4-8402-3800-7
- 『メグとセロン I 三三〇五年の夏休み〈上〉』、2008年3月25日初版発行(3月10日発売[20])、ISBN 978-4-8402-4184-7
- 『メグとセロン II 三三〇五年の夏休み〈下〉』、2008年5月10日初版発行(同日発売[21])、ISBN 978-4-04-867062-3
- 『メグとセロン III ウレリックスの憂鬱』、2008年7月10日初版発行(同日発売[22])、ISBN 978-4-04-867126-2
- 『メグとセロン IV エアコ村連続殺人事件』、2009年3月10日初版発行(同日発売[23])、ISBN 978-4-04-867592-5
- 『メグとセロン V ラリー・ヘップバーンの罠』、2010年3月10日初版発行(同日発売[24])、ISBN 978-4-04-868392-0
- 『メグとセロン VI 第四上級学校な日々』、2011年3月10日初版発行(同日発売[25])、ISBN 978-4-04-870386-4
- 『メグとセロン VII 婚約者は突然に』、2012年5月10日初版発行(同日発売[26])、ISBN 978-4-04-886596-8
- 『一つの大陸の物語〈上〉〜アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他〜』、2013年3月10日初版発行(同日発売[27])、ISBN 978-4-04-891438-3
- 『一つの大陸の物語〈下〉〜アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他〜』、2013年5月10日初版発行(同日発売[28])、ISBN 978-4-04-891600-4
漫画
[編集]- 時雨沢恵一(原作)・黒星紅白(キャラクター原案)・晴瀬ひろき(作画) 『リリアとトレイズ そして二人は旅行に行った』 アスキー・メディアワークス〈電撃コミックス〉、全2巻
- 2008年4月26日発売[29]、ISBN 978-4-04-867052-4
- 2009年2月27日発売[30]、ISBN 978-4-04-867635-9
- 時雨沢恵一(原作)・黒星紅白(キャラクター原案)・晴瀬ひろき(作画) 『アリソン』 アスキー・メディアワークス〈電撃コミックス〉、全2巻
- 2008年4月26日発売[31]、ISBN 978-4-04-867044-9
- 2009年2月27日発売[32]、ISBN 978-4-04-867716-5
テレビアニメ
[編集]『アリソンとリリア』は、『アリソン』と『リリアとトレイズ』を原作としたテレビアニメ作品。2007年10月にアニメ化が発表され[33]、NHK・BS2にて2008年4月から同年10月まで放送された。
スタッフ
[編集]- 原作 - 時雨沢恵一[6]
- メインキャラクター原案 - 黒星紅白[6]
- 監督・絵コンテ - 西田正義
- シリーズ構成 - 待田堂子[6]
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 瀬谷新二[6]
- メカデザイン - 中島利洋[6]
- 美術監督 - 斉藤雅己[6]→西田稔、柴田正人[6]
- 3D監督 - 河口俊夫、ヨシダミキ
- メカ作画監督 - 中川航
- 色彩設計 - 川添恵[6]
- 撮影監督 - 斉藤めぐみ[6]
- 編集 - 内田渉
- 音響監督 - 三間雅文
- 音楽 - 村井秀清
- プロデューサー - 宮川みちよ、大庭靖之、下河原郁子、二方由紀子、小山直子、坂本秀昭
- アニメーションプロデューサー - 宇田川純男、武藤貴彦
- アニメーション制作協力 - 手塚プロダクション
- アニメーション制作 - マッドハウス[6]
- 製作 - 「アリソンとリリア」製作委員会
主題歌
[編集]- オープニングテーマ「溜め息の橋」
- 歌・作詞 - 湯川潮音 / 作曲 - 栗原正己 / 演奏 - 栗コーダーカルテット
- エンディングテーマ「サヨナラのおまじない」
- 歌・作詞 - 松本素生 (GOING UNDER GROUND) / 作曲 - 近藤研二 / 演奏 - 栗コーダーカルテット
- 挿入歌「UBERS MEER」
- 作詞 - S.S.kowalewski / 作曲 - 村井秀清 / 編曲 - Minako"mooki"obata
各話リスト
[編集]| 話数 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 | 初放送日 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1話 | アリソンとヴィル | 待田堂子 | 吉村文宏 | 瀬谷新二 | 2008年 4月3日 |
| 第2話 | 敵国へ! | 鈴木卓夫 | 斉藤圭太 | 4月10日 | |
| 第3話 | ワルターの戦い | 谷村典子 | 長岡義孝 | 篠原隆 | 4月17日 |
| 第4話 | 二人のいる世界 | 長津晴子 | 吉村文宏 | 高柳久美子 | 4月24日 |
| 第5話 | 閉ざされた森 | ふでやすかずゆき | 鈴木幸雄 | 宍倉敏 | 5月1日 |
| 第6話 | フィオナの谷 | 牧野吉高 | 金子匡邦 | 5月8日 | |
| 第7話 | 託された者たち | 谷村典子 | 鈴木卓夫 | 片山みゆき | 5月15日 |
| 第8話 | 王女様と英雄 | 長津晴子 | 吉村文宏 | 飯島明 | 5月22日 |
| 第9話 | 元戦場に架かる橋 | ふでやすかずゆき | 山田徹 | 佐久間健 | 5月29日 |
| 第10話 | 陰謀という名の列車 | 鈴木幸雄 | 宍倉敏 | 6月5日 | |
| 第11話 | 装甲車に向って撃て | 吉村文宏 | 斉藤圭太 | 6月12日 | |
| 第12話 | リリアーヌの長い一日 | 谷村典子 | 牧野吉高 | 金子匡邦 | 6月19日 |
| 第13話 | そして二人は | 待田堂子 | 鈴木卓夫 | 高柳久美子 | 6月26日 |
| 第14話 | リリアとトレイズ | 長津晴子 | 鈴木幸雄 | 宍倉敏 | 7月3日 |
| 第15話 | 遭難! | 谷村典子 | 向井正浩 | 片山みゆき | 7月10日 |
| 第16話 | チャリティー飛行艇 | 吉村文宏 | 篠原隆 | 7月17日 | |
| 第17話 | 大義の翼 | ふでやすかずゆき | 鈴木卓夫 | 木村紀将 | 7月24日 |
| 第18話 | ご褒美のキス | 山田徹 | 藤田正幸 | 8月7日 | |
| 第19話 | 冬のイクストーヴァ | 長津晴子 | 鈴木幸雄 | 田中正之 | 8月14日 |
| 第20話 | 悪夢の初夢 | 牧野吉高 | 山本真嗣 | 8月21日 | |
| 第21話 | 宿命の父娘(おやこ) | 谷村典子 | 吉村文宏 | 高柳久美子 | 8月28日 |
| 第22話 | 明かされた秘宝 | いわもとやすお | 田中正之 | 9月4日 | |
| 第23話 | 偶然の旅行者たち | ふでやすかずゆき | 鈴木卓夫 | 斉藤圭太 | 9月11日 |
| 第24話 | 列車大作戦 | 吉村文宏 | 片山みゆき | 9月18日 | |
| 第25話 | 犯人は密(ひそ)かに笑う | 長津晴子 | 石踊宏 | 藤田正幸 | 9月25日 |
| 第26話 | 私の王子様 | いわもとやすお | 宍倉敏 | 10月2日 |
放送局
[編集]| 放送地域 | 放送局 | 放送期間 | 放送日時 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 日本全域 | NHK BS2 | 2008年4月3日 - 10月2日 | 木曜 23:32 - 23:57 | 衛星アニメ劇場 枠 |
| NHK教育テレビ | 2008年10月4日 - 2009年4月4日 | 土曜 9:25 - 9:50 | ||
| AT-X | 2013年5月27日 - | 月曜 22:30 - 23:00 |
| NHK BS2 衛星アニメ劇場 木曜 23:32 - 23:57枠 | ||
|---|---|---|
| 前番組 | 番組名 | 次番組 |
枠未開設
|
アリソンとリリア
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| NHK教育テレビ 土曜 9:25 - 9:50枠 | ||
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アリソンとリリア
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今日からマ王!(第3シリーズ)
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ドラマCD
[編集]ジェネオンエンタテインメントより発売
- アリソンとリリア ドラマCD I 〜アリソンとヴィル Another Story〜(2008年6月25日発売)
- ドラマ「フィオナの結婚」
- 空になる翼(歌:アリソン(水樹奈々))
- ドラマ「ピクニック・アット・裏山」
- 太陽の瞳(歌:ヴィル(くまいもとこ))
- アリソンとリリア ドラマCD II 〜リリアとトレイズ Another Story〜(2008年9月26日発売)
- ドラマ「マジ好きッス」
- 約束のかたち(歌:リリア(水樹奈々))
- ドラマ「ひとりの男とふたりの女」
- Scene(歌:トレイズ(吉野裕行))
サウンドトラック
[編集]ジェネオンエンタテインメントより発売
- アリソンとリリア オリジナルサウンドトラックI
- 2008年7月25日発売。
- アリソンとリリア オリジナルサウンドトラック2
- 2008年10月24日発売。
ラジオドラマ
[編集]「電撃大賞」内で2004年4月3日と10日にラジオドラマとして放送。後に様々な特典を付けて『アリソン SPECIALBOXドラマCD』として発売。
登場人物・声の出演
[編集]- アリソン・ウィッティングトン - 桑島法子
- ヴィルヘルム・シュルツ - 喜安浩平
- カー・ベネディクト - 子安武人
- ホラ吹き爺さん - 麦人
- トラヴァス・ラディア - 冬馬由美
- ノーマ - 辻桃子
- ノト大佐 - 稲田徹
- エルクーブ大佐 - 山本圭一郎
- グラツ大尉 - 徳山靖彦
DS電撃文庫
[編集]ニンテンドーDSで小説を読むことができるサウンドノベルシリーズDS電撃文庫において、『アリソン』が発売されている[34]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ 榎本秋『ライトノベル最強!ブックガイド 少年系』NTT出版、2009年12月3日、15頁。ISBN 978-4-7571-4231-2。
- ^ 『このライトノベルがすごい!2005』宝島社、2004年12月9日第1刷発行、66頁、ISBN 4-7966-4388-5
- ^ 榎本秋 『ライトノベル文学論』 NTT出版、2008年10月31日初版第1刷発行、174頁、ISBN 978-4-7571-4199-5
- ^ 『ライトノベル完全読本』日経BP社、2004年8月1日、22頁。ISBN 4-8222-1704-3。
- ^ 『このライトノベルがすごい!2005』宝島社、2004年12月9日第1刷発行、10頁、ISBN 4-7966-4388-5
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 『月刊ニュータイプ 2008年7月号』角川書店、2008年7月1日、134頁、ASIN B001AIM50O
- ^ a b c d e f g h i j “アリソンとリリア”. メディア芸術データベース. 国立アートリサーチセンター. 2024年6月29日閲覧。
- ^ a b c 『キノの旅XIII』時雨沢恵一、アスキー・メディアワークス、p.253
- ^ 『このライトノベルがすごい!2005』宝島社、2004年12月9日第1刷発行、5頁、ISBN 4-7966-4388-5
- ^ “「アリソン」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「アリソンII 真昼の夜の夢」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「アリソンIII〈上〉 ルトニを車窓から」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「アリソンIII〈下〉 陰謀という名の列車」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「リリアとトレイズI そして二人は旅行に行った〈上〉」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「リリアとトレイズII そして二人は旅行に行った〈下〉」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「リリアとトレイズIII イクストーヴァの一番長い日〈上〉」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「リリアとトレイズIV イクストーヴァの一番長い日〈下〉」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「リリアとトレイズV 私の王子様〈上〉」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「リリアとトレイズVI 私の王子様〈下〉」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「メグとセロン I 三三〇五年の夏休み〈上〉」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「メグとセロン II 三三〇五年の夏休み〈下〉」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「メグとセロン III ウレリックスの憂鬱」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「メグとセロン IV エアコ村連続殺人事件」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「メグとセロン V ラリー・ヘップバーンの罠」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「メグとセロン VI 第四上級学校な日々」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「メグとセロン VII 婚約者は突然に」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「一つの大陸の物語〈上〉〜アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他〜」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「一つの大陸の物語〈下〉〜アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他〜」時雨沢恵一 [電撃文庫]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「リリアとトレイズ(1)そして二人は旅行に行った」晴瀬ひろき [電撃コミックス]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「リリアとトレイズ(2)そして二人は旅行に行った」晴瀬ひろき [電撃コミックス]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「アリソン(1)」晴瀬ひろき [電撃コミックス]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ “「アリソン(2)」晴瀬ひろき [電撃コミックス]”. KADOKAWA. 2024年11月24日閲覧。
- ^ 「電撃文庫「アリソン&リリアとトレイズ」と「我が家のお稲荷さま。」がアニメ化!」『電撃オンライン』2017年10月10日。2025年3月1日閲覧。
- ^ “DS電撃文庫 アリソン”. 2026年1月22日閲覧。
注釈
[編集]- ^ アサシンとは、昔からスパイや暗殺を行ってきたスー・ベー・イルの特殊な武装集団で、個々人が飛び抜けた戦闘能力を持つとされている。ニックはイクストーヴァ回廊の公開から、イクス王家は何らかの事情で山を超えてきたスー・ベー・イル人の末裔ではないかという仮説も持っていた。
- ^ a b c 厳密には、『リリアとトレイズI』「序章」と同内容の『アリソンIII』「序章の前」からの登場
- ^ その後克服した。
- ^ 表記が違うのは、ベゼル語での発音のしやすさを意識してのこととされている
- ^ 出産の際にフィオナが決めなかった。
- ^ アックスは愛称、アンはイズマ、ウーノおよびエド、オゼットとともにトラヴァスが決めたコードネーム。
- ^ リリアに名乗った偽名。
- ^ 雇った共犯者に名乗った仮名。直前に、符牒として鼬を用いている。
- ^ 寮長と寮母の補佐をし、新入生の指導や手助けをする役