アリエル・アトム

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アリエル・アトム
オーバービュー
WrightspeedOverview4881.jpg
サイドビュー
ArielAtom5807.jpg
リアビュー
WrightspeedRear4885.JPG
乗車定員 2人
ボディタイプ パイプフレーム
エンジン K20Z4型:2.0L DOHC i-VTEC
駆動方式 MR
変速機 6速MT
サスペンション ダブルウィッシュボーン、プッシュロッド
全長 3,410mm
全幅 1,798mm(1,828mm with 225tyres)
全高 1,195mm
ホイールベース 2,345mm
車両重量 612kg
-自動車のスペック表-

アトム(Ariel Atom)は、アリエル・モーター・カンパニーが年間約100台製造する、2人乗り乗用車

アトムはボディパネルの無いむき出しのコックピットを持つ

概要[編集]

英国サマセット州(Somerset)にあるアリエル・モーター社が作るライトウェイトスポーツカー。

ライトウェイトカーという軽量スポーツカーのカテゴリーでは一般的に1000kg前後の車重が多いが、その中でも一際軽い500kg台の車重(乾燥重量)となっている。一般道を走行可能な乗用車ではあるが構造はレーシングカーに近い。現行のアリエルアトム3.5では車両重量は612kg(乾燥重量は550kg)。 エンジンは、自然吸気 2.0Lで245馬力を発生し、オプションのスーパーチャージャー仕様は、310馬力を発生する。サスペンションアームはダブルウィッシュボーン+プッシュロッドの構成でサスペンションはフレーム上部に寝かせて配置(インボードマウント)されている。

そのパワーウェイトレシオを乱暴に説明するなら「マツダ・ロードスターの車重を半分にして、パワーを倍にしたクルマ」である。車重とパワーはF3の規格に近い。

極めてスパルタンな車である。運転手、タイヤ、フレームがむき出しであり、ほぼボディというものが存在しない。ソフトトップ、ウインドウ、ドア等は存在せず、エアコン、オーディオは言うに及ばず。内装というものが存在しない。現代のスポーツカーにはほぼ標準となった電子安全装置ABSやTCSなども無い。 正に、公道を走るフォーミュラカーである。アトムをカスタマイズする際、本物のフォーミュラカーをイメージして、フロントウィングやリアウィングをつけることもしばしば見られる。()(3.5Rのローンチに伴い、純正オプションとしても前後ウイングが登場)

アリエル社自身が「No doors, no roof, no compromise.」(ドア無し、屋根無し、妥協なし。)と謳っており、その標語は「シリアス・ファン」。ドライビングを楽しくするもの以外は全て排除することを方針としている。[1]

シャーシはCADによって設計され、パイプフレームで構成されており、シャーシとボディの区別がつかない。開発初期には、コヴェントリー大学のライトウェイトスポーツカー(LSC)デザインという産学連携プロジェクトとの密接な関係を持っている。1996に作られたLSCプロトタイプがariel atomの直接的な原型である。[2]

英国にはバックヤードビルダーと呼ばれる小規模生産の自動車メーカーが多いが[3]、20年間も一つの車種を小規模生産のままで安定供給するメーカーは非常に稀であり、アリエル社とアトムはバックヤードビルダーの中でも特に成功した例の一つである。

モデル[編集]

モデル エンジン 気筒数 排気量 最高馬力/発生回転数 トルク 最高速 0-100 km/h 生産時期
Ariel Atom 1 Rover K 4 1588cc 111Bhp / 5000rpm 145 Nm 3000rpm 209 km/h 4.5 秒 2000- 2003
1796cc 125Bhp / 5500rpm 165 Nm 3000rpm 5.5 秒
Ariel Atom 2 Honda K20A2 (自然吸気) 4 1998cc 220Bhp / 8300rpm 196 Nm 6100rpm 225 km/h 3.5 秒 2003- 2007
Honda K20A2 (スーパーチャージャー) 296Bhp / 8300rpm 259 Nm 7150rpm 2.9 秒
Ariel Atom 3 Honda K20Z (自然吸気) 4 1998cc 245Bhp / 8200rpm 210 Nm 6100rpm 241 km/h 3.2 秒 2007- 2013
Honda K20Z (スーパーチャージャー) 300Bhp / 8400rpm 271 Nm 6500rpm 245 km/h 2.9 秒
Ariel Atom 500 V8 RS Developments RST-V8 90º V8 8 2400cc 492Bhp / 10000rpm 401 Nm 6100rpm 322 km/h 2.3 秒 2010- 2013
John-Hartley-konstruierter V8 3000cc 469Bhp / 10600rpm 385 Nm 7750rpm 274 km/h 2.5 秒
Ariel Atom 3.5 Honda K20Z4 (自然吸気) 4 1998cc 245Bhp / 8600rpm 240 Nm 7200rpm 241 km/h 3.2 秒 2013- 2018
Honda K20Z4 (スーパーチャージャー) 310Bhp / 8600rpm 285 Nm 6200rpm 2.9 秒
Ariel Atom 3.5R Honda K20Z4 (スーパーチャージャー) 4 1998cc 350Bhp / 8400rpm 330 Nm 6100rpm 275 km/h 2.6 秒 2014- 2018
Ariel Atom 3.5S (TMI) Honda K24Z4 (スーパーチャージャー) 4 2354cc 365Bhp / 7500rpm 420 Nm 4400rpm 2.8 秒 2014- 2018
Ariel Atom 4 Honda K20C1 (ターボ) 4 1996cc 320Bhp / 6500rpm 420 Nm 3000rpm 260 km/h 2.8 秒 2018-

アトム(2000)[編集]

2000年、アリエル社はアトムを発表、発売した。社員7名のいわゆるバックヤードビルダーであり、そのパーツは他車からの流用部分が多かった。車重450kg、エンジンはローバーKシリーズ。[4]

topgear テストトラックでのタイムは1:24.0。[5]

アトム2(2003)[編集]

2003年からのアトム2では、エンジンがそれまでのローバー社Kシリーズ(1.8L)からホンダK20Ai-VTECエンジン(2.0L)160Bhp(NAモデル)に変更された。[4]スーパーチャージャーモデルでは300馬力までのオプションが存在した。スーパーチャージド245Bhpのバージョンでは、456kgのボディとの組み合わせにより、アトム2の0-60マイル/h加速はわずか3.2秒である。

エンジンマウントブッシュが小さく、恐るべきアクセルレスポンスを誇るピーキーなクルマである。

topgear テストトラックでのタイムは01:19.5。(参考までに、エンツォ・フェラーリのタイムが01:19.0、アトムと同じエンジンを積むCIVIC typeRで01:32.8)[5]

アトム3(2007)[編集]

2007年、アトム3をリリース。無限チューンからのフィードバックでフレームが補強され、エンジンはK20Z4エンジンに変更された。[4]エンジン出力はノーマルで245Bhp、スーパーチャージャーモデルで300Bhp。アクセルが電子(バイワイヤ)化され、過敏すぎるレスポンスが穏やかになるようECUが調整された。

0-100km/h加速はノーマルで3.2秒、スーパーチャージドで2.8秒。最高速度は241km/h(168mph)。

アトム無限チューン(2010)[6][編集]

10周年を記念し10台のみ限定生産で無限(M-tec)チューンモデルを生産。自然吸気エンジンのまま275馬力までパワーアップさせ、フレームの強化と共に、足回りのサーキット向けオプションを標準装備している。

アトム V8(2010)[編集]

25台のみ生産。ケーターハムの「Caterham RST-V8」のエンジンをベースに開発された3.0LV型8気筒エンジンを搭載し、最高出力は500英馬力/10,500rpmを誇る。[4]それに対し重量は僅か550kgに抑えられている。そのため1トンあたり909英馬力で、パワーウェイトレシオはF1に近い。(現代のF1は700kg/900馬力程度)また、フロントとリアのウィングが標準装備となったことでダウンフォースも向上している。

0-100km/h加速は2.3秒、0-160km/h加速は5.4秒。最高速度は270km/h(168mph)である。

topgear テストトラックでのタイムは1:15.1。[5]

アトム3.5(2013)[編集]

2013年、アトム3.5をリリース。[7]エンジンは3から据え置きのK20Z4。無限チューンド版とV8版からのフィードバックからフレームが見なおされ、シャシー剛性が上がったが、基本的にはマイナーアップデートである。外見上の変化としては、ノーズ部分のパネルの延長、ヘッドライトとフォグ、ウィンカーの小型&一体ユニット化。後方ブレーキランプのLED化、ダッシュパネルのデジタル化などが上げられる。また、スーパーチャージド版は310馬力とやや出力アップしている。乾燥重量で550kg、総重量612kg。

0-100km/h加速はノーマルで3.2秒、スーパーチャージドで2.8秒。最高速度は241km/h(168mph)。

アトム3.5R(2014)[編集]

2014年に発表された、よりレーシング仕様に特化したモデル。前後ウイング、シーケンシャルパドルシフト、オイルクーラーの為のサイドポッドを装備。スーパーチャージャーの過給圧をさらに上げ、350馬力を発生させる。

0-100km加速は2.6秒。最高速275km。

アトム4(2018)[編集]

2018年、アトム4をグッドウッドにて発表。[8]生産は2019年から年間100台前後としている。

最新のシビックtypeRのエンジンを搭載し、見た目はほぼ変わらないものの、シャシーから新設計されている。アリエル社自身により「アトム3.5から引き継がれたパーツは燃料キャップとクラッチペダル、そしてブレーキペダルのみ」とアナウンスされている。全長は3520mmに拡大。ホイールベース2390mm、トレッドは前後1600mm/1615mm。エンジン最高出力は320馬力/420Nmとなり、パワーウエイトレシオは標準モデルで2kgを切る(1.86kg/Bhp)。

シャシーパイプの大口径化、タイヤの大型化、高剛性化、ターボの標準化、低重心化、サスの再設計(アンチダイブ・アンチスクワットを導入)によるジオメトリの改善、2000年以来はじめてCFD(数値流体解析)を用いた空力設計を行っている。 また、全方位からの50kmクラッシュテストに耐えるとされ、欧州での車両規格をパスすることを前提として設計された。 車重は595kgと約45kg増大。主にタイヤの大型化とシャシーパイプの大口径化によって車重が増加したと思われる。

0-100km加速は2.8秒。0-160km加速は6.8秒、最高速260km。

エンジン[編集]

ROVER K[9][編集]

1999年の初代ATOMでは120,165,190馬力のローバーK型シリーズエンジンが搭載されていた。初期設計は1973年と古いが、コンパクトで低重心、低重量。

Honda K20A[編集]

2003年からのATOM2のエンジンは2.0L、4気筒、ホンダK20Ai-VTECエンジンとなる。標準仕様220馬力、スーパーチャージャーオプションで300馬力となる。レブリミットは8600rpm。

耐久性能やメンテナンス性も良く、自然吸気で1Lあたり110馬力発生させる高性能エンジンであることから、ローバーからホンダに変更したとされている。

Honda K20Z4[編集]

2007年からのATOM3、及び3.5はK20Z4エンジンに変更された。標準使用の出力245馬力、トルク22kgm。スーパーチャージャーオプションで310馬力を発生する。

シビックタイプRユーロ(FN2)のエンジンをベースとする。このエンジンはバランスシャフトのないK20Aとくらべて振動が少なく、エンジンマウントも変更されているため、クルマの振動は劇的に改善したとされる。また、DBW(ドライブバイワイヤ)とバランスシャフト追加の弊害として、アクセルレスポンスの悪化が指摘される。燃調マップの変更等により、ノーマルエンジンから50馬力近い出力アップがなされている。

Honda K20C1[編集]

最新(2018)のシビックtypeR(FK8)のエンジン。ATOM4に採用されている。

K20の名を冠しているが、ターボモデルとなること、ニュルブルクリンクFF最速の使命を負って誕生したこともあり、実際にはほぼ流用部品の無い新規設計のエンジンである。

1996cc直噴ターボ。320馬力、トルク40.8kgmを発生させる。レッドゾーンはターボとしてはかなり高めの7000rpm。吹け上がりを重視し、軽量フライホイール、小型カウンターウェイト、ピストンの軽量化、熱対策としてクーリングチャンネル、ナトリウム封入バルブ等、サーキット走行を前提としたコンパクトかつ高回転(ターボとしては)、高出力のエンジンとなっている。

プロトタイプ[編集]

チタンフレーム[編集]

アリエルはフレームをチタンで作る計画を持っていた。プロトタイプが制作され、フレームパイプを大口径化しつつも全体で100kg近い軽量化を達成すると言われていた。だが、実際には溶接のためのおおがかりな設備が必要で、この計画は頓挫している。大口径化したパイプフレームのみ、アトム4にフィードバックされた。

ファン・カー・モデル[編集]

かつてのF1で猛威を奮った底面から空気を吸い出すファン・カーと同じ構造を取り入れる計画。最初の発表の後、続報は無い。実際には市販車でこの構造を取り入れた例は無い為、実現性は薄い。

電動化モデル[編集]

1000馬力を達成するという電動モデル計画。しかし、電池の為にかなりの車重増が想像され、外観もエアロを重視したかなり異なるものである為、別車名での発売か、もしくは市販化されない可能性が高い。おなじ英国のモーガン社も電動スリーホイラーの計画を発表し、プロトタイプも製作したが、市販するには至らなかったという経緯もあり、実現性は低い。

脚注[編集]

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  1. ^ Ariel Motor”. www.arielmotor.co.uk. 2019年1月30日閲覧。
  2. ^ Petrány, Máté (2018年6月8日). “The Ariel Atom Has Been Around For 22 Years” (英語). Road & Track. 2019年1月30日閲覧。
  3. ^ バックヤード・ビルダーとは何? Weblio辞書”. www.weblio.jp. 2019年1月30日閲覧。
  4. ^ a b c d Ariel Motor Co | History”. www.arielmotor.co.uk. 2019年1月30日閲覧。
  5. ^ a b c “List of Top Gear test track Power Lap times” (英語). Wikipedia. (2018-12-29). https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=List_of_Top_Gear_test_track_Power_Lap_times&oldid=875788653. 
  6. ^ 英国の超軽量スポーツに無限仕様…タイプR用エンジンをチューン” (日本語). レスポンス(Response.jp). 2019年3月16日閲覧。
  7. ^ DIGITAL, AUTOCAR. “アリエル・アトム3.5 - 初試乗” (日本語). AUTOCAR JAPAN. 2019年1月30日閲覧。
  8. ^ アリエル、全てが刷新された新型「アトム4」を発表! 595kgの車体に最新型「シビック TYPE R」のエンジンを搭載 - Autoblog 日本版” (jp). Autoblog Japan. 2019年1月30日閲覧。
  9. ^ “Rover K-series engine” (英語). Wikipedia. (2019-01-22). https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Rover_K-series_engine&oldid=879620445. 

外部リンク[編集]