アピオール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
アピオール
Skeletal formula
Ball-and-stick model{{{画像alt1}}}
識別情報
CAS登録番号 523-80-8 [要説明] チェック
ChemSpider 21106259 チェック
UNII QQ67504PXO チェック
KEGG C10429
特性
化学式 C12H14O4
モル質量 222.23 g/mol
融点

30 °C

沸点

294 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アピオール(Apiol)は、セロリパセリの種子、パセリの精油に含まれる有機化合物である[1]。妊娠中絶および月経不順治療の目的で使用された。


1715年に、ライプツィヒの薬剤師ハインリッヒ・クリストフ・リンク(Heinrich Christoph Link)がパセリの精油の蒸気を還元して得られた緑色の結晶として発見した[2]。1855年、JoretとHomolleは、アピオールは無月経の治療に効果があることを発見した。

医学的には、アピオールは精油または純粋物質として月経不順の治療に用いられる。刺激物であり、多量では吐き気を催すほか、肝臓や腎臓に害を及ぼす[3]

ヒポクラテスは、パセリは流産の原因になると記述している。この作用は、アピオールのせいである[4]

中世において、アピオールを含む植物は、妊娠を止めるために服用された。その利用はアメリカでも広まった。純粋な結晶アピオールの毒性については議論されているが、少量の摂取であれば、「比較的安全な中絶」を行うことができ、また、月経の周期を修復する[5]

現在では様々な中絶法が確立され、西洋ではアピオールが用いられることはないが、中東では現在も生産され、使用されている。アピオールという名前は、イノンドフェンネルの根に含まれる類似化合物ジラピオール(1-アリル-2,3-ジメトキシ-4,5-メチレンジオキシベンゼン)の名前にも用いられる。

妊婦が通常常識的な範囲でアピオールの多く含まれるパセリやセロリを摂取することは、医学的に問題ないとされている[6]。パセリの製油としての半致死量は、ラット経口3,300 mg/kg、マウス経口1,520 mg/kgであり、傾眠、呼吸困難、尿量減少などの症状が見られる[7]。人間ではパセリ200g相当由来の製油を摂取した場合は生命の危険があるとされる[8]

出典[編集]

  1. ^ Azeez, Shamina; Krishnamurthy, K. (2008). Chemistry of Spices. Calicut, Kerala, India: Biddles Ltd.. pp. 380 & 404. ISBN 9781845934057. http://books.google.com/books?id=5WY08iuJyawC&printsec=frontcover&dq=Chemistry+of+Spices&hl=en. 
  2. ^ Shorter, Edward (1991). Women's Bodies: A Social History of Women's Encounter With Health, Ill-Health, and Medicine. New Brunswick, NJ: Transaction Publishers. 
  3. ^ Amerio A; De Benedictis G; Leondeff J (Jan–Apr 1968). “Nephropathy due to apiol” (Italian). Minerva Nefrol 15 (1): pp. 49–70 
  4. ^ Sage-Femme Collective (2008). Natural Liberty: Rediscovering Self-Induced Abortion Methods. Sage-Femme Collective. ISBN 978-0964592001. 
  5. ^ Phillips DH; Reddy MV; Randerath K (1984年). “32P-post-labelling analysis of DNA adducts formed in the livers of animals treated with safrole, estragole and other naturally-occurring alkenylbenzenes. II. Newborn male B6C3F1 mice”. Carcinogenesis 5 (12): pp. 1623–8 
  6. ^ 国立健康・栄養研究所 情報センター 健康食品情報研究室 パセリの項
  7. ^ Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
  8. ^ 健康食品データベース 第一出版 Pharmacist's Letter/Prescriber's Letterエディターズ 編 (独)国立健康・栄養研究所 監訳 (2006298285) 日本皮膚科学会雑誌.2006;116(6):945