アパシー

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不安 覚醒 フロー 過剰学習 リラクゼーション 退屈 アパシー 心配
ミハイ・チクセントミハイフローモデルによるメンタルステート図。チャレンジレベルとスキルレベルの二軸で現される[1]

アパシー(Apathy)とは感情 (pathy)がなくなった状態 (接頭辞a)を指す。

医学におけるアパシー[編集]

無気力及び感情鈍麻<アパシー>
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分類および外部参照情報
ICD-10 R45.3
ICD-9-CM 799.25

通常のヒトであれば何らかの感情がわく対象に対して、感情がわかなくなった状態を指す。うつ病の主要な症状ではあるが、アルツハイマー病脳血管性認知症パーキンソン病などでも生じる。

治療には原病の治療に加え、L-ドーパロチゴチン などのドーパミン神経系賦活薬、ドネペジルガランタミンなどのアセチルコリン神経系賦活薬、メチルフェニデートが有効であるという報告がされている。

うつ病[編集]

アルツハイマー病[編集]

アルツハイマー病においては、患者の50-70%ほどに確認される。アパシーはアルツハイマー病の機能障害に関連するの精神神経症状である。その原因は2つが解明されている。一つは、脳の前頭前野系の機能不全が、アパシー発症のための重要な神経生物学的基礎であるということである。 もう一つは、認知症による神経病理学的変化は、またアパシーを引き起こすと考えられている。

コリンエステラーゼ阻害剤は、認知症に起因する認知症状の治療にファーストライン使用されており、アパシーを含む行動障害に対してある程度の効果を示している[2]

メチルフェニデートもまた、認知症によるアパシー治療のために最も広く研究されている薬物である。メチルフェニデートを用いた催眠症状の管理は、アルツハイマー病患者のプラセボ対照RCTにおいて有望であることが示されている[3][4][5]。アパシー治療のためのメチルフェニデートのフェーズⅢ多中心プラセボ対照RCTが現在進行中であり、2020年8月に完了する予定[6]

不安[編集]

その他[編集]

しばしばアパシーは、戦争において死亡または傷害といった恐ろしい出来事を目撃した人々において起こり得、それにはPSTDなどが挙げられる。それ以外にも、多々の精神医学的症候群であることが知られており、たとえばCADASIL症候群うつ病アルツハイマー病シャーガス病クロイツフェルト・ヤコブ病認知症(アルツハイマー型、、血管性認知症、前頭側頭型認知症)、コルサコフ症候群、過度のビタミンD甲状腺機能低下症甲状腺機能亢進症全身倦怠感ハンチントン病ピック病進行性核上性麻痺(PSP)、脳損傷統合失調症統合失調型パーソナリティ障害双極性障害自閉症ADHDアスペルガー症候群などがある。

政治学におけるアパシー[編集]

国民の政治への無関心や、消極的志向、ときには否定的態度をも意味する現代社会用語。医学におけるアパシーとは異なり、病的な状態を指す訳ではない。

脚注[編集]

  1. ^ Csikszentmihalyi, M., Finding Flow, 1997.
  2. ^ Malloy, Paul F. (2005年11月1日). “Apathy and Its Treatment in Alzheimer's Disease and Other Dementias”. Psychiatric Times. 2014年2月25日閲覧。
  3. ^ Herrmann, N; Rothenburg, L; Black, SE; Ryan, M; Liu, BA; Busto, UE; Lanctôt, KL (2008). “Methylphenidate for the treatment of apathy in Alzheimer's disease: prediction of response using dextroamphetamine challenge”. J Clin Psychopharmacol 28: 269–301. 
  4. ^ Rosenberg, PB; Lanctôt, KL; Drye, LT; Herrmann, N; Scherer, RW; Bachman, D; Mintzer, JE (2013). “Safety and efficacy of methylphenidate for apathy in Alzheimer's disease: a randomized, placebo-controlled trial”. J Clin Psychiatry 74 (8): 810–6. doi:10.4088/JCP.12m08099. PMID 24021498. 
  5. ^ Lanctôt, KL; Chau, SA; Herrmann, N; Drye, LT; Rosenburg, PB; Scherer, RW; Black, SE; Vaidya, V et al. (2014). “Effect of methylphenidate on attention in apathetic AD patients in a randomized, placebo-controlled trial”. Int Psychogeriatr 26 (2): 239–46. doi:10.1017/S1041610213001762. PMID 24169147. 
  6. ^ Apathy in Dementia Methylphenidate Trial 2 (ADMET2)”. 2017年2月26日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]