アノナイン

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アノナイン
識別情報
CAS登録番号 1862-41-5 (R)-(-)-Anonaine, 7241-00-1 (±)-Anonaine
PubChem 160597
ChemSpider 141120
特性
化学式 C17H15NO2
モル質量 265.31 g mol−1
融点

122-123 oC

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アノナイン(Anonaine)は、生物活性のあるベンジルイソキノリンアルカロイドである。モクレン科バンレイシ科の植物に含まれ[1]、初めて抽出されたギュウシンリ(Annona reticulata)の名前に由来して名付けられた[2]

バンレイシ科からの抽出[編集]

このアルカロイドは、ギュウシンリの樹皮から最初に単離された。その後、バンレイシMagnolia × albaの葉、Fissistigma latifoliumGoniothalamus australis、その他多くの種で見つかっている[1]。この化合物はギュウシンリの幹を乾燥焙煎し、メタノールで抽出することにより得られる。メタノールを除去し、残った液体を塩酸で処理し、不溶成分を濾し取る。ろ過された液体を水酸化アンモニウムで塩基性にし、ジエチルエーテルで抽出する。抽出物を5%水酸化ナトリウムと一緒に撹拌し、有機層を保持して抽出物のフェノール成分を除去する。塩酸と混ぜ、ジエチルエーテルから再結晶することで、塩化水素塩が得られ、その後遊離塩基が得られる[2]。ギュウシンリ中のアノナイン成分は、乾燥樹皮に対し約0.12%である[3]

医療への利用[編集]

伝統医療[編集]

アノナインを含むバンレイシ科の多くの植物は、長年の間、伝統医療に用いられてきた。例えば、バンレイシの抽出物は、てんかん赤痢、心臓障害、寄生虫感染症、便秘、細菌感染症、発熱と潰瘍等の治療に用いられてきた。しかし、バンレイシはこれら多くの病気の治療には効果がないことが分かっている[4]。アノナインの生物活性の研究により、抗腫瘍、血管弛緩、抗酸化、抗寄生虫、抗菌等の様々な興味深い薬理作用が明らかとなり、中枢神経系にも影響を及ぼすことが分かった[1]

抗腫瘍活性[編集]

アノナインは、ヒトの子宮頸癌[5]肺癌腫H1299細胞[6]の成長を阻害することが知られている。アノナインがこれらの細胞においてアポトーシスを起こすメカニズムは、一酸化窒素と活性酸素種の生成、細胞間グルタチオン濃度の減少、カスパーゼやアポトーシス関連タンパク質の活性化、DNAの損傷等いくつか考えられている。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c Li, HT; Wu, HM; Chen, HL; Liu, CM; Chen, CY (2013). “The pharmacological activities of (-)-anonaine”. Molecules (Basel, Switzerland) 18 (7): 8257-63. doi:10.3390/molecules18078257. PMID 23857128. 
  2. ^ a b Santos, A. C. (1930). “Alkaloid from Anona reticulata L.”. Philipine Journal of Science 43 (4): 561-564. 
  3. ^ Barger, G.; Weitnauer, G. (1939). “Konstitution und Synthese des Alkaloids Anonain” (German). Helvetica Chimica Acta 22 (1): 1036-1047. doi:10.1002/hlca.193902201131. 
  4. ^ Srivastava, S.; Lal, V. K.; Pant, K. K.; Journal of Pharmacy Research, 2011, 4, 12, 4596-4598
  5. ^ Chen, Chung-Yi; Liu, Tsan-Zon; Tseng, Wei-Chang; Lu, Fung-Jou; Hung, Ray-Ping; Chen, Chi-Hung; Chen, Ching-Hsein (August 2008). “(-)-Anonaine induces apoptosis through Bax- and caspase-dependent pathways in human cervical cancer (HeLa) cells”. Food and Chemical Toxicology 46 (8): 2694-2702. doi:10.1016/j.fct.2008.04.024. 
  6. ^ Chen, Bing-Hung; Chang, Hsueh-Wei; Huang, Hsuan-Min; Chong, Inn-Wen; Chen, Jia-Shing; Chen, Chung-Yi; Wang, Hui-Min (23 March 2011). “(-)-Anonaine Induces DNA Damage and Inhibits Growth and Migration of Human Lung Carcinoma H1299 Cells”. Journal of Agricultural and Food Chemistry 59 (6): 2284-2290. doi:10.1021/jf103488j. PMID 21361287.