アッちゃん

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アッちゃん』は、岡部冬彦による日本漫画。『週刊朝日』にて1956年から1968年まで連載された。

作品概要[編集]

“アッちゃん”こと河鹿アツシは「一日でも早く大人になりたい」と思っている、大人も顔負けの考えと行動力を持つ少年。そんなアッちゃんと、婦人雑誌の編集者のパパと、専業主婦のママの3人の典型的な2DKの中流家庭を中心に、近所、学校、パパの会社などさまざまな場所での日常とそこに巻き起こる騒動などを描いている。

1957年から1970年までニッポン放送で、本作をもとにしたラジオドラマが放送された。1961年には『アッちゃんのベビーギャング』『ベビーギャングとお姐ちゃん』と、本作ならびに『週刊文春』連載の『ベビーギャング』を映画化した作品が2作続けて公開された。そして1965年から1966年には日本テレビ系列局でテレビドラマが放送された。

ラジオドラマ版[編集]

1957年2月4日から1970年2月28日までニッポン放送で、月曜 - 土曜の午前に放送の10分間の帯番組として放送。放送が13年に及んだため、アッちゃん役は役者が成長し声変わりするたびに交代させていた。

なお、初代アッちゃん役を演じた田中秀幸は「ネットの資料などでは放送開始年が1957年になっていますが、手元に残っている新聞の切り抜きによると1956年11月5日が正確な放送開始日。私の6歳の誕生日(1956年11月12日)の直前だったことを覚えているので間違いありません」と語っている[1]

放送時間[編集]

いずれも日本標準時

  • 月曜 - 土曜 10:30 - 10:40 (1957年2月4日 - 1957年3月)
  • 月曜 - 土曜 10:15 - 10:25 (1957年4月 - 1963年2月9日)
  • 月曜 - 土曜 09:00 - 09:10 (1963年2月11日 - 1970年2月28日)

出演者[編集]

ニッポン放送 月曜 - 土曜10:15枠
前番組 番組名 次番組
-
アッちゃん
(1957年4月 - 1963年2月9日)
ニッポン放送 月曜 - 土曜9:00枠
アッちゃん
(1963年2月11日 - 1970年2月28日)
空からおはよう!
※7:30 - 9:30
【放送枠拡大】

テレビドラマ版[編集]

アッちゃん
ジャンル テレビドラマ
脚本 柳沢類寿
久板栄二郎
松田暢子
蓮池義雄
ほか
演出 中川信夫
出口富雄
出演者 蔵忠芳
ほか
オープニング 「アッちゃん」 歌:いしだあゆみ
製作
プロデューサー 梅村幹比古
松木功
大久保正雄
制作 国際放映
日本テレビ
放送
放送国・地域日本の旗 日本
アッちゃん
放送期間1965年1月12日 - 1965年7月27日
放送時間火曜 21:00 - 21:30
放送枠日本テレビ火曜9時枠連続ドラマ
放送分30分
回数29
続アッちゃん
放送期間1965年8月4日 - 1966年3月30日
放送時間水曜 19:00 - 19:30
放送枠日本テレビ水曜7時枠連続ドラマ
放送分30分
回数35
新アッちゃん
放送期間1966年4月27日 - 1966年11月30日
放送時間水曜 21:00 - 21:30
放送分30分
回数21
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1965年1月12日から1966年11月30日まで日本テレビ系列局で放送の30分番組。国際放映と日本テレビの共同製作[2]。放送時間の変更に合わせて作品タイトルも変化しており、火曜21:00枠での放送時には『アッちゃん』、水曜19:00枠での放送時には『続アッちゃん』、水曜21:00枠での放送時には『新アッちゃん』と題して放送されていた。

『続』までは日本楽器(現・ヤマハ)の一社提供で放送されていたが[2]、『新』へのリニューアルとともに雪印乳業の一社提供に変更された。日本楽器は、番組放送開始直前まで水曜19:00枠で放送されていた『明日があるさ』を引き継いでの提供である[3]。『新』放送時の代理店は電通であった。

当時子役だった蔵忠芳にとって、本作は出世作となった。アッちゃんの両親役は、当初は前田武彦高千穂ひづるが務めていたが、『続』へのリニューアルを機に菅原謙二扇千景に交代した。『新』ではパパ役が根上淳になったが、無印でママ役を務めていた高千穂がママ役に復帰した。原作の登場人物は少ないため、このテレビドラマ版には同じく岡部原作の他の作品から「アツカマ氏」「オヤカマ氏」「レジャー部長」なども登場していた。

河鹿家のセットは、当初は少し豪華な家をイメージしたものになっていたが、1966年10月13日放送分で当時の平均的なサラリーマン家庭をイメージしたものに変更された[4]

3作品ともにこれまでCSなどでの再放映も無く、これまでにVHSビデオ・LD・DVD・ブルーレイソフト化もされておらず、現在でもフィルムの現存状況は不明である。

放送データ[編集]

アッちゃん[編集]

  • 放送期間:1965年1月12日 - 1965年7月27日
  • 放送日時:毎週火曜 21時00分 - 21時30分(日本標準時
  • 話数:全29話
  • 撮影フィルム:モノクロ16mmフィルム

続アッちゃん[編集]

  • 放送期間:1965年8月4日 - 1966年3月30日
  • 放送日時:毎週水曜 19時00分 - 19時30分(日本標準時)
  • 話数:全35話
  • 撮影フィルム:モノクロ16mmフィルム

新アッちゃん[編集]

  • 放送期間:1966年4月27日 - 1966年11月30日
  • 放送日時:毎週水曜 21時00分 - 21時30分(日本標準時)
  • 話数:全21話
  • 撮影フィルム:モノクロ16mmフィルム

スタッフ[編集]

  • 原作:岡部冬彦
  • プロデューサー:梅村幹比古、松木功、大久保正雄
  • 脚本:柳沢類寿、久板栄二郎松田暢子、蓮池義雄 ほか
  • 演出:中川信夫、出口富雄(出口十三夫)
  • 音楽:渡辺宙明
  • 制作:国際放映、日本テレビ

主題歌[編集]

「アッちゃん」
作詞:前田武彦 / 作曲・編曲:いずみたく / 唄:いしだあゆみ / レーベル:日本ビクター(現・JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

出演者[編集]

放送日程[編集]

アッちゃん[編集]

話数 放送日 サブタイトル ゲスト出演者
1 1965年
1月12日
子供は書いている
2 1月19日 あれが僕ん家だ 黒丸良
3 1月26日 当って砕けろ 久里千春
4 2月2日 大人は頼りない
5 2月9日 僕だけが知っている
6 2月16日 子供には勝てない
7 2月23日 家出も楽し 広村芳子
8 3月2日 ハイ、夕刊です
9 3月9日 チャンバラが何故悪い
10 3月16日 子供は判ってくれない
11 3月23日 泣くな男なら
12 3月30日 一緒に山へ
13 4月6日 誰が一番偉いか
14 4月13日 俺についてこい
15 4月20日 この気持なんだろう
16 4月27日 損して得とれ
17 5月4日 おとなは世話がやける
18 5月11日 こどもは邪魔者ではない
19 5月18日 おとなはフクザツである
20 5月25日 泰平ムードはごめんだ
21 6月1日 ただいま出張中
22 6月8日 おとななんかになりたくない
23 6月15日 ボクの武勇伝 中村是好
24 6月22日 なぜ・なんで作戦
25 6月29日 選挙はおもしろい 江戸家猫八里木佐甫良
26 7月6日 ボクの顔・ひとの顔
27 7月13日 神様、お願いです!
28 7月20日 幸せなら手をたたこう
29 7月27日 遠い国のお客さん

続アッちゃん[編集]

話数 放送日 サブタイトル ゲスト出演者
1 1965年
8月4日
2 8月11日 社長一本参る
3 8月18日 血統書いりません 公門雅之
4 8月25日 信じよう友だちを
5 9月1日 大人はうそつき
6 9月8日 ぼくが一番えらいんだ
7 9月15日 孤独になりたい
8 9月22日 お店やさんごっこしよう 関敬六
9 9月29日 空港を見張れ
10 10月6日 消えたパパたち
11 10月13日 女の子になりたい
12 10月20日 縁は異なもの
13 10月27日 もめごとなら任しとけ
14 11月3日 ええ、お笑いを一席 上田吉二郎
15 11月10日 おしゃれ問答
16 11月17日 おてがら旅行 伊豆肇
17 11月24日 悪い子大好き 小山潔
18 12月1日 ガラクタを集めろ
19 12月8日 デラックスで行こう
20 12月15日 騎士道で行こう
21 12月22日 自転車作戦
22 12月29日 天国と地獄
23 1966年
1月5日
もう、7時です
24 1月12日 小さな小さなしんせつ 天田俊明
25 1月19日 嘘がいっぱい
26 1月26日 ボクはいそがしくって
27 2月2日 死んじゃいけない 木村俊恵
28 2月9日 ふしぎな留守番
29 2月16日 嫌いは嫌い好きは好き
30 2月23日 いつも何かしていたい
31 3月2日 ママの匂い
32 3月9日 もう一人のぼく
33 3月16日 可愛い子には旅させろ
34 3月23日 友情A・B・C
35 3月30日 夢のごうか船

新アッちゃん[編集]

話数 放送日 サブタイトル
1 1966年
4月27日
いたずら日記
2 5月11日 或る新婚旅行
3 5月25日 ママの選んだネクタイ
4 6月8日 事情があれば
5 6月29日 お世辞いうべからず
6 7月6日 電話をかけましょう
7 7月27日 とんだ武勇伝
8 8月3日 子供の喧嘩に口出せば
9 8月17日 ママ怖い
10 8月31日 家の中と外
11 9月14日 不思議なプライド
12 9月28日 もう1人の家族
13 10月5日 魔法をかけろ
14 10月12日 あッ、お兄ちゃんがいない
15 10月19日 パパ遊ぼうよ
16 10月26日 ヤな奴に負けるな
17 11月2日 ぼく眠くない
18 11月9日 おねだりのコツ教えます
19 11月16日 クセはくせ者
20 11月23日 やるといったらどこまでも
21 11月30日 しあわせくんを呼ぶ誓い

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 伝説的ラジオドラマ『アッちゃん』が生み出した名優・田中秀幸の成長ストーリー”. otocoto (2018年7月28日). 2021年7月4日閲覧。
  2. ^ a b 検索結果 - 脚本データベース -”. 日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム(出典:国立国会図書館). 2017年3月6日閲覧。検索結果それぞれのリンク先にある台本写真を参照。
  3. ^ 日本テレビ放送網株式会社社史編纂室 編『大衆とともに25年 沿革史』日本テレビ放送網、1978年8月28日、460 - 469頁。NDLJP:11954641/246 
  4. ^ 読売新聞読売新聞社、1966年10月13日付テレビ欄の番組紹介。 

外部リンク[編集]

日本テレビ系列 火曜21:00枠
【本番組の放送期間中のみ日本楽器一社提供枠】
前番組 番組名 次番組
男ありて
(1964年10月6日 - 1965年1月5日)
※21:00 - 22:00
アッちゃん
(1965年1月12日 - 1965年7月27日)
パパのおくりもの
(1965年8月3日 - 1966年1月25日)
日本テレビ系列 水曜19:00枠
【本番組の放送期間中のみ日本楽器一社提供枠】
歌う王冠(第1期)
(1965年4月7日 - 1965年7月28日)
続アッちゃん
(1965年8月4日 - 1966年3月30日)
スターハイライトショー
(1966年4月6日 - 1966年9月28日)
日本テレビ系列 水曜21:00枠
【本番組の放送期間中のみ雪印乳業一社提供枠】
ママとおふくろ
(1965年10月20日 - 1966年4月13日)
【月曜21:30枠へ移動】
新アッちゃん
(1966年4月27日 - 1966年11月30日)
過去のない男
(1966年12月7日 - 1967年4月5日)