アスガルド (マーベル・シネマティック・ユニバース)

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アスガルド (マーベル・シネマティック・ユニバース)では、『マーベル・シネマティック・ユニバース』(以下『MCU』)の『マイティ・ソー』3部作と『アベンジャーズ/エンドゲーム』に登場する惑星アスガルドについて記述する。

概要[編集]

世界樹“ユグドラシル”に内包された“九つの世界”の頂点と言われる“神の国”。重力や呼吸できる大気があり[1]、昼夜が訪れる点では地球や多くの惑星と同様であるが、この国の天体は上下2つの面に浮かぶ中央の島から外に向かって広がっており、上面はアスガルド人たちが暮らす土地で[1]、下面は人々の居住には適していない凍てついた山国である[1]。更に天体の2つの面の境界は、宇宙の端へと落ちるとなっている[1]

国王であるオーディンや第1王子のソーをはじめ、数多くの国民が中世の民族衣装風の服装に身を包み、陸上での移動手段にを利用していることから、地球の開発途上国と一見類似しているようなイメージだが、実際には九つの世界や全宇宙の中でも最高水準の科学技術を有するなど、高度な文明を誇る。

この惑星の外から入国するには原則的に“ビフレスト”を通らなければならないが[注釈 1]、別の出入り口も複数存在する[注釈 2]

たがこの国の繁栄は、太古の時代に全宇宙征服の野望を抱いたオーディンと娘のヘラによって、宇宙各地から簒奪した資源や数々の宝物などで築かれたものだった。しかしオーディンは、征服が一段落すると改心して今後侵略行為を一切行わなず、平和で統治すると誓い、世界を守護する使命を戦士たちに課した。

何千年に亘って九つの世界の頂点としての位と、本国の秩序、平和を維持していたが、地球暦2017年時のヘラの襲来と“ラグナロク”の発生により、本国は惑星ごと崩壊し、宇宙から完全に滅亡する。

上面[編集]

アスガルド人が暮らす上面部分は常に好天で[1][注釈 3]、都市は永久的な春の気候であるため、花の開花と収穫期が同時に訪れるという[1]

王都[編集]

海に面した肥沃な谷に築かれ[1]、数千年に渡って続いてきたアスガルド唯一の自治区である広大な都市[1]。建造物は古いものと近代的なものそれぞれが混在し、王家の領地に近づくとよりモダンで未来的な建造物が多数を占めるようになる。黄金色の特異な形状の建造物が多数散見され、巨大な浮遊物も見られる。王家の領地の中心部には国の象徴的施設の王宮をはじめ、王室の鳥小屋と馬小屋[1]、ヴァルキリーの記念碑が立つエインヘリャルの兵舎[1]などが構えられている。

また、都市の外れには複数の小島が浮かび、先代国王であるボー銅像が建てられている小島や前述の出入り口の1つが存在する。

ヴァーラススキャルヴ[3]
パイプオルガンのような外観をした、アスガルド王家の宮殿。“フリズススキャールヴ”という高座[3]が置かれた謁見の間や、式典も執り行うホール、バリヤーに包まれたベッドが置かれるオーディンの寝室、武器庫、美しい空間が広がる王の部屋、医務室、エナジー・シールドの動力炉などの内部の設備や、外部に複数ある自動追尾機能搭載[1]の対空砲台と宮殿全体を覆うエナジー・シールドなどが点在している。通路にはアニメーションのように被写体が動く天井画があり、“氷の巨人”族との休戦協定などが描かれていたが、その裏には太古の時代のオーディンとヘラによる全宇宙征服のための戦いが描かれた別の天井画が隠されていた。
武器庫
王宮の下層部に造られた、さまざまな力を持つ武器やアイテムを保管・展示する貯蔵庫。庫内の警備には鉄格子の奥に待機する“デストロイヤー”があたり、有事の際には鉄格子が消失しデストロイヤーが起動する。ヴァルキリーのかつての戦闘服もここに保存されていた。更に最下層部には、ヘラに仕えた兵隊のミイラと“フェンリス・ウルフ”の亡骸が安置されていた。
地球暦2010年時に、庫内は侵入した氷の巨人によって見回りの衛兵ごと氷漬けとなってしまったが、デストロイヤーに退治され、奪われた物は皆無だった。
牢獄
九つの世界で罪を犯し、アスガルド人と敵対した者の身柄を投獄する施設。王宮の地下に構えられ、囚人を収容する各部屋の中は小綺麗さを感じるほど純白で、部屋と廊下との仕切りに壁状のエナジー・シールドが貼られており、これに触れるとダメージを負う。
2013年時にはロキや多数の囚人を収容したが、“ダーク・エルフ”のアルグリム/カースによってロキ以外の囚人が解放され、暴動を引き起こす。

山地[編集]

王都から離れた山地には、雪が積もった山頂から滝に削られた谷と、“ダイン”、“ドゥネイル”、“ドュラプラ”、“ドゥヴァリン”という4種の鹿[1]の“ハブロック”[1]が住む森が存在する。また、山の麓には葡萄畑があるという[1]

避難所
岩山の奥深くにある洞窟を利用した避難所。劇中で確認できた設備は、内部の照明である複数の松明と、ユグドラシルが彫られた巨大な扉のみで、扉は正面の地面に刻まれた紋様へかざした掌をなぞるように動かすことで開かれる。
ヘラがアスガルドに侵攻した際にヘイムダルは、多数の民をここに匿い、彼女がスカージの案内で現れた際にはもう一つの出入り口から民たちを速やかに避難させている。

ヘミンビョルグとビフレスト[編集]

ヘミンビョルグ[2]
アスガルドの断崖にあり、虹の橋の先端に建てられた天文台。普段はヘイムダルがビフレストの門番としてここに待機し、自らの両目で他の八つの世界をはじめとする多くの惑星を見据えている。内部の中央の“ビフレストの錠”[4]に、ホーフンドもしくはグングニルを挿入することで、他の八つの世界のいずれかにビフレストを任意で架けることができ、その際には錠から稲妻状のエネルギーが天文台内に放出され、地下の動力炉が起動。天文台の外壁が高速回転しながら傾斜し、目的地である世界へ虹色のエネルギーを放出して架け橋となる。錠には橋を架けた世界に滞在する者と交信できる機能もあり、ヴァーラススキャルヴの外周に巨大なドーム状のエナジー・シールドを展開するための起動装置としても使用され、後者の際にもホーフンドを装置に挿入する必要がある。
ビフレストがロキに悪用された際には、ソーによって破壊されたが、2013年時には完全に修復された。また、2017年時にはオーディンに擬態したロキに解任されたヘイムダルに変わってスカージが門番に就く。
ビフレスト
本土の王都からヘミンビョルグに繋がる虹の架け橋と、ユグドラシルに内包された他の世界への移動手段となる虹の架け橋の総称。前者は実体化したエネルギーの通り道[2]として常時アスガルドに存在しているが、後者は他の世界への移動時にのみエネルギー体の橋としてヘミンビョルグから放出され、放出中に橋の出入り口に接近した者を橋の中へ吸引し、目的の世界へ高速移動させる。この際目的の世界では、上空に磁気嵐が発生し、エネルギーが命中した地面には巨大な焼印のような文様が残る。また、目的の世界からアスガルドへ帰還する際にも、原則的に文様の跡地から帰還する[注釈 4]
しかし橋を移動中にトラブルなどで橋に激突すると、外宇宙や他の惑星へと飛び出してしまったり、橋が差し架かろうとする際に無理矢理割り込んだ者は、橋のエネルギーを浴びた部位が切断されてしまうなど、安全且つ完全に九つの世界を行き来できるとは言えない移動手段でもあり、更に橋を架けた状態を維持したり、橋のエネルギーを最大限に広げると[注釈 5]、繋げた世界を焼き尽くし滅ぼせる戦略兵器的な使い方も可能で、ロキはこれを利用して“ヨトゥンヘイム”を滅ぼそうとした。
また、ヘラのアスガルド侵攻の際には、実体化した橋の上が国民たちの避難通路と、ソーたちの決戦の場となる。

戦士団[編集]

エインヘリャル
アスガルド軍の勇敢なるエリート戦士団[3]みがかった灰色のマントなどの高級感ある武具と、長槍や長剣と盾などの武器などを装備し、平時は王宮の守衛として仕える[3]。因みに北欧神話に登場する“エインヘリャル”は、“戦死した勇者の魂”である。
惑星直列の際にはソーたちと共に戦い、ソーがジェーン・フォスターとロキをアスガルドから連れ出そうとした際には喰い止めようとする。
ヘラがアスガルドに帰還・侵攻するとホーガンと共にヘラに挑むが、なす術なく全滅する。
ヴァルキリー
太古のアスガルドを守護し、王に忠誠を誓う最強の選ばれし女戦士の一族及び一団の総称。彼女たちは皆片前腕に一族の紋章を施し、薄い灰色を基調とした戦闘服に身を包んで、ペガサスを愛馬としていた。ソーも幼少時代に女族と知るまで憧れ、 ヴァルキリー(ブリュンヒルデ)の素性を知った時には敬意を表した。
太古の時代に追放されたヘラが反乱を起こした時、オーディンの命を受けて鎮圧のために辺境の星へ向かったが、ブリュンヒルデ以外の戦士たちはヘラに返り討ちにされて全滅[注釈 6]。この一件でブリュンヒルデはアスガルドを去って、サカールに移住した。
因みに北欧神話に登場する“ヴァルキリー”は“戦場で生きる者と死ぬ者を定める女性”である。

武器・アイテム・テクノロジー[編集]

ムジョルニア
北欧神話のミョルニル”のモデルである全能の鉄鎚。
グングニル[5]
北欧神話のグングニル”のモデルであり、“王の杖”・“万能の槍”と言われる、アスガルドの王位のシンボルたる黄金色の長杖。この槍で、後述のデストロイヤーを操る事が出来る。
ホーフンド[2]
北欧神話の聖剣“ホーフンド”のモデルである、長さ1.6mの長剣[2]。武器としても、ビフレストやアスガルドの王宮のエナジー・シールドの動力炉を起動させるキーとしても運用される。
ドラゴンファング
ヴァルキリー(ブリュンヒルデ)の専用武器である、決して折れないと言われる強力な名剣。
デストロイヤー
アスガルドの王宮の武器庫を守護する、体高数mの人型兵器。
ブック・オブ・ユグドラシル(世界樹の本)[6]
アスガルドの王宮のオーディンの図書室にある本[7]。惑星直列の予言とダーク・エルフについての情報が記述されている[6]
デス&トロイ
スカージが収集した武器の一種であり、地球のアメリカ合衆国・テキサス州から持ってきたといわれる2丁のM16アサルトライフル
ウル
アスガルドに存在する神秘の特殊金属。ソーが愛用するムジョルニアや、オーディンのグングニルをはじめとするアスガルドの武器の多くがこの金属を材料に作られた。
武器庫のアイテム
古の冬の小箱[8]
地球暦965年の戦いでアスガルド軍がヨトゥンヘイムの寺院から奪った禍々しい小箱。
エターナル・フレイム(永久の炎)[9]
太古の時代にオーディンがスルトから奪い取ったと言われる、神秘的で決して消すことのできない炎を常に灯す火桶。
インフィニティ・ガントレット(レプリカ)
インフィニティ・ストーン”の力を最大限に発揮できる金色のグローブのレプリカ。
アスガルドの王宮の武器庫には上記のもの以外に、“生命と時間の石版”、“ウォーロックの眼”、“音叉”などのアイテムも保管・展示されている。また、一時はインフィニティ・ストーンの一つである“スペース・ストーン”を内包した“テッセラクト”や、“ムスペルヘイム”の王のスルトが被っていたも保管されていた。
ソウル・フォージ
アスガルドで使用される、ベッド型の医療装置。
スキフ[1][10]
アスガルド軍が国の防衛のために複数隻保有している、空飛ぶ小舟。

行事[編集]

戴冠式
アスガルドの王位を資格ある者へ継承させる式典。
葬儀
命を落としたアスガルド人のための儀式。その形式は亡くなった人物の亡骸を小舟に乗せ、無数の灯篭を浮かばせた海の向こうに流し、兵士の一人が遠方から弓矢で火を放って火葬して、参列者全員が魂の宿りの塊をあげる、というものである。
“アスガルドのロキの悲劇”
ダーク・エルフとの戦いでロキが刺された時の出来事を題材にした茶番劇。当然ロキが讃えられるように内容は脚色されており、同時にロキがヨトゥンヘイム出身の巨人族の子だという事実を明示する演出も加えられている。

各登場作品での描写[編集]

マイティ・ソー
本作においてMCU初登場。
オーディンに“オーディン・スリープ”の時期が近づいたことで[11]、第1王子のソーへ王位を継承させるための戴冠式が執り行われたが、氷の巨人が武器庫へ侵入する事態が発生し、式典は中止となり、怒ったソーのヨトゥンヘイム襲撃も手伝って氷の巨人群との休戦協定が不安定となり、ヨトゥンヘイムと戦争寸前までに情勢が悪化した。最終的に全面戦争の危機は回避されるも、巨人群の侵入を手引きしていたロキとソーの争いの中でヘミンビョルグとビフレストが大破する結果となる。
マイティ・ソー/ダーク・ワールド
本作では、“インフィニティ・ストーン”の一つである“エーテル/リアリティ・ストーン”に寄生されたジェーンを匿ったことにより、エーテルの奪還を狙うマレキス率いるダーク・エルフ群の襲撃を受け、ソーたちが応戦するものの、ヴァーラススキャルヴは大きな損害を被り、王妃のフリッガもアルグリムの手にかかってしまった。その後日にオーディンの指示でビフレストの使用が禁じられたが、ソーはダーク・エルフ討伐のためにジェーンとロキを連れて本国からの脱出作戦を展開。戦友たちの助力を得たソーは、ダーク・エルフのハロウを操縦して国中を豪快に飛び回った結果、脱出に成功した。
しかしソーたちの目を盗んでロキは、人知れずオーディンを国外に追放し、彼に擬態して本国の王位についてしまう。
マイティ・ソー バトルロイヤル
ダーク・エルフとの戦いから数年間オーディンに擬態したロキが統治しており、彼の指示により都の一角にロキの巨大な像[注釈 7]が建造され、前述の茶番劇を披露していた。
帰国したソーと正体をあばかれたロキが地球のノルウェーでオーディンの最期を看取ると、オーディンの力で封印されていたヘラが復活・出現し、ビフレストから襲来され、本国の繁栄の真相が明らかになり[注釈 8]、多数の戦士たちが倒されるなど大混乱に陥った。ソーたちの応戦もあったが、「アスガルドは“場所”ではなく“民”である」と悟ったソーと、彼の頼みを受けたロキによって復活させられたスルトがラグナロクを引き起こしたことにより、本国の全土は炎上し、宇宙の藻屑となる。
アベンジャーズ/エンドゲーム
ダーク・エルフが侵攻する直前である2013年時の本国に、ソーと“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”のロケットが2023年の未来から来訪する形で登場。ロケットはジェーンからエーテルを分離・回収し、ソーは命を奪われる前のフリッガと交流する。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ アスガルドは宇宙船を保有していないため[2]
  2. ^ ロキもそのうちの1つを知っており、これを利用して“氷の巨人”群を招き入れた。
  3. ^ ただし、地球暦2013年の“惑星直列”時に“ヴァナヘイム”での戦いを制したソーたちが祝宴を挙げていた際にはと思しきものが降っていた。
  4. ^ ビフレストの修復後は、この限りではなくなった描写が度々見られる。
  5. ^ この際ヘミンビョルグの内壁には黒い蔦状の物体が複数張り巡らされ、装置からはエネルギーがクリスタル状の樹木の形となって放出される。
  6. ^ 中にはブリュンヒルデを庇って戦死した金髪の女性戦士もいた。
  7. ^ ソーはこの像を「生前のロキより男前でギラギラしてない」と評した。
  8. ^ ヘラからこの話を直接聞いたのはスカージだけである。

参考[編集]

参考文献[編集]

  • 『マーベル・スタジオ・ビジュアル・ディクショナリー』デアゴスティーニ・ジャパン、2019年。ISBN 978-4-8135-2270-6
  • 『アベンジャーズ マーベルヒーロー超全集 (てれびくんデラックス愛蔵版)』小学館、2019年。ISBN 978-4-09-227211-8