アジアラグビー
![]() アジアラグビーチャンピオンシップ2017 日本 対 韓国 戦 (2017年4月29日撮影) | |
設立 | 1968年 |
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種類 | 競技連盟 |
本部 |
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関連組織 | ワールドラグビー |
ウェブサイト | http://www.arfu.com/ |
アジアラグビー(Asia Rugby)は、アジアにおけるラグビーユニオン競技に関する運営団体。ワールドラグビーの傘下にある大陸連盟で、2015年6月15日、アジアラグビーフットボール協会(Asian Rugby Football Union; ARFU)から改称した[1]。
概要
[編集]1968年に、タイ協会のチャローク・コマラクール会長(当時)が、日本協会の金野滋専務理事・国際委員会委員長(当時)にアジアラグビーフットボール大会の開催を提案したことをきっかけに、8か国(台湾、香港、日本、マレーシア、シンガポール、スリランカ、大韓民国、タイ王国)[2]で結成された。金野専務理事は20年にわたり事務総長を務め、アジアのラグビー振興に貢献した。
財務管理に関する諸問題
[編集]2019年、アラブ首長国連邦(UAE)のカイス・アルダライ(Qais Al-Dhalai)が会長に就任[3]。
これをきっかけに、アジアラグビーの本部は香港からUAEへ移転された。しかし、UAEでは法人登録されず、アジアラグビー専用の銀行口座がなく、ワールドラグビーからアジアラグビー各国への助成金は、UAEラグビー連盟(UAERF)の銀行口座を経由していた[4][5]。
2024年9月、ワールドラグビーは、アジアラグビーにおける財務管理での深刻な懸念を理由に、アジアラグビーへの助成金を停止した[6][7]。
2024年9月30日、UAEの航空会社エミレーツ航空が、アジアラグビーのタイトルスポンサーになる[8]。
2024年10月7日、ワールドラグビーは、アジアラグビーに対する監査報告書でも、財務上の不正行為の可能性を指摘した[5]。
2024年11月、アジアラグビーの副会長に、岩渕健輔(日本ラグビーフットボール協会専務理事、ワールドラグビー理事)が就任した[9][10]。岩淵は、アジアラグビーの健全化を掲げ、透明性と公平性を訴え、賛同するユニオン(国)からの支持を受けて当選[7]。会長には、UAEのカイス・アルダライ(Qais Al-Dhalai)が再任[3][10]。
2025年2月24日、アジアラグビーは岩渕健輔に対し、行動規範に抵触した可能性があるとして、アジアラグビーでの副会長職務を停止したと発表した[11][12][13][14][15]。翌25日、日本ラグビーフットボール協会は、アジアラグビーが主張するような事実はないと発表した[16]。3月12日、岩渕健輔は「(職務停止となる前に)アジアラグビーからのヒアリングや通告がなかった。なぜ職務停止ができのるか、私が教えていただきたいというのが本音」と述べた[17]。
2025年2月26日、日本ラグビーフットボール協会は、アジアラグビーによる今回の一方的な発表こそが行動規則に反しているとして撤回要請を行った。さらに、ワールドラグビーに対し、アジアラグビーに関する調査要請を行った[18][19]。
2025年4月23日、ワールドラグビーは、岩渕健輔の行動(2024年12月21日から2025年1月9日の間に、アジアラグビーの秘密保持契約書・執行委員会雇用申告書・収入申告書の内容に関して、アジアラグビーに問い合わせをした行為)について、「まったく妥当な質問行為であり、アジアラグビーおよびワールドラグビーの行動規範の違反を示唆するものではない」と結論づけた[20][21]。ワールドラグビーは、「この決定をアジアラグビーと日本ラグビーフットボール協会に通知し、岩渕がアジアラグビー副会長へ復職することを期待する」と表明した[20][21]。
4月24日、日本ラグビーフットボール協会は、アジアラグビーのケイス・アル=ダライ会長に対して、岩渕健輔への公式謝罪を求める文書を送付する方針を決めた[22][23]。
2025年6月11日、日本ラグビーフットボール協会は、アジアラグビーによる岩渕健輔への副会長職務停止処分が解除されたと発表した。ワールドラグビーから6月5日に文書で通達された。2月の職務停止や今回の処分解除ついて、アジアラグビーからは一切の説明がないという[24][25]。
ワールドラグビーからの6月5日の通達文書では、アジアラグビーの運営を正常化・監視するための「監視委員会」を設置することも日本ラグビーフットボール協会に伝えられた。監査委員会は、従来から続く各種問題の解決と正常化を急ぎ、アジアラグビーの意思決定の監督、財務に関するガバナンス不全の解決、各国協会へのヒアリングを行う[26]。
本部
[編集]出典:[27]
- 住所:Dubai Sports City, ドバイ, アラブ首長国連邦
- 香港事務所:Room 2001A, Olympic House, 1 Stadium Path, So Kam Po, Causeway Bay, Hong Kong
役員
[編集]2024年11月-2028年11月の期間における、アジアラグビー役員は以下の通り[10][28]。
ワールドラグビーでのアジアラグビーからの投票数は「2」。ワールドラグビー評議会メンバー2名がその任を負う。
- 会長 および ワールドラグビー評議会メンバー:Qais Al-Dhalai(アラブ首長国連邦)
- 会長補佐:Terence Khoo(シンガポール)
- 副会長:Rizwan Ur Rab Malik(パキスタン)、Tanka Lal Ghising(ネパール)、岩渕健輔(日本)
- ワールドラグビー評議会メンバー:Ada Milby(フィリピン)
- 役員:Gerald Prabhu(インド)、Angelina Liu(シンガポール)、Mohamad Fahmy Bin Adb Jalil(マレーシア)、Yudha Ramon(インドネシア)、Batbayar PurevJargal(モンゴル)、Aigul Jartybayev(カザフスタン)、Abdallah Jammal(レバノン)
- 独立役員:Vela Tan(マレーシア)[29]、Asanga Seneviratne(スリランカ)[30]
アジアラグビー主催の主な大会
[編集]出典[31]。一部、各国ラグビー協会主催のアジア大会も含まれる。
- アジアラグビーチャンピオンシップ(Asia Rugby Men's Championship)
- 女子アジアラグビーチャンピオンシップ(Asia Rugby Women's Championship)
- アジアラグビーセブンズシリーズ(Asia Rugby Sevens Series)
- Asia Rugby Sevens Trophy
- Dubai 7s
- Singapore 7s
- Hong Kong 7s
- アジアラグビー男女オリンピック予選 - 2024年パリオリンピックの7人制ラグビーアジア地区予選大会は、2023年11月に日本で開催[32]。
過去の大会
[編集]加盟国・地域
[編集]35の国と地域の団体がアジアラグビーに加盟している[33]。そのうち、ワールドラグビー加盟が27[34]、アジアラグビーのみの加盟が8となる。
ワールドラグビー加盟国・地域(アジアラグビーにも加盟)
[編集]27の国と地域。年号はワールドラグビー加盟年。ワールドラグビー正規加盟協会(正会員):22、アソシエート加盟協会(準会員):5(年号の後の「*」印)
日本 (1987年)
大韓民国 (1988年)
香港 (1988年)
スリランカ (1988年)
マレーシア (1988年)
グアム (1998年)
シンガポール (1989年)
タイ王国 (1989年)
カザフスタン (1997年)
中華人民共和国 (1997年)
中華民国 (1998年)
インド (1999年)
ラオス (2004年)
モンゴル国 (2004年)
パキスタン (2008年)
フィリピン (2008年)
イラン (2010年)
アラブ首長国連邦 (2012年)
インドネシア (2013年)
ウズベキスタン (2014年)
ネパール (2020年)
カタール (2020年)
キルギス (2004年*)
ブルネイ (2013年*)
レバノン (2018年*)
ヨルダン (2020年*)
シリア(2022年*)
アジアラグビーのみの加盟国・地域
[編集]8つの国・地域
アジアラグビーに加盟していない国
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “ARFU ushers in a new era with change of name to Asia Rugby” (英語). South China Morning Post (2015年6月2日). 2024年3月9日閲覧。
- ^ “Rugby: ARFU changes name to Asia Rugby; follows World Rugby”. SportAsia. 2015年6月11日閲覧。
- ^ a b “日本ラグビー協会・岩渕健輔専務理事、アジア協会『副会長職資格停止』の処分について説明 「不当な内容」として撤回要請”. gooニュース. 2025年3月13日閲覧。
- ^ rugbyasia247 (2024年10月1日). “Asia Rugby’s Leadership & Governance Called Into Question With Damning World Rugby Independent Financial Audit” (英語). RugbyAsia247. 2025年3月13日閲覧。
- ^ a b “Asia Rugby exposed in damning World Rugby audit report | Daily FT” (English). www.ft.lk. 2025年3月13日閲覧。
- ^ “【ラグビー】岩渕健輔氏「アジアが大きく変わる一歩に」自身の職務停止問題に言及 - スポニチ Sponichi Annex スポーツ”. スポニチ Sponichi Annex. 2025年3月13日閲覧。
- ^ a b 編集ラグリパ編集部 (2025年3月12日). “日本協会・岩渕健輔専務理事がアジアラグビー副会長停職事案に言及。正式な手続きなく進行、当局から「説明がない」 - ラグビーリパブリック”. 2025年3月13日閲覧。
- ^ “エミレーツ航空、アジアラグビーへの支援を約束 - 36カ国でのラグビーの普及と魅力向上に向けた取り組み”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES (2024年9月30日). 2025年3月13日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2025年2月25日). “アジアラグビー、岩渕健輔副会長を職務停止 行動規範に抵触の可能性”. サンスポ. 2025年2月25日閲覧。
- ^ a b c “The Council and Asia Rugby Executive Committee” (英語). Asia Rugby. 2025年2月25日閲覧。
- ^ 日本放送協会 (2025年2月25日). “アジアラグビー 岩渕健輔副会長を職務停止に 行動規範に抵触か | NHK”. NHKニュース. 2025年2月25日閲覧。
- ^ “【ラグビー】何があった?アジア統括団体が岩渕副会長の職務を一時的に停止 日本協会「確認中」(スポニチアネックス)”. Yahoo!ニュース. 2025年2月25日閲覧。
- ^ “【ラグビー】日本協会「反する行為は一切ない」岩渕健輔氏のアジアラグビー副会長一時停職に見解(日刊スポーツ)”. Yahoo!ニュース. 2025年2月25日閲覧。
- ^ Rugby, Asia (2025年2月24日). “Asia Rugby Announcement : Suspension of Mr Kensuke Iwabuchi” (英語). Asia Rugby. 2025年2月25日閲覧。
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- ^ JRFU. “(2/28更新)アジアラグビーからの2/24付発表に対する当協会の見解について|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年2月28日閲覧。
- ^ “【ラグビー】岩渕健輔専務理事、副会長務めるARの職務停止に「何故そのようなことが出来るか、教えて頂きたいのが本音」(スポーツ報知)”. Yahoo!ニュース. 2025年3月12日閲覧。
- ^ JRFU. “(2/28更新)アジアラグビーからの2/24付発表に対する当協会の見解について|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年2月28日閲覧。
- ^ “【ラグビー】日本協会「ただちに撤回を要請」岩渕健輔氏の副会長職一時停止でARに文書送付(日刊スポーツ)”. Yahoo!ニュース. 2025年2月28日閲覧。
- ^ a b worldrugby.org. “ワールドラグビー声明: 日本ラグビーフットボール協会 岩渕健輔会長のアジアラグビー執行委員会からの一時的な解任処分について | ワールドラグビー”. www.world.rugby. 2025年4月23日閲覧。
- ^ a b 編集ラグリパ編集部 (2025年4月23日). “岩渕健輔氏のアジアラグビー停職処分についてワールドラグビーが調査。違反の示唆はないと結論。 - ラグビーリパブリック”. 2025年4月23日閲覧。
- ^ JRFU. “(4/24更新)アジアラグビーからの2/24付発表に対する当協会の見解について|日本ラグビーフットボール協会”. www.rugby-japan.jp. 2025年4月24日閲覧。
- ^ “アジアラグビーに謝罪要求 岩渕氏職務停止で日本協会(共同通信)”. Yahoo!ニュース. 2025年4月24日閲覧。
- ^ “岩渕副会長の処分解除 ワールドラグビーから通達―アジアラグビー(時事通信)”. Yahoo!ニュース. 2025年6月11日閲覧。
- ^ “アジアラグビー岩渕健輔副会長の職務停止処分解除 何の説明もないまま「何だったのか分からない…」 - スポニチ Sponichi Annex スポーツ”. スポニチ Sponichi Annex. 2025年6月11日閲覧。
- ^ 編集ラグリパ編集部 (2025年6月11日). “岩渕健輔氏のアジアラグビー副会長停職は解除。ガバナンス健全化へ、ワールドラグビーが監査委員会を設置。 - ラグビーリパブリック”. 2025年6月11日閲覧。
- ^ “Contact Us” (英語). Asia Rugby. 2025年2月25日閲覧。
- ^ Rugby, Asia (2024年11月2日). “elections to the Asia Rugby Executive Committee” (英語). Asia Rugby. 2025年2月25日閲覧。
- ^ Rugby, Asia (2024年3月2日). “Asia Rugby Bids Farewell, Pays Tribute to One of Its Resilient Leaders: Vela Tan” (英語). Asia Rugby. 2025年2月25日閲覧。
- ^ “Asanga Seneviratne Appointed as Independent Officer for Asia Rugby - Newsroom - S. Thomas' College, Mount Lavinia, Old Boys' Association” (英語). www.stcmloba.com. 2025年2月25日閲覧。
- ^ “Asia Rugby Calendar 2024 - Competitions” (英語). Asia Rugby. 2024年3月9日閲覧。
- ^ “「アジアラグビー男女オリンピック予選」日本開催決定のお知らせ”. JRFU. 2023年6月29日閲覧。
- ^ a b “Unions Archive” (英語). Asia Rugby. 2024年3月8日閲覧。
- ^ a b worldrugby.org. “アジアラグビー|ワールドラグビー”. www.world.rugby. 2024年3月9日閲覧。