アグラファ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

アグラファ: Agraphaギリシア語: αγραφον)とは、正典として認められている四つの福音書にはみられない、イエスの語録のことである。この名称は1776年ドイツ聖書学者J. G. ケルナーによって初めて使われた。

アグラファとみなされる条件[編集]

アグラファとは、これら三つの条件を満たすものである:

  • 語録であって、イエスについての論証ではない
    「ディダスカリア」、「ピスティス・ソフィア」のような作品、イエスについての記述はあっても、彼のことばを引用していないものは、アグラファではない。
  • イエスが語ったと、はっきり明記されている
    しかしながら、外典福音書、外典行伝、「アブガルに宛てたキリストの手紙」等々の信仰的創作に収められた語録は、アグラファではない。
  • 四福音書には含まれていない
    それゆえ、四福音書に含まれる語録への、単なる増補はアグラファではない。

アグラファの一例[編集]

カトリック教会によると、アグラファが本物であるためには、その証拠がなくてはならない。つまり、パピアス(Papias)、アレクサンドリアのクレメンスエイレナイオスそしてユスティノスなどの初期キリスト教の著述家が引用しており、そのアグラファの内容がイエスの教えとして正典福音書内になくてはいけない、ということである。

新約聖書[編集]

使徒行伝, 20:35: 主イエスの語った、「与えるのは、もらうことよりも幸いである」という言葉を忘れてはならない。

外典文書[編集]

Apostolic Church-Ordinance, 26: "For he said to us before, when he was teaching: That which is weak shall be saved through that which is strong."

フィリポ行伝(en) 34: "For the Lord said to me: Except ye make the lower into the upper and the left into the right, ye shall not enter into my kingdom."

教父文書[編集]

ユスティノスの『ユダヤ人トリュフォンとの対話』 47: "Wherefore also our Lord Jesus Christ said, In whatsoever things I apprehend you, in those I shall judge you."

アレクサンドリアのクレメンスの『ストロマテイス』 I, 24, 158: 「まず大いなるものを求めよ。そうすれば小さなものは、それに加えてあなたがたに与えられるであろう。」[1]

アレクサンドリアのクレメンスの『ストロマテイス』 I, 28, 177: 「実に聖書もまた、われわれがこのような弁証法的な存在となることを望み、こう勧告している。「思慮ある両替商たれ」。」[2]

アレクサンドリアのクレメンスの『ストロマテイス』 V, 10, 63: 「主がこう告げ知らせるのは妬みの故ではない」「わたしの神秘はわたしのため、またわたしの家の息子たちのためである」[3]

オリゲネスのエルサレムでの講話 XX, 3: "しかし、救い主自身、言っておられる、「私の近くにいる者は、火のそばにいる。私の近くにいない者は、御国から遠く離れている。」"

オクシュリュンコス・ロギア[編集]

[2] "Jesus saith, Except you fast to the world, you shall in no wise find the kingdom of God."

[3] "Jesus saith, I stood in the midst of the world, and in the flesh was I seen of them, and I found all men drunken, and none found I athirst among them, and my soul grieved over the sons of men, because they are blind in their heart, and see not."

[5] "イエスは言った, 「人が二人以上いる所では、彼らは神と共にいない。人が独りきりでいるところでは、私は言う、私は彼と共にいる。石を持ち上げよ、そこに私を見つけるだろう。木を裂いてみよ、そこに私はいる。」."

[6] "Jesus saith, A prophet is not acceptable in his own country, neither doth a physician work cures upon them that know him."

[7] "Jesus saith, A city built upon the top of a hill and stablished can neither fall nor be hid."

[8] "イエスは言った, 「汝は一つの耳で聞くのだ…」."

引用[編集]

  1. ^ 秋山 学 「アレクサンドリアのクレメンス : 『ストロマテイス』(『綴織』)第1巻 全訳」『文藝言語研究. 文藝篇』vol.63, pp.149、筑波大学文藝・言語学系、2013年[1]
  2. ^ 秋山 学 「アレクサンドリアのクレメンス : 『ストロマテイス』(『綴織』)第1巻 全訳」『文藝言語研究. 文藝篇』vol.63, pp.158、筑波大学文藝・言語学系、2013年[2]
  3. ^ 秋山 学 「アレクサンドリアのクレメンス : 『ストロマテイス』(『綴織』)第5巻 全訳」『文藝言語研究. 言語篇』vol.66, pp.99、筑波大学文藝・言語学系、2014年[3]

参考文献[編集]

  • The Catholic Encyclopedia-"Agrapha" - 1907, therefore free of copyright

外部リンク[編集]