アカデミー長編アニメ映画賞
アカデミー賞長編アニメ賞 Academy Award for Best Animated Feature | |
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国 | ![]() |
主催 | 映画芸術科学アカデミー |
最新受賞者 | 『ミラベルと魔法だらけの家』(2021年) |
公式サイト | https://www.oscars.org |
アカデミー長編アニメ賞(アカデミーちょうへんアニメしょう、Academy Award for Best Animated Feature)は、アカデミー賞の部門の一つで、その年アメリカで上映されたもっとも優れた長編アニメーション映画に与えられる。2001年から始まった。
ノミネート条件[編集]
長編アニメ賞については、通常のアカデミー賞のノミネート条件に加え、
- 上映時間が最低40分間以上であること(第82回以前は70分以上[1])
- 主要キャラクターがアニメーションで描かれていること
- 上映時間の75%以上をアニメーションが占めること
の3条件を満たすことが要件とされている[2]。
そのため、『LEGO ムービー』のように高い評価を受けながら実写パートが多かったため、ノミネートに至らなかった作品も存在する。
ノミネート作品の選出[編集]
2017年4月に発表されたルール改正で長編アニメも作品賞と同様、ノミネート作品を決める段階から全てのアカデミー会員が投票で選べるようになった。
それまでノミネート作品は、短編映画&長編アニメ部門に属するアカデミー会員が中心になって選び、全てのアカデミー会員が投票に参加するのは受賞作のみだった。[3][注 1]。
受賞とノミネート一覧[編集]
2000年代[編集]
2010年代[編集]
2020年代[編集]
年 | 作品 |
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2020年 (第93回) | |
ソウルフル・ワールド | |
2分の1の魔法 | |
フェイフェイと月の冒険 | |
映画 ひつじのショーン UFOフィーバー! | |
ウルフウォーカー | |
2021年 (第94回) | |
ミラベルと魔法だらけの家 | |
あの夏のルカ | |
ミッチェル家とマシンの反乱 | |
ラーヤと龍の王国 | |
FLEE フリー |
日本からの出品とその結果[編集]
2018年に『未来のミライ』がノミネートされるまでは、本選まで進んだ日本作品はいずれもスタジオジブリの作品のみであった。作品がノミネートするためには米国での劇場公開が前提とされるが、ノミネートを急ぐあまり米国内で十分な興行を得ることのないまま出品されるケースも多く(2006年『パプリカ』、2008年『スカイ・クロラ』など)、その手法は一部で疑問視されている[10]。
以下に日本からの出品作品(共同制作、合作含む)を記す。なお、2017年(第90回)までは他部門同様ショートリストが作成されていたが、2018年以降は応募要件を満たした作品全てをリストにして発表し、そこから一気にノミネーションまで絞る方法がとられている[11]。
2017年までは特記ない限りショートリスト入り(ノミネート落ち)、2018年以降は応募受理リスト入り(ノミネート落ち)。
ショートリスト(2000年代)[編集]
年 | 作品 | 監督 |
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2001年 (第74回) |
ファイナルファンタジー | 坂口博信 |
2002年 (第75回) |
千と千尋の神隠し 受賞[注 2] | 宮崎駿 |
2003年 (第76回) |
東京ゴッドファーザーズ | 今敏 |
劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス | 湯山邦彦 | |
千年女優 | 今敏 | |
2004年 (第77回) |
イノセンス | 押井守 |
2005年 (第78回) |
スチームボーイ | 大友克洋 |
ハウルの動く城 本選ノミネート | 宮崎駿 | |
2006年 (第79回) |
パプリカ | 今敏 |
2007年 (第80回) |
鉄コン筋クリート | マイケル・アリアス |
2008年 (第81回) |
ストレンヂア_無皇刃譚 | 安藤真裕 |
スカイ・クロラ | 押井守 | |
2009年 (第82回) |
崖の上のポニョ | 宮崎駿 |
ショートリスト(2010年代)[編集]
年 | 作品 | 監督 |
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2010年 (第83回) |
サマーウォーズ | 細田守 |
2011年 (第84回) |
(日本作品なし) | |
2012年 (第85回) |
コクリコ坂から | 宮崎吾朗 |
神秘の法 | 今掛勇 | |
2013年 (第86回) |
ももへの手紙 | 沖浦啓之 |
劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語 | 新房昭之 宮本幸裕 | |
風立ちぬ 本選ノミネート | 宮崎駿 | |
2014年 (第87回) |
かぐや姫の物語 本選ノミネート | 高畑勲 |
ジョバンニの島 | 西久保瑞穂 | |
2015年 (第88回) |
思い出のマーニー 本選ノミネート | 米林宏昌 |
バケモノの子 | 細田守 | |
UFO学園の秘密 | 今掛勇 | |
2016年 (第89回) |
KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV | 野末武志 |
百日紅 〜Miss HOKUSAI〜 | 原恵一 | |
レッドタートル ある島の物語 本選ノミネート | マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット | |
君の名は。 | 新海誠 | |
2017年 (第90回) |
この世界の片隅に | 片渕須直 |
メアリと魔女の花 | 米林宏昌 | |
ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜 | 神山健治 | |
映画 聲の形 | 山田尚子 | |
劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール- | 伊藤智彦 |
出品(2010年代)[編集]
年 | 作品 | 監督 |
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2018年 (第91回) |
打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? | 武内宣之 |
宇宙の法—黎明編— | 今掛勇 | |
リズと青い鳥 | 山田尚子 | |
夜明け告げるルーのうた | 湯浅政明 | |
ムタフカズ -MUTAFUKAZ- | ギョーム・“RUN”・ルナール 西見祥示郎 | |
さよならの朝に約束の花をかざろう | 岡田麿里 | |
未来のミライ 本選ノミネート | 細田守 | |
夜は短し歩けよ乙女 | 湯浅政明 | |
2019年 (第92回) |
海獣の子供 | 渡辺歩 |
若おかみは小学生! | 高坂希太郎 | |
プロメア | 今石洋之 | |
天気の子 | 新海誠 |
出品(2020年代)[編集]
年 | 作品 | 監督 |
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2020年 (第93回) |
劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 | 外崎春雄 |
ルパン三世 THE FIRST | 山崎貴 | |
音楽 | 岩井澤健治 | |
アーヤと魔女 | 宮崎吾朗 | |
きみと、波にのれたら | 湯浅政明 | |
泣きたい私は猫をかぶる | 佐藤順一・柴山智隆 | |
2021年 (第94回) |
竜とそばかすの姫 | 細田守 |
漁港の肉子ちゃん | 渡辺歩 | |
ジョゼと虎と魚たち | タムラコータロー | |
宇宙の法-エローヒム編- | 今掛勇 | |
映画大好きポンポさん | 平尾隆之 | |
えんとつ町のプペル | 廣田裕介 |
なお、本賞設立以前にアカデミー外国語映画賞に日本のアニメーション作品が出品されたことがあるが、いずれもノミネートには至らなかった。第67回に出品された『平成狸合戦ぽんぽこ』(高畑勲)と、第70回に出品された『もののけ姫』(宮崎駿)である。第92回には本部門と重複する形で『天気の子』(新海誠)が出品されている。詳細はアカデミー外国語映画賞日本代表作品の一覧を参照。
受賞記録[編集]
制作会社[編集]
制作会社 | 受賞回数 | ノミネート
回数 |
受賞作品 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ピクサー・アニメーション・スタジオ | 11 | 15 | 『ファインディング・ニモ』以降多数 | 最多受賞・最多ノミネート |
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ | 3 | 11 | 『アナと雪の女王』
『ベイマックス』 『ズートピア』 |
|
ドリームワークス・アニメーション | 2 | 13 | 『シュレック』 | 『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』はアードマン・アニメーションとの共同制作。 |
スタジオジブリ | 1 | 6 | 『千と千尋の神隠し』 | ノミネート作品のうち3作品が宮崎駿監督作品。 |
ソニー・ピクチャーズ・アニメーション | 1 | 3 | 『スパイダーマン:スパイダーバース』 | 同年にピクサー作品とディズニー作品がノミネートされていた年で、他社を抑えての受賞は初。 |
アードマン・アニメーションズ | 1 | 4 | 『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』 | |
ニコロデオン・ムービーズ | 1 | 2 | 『ランゴ』 | |
ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
Kingdom Feature Productions |
1 | 1 | 『ハッピー フィート』 | |
ライカ | 0 | 6 | 受賞経験のないスタジオの中では最多ノミネート回数。 |
監督[編集]
複数回受賞した監督はすべてピクサー所属。
最多受賞・最多ノミネート
- ピート・ドクター (『カールじいさんの空飛ぶ家』『インサイド・ヘッド』『ソウルフル・ワールド』で3回受賞・ノミネート4回)
2回受賞
- ブラッド・バード(『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』で受賞、ノミネート3回)
- アンドリュー・スタントン (『ファインディング・ニモ』『ウォーリー』で受賞、ノミネート2回)
- リー・アンクリッチ (『トイ・ストーリー3』『リメンバー・ミー』で受賞、ノミネート2回)
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
- ^ “来年のアカデミー賞、時代の波に乗って特撮を5部門に増設!劇場用アニメも間口が広がる”. シネマトゥデイ (2010年7月15日). 2010年8月8日閲覧。
- ^ 80th annual Academy Awards of merit・RULE SEVEN 'SPECIAL RULES FOR THE BEST ANIMATED FEATURE FILM AWARD'
- ^ “アカデミー賞アニメ部門のルール変更!日本アニメは不利に?”. シネマトゥデイ. (2017年4月10日) 2018年1月27日閲覧。
- ^ “「アカデミー賞長編アニメ、5年ぶり日本勢ノミネートなし…ルール変更の逆風直撃か」”. シネマトゥデイ. (2018年1月23日) 2018年2月13日閲覧。
- ^ “Nominees for the 86th Academy Awards”. 映画芸術科学アカデミー. 2014年1月17日閲覧。
- ^ “Nominees for the 87th Academy Awards”. 映画芸術科学アカデミー. 2015年2月23日閲覧。
- ^ “88th Academy Awards Nominees”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences. 2016年1月14日閲覧。
- ^ “Animated Feature Film - Oscar Nominees 2017”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences. 2017年1月25日閲覧。
- ^ “Animated Feature Film - Oscar Nominees 2018”. 90th Academy Awards. Academy of Motion Picture Arts and Sciences. 2018年2月25日閲覧。
- ^ 「スカイ・クロラ」「ストレンヂア」米アカデミー賞ノミネート候補に(2008年11月11日)、アニメ!アニメ!。
- ^ 第93回アカデミー賞のノミネーション候補は?国際長編映画部門など9部問のショートリストが発表 - MOVIE WALKER PRESS
外部リンク[編集]
- Academy of Motion Picture Arts and Sciences - 映画芸術科学アカデミー公式サイト(英語)
- The Oscars - アカデミー賞授賞式公式サイト(英語)
- Oscar Legacy - アカデミー賞各年の概要(公式サイト)(英語)
- The Official Academy Awards Database - アカデミー賞公式データベース(英語)
- Academy Awards - インターネット・ムービー・データベース (英語)
- アカデミー賞 - allcinema (日本語)
- Spirited Away Wins Animated Feature: 2003 Oscars - YouTube 「千と千尋の神隠し」長編アニメ映画賞(受賞映像)