ルリマツリ

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ルリマツリ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク上群 superasterids
: ナデシコ目 Caryophyllales
: イソマツ科 Plumbaginaceae
: ルリマツリ属 Plumbago
: ルリマツリ P. auriculata
学名
Plumbago auriculata Lam.
シノニム
和名
ルリマツリ
英名
Leadwort[1], Cape Plumbago[1][2]

ルリマツリ(瑠璃茉莉[2]学名Plumbago auriculata)は、イソマツ科ルリマツリ属植物[1][3][4]。大きな空色花弁を付ける[4][5]、観賞用植物である[5]。別名はアオマツリ[3][5]

特徴[編集]

南アフリカ原産の植物であり[3][4]、南アフリカでは自生している[1]。幹は直立し[1][2][6]、枝分かれし、先端はややつる状になる[1][2][4]多年生草本とする文献[5]と、低木とする文献がある[3][4][6]。高さは1.5 m[5]ほどであるが、放任すると4 - 5 mまで生長する[7]

は互生し[3][6]、長楕円形[1][2][3][4][6]またはへら[1][3][6]で、長さは5[1][2][6] - 6 cmである[4]。鈍頭であるが、先端はややとがる[1]。短い葉柄を持つ[6]

はかたまって咲き[8]、長さ5 cm、直径2.5 cmで、5つの空色[4][5][8](淡青色[1][6])の花弁を持つ[4]白色品種「アルバ」、薄紫色の品種「ブルームーン」もある[9]。花筒は長く[1][4][6]、3 - 4 cmになり、基部に粘性を帯びた短毛が密集する[7]。穂状花序[2]春から秋にかけてよく開花し[2][3][6][7][9]、長期にわたって咲き続ける[6](がく)は筒状で5裂し[1][6]、裂片は倒卵形をとる[6]。萼には柔毛がある[3]蒴果(さくか)は長楕円形で[1][3]、5室ある[3]染色体数は2n=14[3]

属名Plumbagoラテン語で「」を、種形容語 auriculata(アウリクラータ)は「耳形の」を意味する[7]シノニムPlumbago capensis で、種形容語 capensis は「喜望峰産の」という意味である[1]和名のルリマツリ(瑠璃茉莉)のルリは花の色、マツリはマツリカジャスミン)に似た花の姿に由来する[10]

栽培[編集]

花壇に植えられたルリマツリ(筑波実験植物園)

ルリマツリ属の中では最も市場に出回る種である[9]ブルームーンの名で流通することもある[9]。南アフリカ原産であり、熱帯では露地栽培、温帯では温室栽培される[4]。ヨーロッパへの移入は1818年のことである[3]。鉢植えもできるが、温室栽培が一般的である[7]北半球の温帯では温室で越冬させ、5月頃に花壇に移植し、夏から晩秋にかけて花を楽しむことができる[6]。日光を好み、水はけのよい土壌を好むため[8]、日当たり不良で多湿な環境の場合、茎や葉が伸びて容易に花が咲かなくなることがあるので、植木鉢のまま花壇に埋めてしまう方法もある[2]

ほぼ1年を通して花が咲き、特に春から秋にかけて咲きやすい[7]。開花後に剪定する[2][9]。冬季は7 - 8以上に保つ必要がある[7]。常緑性であるが、日本では冬の寒さで葉が枯れてしまうことも少なくない[10]

挿し木(挿し芽[2])で増やすのが一般的であるが、根茎で増やすこともできる[7]。挿し木の場合、2 - 8月に[2]若い新条の先端を5 - 6 cmに切って砂に挿す[2]。古株の場合は4 - 5月頃に植木鉢から抜いて株分けする[2]。生育速度は速い[8]

実生の場合、2 - 3月にピートを混ぜた床にまき、15 - 21℃を保つ必要がある[2]。ただし日本ではほとんど種子が採取できない[6]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 林・古里 監修 1986, p. 296.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 本田・林・古里 監修 1984, p. 362.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 小学館 1989, p. 297.
  4. ^ a b c d e f g h i j k フラグマン 1997, p. 202.
  5. ^ a b c d e f 日外アソシエーツ株式会社 編 2008, p. 748.
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 浅山・太田・二口 1977, p. 42.
  7. ^ a b c d e f g h 塚本 監修 1984, p. 705.
  8. ^ a b c d 英国王立園芸協会 監修 1992, p. 173.
  9. ^ a b c d e 草土出版編集部 編 2000, p. 112.
  10. ^ a b ルリマツリとは”. ヤサシイエンゲイ. 2019年10月11日閲覧。

参考文献[編集]

  • 浅山英一・太田洋愛・二口善雄『原色図譜 園芸植物 温室編』平凡社、1977年4月25日、379頁。 全国書誌番号:77024039
  • フラグマン, オーリー 著「ルリマツリ」、週刊百科編集部 編 編『朝日百科 植物の世界 7 種子植物 双子葉類7』朝日新聞社、1997年10月1日、320頁。ISBN 4-02-380010-4 
  • 草土出版編集部 編 編『花図鑑 観葉植物・熱帯花木 サボテン・果樹』草土出版、2000年9月11日、304頁。ISBN 4-7952-9570-0 
  • 日外アソシエーツ株式会社 編 編『植物3.2万 名前大辞典』日外アソシエーツ株式会社、2008年6月25日、772頁。ISBN 978-4-8169-2120-9 
  • 英国王立園芸協会 監修、クリストファー・ブリュッケル 責任編集、塚本洋太郎 監訳 編『すべての園芸家のための花と植物百科』同朋舎出版、1992年3月19日、667頁。ISBN 4-8104-1013-7 
  • 塚本洋太郎 監修 編『原色花卉園芸大事典』養賢堂、1984年12月10日、863頁。 全国書誌番号:85027495
  • 林弥栄・古里和夫 監修 編『原色世界植物大圖鑑』北隆館、1986年4月20日、902頁。 全国書誌番号:87051214
  • 本田政次・林弥栄・古里和夫 監修 編『原色園芸植物大圖鑑』北隆館、1984年5月20日、862頁。 全国書誌番号:85015870
  • 『園芸植物大事典 4』小学館、1989年7月10日、622頁。ISBN 4-09-305104-6 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]