めぐりん (岡山市)

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めぐりんは、八晃運輸岡山県岡山市中心部で運行する路線バス(市内循環バス)の愛称。

概要[編集]

タクシー事業者の八晃運輸が2012年(平成24年)7月20日から運行開始した市内循環型の路線バスで、岡山市内の主要施設を結ぶ。規制緩和により2002年に道路運送法等が改正され、需給調整規制を前提とした免許制から、輸送の安全等に関する資格要件をチェックする許可制へ移行したことを受け、新規事業として参入したものである[1]。運行拠点は岡山市南区藤田にある「バス事業部岡山営業所」で、他に、岡山市北区京町地内に待機場がある。

1km 圏内の運賃を100円均一として[1]、競合する市内バス路線(両備バスなど)や路面電車(岡山電気軌道)よりも安価な運賃を打ち出し、競争力を高めているが、他社の競合路線への新規参入により軋轢を生じさせ、行政訴訟に至っているケースもある(#益野線をめぐる動向を参照)。また、頻繁に路線変更やルート変更が行われている。

路線[編集]

以下の5路線を運行している。実際にはこれ以上に路線申請を行っているという[1]岡山駅前は、医大右線・県庁医大線・日赤線は岡山駅前バスステーション6番のりば(ドレミの街前)の隣から、医大左線・京橋線は岡山駅前バスステーション9番のりば(岡山高島屋口)の隣から発着する。

医大右線
岡山駅前 → 柳川西 → NTT岡山前 → 新西大寺町筋 → 大雲寺前 → 東中央町 → 清輝橋 → 大学病院入口(起終点)→ 水道局前 → 市役所前山陽新聞社TSC前→ イオンモール岡山前 → 岡山駅前
県庁医大線
岡山駅前 → 柳川西 → 柳川 → 表町入口 → 城下→ 中銀本店西 → 中銀本店前 → 県庁前 → 県庁南 → 中電前 → 栄町→ 西大寺町 → 千日前 → 大雲寺前 → 東中央町 → → 清輝橋 → 大学病院入口(起終点) → 水道局前 → 市役所入口 → 山陽新聞社・TSC前 → イオンモール岡山前 → 岡山駅前
益野線(一部停留所省略)
岡山駅前 → 柳川西 → 柳川 → 表町入口 → 城下→ 中銀本店西 → 中銀本店前 → 県庁前 → 古京 → 門田屋敷 → 山陽女子中学・高校前 → セレマ前 → 東山 → 東山交番前 → 護国神社前 → 池の内 → 益野 → 松崎 → 川井 → 新橋北・新橋南 → (以下、古京まで折り返し)→ 県庁東 → 中電前 → 栄町 → 田町二丁目 → 柳町一丁目 → イオンモール岡山前 → 岡山駅前
医大左線
岡山駅前 → 高島屋前 → 錦町 → イオンモール岡山前 → 山陽新聞社・TSC前 → 市役所前 → 水道局前 → 大学病院入口 → 清輝橋 → 東中央町(起終点)→ 大雲寺前 → 新西大寺町筋 → NTT岡山前 → 柳川西 → 岡山駅前
京橋線
岡山駅前 → 高島屋前 → 錦町 → イオンモール岡山前 → 山陽新聞社・TSC前 → 市役所入口 → 大雲寺前(起終点)→ 千日前 → 新京橋西詰 → 西大寺町 → 中銀前 → 表町入口 → 柳川 → 柳川西 → 岡山駅前
日赤線
岡山駅前 → 柳川西 → NTT岡山前 → 新西大寺町筋 → 大雲寺前 → 東中央町 → 清輝橋 → 大学病院入口 → 精神科医療センター西 → 東古松二丁目 → 大元駅前 → 西古松 → 大元一丁目 → 大元二丁目 → 下中野北 → 新保 → 富田 → 日赤病院入口(北側) → 日赤病院(病院敷地内) → 日赤病院入口(南側) → 岡南小学校前 → 南高入口 → 清輝橋 → 大学病院入口 → 水道局前 → 市役所前 → 山陽新聞社・TSC前→ イオンモール岡山前 → 岡山駅前

運賃と乗り方[編集]

運賃は「益野線」「日赤線」の一部区間を除き1乗車100円均一(未就学児以外同額)。循環便でない途中止まりの便に終点まで乗り、「乗継券」を受け取って後続便に乗り継いだときは追加運賃不要で乗り継ぎが出来る[2]。「益野線」の東山交番前 - 新橋北・新橋南間での乗降を含む乗車は250円(小学生130円)。「日赤線」の精神医療センター西→日赤病院→南高入口間での乗降を含む乗車は200円。

乗降方法は、運行開始当初は他の岡山地区の路線バスと異なり「前乗り前払い中降り」制(「日赤線」の運賃支払いは事前申告制)を採用していたが、現在は他の岡山地区の路線バスと同様の「中乗り前降り後払い」制を採用し、均一路線を含めて全区間整理券制としている。

11枚綴り1000円の回数券や、100円区間内が1ヶ月3000円で乗り放題のフリーパス(定期券)も発売されている。100円区間以外を利用するときは、差額を現金で支払う。

使用車両[編集]

日野・ポンチョ(SKG-HX9JLBE)ロングを使用している。

予備車として、富士重工8Eボディ架装の日産ディーゼル・RN(KK-RN252CNS)が1台在籍する。なお富士重工製ボディのKK-RNは、この1台のみ製造されたものとなっている(他は西日本車体工業製ボディ)。

沿革[編集]

  • 2012年7月20日 - 岡山市内循環バス「めぐりん」運行開始[3]。「Aルート(現・医大右線)」と「Bルート(現・医大左線)」の2系統運行。1日の運行本数は共に55便。
  • 2013年2月25日 - ダイヤ改正。Aルート71便、Bルート56便に増便[4]
  • 2013年8月8日 - 「京橋めぐりん(現・京橋線)」運行開始。1日の運行本数は、「Cルート(外回り)」72便、「Dルート(内回り)」63便。従来の「めぐりん」は「医大めぐりん」に改称しダイヤ改正。1日の運行本数は外回り90便に増便、内回り56便で変更なし[5]
  • 2013年10月17日 - 「京橋めぐりん」ダイヤ改正。1日の運行本数は、Cルート84便、Dルート64便[6]
  • 2015年2月25日 - 「県庁めぐりん」(Eルート)運行開始。ルートは岡山駅前 → 西川筋 → 農業会館前 → 中国銀行本店前 → 県庁前 → あくら通り → 栄町 → 柳町 → イオンモール岡山前 → 岡山駅前の一方向。同時に「京橋めぐりん」のDルートを県庁経由に変更。1日の運行本数は、Eルート35便、Dルート74便[7]
  • 2016年5月29日 - ダイヤ改正。県庁経由のDルートとEルートをNTT岡山経由に変更。
  • 2016年4月1日 - ダイヤ改正。Bルートを日赤病院まで延伸して「日赤めぐりん」に変更、Eルートを清輝橋 - 岡山駅前 - 表町入口間の折り返し路線「清輝橋~表町入口線」に変更。「県庁京橋めぐりん」(Cルート)、「京橋めぐりん」(Dルート)を運休。
  • 2016年7月20日 - ダイヤ改正。系統表記を「○○線」の形に統一。「日赤めぐりん」を休止し、「医大右線」(Aルート)・「医大左線」(2016年3月までのBルート)・「京橋経由医大左線」・「県庁経由医大右線」・「清輝橋~県庁線」(Eルートを一部延長)「医大右経由日赤線」に再編。
  • 2017年4月6日 - ダイヤ改正。「清輝橋~県庁線」を廃止し、5路線に再編。
  • 2018年4月27日 - 益野線運行開始[8]

益野線をめぐる動向[編集]

八晃運輸は2017年3月30日[1]、「めぐりん」の新規路線として、岡山市中心部と岡山市東区西大寺地区を結ぶ路線「益野線」の新設を国土交通省中国運輸局に申請した[9][10]

益野線の申請ルートの多くが、両備バス岡山西大寺線および岡山電気軌道(岡電)東山線と重複するルートであり[1][11]、運賃も両備バス(西大寺まで400円)や岡電バス(東山まで140円)よりも格安に設定された[1][12]。当初は2017年10月の運行開始を予定していた。

両備バス(両備ホールディングス)にとって、岡山市中心部と西大寺地区を結ぶバス路線は、前身の西大寺鉄道時代から「100年以上にわたって沿線開発をしてきた伝統的路線」として位置づけられており、繁忙期には5分間隔での運行が行われるなど、同社のドル箱路線ともなっている[9]

和歌山電鐵をはじめ、公共交通の再生にも取り組んできた両備ホールディングスは、3・4割ほどの黒字路線で残りの赤字路線の損失を補填し、路線の維持に努めてきたと説明しているが[13][9]、ドル箱路線への「めぐりん」参入により年間3億円近い減収が見込まれ[9]、赤字路線の維持が困難になるとして、2018年2月8日に両備グループ傘下の31路線(両備バス全36路線中の18路線と、岡電バス全42路線中の13路線)について、一斉に廃止届を中国運輸局に提出した[11]

両備ホールディングスの小嶋光信代表は、記者会見の席上で「地域の交通網を守らないと地方創生などあり得ないという信念でやっている」「廃止するために廃止届を出したわけではない」と強調し、新路線の認可がされなければ、廃止届を取り下げると説明した[9]

しかし中国運輸局は、両備ホールディングスの記者会見の行われた8日の午後、八晃運輸に対して益野線の新路線開設申請を認可。中国運輸局は認可について「あくまでも道路運送法の基準に照らして判断した」としているが、両備ホールディングス側は「なにゆえ認可を急がれたのかその真意がわからない」とこれに反発した[14]

一方の八晃運輸側は、公式サイト上で代表取締役の成石敏昭の署名入りコメントを発表し、益野線(岡山西大寺線)への参入について「健全な競争により市場を活性化させ、より充実したサービス提供を行わせていただくこと」と主張、両備グループの廃止方針については直接的な言及を避けつつも「黒字路線が赤字路線をカバーすることも、各路線によって利用客数も自ずと異なることから、一定程度はやむを得ない」としながらも、「黒字路線で赤字路線をカバーするという事態が行き過ぎれば、黒字路線の利用客は、自由な競争が行われていない条件下では、不当に高い運賃を負担するという事態に陥ってしまいます」と、道路運送法で定めた「(運賃は)能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものである」とする制度設計とも矛盾が生じかねないと主張している[15][16]

今回の「めぐりん」新規参入に起因する、両備グループによる赤字路線の一斉廃止届提出という「強硬手段」については様々な議論を巻き起こしており、政策コンサルタントの室伏謙一は、日本において交通権が明確に確立しておらず、公共交通独立採算制の民間サービスとして捉えていることが問題であるとして、公共交通を公共サービスとして位置付けて独立採算制を前提とする制度を全般的に見直すことが必要であり、そのために道路運送法や鉄道事業法等の大改正が必要と述べている[17]。一方、鉄道関連の記事を多く執筆するフリーライターの杉山淳一は、今回の両備グループの手法について「顧客を不安がらせて、行政から納得できる答えを引き出す」というやり方であると指摘し、両備グループの戦術が間違っていると指摘している[18]

なお、両備グループの31路線の廃止届については、関係する自治体である岡山市・倉敷市瀬戸内市玉野市が廃止届の撤回を要請し[19]石井啓一国土交通大臣が2月13日に行われた閣議後の記者会見の席上で、地域協議会に参画して積極的に協力を行うことを明言したこと[20]などを踏まえ、3月15日に廃止届の取り下げを中国運輸局に提出した[21]

その一方で、両備グループは国に対し、八晃運輸への事業計画変更申請について「認可の前提となる『(八晃運輸による)停留所設置のための道路占用許可』に瑕疵があるため認可は違法である」として、4月17日付で認可処分の取消を求めて提訴している[22]

これと並行して、両備バスはめぐりん運行開始に先立つ2018年4月9日に西大寺地区のダイヤ改正を行い、土曜・休日のみ運行だった「岡山駅 - 海吉線」を区間変更して毎日運転の「岡山駅前 - 益野西線」とした上で、岡山駅行きをイオンモール経由とする、さらに東山での路面電車乗り継ぎのための情報提供を行う[23]など、「めぐりん」を念頭に置いた新たな路線設定を行っている。

益野線は2018年4月27日に運行を開始することになったが、両備ホールディングスの主要労働組合である両備バス労働組合が「めぐりん(八晃運輸)の参入により両備バスの著しい業績悪化が見込まれ、組合員の賃金・雇用に影響を及ぼす」として、両備バス西大寺線をはじめとする両備バスの一般路線全線でのストライキ(運行休止)を通告[24]。会社側と組合の交渉の結果、「運行休止ストライキ」ではなく、両備バス西大寺線と岡電東山線に限った「集改札ストライキ」に変更し、4月26日・27日に運賃の収受を行わないストライキが行われた[8]

両備バス労働組合による一連の動きについては、沿線の岡山大学附属小学校が臨時休校を決め、その他の沿線住民にも混乱が生じるなどの波紋を残した[8]ほか、岡山県知事伊原木隆太[25]、岡山市長の大森雅夫[26]が、定例記者会見の席上でストライキという手法への懸念を表明している。

参考資料[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 伊藤 2018, p. 2.
  2. ^ めぐりんの乗り方”. めぐりん公式サイト. 2018年3月17日閲覧。
  3. ^ 運行開始日決定”. 岡山市内中心部100円均一循環バス「めぐりん」のニュースです。 (2012年6月26日). 2018年3月17日閲覧。
  4. ^ 2/15ダイヤ改正”. 岡山市内中心部100円均一循環バス「めぐりん」のニュースです。 (2013年2月11日). 2018年3月17日閲覧。
  5. ^ 8月8日 京橋めぐりん運行開始 同時に医大めぐりんも増便”. 岡山市内中心部100円均一循環バス「めぐりん」のニュースです。 (2013年8月3日). 2018年3月17日閲覧。
  6. ^ 京橋めぐりんダイヤ改正(10月17日)”. 岡山市内中心部100円均一循環バス「めぐりん」のニュースです。 (2013年10月14日). 2018年3月17日閲覧。
  7. ^ 県庁めぐりん誕生”. 岡山市内中心部100円均一循環バス「めぐりん」のニュースです。 (2013年10月14日). 2018年3月17日閲覧。
  8. ^ a b c “循環バス「めぐりん」益野線、運行開始 利用者ら戸惑いと歓迎 両備バス「集改札スト」実施 /岡山”. 毎日新聞. (2018年4月28日). https://mainichi.jp/articles/20180428/ddl/k33/020/585000c 2018年4月29日閲覧。 
  9. ^ a b c d e “バス、収益路線参入に抗議 両備「赤字路線維持できぬ」”. 日本経済新聞. (2018年2月26日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27291970T20C18A2ML0000/ 2018年3月18日閲覧。 
  10. ^ 新路線の申請を提出いたしました”. 岡山市内中心部100円均一循環バス「めぐりん」のニュースです。 (2017年4月6日). 2018年3月18日閲覧。
  11. ^ a b “両備グループ 路線バスの廃止届提出について” (プレスリリース), 両備ホールディングス, (2018年2月22日), https://www.ryobi-holdings.jp/rosenbus-okayama/master/wp-content/uploads/2018/02/b98f5a7348b85d1db4edafcf5e821d70.pdf 2018年3月18日閲覧。 
  12. ^ “岡山市内のバス新路線、競合に認可、両備は反発”. 日本経済新聞. (2018年2月10日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26766970Z00C18A2LC0000/ 2018年3月18日閲覧。 
  13. ^ 伊藤 2018, p. 3.
  14. ^ “格安バス 中国運輸局、参入を認可 両備グループは反発 /岡山”. 毎日新聞. (2018年2月10日). https://mainichi.jp/articles/20180210/ddl/k33/020/506000c 2018年3月18日閲覧。 
  15. ^ “八晃運輸、「健全な競争」強調 バス路線参入で説明文”. 日本経済新聞. (2018年3月2日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27642670S8A300C1LC0000/ 2018年3月18日閲覧。 
  16. ^ 弊社の新路線開設について”. 岡山市内中心部100円均一循環バス「めぐりん」のニュースです。 (2017年4月6日). 2018年3月18日閲覧。
  17. ^ 室伏謙一 (2018年3月7日). “岡山でバス31路線廃止届け出の衝撃、日本の公共交通はここがおかしい”. ダイヤモンド・オンライン. 2018年3月21日閲覧。
  18. ^ 杉山淳一 (2018年2月23日). “両備グループ「抗議のためのバス廃止届」は得策か?”. ITmediaビジネスオンライン. 2018年3月21日閲覧。
  19. ^ “両備HD、バス路線の廃止届を撤回へ 「不安解消する」”. 産経新聞. (2018年3月14日). http://www.sankei.com/west/news/180314/wst1803140090-n1.html 2018年3月21日閲覧。 
  20. ^ 石井大臣会見要旨(2018年2月13日)”. 国土交通省 (2018年2月13日). 2018年3月21日閲覧。
  21. ^ “両備のバス路線廃止届取り下げ グループ2社が運輸局に提出”. 山陽新聞. (2018年3月15日). http://www.sanyonews.jp/article/683964 2018年3月21日閲覧。 
  22. ^ “国土交通省および岡山市宛抗議書” (プレスリリース), 両備ホールディングス, (2018年4月20日), https://www.ryobi.gr.jp/news/4831/ 2018年4月29日閲覧。 
  23. ^ 2018年4月9日(月) 【西大寺地区】ダイヤ改正に関して(4/4更新)”. 両備バス(両備ホールディングス) (2018年4月4日). 2018年5月9日閲覧。
  24. ^ “ストライキ予告通知書の受理について” (プレスリリース), 両備ホールディングス, (2018年4月17日), https://www.ryobi.gr.jp/news/4814/ 2018年4月29日閲覧。 
  25. ^ “両備バス労組のストに知事が疑問 会見で「良いやり方なのか」”. 山陽新聞. (2018年4月27日). http://www.sanyonews.jp/article/706344 2018年4月29日閲覧。 
  26. ^ “両備バス ストライキ 岡山市長「市民の足奪われ残念」/岡山”. 毎日新聞. (2018年4月25日). https://mainichi.jp/articles/20180425/ddl/k33/020/408000c 2018年4月29日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]