へしこ
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へしことは、青魚に塩を振って塩漬けにし、さらに糠漬けにした郷土料理、および水産加工品である。若狭地方(福井県)および丹後半島の伝統料理で、越冬の保存食として重宝されている。若狭の特産品・土産物として、漬け込む魚の種類も「鰯へしこ」「河豚へしこ」などが加わり、福井県で親しまれている。糠を軽く落とし火で炙ったものはお茶漬けや酒の肴に良い。新鮮なものであれば刺身で食べることもできる。
現代では塩と米糠だけでなく、塩漬け後に生じる魚醤、醤油、味醂、焼酎、酒粕なども味付けに用いる。こうした漬けダレの配合比率や、生産する地域の気候により、味は製造業者ごとで微妙に異なる[1]。
同じく魚を糠漬けにする料理として、北海道の釧路や厚岸、根室方面ではニシンやサンマを使った糠ニシンや糠サンマがあり、へしこの調理法が北前船によって現地に伝わり広まったと言われている[2]。
語源[編集]
名前の由来については、漁師が魚を樽に漬け込むことを「へし込む」と言ったことから、「へし込まれた物」が略されて「へしこ」となったという説、魚を塩漬けにする際に滲み出てくる水分のことを「干潮(ひしお)」と呼んだことから、これが訛ったものであるとする説、アイヌ語で「へしこ(pe-si-kor)」=「滲み出てくる水分が・それ(味、保存性)を・産む」に由来する説(萱野茂『アイヌ語辞典』)などがある。
その他[編集]
2007年12月、「さばのへしこ」として、農山漁村の郷土料理百選の一つに選定された。
また、若狭地方の美浜町にはゆるキャラのへしこちゃんが存在する。同町では、海水浴客の減少を受けて1997年から名物料理検討委員会で地域おこしに使える郷土食を議論して、鯖のへしこを重点を置くこととした。濃厚なうま味を生かして、洋風料理の具にも使っている(スパゲティ、カルパッチョ、サンドイッチ、キッシュなど)[1]。
2015年(平成27年)4月24日、「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群 - 御食国(みけつくに)若狭と鯖街道 - 」の構成文化財として日本遺産に認定される[3]。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ a b 【仰天ゴハン】洋風へしこグルメ(福井県美浜町)雪国の保存食 濃いうまみ『読売新聞』日曜朝刊別刷り「よみほっと」1-2面(2019年6月30日)2019年7月23日閲覧。
- ^ 2011.10.27.OA ヒミツのごちそう「道東に住む北海道民は、サンマをぬか漬けにして食べる!?」 - 読売テレビ・秘密のケンミンSHOW
- ^ “海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群”. 文化庁. 2020年9月19日閲覧。