ぶりっ子

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ぶりっ子(ぶりっこ)は、性格類型のひとつ。ぶりとは振るから来ており(大辞泉)、何らかの振りをしているの意味で、主に女性が異性の前で無知なふりをして甘えている、非力のふりをしている、わざとらしい女らしさ(愛らしさ、可愛らしさ)のアピールをしている(「猫を被る」と同義)と解釈した人間がこれに対し、否定的な見解を示す時に使われる言葉。

ぶりっ子の中でも、本当は知っているのに知らないふりをするふるまい、初心(うぶ)らしく振る舞う女性をカマトト(蒲魚。語源には諸説あるが、知らぬふりをして「かまぼこっておとと(魚)からできているの?」という台詞からきているという説がある)とも言う。ただし、「カマトト」という言葉そのものは「ぶりっこ」以前から存在し、元々は江戸末期に上方の遊郭で、初心なふりをする遊女に対して使われていた[1]

歴史[編集]

1979年の時点で江口寿史の代表作『すすめ!!パイレーツ』に「かわい子ぶりっこ」という言葉が登場している。「かわいい子ぶるかわいいふりをする」を、江口が独自に変化させた言葉だと考えられる。これがマスコミで「ぶりっ子」という言葉が最初に使用された例とされている。なお、この時に「ぶりっ子」として描かれたのは石野真子である(作中の登場人物が、石野真子の姿を真似て「わかんないですぅ」と言う)。これがアイドル歌手の松田聖子(1980年デビュー)の人気と共に世間に広がったと見られる。詳細は後述。

と「江口寿史が『すすめ!!パイレーツ』の中で石野真子に対して「ぶりっ子」という言葉を初めて使った」と長年雑学などで語られていたが、雑学ライター杉村喜光が調査した処、漫画の中でそのような事実は存在しない事が明らかになった。さらに江口寿史もその事に関して「使っていない」と言及している。 その経緯は杉村喜光の漫画「異名・ニックネーム辞典:広告漫画(https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=manga&illust_id=63167151 )」のその11〜13で描かれている。 それによると、江口寿史は個人的に「ぶりっ子」という単語を1978年秋頃から仲間内で使っており、1980年に漫画の中でアシスタントのにしわきぐりんに対して使ったのが最初だと証言している。石野真子は漫画に登場しているが、彼女に対して「ぶりっ子」という言葉は使われていない。

当初は若者の間の流行語だったと言えるが、従来の「カマトト」を置き換える形でこの言葉が広まり、若年層だけではなく中高年層にも新語として定着した。1981年に人気を獲得した女性コメディアン山田邦子のギャグから一般的な流行語になったと見る向きもある。1981年12月には、『邦子のかわい子ぶりっ子(バスガイド篇)』というレコードがヒットした。

1982年には、銀蝿一家の弟分紅麗威甦(グリース、ヴォーカルは現在俳優の杉本哲太)が『ぶりっ子ロックンロール』をリリースして小ヒットした。

松田聖子[編集]

「ぶりっ子」の典型例と言われたのが松田聖子である。松田は1980年に歌手デビューし、人気アイドルとなったが、やっかみや反感もあってか何かとからかわれることも多く、歌番組での嘘泣き疑惑などが女性漫才コンビの春やすこ・けいこ十八番の持ちネタにもなった。

当時のアイドル歌手の大半は程度の差こそあれ「ぶりっ子」的な傾向を持っていたとされ、女性らしく振る舞う事が当たり前という風潮があったのは確かである。その中で松田が殊更「ぶりっ子」だとされたのは、普段見せるくだけた口調とのギャップが顕著である事、そして何より当時のアイドルとして一際目立つ存在であったためと考えられる。その上でこの呼称は彼女に対しての「親しみを込めた、からかい」だという見解もある。

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東北地方などでは、食用にするハタハタを「ぶりこ」または「ぶりっこ」と呼ぶ。秋田音頭が作られた江戸時代より前から用いられている古い言葉であるが、上記の言葉は「振りをする」が「ぶる」と変化したものの派生語である。

「ぶりっ子」の派生語として「はまちっ子」というものもあった。「ハマチ」は「ブリ」の成長途上のものを指す言葉であることから「ぶりっ子より多少程度の軽い状態」の意味。しかし、いかにも造語っぽく語呂が悪いこともあり、定着しなかった。

関連項目[編集]

人物

脚注[編集]