ひゃくまんさん

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ひゃくまんさん
対象
分類 都道府県のマスコットキャラクター
モチーフ 加賀八幡起上り[1][2]
公式サイト ひゃくまんさん公式ホームページ
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ひゃくまんさんは、石川県の観光PRマスコットキャラクター[2][3][4][5]。キャラクターの風貌は、ちょびヒゲを生やした短い手足のあるダルマ人形風。人が中に入れる実装もののゆるキャラは地元と東京に2体あり、のように手や足を引っ込めることができる[2]土産物などで用いられるデザインでは手足のないものもある。

概要[編集]

2013年平成25年)、北陸新幹線長野駅 - 金沢駅間開業を首都圏でPRするために製作された[2][3]。石川県の郷土玩具「加賀八幡起上り」をモチーフ[2][1][6]加賀友禅柄や九谷五彩を活用したデザインで[7]、体と眉毛は金箔[7]、ひげは輪島塗[7]、背中には大きく「石川県」と書かれている[2]。石川県が同県出身のデザイナーら4人にマスコットキャラクターのデザイン制作を依頼。石川県観光総合プロデューサーの早川和良らでつくる選考委員会で[8]、金沢市出身のグラフィッククデザイナー田中聡美の案を採用した[9]。名前は一般公募で寄せられた中から、加賀百万石を連想させる「ひゃくまんさん」に決定。その際の応募数は約5,000件であった[10]。得意技は「七転び八起き」のポーズ[7]。また石川県出身の力士遠藤を応援するため、勝ち越しと横綱を倒す金星をとれるよう考え出された、体を大の字に開く「金星」というポーズもある。

身長は175cm[2][7]。横幅は130cm[2][7][9]。製作者側が福々とした可愛らしさを出す意図でこのようにしたが、それでは県庁にすら入れないため、横向きの幅は117cmと正面向きの幅よりスリムになっている。この幅でも新幹線には乗車できないが、これは、当初は首都圏で北陸新幹線の開業をPRするためのキャラクターだったため、新幹線への乗車を想定していなかったことが理由である[9]

現在は、石川県と東京都に1体ずつ存在している。1体目の製作費は、輪島塗や金箔張の伝統技巧を多用していることもあり[2]、一体約200万円と高額[9]2014年(平成26年)に完成した2体目は、1体目では眉毛など一部にのみ使われていた金箔を全身に使用した、炭素繊維を全身に採用して2割の軽量化が図られたなどの違いがある[7][11]

金沢駅構内の観光案内所前、金沢市尾張町にある八百萬本舗内のひゃくまんさんのグッズショップ「ひゃくまんさんの家」2階にはフィギュアが展示され[12]、観光客の写真撮影スポットとなっている。

また、石川県のアンテナショップ「いしかわ百万石物語・江戸本店」(東京都中央区銀座)の店頭には、実物の約1/2スケールのフィギュアがアイキャッチとして展示されていた[13](2023年10月9日閉店[14])。その後継施設となるアンテナショップ「八重洲いしかわテラス」のオープンイベントに出演している[15]

反響[編集]

石川県議会から「かわいくない」「だるまに似た姿から石川を連想するのは難しい」など、批判や疑問の声があがった。石川県知事(当時)の谷本正憲は「期待や関心が寄せられている。せんとくんの例もあり、奇抜なデザインでいい」と発言した[16]。また、東海テレビ昼ドラ花嫁のれん』では、ドラマの重要なシーンにおいて加賀八幡起上りが登場[7]。起き上がる光景がかわいいと評判になり[7]2015年(平成27年)の第4シリーズではひゃくまんさんを使用した起上りが登場している[17]

モチーフが縁起物であること、体に本物の金箔が使われていることなどから、「縁起が良い」「ご利益がある」といった評判が生まれ、年末ジャンボ宝くじの販売開始の際に地元の宝くじ売り場でのPRイベントに出演したこともある[18]

また、2014年(平成26年)に地元の星稜高校が進出した全国高校サッカー選手権大会決勝に応援に駆けつけた際に、リードした状態から、他の客が帰る邪魔にならないよう一足先に会場を出たところ勝ち越されてしまったため、翌年に星稜高校が決勝進出したときは最後まで応援を続け、星稜高校が優勝したなどのエピソードがある[要出典]

ひゃくまんさん小唄[編集]

2015年(平成27年)、石川県への観光誘客を目的とした動画の「いしかわ百万石物語〜ひゃくまんさん小唄〜」が作成された[19]。キャラクター選考委員も務めた早川和良が総合監修し[8]、ひゃくまんさんが地元の観光名所を旅するような映像となっており、挿入歌の作詞も手掛けた。作曲は、石川県観光ブランドプロデューサーで歌手松任谷由実が行い[5][19]、編曲は元東京スカパラダイスオーケストラリーダーのASA-CHANGが行った作品[20]

動画に登場する子ども達が踊るダンスの振り付けが公開されており、地元の保育園などによる発表会にひゃくまんさんが登場して、ひゃくまんさん小唄の地元普及を図っている[19]

非売品のDVDが特別プレゼント用に制作されており、DVDジャケットの写真は写真家鋤田正義が、2016年5月から6月にかけて石川県で開催された「石川ロックサミット」の写真展のために撮りおろしたひゃくまんさんの写真が使用されている。

グッズ展開[編集]

石川県からの許諾を受けることで、個人または企業・団体がイラストを無償で使用できる。2016年3月時点で商品数は600品を超えている[21]

公式グッズとして、キーホルダーや絵はがきのほか、モチーフとなった加賀八幡起上りの人形、また県の伝統工芸である九谷焼や金箔の人形が販売されている。九谷焼の人形については、高さ約30cm、価格40万円超のグッズがあるが、2017年2月までに2体売れたと発表された[22]

出演など[編集]

映画
ゲーム

脚注[編集]

  1. ^ a b 能登印刷 2015, p. 44.
  2. ^ a b c d e f g h i 「いざ出陣」石川県がマスコットキャラお披露目-北陸新幹線金沢開業PRへ”. 金沢経済新聞 (2013年10月24日). 2022年12月28日閲覧。
  3. ^ a b 能登印刷 2015, p. 43.
  4. ^ “能登ヒバでエレキギターや太鼓 楽器プロジェクトが始動”. 日本経済新聞. (2021年11月10日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1947I0Z11C21A0000000/ 2022年12月28日閲覧。 
  5. ^ a b “松任谷由実さん、50周年アルバムに金沢イメージ「花紀行」収め…「石川県民の支えに感謝」”. 北國新聞. (2022年10月4日). オリジナルの2022年10月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20221004072700/https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/870298 2022年12月28日閲覧。 
  6. ^ “加賀八幡起上がり 五色そろい にっこり 金沢・安江八幡宮に3体奉納”. 北陸中日新聞Web. (2021年8月4日). オリジナルの2021年8月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210804030525/https://www.chunichi.co.jp/article/304279 2022年12月28日閲覧。 
  7. ^ a b c d e f g h i 能登印刷 2015, p. 45.
  8. ^ a b 【クリエイターが語る金沢(1)】日常に文化が根付く街――早川和良氏(CMディレクター)”. AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議 (2015年8月18日). 2022年12月28日閲覧。
  9. ^ a b c d ひゃくまんさん、北陸新幹線に乗れない 設計ミスなの?”. 朝日新聞デジタル (2016年11月19日). 2016年11月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月28日閲覧。
  10. ^ 石川のゆるキャラ 愛称募集に4965件(北國新聞2013年9月18日)[要ページ番号]
  11. ^ 総金箔貼り、軽量化 ひゃくまんさん2体目登場 (北國新聞2014年9月27日)[要ページ番号]
  12. ^ 金沢に町家を改装した「八百萬本舗」-ひゃくまんさん選んだ食品・工芸品販売も”. 金沢経済新聞 (2015年3月20日). 2022年12月28日閲覧。
  13. ^ 銀座の県アンテナ店 ひゃくまんさん置物設置(北國新聞2015年3月24日)[要ページ番号]
  14. ^ 石川県アンテナショップ「いしかわ百万石物語・江戸本店」(リニューアル移転のため閉店)”. 石川県 (2023年11月24日). 2024年3月9日閲覧。
  15. ^ 「ひゃくまんさん」出演スケジュール”. 石川県. 2024年3月9日閲覧。
  16. ^ 石川県ゆるキャラ「かわいくない」県議会で批判続出”. 毎日新聞 (2013年10月2日). 2013年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月28日閲覧。
  17. ^ 能登印刷 2015, p. 45-46.
  18. ^ 10億円の夢求め 年末ジャンボ宝くじ 県内で列(北國新聞2016年11月25日)[要ページ番号]
  19. ^ a b c “石川)ユーミン作曲「ひゃくまんさん小唄」保育園児踊る”. 朝日新聞デジタル. (2019年2月24日). オリジナルの2019年2月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190224055939/https://www.asahi.com/articles/ASM2R4RWFM2RPJLB002.html 2022年12月28日閲覧。 
  20. ^ 「いしかわ百万石物語〜ひゃくまんさん小唄〜」(YouTube 2017年3月1日閲覧)
  21. ^ ひゃくまんさん“12億6000万円” (北陸中日新聞2016年3月5日)[要ページ番号]
  22. ^ ひゃくまんさん売れた 41万円九谷焼人形2体(北國新聞2017年2月10日)[要ページ番号]
  23. ^ “小芝風花さん、映画「レディ・カガ」ロケで華麗ダンス 「金沢城」でYOSAKOIと共演”. 北國新聞. (2022年6月19日). オリジナルの2022年6月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220619210713/https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/772594 2022年12月28日閲覧。 
  24. ^ (日本語) 【2023/11/13 配信 With×MEETS】何か拾った。(ラブライブ!蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ), (2023-11-13), https://www.youtube.com/watch?v=cJpPeaRyWCU 2024年1月14日閲覧。 

参考文献[編集]

  • 能登印刷出版部『伝統と革新の町・金沢を歩き解く!金沢謎解き街歩き』実業之日本社、2015年3月19日。ISBN 978-4-408-00870-7 

関連項目[編集]

  • のとドン - 石川県観光連盟のゆるキャラ
  • きときと君 - 富山県のマスコットキャラクター。ひゃくまんさん同様に北陸新幹線の開業PRを目的としている。

外部リンク[編集]