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はなあかり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

はなあかりは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が保有する鉄道車両の愛称。本項ではこの車両を使用した観光列車についても記述する。

概要

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2022年令和4年)10月12日に行われた社長会見において導入が発表された[1][2]

「季節ごとに運行エリアを変えて、お客様と各地域を結び、地域のとっておきを発信する」列車として、JR西日本管内の各路線で運行することを想定している[1][2]。第1弾は、2024年(令和6年)秋より開催される「北陸デスティネーションキャンペーン」開催にあわせ[3][4]、同年3月16日金沢駅 - 敦賀駅間が延伸開業した北陸新幹線に接続する小浜線を中心に、若狭・京都府北部を経由し城崎温泉を結ぶ観光列車として運行される[1][2]

車両デザインは「WEST EXPRESS 銀河」や「やくも」用の273系電車などを手掛けた川西康之が監修している[1][5]

列車名の由来

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列車名は「地域に光を当て、地域が華やぐイメージ」「西日本の様々な地域のとっておきに『あかりを灯す』列車であること、地域を明るく する列車であることを表現する」としている[6]

運行形態

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2024年(令和6年)秋

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はなあかり
概要
日本の旗 日本
種類 特別急行列車
現況 運行終了
地域 福井県京都府兵庫県
運行開始 2024年10月5日
運行終了 2024年12月22日
運営者 西日本旅客鉄道(JR西日本)
WILLER TRAINS(京都丹後鉄道)[注 1]
路線
起点 敦賀駅
停車地点数 下り:9
上り:11
(起終点含む)
終点 城崎温泉駅
営業距離 184.4 km (114.6 mi)
運行間隔 土曜日:下り1本
日曜日:上り1本
列車番号 下り:9062D
上り:9172D[7]
使用路線 JR西日本:小浜線山陰本線
京都丹後鉄道:宮津線宮舞線宮豊線
車内サービス
クラス スーペリアグリーン車・グリーン車
座席 スーペリアグリーン車(指定席):1号車
グリーン車(指定席):2・3号車
その他 2号車はフリースペース
技術
車両 キハ189系気動車吹田総合車両所京都支所
軌間 1,067 mm
電化 直流1,500 V(敦賀駅 - 西舞鶴駅・宮津駅 - 天橋立駅・豊岡駅 - 城崎温泉駅)[注 2]
非電化(西舞鶴駅 - 宮津駅・天橋立駅 - 豊岡駅間)
最高速度 85 km/h(小浜線・宮津線)
95 km/h(山陰本線)[注 3]
テンプレートを表示

2024年(令和6年)10月5日 - 12月22日まで、土曜日に敦賀発城崎温泉行き、日曜日に城崎温泉発敦賀行きが1日1本ずつ運行された[8][9]。ただし、城崎温泉行きは宮津駅天橋立駅夕日ヶ浦木津温泉駅からの乗車、敦賀行きは宮津駅・天橋立駅・夕日ヶ浦木津温泉駅での降車はできない[9][8]

小浜駅 - 天橋立駅間において、地元食材を使用した弁当が用意される[9]。ただし、観光ナビ「tabiwa by WESTER」での事前予約に加え[10]、小浜駅 - 天橋立駅間を通し乗車する場合のみ購入可能となっている[9][8]

2024年秋の「おもてなし」(一部)[9][8]
実施駅・区間 内容
美浜駅 ノベルティグッズの配布
道の駅 若狭美浜はまびよりでで利用できる割引券の配布
スタンプラリーの実施
へしこの試食・地酒の試飲(下りのみ)
若狭本郷駅
(上りのみ)
SL義経号」と「風車の駅」を背景に記念撮影
特産品の販売
来訪記念の硬券ノベルティ配布
東舞鶴駅 横断幕を手にお見送り
ホームにフォトパネルを設置
お土産の販売
夕日ヶ浦木津温泉駅 - 城崎温泉駅
(10/5のみ)
麦わら細工についての解説
2024年秋の車内展示品[9][8]
展示車両 内容
全車両 越前和紙フラワー
1号車 越前和紙フラワーアート
丹後テキスタイルアート

停車駅

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敦賀駅 - 美浜駅 -〔十村駅〕-〔上中駅〕- 小浜駅 -〔若狭本郷駅〕-(若狭高浜駅)- 東舞鶴駅 - 宮津駅 - 天橋立駅 - 夕日ヶ浦木津温泉駅 - 城崎温泉駅[8][9]

  • ( )は城崎温泉行きのみ停車、〔 〕は敦賀行きのみ停車[8][9]

2025年(令和7年)冬

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2025年(令和7年)1月6日 - 3月14日まで、木曜日を除き、大阪駅 - 浜坂駅間で運行される臨時特急「かにカニはまかぜ」の増結車両として運行される[11][12][13][14]。1 - 3号車が「はなあかり」車両、4 - 6号車は一般車両(全車普通車指定席)で運行されるが、3号車と4号車の通り抜けはできない[11][13]

増結期間中はスーペリアグリーン車に展示されている調度品が、兵庫県の工芸品・アート作品に入れ替えられる[12]

明石駅 - 香住駅間において、アテンダントによる車内販売が2号車の「サロン」で実施される[11][13]

2025年冬の「おもてなし」(一部)[13]
実施駅・区間 内容
寺前駅
(下り、1/10・1/17・1/24・1/31のみ)
神河町のマスコットキャラクター「カーミン」によるお出迎え
神河町をPRする横断幕でのお出迎え
城崎温泉駅
(下りのみ)
豊岡市のマスコットキャラクター「玄武岩の玄さん」によるお出迎え(1/6のみ)
横断幕等によるお出迎え(一部日程のみ)
竹野駅
(下り、一部日程のみ)
手旗等でのお出迎え
香住駅
(下り、1/6のみ)
手旗等でのお出迎え
香美町のマスコットキャラクター「松葉くん」によるお出迎え
観光パンフレット・ノベルティ等の配布
浜坂駅
(1/6のみ)
新温泉町のマスコットキャラクター「湯~たん」によるお出迎え・お見送り
観光パンフレット・ノベルティ等の配布
姫路駅 - 浜坂駅
(1/11のみ)
多可町による観光PR
杉原紙製品の紹介・販売予約受付
加古川駅 - 城崎温泉駅
(1/28のみ)
加古川観光協会による観光パンフレット・ノベルティの配布
三ノ宮駅 - 竹野駅
(1/31のみ)
たけの観光協会による観光パンフレット配布
「誕生の塩」販売
日本酒試飲
2025年冬の車内展示品[11][13]
展示車両 内容
1号車 杉原紙
麦わら細工

停車駅

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大阪駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - 明石駅 - 加古川駅 - 姫路駅 - 福崎駅 - 寺前駅 - 和田山駅 - 豊岡駅 - 城崎温泉駅 - 竹野駅 - 佐津駅 - 香住駅 - 浜坂駅[11]

2025年(令和7年)春

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はなあかり
概要
日本の旗 日本
種類 特別急行列車
現況 運行予定
地域 大阪府・兵庫県・岡山県広島県
運行開始 2025年4月5日(予定)
運行終了 2025年6月29日(予定)
運営者 西日本旅客鉄道(JR西日本)
路線
起点 大阪駅
停車地点数 8(起終点含む)
終点 尾道駅
営業距離 254.9 km (158.4 mi)
運行間隔 土曜日:下りのみ1本
日曜日:上りのみ1本
列車番号 下り:9301D
上り:9302D[15]
使用路線 JR西日本:東海道本線山陽本線
車内サービス
クラス スーペリアグリーン車・グリーン車
座席 スーペリアグリーン車(指定席):1号車
グリーン車(指定席):2・3号車
その他 2号車はフリースペース
技術
車両 キハ189系気動車(吹田総合車両所京都支所)
軌間 1,067 mm
電化 直流1,500 V[注 2]
テンプレートを表示

2025年(令和7年)4月5日 - 6月29日まで[注 4]、土曜日に大阪発尾道行き、日曜日に尾道発大阪行きが1日1本ずつ運行される[16][17][18][19]

増結期間中はスーペリアグリーン車に展示されている調度品が、岡山県・広島県の工芸品・アート作品に入れ替えられる[16][19]

全区間において、地元食材を使用した弁当またはスイーツセットが用意される[16][19]。ただし、観光ナビ「tabiwa by WESTER」での事前予約に加え[10]、乗車区間に各商品ごとに指定された「お渡し駅」を含む場合のみ購入可能となっている[注 5][19]

神戸駅 - 福山駅間において、アテンダントによる車内販売が2号車の「サロン」で実施される[16][19]

2025年春の「おもてなし」(一部)[16][19]
実施駅・区間 内容
岡山駅 改札内店舗で土産販売
倉敷駅
(下りのみ)
横断幕でのお出迎え
観光パンフ・ノベルティの配布
大原美術館絵画タペストリーの展示・解説(5/24除く)
大原美術館チケットプレゼント(抽選)
地産品物販・体験
福山駅
(上りのみ)
福山城ガイドによる解説
尾道駅 尾道ガイドガイドツアー(tabiwaトラベルによる有料オプション)
姫路駅 - 倉敷駅
(下り、一部日程のみ)
倉敷美観地区瀬戸大橋のYR体験
竹循環社会の解説
岡山駅 - 尾道駅
(一部日程のみ)
尾道産のお茶の解説・体験・販売
2025年春の車内展示品[16][19]
展示車両 内容
全車両 倉敷はりこ
ばらのオブジェ
1号車 畳縁アート
ジーンズアート
倉敷てまり
竹インテリア雑貨
平山郁夫絵画(複製品)
ばらフラワーアート

停車駅

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大阪駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - 姫路駅 - 岡山駅 - 倉敷駅 - 福山駅 - 尾道駅[16][19]

特別運行

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鳥取方面

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2025年(令和7年)4月29日5月2日に、特急「はまかぜ」1・4号に増結し、大阪駅 - 鳥取駅間で運行される[20]。4月29日には、鳥取駅到着時に地元関係者によるお出迎えと「しゃんしゃん傘踊り」が披露される[20]。なお、車内の調度品は尾道方面への運行と同じとなる[20]

使用車両・編成

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編成図[6][5][21]
はなあかり
← 姫路
浜坂/大阪 →
号車 1 2 3
設備 SG G G
形式
(元番号)[22]
キロ189-8005
(キハ189-1005)
キロ188-7005
(キハ188-5)
キロ189-7005
(キハ189-5)
定員[21] 20 16 18
凡例
SG:スーペリアグリーン車
G:グリーン車

吹田総合車両所京都支所所属のキハ189系気動車H5編成(3両編成)を使用する[1][2][5][22]。改造は後藤総合車両所で施工された[22]

キハ189系は全車普通車で新造されたが、改造後は全車グリーン車となり、形式が「キハ」から「キロ」へ変更され、元番号+7000となっている[22]

1号車は「スーペリアグリーン車」として、グリーン車よりグレードの高い設備として新設され、個室空間となっている[6][23]。2号車は「フリースペース」として、特産品の販売やイベントなどに使用される[5]

車内常設調度品[8][5][23]
展示車両 内容
全車両 紐組タッセル
全車両 京織物おじゃみ座布団
1号車 出雲たたら製鉄一輪挿し
2・3号車 高岡銅器一輪挿し

乗車には乗車人数分の運賃+特急料金に加え、グリーン料金またはスーペリアグリーン料金が必要となる[8][12]。2024年(令和6年)秋の運行では、京都丹後鉄道線内で別途1,500円のグリーン料金(等級関係なく一律)が必要となる[8]

スーペリアグリーン料金[8][12][注 6]
区間 料金
100 kmまで 7,000円
200 kmまで 10,000円
400 kmまで 12,780円
600 kmまで 15,200円

沿革

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  • 2022年(令和4年) 10月22日:2024年(令和6年)秋からの運行開始が決定[1][2]。第1弾として、敦賀駅 - 城崎温泉駅間での運行を発表[1][2]
  • 2023年(令和5年)10月25日:列車名が「はなあかり」に決定[6]。同時に車両デザインも発表[6]
  • 2024年(令和6年)
    • 8月21日:運行開始日・運転日・ダイヤ・スーペリアグリーン料金などを発表[8]
    • 10月5日 - 12月22日:土曜日・日曜日に敦賀駅 - 城崎温泉駅間で運行[8][9][24]
  • 2025年(令和7年)
    • 1月6日 - 3月14日:木曜日を除き、大阪駅 - 浜坂駅間で臨時特急「かにカニはまかぜ」の増結車両として運行[11][12][13][14]
    • 4月5日 - 6月29日(予定):土曜日・日曜日に大阪駅 - 尾道駅間で運行(5月3日・4日は除く)[16][17][18][19]
    • 4月29日5月2日(予定):大阪駅 - 鳥取駅間で特急「はまかぜ」1・4号に増結して運行[20]
    • 7月 - 9月(予定):大阪駅 - 敦賀駅間(敦賀行きは湖西線経由、大阪行きは琵琶湖線経由)で運行[18]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 路線の保有は北近畿タンゴ鉄道
  2. ^ a b ただし、気動車を使用。
  3. ^ 各路線の最高速度であり、列車の最高速度とは限らない。
  4. ^ 5月3日・5月4日は除く。
  5. ^ 「お渡し駅」で降車する場合を除く。
  6. ^ 区画単位で販売される[8][12]。グリーン車ボックス席も同様[8][12]

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g 2022年10月社長会見 (PDF) - 西日本旅客鉄道(2022年10月12日)
  2. ^ a b c d e f 特別な旅を創る新たな観光列車~2024年秋 デビュー~ (PDF) - 西日本旅客鉄道(2022年10月12日)
  3. ^ 北陸デスティネーションキャンペーン - 西日本旅客鉄道・富山県石川県福井県(2024年10月21日閲覧)
  4. ^ 北陸デスティネーションキャンペーン:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道(2024年10月21日閲覧)
  5. ^ a b c d e 車両紹介|はなあかり:JRおでかけネット - ウェイバックマシン(2024年9月2日アーカイブ分) - 西日本旅客鉄道(2024年9月2日閲覧)
  6. ^ a b c d e 特別な旅を創る新たな観光列車の列車名・デザインについて (PDF) - 西日本旅客鉄道(2023年10月25日)
  7. ^ JTB小さな時刻表』2024年秋号、特集17頁、JTBパブリッシング
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 観光列車「はなあかり」運行開始!! (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年8月21日)
  9. ^ a b c d e f g h i 運行情報 10月〜12月|はなあかり:JRおでかけネット - ウェイバックマシン(2024年9月5日アーカイブ分) - 西日本旅客鉄道(2024年9月5日閲覧)
  10. ^ a b 観光ナビ「tabiwa by WESTER」:JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道(2024年10月21日閲覧)
  11. ^ a b c d e f 運行情報 1月〜3月|はなあかり:JRおでかけネット - ウェイバックマシン(2024年12月1日アーカイブ分) - 西日本旅客鉄道(2024年11月29日閲覧)
  12. ^ a b c d e f g 観光列車「はなあかり」編成を冬季は特急「かにカニはまかぜ」に増結して運行!! (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年10月18日)
  13. ^ a b c d e f 特急「かにカニはまかぜ」へ「はなあかり」車両を増結!~駅や車内でのおもてなし・特別な旅行商品~ (PDF) - 西日本旅客鉄道(2024年11月28日)
  14. ^ a b “かにカニはまかぜ”に「はなあかり」が連結される」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2025年1月10日)
  15. ^ 『JTB小さな時刻表』2025年春号、P.133、JTBパブリッシング
  16. ^ a b c d e f g h 運行情報 4月〜6月|はなあかり:JRおでかけネット - ウェイバックマシン(2025年2月26日アーカイブ分) - 西日本旅客鉄道(2025年2月26日閲覧)
  17. ^ a b 大阪・関西万博に合わせたプラスワントリップに観光列車「はなあかり」2025年春 大阪~尾道間運行!! (PDF) - 西日本旅客鉄道(2025年1月15日)
  18. ^ a b c 2025年1月社長会見 (PDF) - 西日本旅客鉄道(2025年1月15日)
  19. ^ a b c d e f g h i 観光列車「はなあかり」2025年春 大阪~尾道間運行!!~駅や車内でのおもてなし・特別な旅行商品~ (PDF) - 西日本旅客鉄道(2025年2月21日)
  20. ^ a b c d tabiwaトラベル特別企画 観光列車「はなあかり」大阪~鳥取間特別運行!~大阪・関西万博に合わせたプラスワントリップに~ (PDF) - 西日本旅客鉄道(2025年2月28日)
  21. ^ a b 「キハ189系「はなあかり」」-『鉄道ファン』2024年11月号、P.52
  22. ^ a b c d キハ189系「はなあかり」が登場」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2024年6月28日)
  23. ^ a b 「キハ189系「はなあかり」」-『鉄道ファン』2024年11月号、P.53
  24. ^ 観光列車「はなあかり」が営業運転を開始」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2024年10月7日)

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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