とんぶり

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とんぶり

とんぶりは、アカザ科ホウキギ属[1]一年草であるホウキギ(学名Bassia scoparia (L.) A.J.Scott[2] (synonym Kochia scoparia (L.) Schrad.[3])ホウキソウ、ホウキグサ)の成熟果実加熱加工した物の、日本語での名称である[4]。日本では古来、民間療法で用いる生薬の一つであったが、現代では日本文化における食品の一つとして用いられることが多くなった。

ホウキギという植物もその実を薬用および食用とすることも古代中国からの伝来であり、日本で言う「とんぶり」と同じものを、古来中国であれ日本であれ漢方医学では地膚子(日本語読み:ぢぶし、じふし)と呼び、利尿強壮を主な薬効とする生薬として取り扱ってきた。

とんぶりのスコパリアノシド(scoparianoside)類とコチアノシド(kochianoside)類には小腸でのグルコースの吸収抑制等による血糖値上昇抑制活性が認められた[5]

呼称[編集]

「とんぶり」の名の由来については、「ぶりこ(ハタハタ)に似た、伝来のもの」を意味する「とうぶりこ(唐ぶりこ、唐鰤子)」が省略され、転訛したものとする説が有力である。

日本語で一般にはしばしば「トンブリ」とも記されるが、「とんぶり」は生物の種を表す和名ではないため、生物学分野の学術的記述の中で片仮名表記されることは無い(一般向けの解説が主目的の場合は例外もあり)。

概要[編集]

食品としての「とんぶり」の由来は、の材料とするためにホウキギを広く民間で栽培していた近世の日本にて、飢饉に瀕した出羽国米代川流域(現・秋田県比内地方)に暮らす民がその果実をなんとか工夫して食べることに迫られ、加工したのが始まりとされる。以後これが当地域の特産物として定着し、また、現代では日本全国に知られるまでに普及した。ただし、製法自体は出羽国の民の発明とは考えられず、古くから生薬としては知られていながら積極的には食べられてこなかったものと思われる。

日本でのは10月から11月にかけてである。通常は、収穫後に乾燥させた実をいったん煮た後、一日ほど水に浸してから手で揉んで果皮(外皮)を取り除き、これを2 - 3回繰り返して完成させる。また、生食用のとんぶりは、9月の上旬から中旬にかけて流通する。

果実は直径1 - 2mmの小さな球形で、黒緑色で光沢があり、歯ざわりも似ていることから、日本語では「畑のキャビア」「和製キャビア」とも呼ばれる。納豆や、すりおろした山の芋などと混ぜ合わせて食べるとプチプチした食感が楽しめる。

脚注[編集]

  1. ^ 門田裕一 (監修), 畔上能力 (編集), 平野隆久 (写真) (2013). 野に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑). 山と渓谷社. p. 291. ISBN 978-4635070195. 
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) YList:ホウキギ 2018年12月12日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) YList:ホウキギ(シノニム) 2018年12月12日閲覧。
  4. ^ 登録の公示(登録番号第32号) 大館とんぶり”. 農林水産省. 2018年12月12日閲覧。
  5. ^ 吉川雅之、薬用食物の糖尿病予防成分 『化学と生物』 2002年 40巻 3号 p.172-178, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.40.172

関連項目[編集]

外部リンク[編集]