とんだ災難 (1914年の映画)
とんだ災難 | |
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Caught in the Rain | |
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監督 | チャールズ・チャップリン |
脚本 | チャールズ・チャップリン |
製作 | マック・セネット |
出演者 |
チャールズ・チャップリン マック・スウェイン アリス・ダヴェンポート アリス・ハウエル |
撮影 | フランク・D・ウィリアムズ |
配給 | キーストン・フィルム・カンパニー |
公開 | 1914年5月4日 |
上映時間 | 16分 |
製作国 |
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言語 |
サイレント映画 英語字幕 |
『とんだ災難』(Caught in the Rain) は、1914年公開の短編サイレント映画。キーストン社による製作で、主演・監督はチャールズ・チャップリン。1971年に映画研究家ウノ・アスプランドが制定したチャップリンのフィルモグラフィーの整理システムに基づけば、チャップリンの映画出演13作目にあたる[1][注釈 1]。
日本語表記は、ほかに「にわか雨」[2]、「雨の御難」、「半日ホテル」、「捨てられた犬」、「雨に降られて」[3]などがある。
あらすじ[編集]
チャーリーは公園でぶりっ子の女性といちゃついていたが、そこに女性の夫が登場し、怒って連れて帰る。チャーリーは後をつけるようにホテルに宿をとる。ところが女性は夢遊病もちであり、無意識のうちにチャーリーの部屋に迷い込んでベッドで寝入りこんだ。チャーリーはベッドに女性がいることを確認すると、嫉妬深い夫の怒りに触れないよう、女性をもとの部屋に戻した[4]。
背景・評価[編集]
『恋の二十分』に続くチャップリンの監督作品。もっとも、チャップリン自身は後年執筆した自伝で初監督作品を、この『とんだ災難』としている[5]。しかし、1914年8月に異父兄シドニー・チャップリンにあてた手紙に記された自身のフィルモグラフィーでは "my own Twenty Minutes of Love" の下に "my own Caught in the Rain" と記してある[6]。チャップリンの伝記を著した映画史家のデイヴィッド・ロビンソンは『恋の二十分』について、「五〇年の歳月のうちに忘れてしまったとも考えられるし、習作とみなして省いたとも考えられる」としている[7]。それ以上に重要なのは、この作品が一定の成功を収めて[7][5]「監督チャップリン」の先行きが一応保障されたことである。チャップリンは作品完成後、セネットに作品を見せて批評を待った。やがてセネットが口を開いた。「さて、次の作品はすぐにもかかれるかね?」[5]。セネットはチャップリンに奨励の意味合いで25ドルのボーナスを与えたが、これはしばらくの間続いた[5]。
作品の内容に関しては、ストーリーそのものには目を引くものはない[7]。しかし、チャップリンの伝記を著した映画史家のデイヴィッド・ロビンソンの見立てでは、シーンの切り替えや接続技法、カット割り、ギャグのタイミングなどについては監督第2作にして早くも進歩の跡があり、字幕の使用は極力控えられ映像だけでストーリーを語る技術が発揮されているとする[8]。
キャスト[編集]
- チャールズ・チャップリン:ほろ酔いのホテル客
- マック・スウェイン:夫
- アリス・ダヴェンポート:妻
- アリス・ハウエル:女
他
日本語吹替[編集]
俳優 | 日本語吹替 |
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チャールズ・チャップリン | 高木渉 |
マック・スウェイン | 中村浩太郎 |
アリス・ダヴェンポート | 小宮和枝 |
アリス・ハウエル | 中司ゆう花 |
(ナレーター) | 羽佐間道夫 |
- この作品はサイレント映画だが、チャップリンのデビュー100周年を記念し、日本チャップリン協会監修のもと、スターチャンネルで日本語吹替が製作された[3]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 1914年製作、2010年発見の『泥棒を捕まえる人』を除く
出典[編集]
- ^ #大野 (2007) p.253
- ^ #自伝 p.584
- ^ a b “雨に降られて”. STAR CHANNEL. 2014年10月1日閲覧。
- ^ #Ted Okuda p.39
- ^ a b c d #自伝 p.170
- ^ #ロビンソン (上) p.163
- ^ a b c #ロビンソン (上) p.162
- ^ #ロビンソン (上) pp.162-163
- ^ “吹替で蘇る!チャップリン笑劇場”. STAR CHANNEL. 2014年10月6日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2014年10月1日閲覧。
参考文献[編集]
- チャールズ・チャップリン『チャップリン自伝』中野好夫(訳)、新潮社、1966年。ISBN 4-10-505001-X。
- デイヴィッド・ロビンソン『チャップリン』上、宮本高晴、高田恵子(訳)、文藝春秋、1993年。ISBN 4-16-347430-7。
- デイヴィッド・ロビンソン『チャップリン』下、宮本高晴、高田恵子(訳)、文藝春秋、1993年。ISBN 4-16-347440-4。
- 大野裕之『チャップリン再入門』日本放送出版協会、2005年。ISBN 4-14-088141-0。
- Charlie Chaplin at Keystone And Essanay: Dawn of the Tramp - Google ブックス
- 大野裕之『チャップリン・未公開NGフィルムの全貌』日本放送出版協会、2007年。ISBN 978-4-14-081183-2。
外部リンク[編集]
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