麦とろご飯
麦とろご飯(むぎとろごはん)は麦飯にすりおろした自然薯の汁をかけて食べる料理。静岡県のものが代表的である。米飯にかけて食べる場合は「とろろかけご飯」という。
鞠子宿[編集]
有名なものは旧東海道鞠子宿(現静岡県静岡市駿河区丸子)のもの。歌川広重の東海道五十三次・丸子にも、「名ぶつ とろろ汁」の看板を掲げた小さな茶店が描かれている。また十返舎一九の東海道中膝栗毛に鞠子の名物として描かれたことから名が広まった。もっとも弥次さん喜多さんは店主の夫婦喧嘩に巻き込まれ、結局口にすることはできなかった。
松尾芭蕉は「梅若菜丸子の宿のとろろ汁」の一句を残している。
現在、「元祖」を標榜する有名店では「とろろ汁」と称している。いまや観光バスが日に何台も乗り付ける大型店である。
材料は自然薯を用いる。皮をむいた芋を直接すり鉢で卸していくと、滑らかなとろろができる。卸金で卸したものをすり鉢に入れ、すりこぎであたって作ると、早くて楽だが、舌触りは劣る。天然の山芋はそのままでは飯にかけて食べられないほど粘りがあるので、これを出汁でのばし、酒、みりん、醤油、白味噌、卵などを加えて「汁」にし、麦飯にかけて食べる。葱、青海苔などを付け加えることもある。
牛タン麦とろ[編集]
仙台の牛タン料理専門店では、「牛タン麦とろ」が定番として、定食・丼で提供されている。
とろろ、麦飯、牛タン焼き、テールスープが標準的な構成で、漬物、青唐辛子の味噌漬けを加えることもある。
その他の地域[編集]
全国各地でとろろめし、とろろままなど様々な名前でとろろをかけたご飯は食べられている。
ご飯は麦飯でない場合もあり、味付けも多岐に渡る。例としては、
・卵を入れる
・味噌汁を加える
・山芋の替りにナガイモを使う
など、地域により様々なものがある。
健康効果[編集]
白米に比べて消化の悪い麦飯を、生の芋といっしょにほとんど噛まずに多量にかきこむのだから胃腸には良くなさそうに見える。しかし実際にはこれでお腹を壊したという話はあまり聞かない。その理由として「山芋にはデンプン消化酵素が含まれているからだ」と言われてきた。しかし山芋に含まれるデンプン消化酵素は大根と比べても極僅かで、消化促進はほとんど期待できない。むしろデンプンの吸収を遅らせる効果があり、ゆっくり消化吸収させる作用があるという実験データがある[1]。これに加え、とろろ自体が食物繊維を多く含んでおり、飯に麦を入れることでさらに繊維量が増え、整腸作用が促されるということのようである。 この吸収緩和、食物繊維により、強壮作用、糖尿病予防、ダイエットといった効果があるという。とろろを食べると口のまわりが痒(かゆ)くなるのが難点だが、この原因は、山芋の中に含まれるシュウ酸カルシウムである。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ^ “過去の放送:発見!意外なおいしさ ヤマイモ健康活用術”. NHK. (2003年10月31日). オリジナルの2003年10月31日時点によるアーカイブ。 2018年9月22日閲覧。