とりかえ・ばや

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

とりかえ・ばや』は、さいとうちほによる日本漫画作品。平安時代末期に成立した作者不詳の『とりかへばや物語』を漫画化した作品。『月刊フラワーズ』(小学館)にて2012年9月号から[1]連載されている。単行本は2015年6月現在既刊6巻[2]

あらすじ[編集]

平安時代、権大納言藤原丸光の2人の妻が、同じ日に玉のように美しい女の赤ちゃんと男の赤ちゃんを産んだ。女の子は「沙羅双樹の姫君」と、男の子は「睡蓮の若君」と呼ばれ、すくすくと成長するが、沙羅双樹は外を男童たちと走り回る活発な子に、睡蓮は男を怖がり屋敷内で人形遊びを楽しむ内気な子に育っていた。

やがて、沙羅双樹の抜きん出た容姿や才能の噂は帝にまで届き、沙羅双樹は男として元服の、睡蓮は女として裳着の儀が執り行われ、引き返すことはできなくなる。

登場人物[編集]

沙羅双樹(さらそうじゅ)
母は、西の対屋に住む藤中納言の娘。生まれた日に庭に咲いていた沙羅双樹にちなみ、「沙羅双樹の姫君」と呼ばれた。
14歳で男として元服し、睡蓮の本名「藤原月光(ふじわらの つきみつ)」の名を借りる。愛称は「沙羅双樹の君」。
才気煥発で誠実な性格。性を偽って生きることに悩みながらも、仕事に対しては熱心に取り組む。帝への忠誠心が高い。
のちに叔父の右大臣に四の姫との結婚を勧められ、女だということを明かさぬままに結婚。夫婦生活こそないものの、良好な関係を築いていたが、石路と四の姫の密通、そして妊娠により破綻。しかし四の姫を責めることはなく、妻として彼女を気遣い続けた。
ふとしたことで石路に女性であることを知られ、半ば強引に関係を持たれてしまう。その後は石路を拒み、あくまでも友人として彼と付き合っていこうとするが、沙羅自身が石路の子供を身ごもってしまったことで悩み苦しむ。やがて男としての生を断ち切り、子供を産むために失踪しようとするがそれを石路に知られてしまい、結果的に彼の協力を得て都から失踪する。
その後は、宇治にある石路の父の別荘で子供を産むために養生していた。しかし石路への失望、寂しさと虚しさの心労がたたってか、流産してしまう。そして生きる気力をなくして入水しかけていた時、沙羅を探しに来た睡蓮と再会して、ともに吉野の宮のところへ向かった。
子を失った直後は出家を望んでいた。しかし、宮中で女東宮を巡った諍いが起きていること、たまたま吉野へ行幸した帝の話を聞いて帝の悩みを知ったことで、睡蓮と立場をとりかえて、睡蓮の尚侍として女東宮に仕えることを決意。そして左大臣家に無事帰還した後、宮中へ出仕した。
最初は、睡蓮ではないことを見破った女東宮に拒まれるも、女東宮が沙羅と睡蓮が立場を取り換えたことを知ったために受け入れられた。
ともに女東宮への狼藉を働いた者を捕まえた右大臣家の三の姫には、親近感を感じている。その一方で彼女の「帝の子を産む」という野望には、もやもやとした思いを抱えている。
睡蓮(すいれん)
母は、東の対屋に住む源宰相の娘。生まれた日に池に咲いていた睡蓮にちなみ、「睡蓮の若君」と呼ばれた。
女として裳着の儀が執り行われ、沙羅双樹の本名「涼子(すずしこ)」の名を借りる。人見知りが激しく、実の父親に対してさえ怯えたほど男嫌い。
のちに朱雀院の誘いを受け(石路の求婚を拒むためもあった)、女東宮の尚侍として宮中に出仕。後ろ盾がなく地位が不安定で、しかし聡明で愛らしい女東宮に仕えるうち、忠誠心だけでなく恋慕をつのらせるようになる。
姉の沙羅を慮りながら、彼も帝への入内問題、性別を偽っていることに苦しむ。
やがて沙羅の失踪、帝が睡蓮の入内を望んでいること、女東宮へのこらえがたい恋慕などから女として生きていくことの限界を悟り、男として生きていくことを決意。そして元服して沙羅を探し回り、宇治でとうとう見つけだす。その後は沙羅とともに吉野へ向かい、出家を望んでいたが、女東宮が苦しんでいることを知り、沙羅と立場を入れ替え、沙羅双樹の右大将になることを決意。
女東宮に別れ際に渡された和歌を大切に持ち歩いている。
沙羅や自分を苦しめた存在として、石路を強く嫌っている。
藤原 丸光(ふじわらの まるみつ)
沙羅双樹と睡蓮の父親。権大納言近衛大将。父は元・関白、兄は右大臣。のちに関白兼左大臣に昇進。
2人の子が正反対に育ったのは何かの報いかと悩んだものの、悪縁を断ち切るために行った鞍馬詣で、2人が命の危険に晒されたのを機に運命を受け入れようと心を決める。
数々の困難に見舞われる2人をいつも心配するよき父親。沙羅の失踪、睡蓮の入内等で心を痛めていたが、無事に2人が戻ってきたときは涙を流して喜んだ。
藤原 角光(ふじわらの かくみつ)
丸光の兄。右大臣。一の姫(長女)が帝の女御に、二の姫(次女)が東宮の女御となっている。
入内した娘たち(特に梅壺の女御)が子供を産む気配がないことに不満を持っている。溺愛した四の姫にはよい嫁ぎ先を望み、沙羅と結婚させた。
はじめは四の姫と石路の密通を知らず、雪姫の誕生も喜んでいた。しかしのちに雪姫の顔から2人の密通を悟り、怒りのあまり身重の四の姫を勘当する。
やがて、2人目の姫を産んだ四の姫が石路に顧みられていないこと、生きる気力を失っていることを知って怒りをなくし、勘当を解いた。
朱雀院 先の帝(すざくいん さきのみかど)
40代。亡き皇后との間に姫君が1人いる。
帝位を退いた後はたっての願いで姫君を女東宮にあげ、左大臣に睡蓮の宮仕えを頼んだ。
じつは女東宮は吉野の宮の子ではないかという噂もあったが、それを信じず、姫君を女東宮にすることでその正当性を示した。
帝 先の東宮 (みかど さきのとうぐう)
朱雀院の弟。
石蕗(つわぶき)
帝の従兄弟。眉目秀麗。美女に手当たり次第に和歌を送るプレイボーイ。美人と名高い睡蓮も狙っている。
考え無しで自己中心的な性格。沙羅曰く「友人としては面白いが夫としては最低」。
沙羅を気に入って親友となる。一度睡蓮に会うものの、自身が全く興奮しなかったこと、沙羅に対しての慕情の自覚から、自分が男色家なのではと悩む。
自分が男色ではないと確認したいために、四の姫と関係を持ち、子供まで生ませる。しかしその一方で、沙羅が四の姫との結婚を提案した時はそれを拒否。
沙羅が女と知るや、強引に関係を持つ。その後は拒まれるが、沙羅が自身の子を妊娠したと知り、彼女の失踪の手引きをする。
宇治の別荘で沙羅とともに暮らしていたが、考えなしの言葉でたびたび沙羅を失望させた。
睡蓮と再会した沙羅が宇治から去ったとき(睡蓮のくだりはまったく知らされなかった)は、2人目の姫を産んだ四の姫を顧みることもなく悲しみ続けた。しかし沙羅双樹の右大将が都に戻ったと知り(実は睡蓮)、都に戻って「せめてもとの友人に」と懇願するも、睡蓮に蹴り倒され、罵倒されたことで四の姫とのことが宮中に露見してしまった。
梅壺の女御(うめつぼのにょうご)
帝の妃。右大臣の次女。世継ぎがないことに不満を持つ父が、睡蓮の帝か東宮への入内を画策していることを知り調べるうちに、沙羅双樹と睡蓮は2人とも女ではないかと勘ぐり、自分の末の妹と沙羅双樹の縁談を持ち上げる。
麗景殿の女御(れいけいでんのにょうご)
朱雀院の妃。右大臣の長女。

書誌情報[編集]


出典[編集]