ちゃんMari

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ちゃんMARI
別名 福重まり
M
生誕 (1987-10-08) 1987年10月8日(36歳)
出身地 日本の旗 日本鹿児島県
学歴 鹿児島国際大学短期大学部音楽科[注 1]卒業[1]
職業 音楽プロデューサー
キーボーディスト
担当楽器 キーボード
コーラス
ボーカル
活動期間 2005年 -
共同作業者 Crimson
ゲスの極み乙女
ichikoro

ちゃんMARI1987年10月8日 - )は、日本キーボーディスト音楽プロデューサー鹿児島県出身。バンドゲスの極み乙女ちゃんMARI[注 2]名義)のほか、Crimson(福重まり名義)、ichikoroM名義)およびソロ(FUKUSHIGE MARI)でも活動する[2]

人物[編集]

幼い頃からクラシックピアノを始め、短大アカデミック音楽理論を学ぶ一方、ジャズ・ピアニストにも2年間師事し、クラシック音楽ジャズの双方を体得したキーボーディストであり、絶対音感の持ち主[3]

音楽的影響[編集]

ピアノを習っていた幼い頃、夢中になって聞いていたのはクラシック音楽ではなく、ジブリアニメサウンドトラックを手掛けていた久石譲の音楽や普通のJ-POPだった[2]

バンド活動へ没頭していた高校時代は先輩に勧められたRadioheadBjorkNirvanaなどの洋楽を聞いていた[2]

大学時代、小学生の頃から好きだった椎名林檎が当時リリースしたカバー・アルバム『唄ひ手冥利〜其ノ壱〜』を聴いてジャズ、ボサノバシャンソンなど、それまで聴いてきたポップスやクラシック以外のジャンルのスタンダード曲に感銘を受け、そこからジャズに興味を持って理論を学びたいと思うようになった[2]。当時好きだったピアニストビル・エヴァンスで、自身のピアニストとしてのルーツは彼の『Waltz for Debby』と語っている[4]。それ以外にキース・ジャレットバド・パウエルブラッド・メルドーなども好きだった[2]

初めて自分の意志で買った楽器は、KORG「SP-250」。18歳くらいの頃、ライブで弾けるピアノが欲しくて買った88鍵の電子ピアノで、ゲスの極み乙女。の初レコーディングの前まで使っていた[2][5]

楽曲制作[編集]

Crimsonでは自身がソングライティングを務める[5]

ゲスの極み乙女。では、スタジオでメンバーがセッションしながらリアルタイムに楽曲を作っていく[5][6]川谷絵音が口頭で伝える彼の頭の中にあるイメージをメンバーたちが実際に楽器を使って具体化させていき、その作業過程で新たに川谷に浮かんだアイデアをまた楽器で弾いてみるという繰り返しの中で楽曲が完成する[5]ストリングス・アレンジなど編曲は川谷が大枠を作るが、専門的な部分はちゃんMARIが行う[3][6]

来歴[編集]

4歳からクラシックピアノを始める[3]。しかしピアノ教室の先生が怖くて「とにかくピアノが好き」というほどではなかった[2]。ピアノを習い始める前から音楽は好きで、母の教室によく付いて行っていた[2]

高校に入る前はピアノ教室を辞めて1年ほど音楽から離れていたが、「やっぱりピアノを弾きたい」「どうせやるなら1人ではなくいろんな人と音楽をやりたい」という思うようになり、バンド活動を始める[2]。ロックバンドで鍵盤を弾くことになったが、それまで学んでいたクラシック音楽が1人で完結するのとは違い、バンドでは他の楽器とリズムを合わせながら演奏しなければならないため、当初は苦戦した[2]

高校卒業後は再びクラシックと作曲を本格的に勉強したいと考えて音楽の短期大学に進学し、音楽理論を学ぶ[2][3]。作曲科を専攻し、ひたすら曲を書いて提出する日々を送る一方、短大とは別にジャズピアニストにも師事して興味を持つようになったジャズを学んだ[2][3][7]

2005年、自身が中心となってジャズのピアノトリオをベースとしたバンドCrimsonを結成[8]

2012年、川谷絵音を中心に、ほな・いこか休日課長ゲスの極み乙女。を結成[8]。川谷と休日課長とほな・いこかが一緒に飲んでいた時にバンドをやろうということになり、鍵盤の候補として全員と面識があって当時ほな・いこかとスタジオに入るなどしていたちゃんMARIにも声がかかった[8][9]

2017年、iki orchestraのメンバーとして「ARABAKI ROCK FEST.」に出演[10]

2018年3月、Instrumentalバンド・ichikoroのキーボーディスト・M(Mari)としての活動を開始[11]。10月19日リリースのシンガーソングライターロイ-RöE-のデビュー作となる3曲入り配信音源「ウカ*」で初のサウンドプロデュースを担当する[12]

2019年10月18日、FUKUSHIGE MARI名義でEP『JAPANESE ONNA』をデジタル・リリースしソロデビュー。作詞、作曲、シンセ、打ち込み他本人にできることは本人が作っている[13][14]

2022年12月公開の映画『月の満ち欠け』で劇伴デビュー[15]

2023年7月期テレビドラマ『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ)の劇伴を担当[16]

参加グループ[編集]

Crimson
  • 2005年、作曲担当の福重まり(ちゃんMARI)を中心に結成され、主に地元鹿児島で活動。
  • メンバーは福重まり(keyboard)、川中梢(Vocal&Guitar)、竪山博樹(Drums)、森田晃平(Ba)[17]
  • 結成当初はピアノトリオとボーカルという編成でジャズテイストの強い音楽をやっていたが、ボーカルの川中梢がギターを持つようになってから、ポストロック路線へと変更[8]
  • 2009年に南九州最大のロックフェス「volcano09」に出演したほか、「SUMMER SONIC」にも2度の出演を果たした[8]
ゲスの極み乙女
  • 川谷絵音を中心に結成されたバンド。楽曲によってはちゃんMARIが編曲やストリングスアレンジなども担当する[3]
iki orchestra
ichikoro

ディスコグラフィ[編集]

ソロ名義[編集]

EP[編集]

  発売日 タイトル 規格 収録曲 オリコン
最高位
備考
1st 2019年10月18日 JAPANESE ONNA 配信
全7曲
  1. 沈丁花、低く
  2. night dancer
  3. スプーンの庭
  4. CITY
  5. DRUNK
  6. 風と彼は誰
  7. yellow green
-

デジタルシングル[編集]

発売日 タイトル 備考
2023年3月8日 dancing like a swallow [20]

参加作品[編集]

発売日 タイトル 規格品番 収録曲 備考
2016年3月9日 THE BED ROOM TAPE『Undertow』 DDCB-12084 キーボードで参加
2017年7月12日 indigo la End『Crying End Roll』 WPCL-12676
WPZL-31341
夏夜のマジック (Remix by ちゃんMARI)
2017年12月13日 守家巧『FAMILY』 KOL-13 ポリス&シーヴス 演奏で参加
2018年10月19日 ロイ-RöE-『ウカ*』 (配信限定) サウンドプロデュース
2018年11月7日 Rei『REI』 UCCJ-9217
UCCJ-2163
キーボードで参加
2019年11月1日 ロイ-RöE-『癒えないキスをして*』 (配信限定) 癒えないキスをして* サウンドプロデュース

楽曲提供[編集]

  • 結城萌子「幸福雨」(作詞:川谷絵音/作曲:川谷絵音・ちゃんMARI)
  • VESPERBELL「Revelation」(作詞:FUKUSHIGE MARI/作曲:FUKUSHIGE MARI/編曲:井上幹)

音楽担当作品[編集]

ミュージックビデオ[編集]

公開日 監督 曲名 備考
2019/10/17 金野恵利香 沈丁花、低く

主なライブ[編集]

ソロライブ[編集]

タイトル 備考
2019 FUKUSHIGE MARI solo EP

「JAPANESE ONNA」release party hetero

11月22日-東京都 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

出演イベント[編集]

  • 2019年02月02日 - HINA-MATSURI 2019
  • 2019年09月28日 - PIA MUSIC COMPLEX 2019(「HINA-MATSURI BAND PMC 2019 SPECIAL」のメンバーとして参加)

受賞とノミネート歴[編集]

部門 対象 結果
2023 第46回日本アカデミー賞 優秀音楽賞[21] FUKUSHIGE MARI『月の満ち欠け ノミネート

使用機材[編集]

コンピュータ
  • Apple「MacBook Pro」
DAWソフト
  • Apple「Logic Pro 9」
音源
エフェクター
  • ProCoRAT
  • BOSS「DD-6」
  • XOTIC「RC Booster」
  • HUMAN GEAR「ANIMATO」

エピソード[編集]

ライブ中やTwitterでは、よく「コポゥ」という言葉を発する[22]2015年5月4日に放送された日本テレビしゃべくり007」にゲスの極み乙女。として出演した際、自己紹介として「コポゥ」と言ったところ、チュートリアル徳井義実に「ヌプゥ」と返された[23]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 現・国際文化学部音楽学科。
  2. ^ 「ちゃんMARI」という名前は、ゲスの極み乙女。結成の際に川谷絵音が考案した。

出典[編集]

  1. ^ NHKBSプレミアム「NiPPoN RockS」に卒業生出演 短大部音楽科作曲ゼミ出身の「ちゃんMARI」さん”. 鹿児島国際大学 (2013年11月14日). 2019年8月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l あの人の音楽が生まれる部屋 Vol.13 ゲスの極み乙女。 アーティストドキュメント(前編) ゲスの極み乙女。の重要なパートを担う ちゃんMARIの真面目な音楽の学び”. CINRA.NET (2014年8月21日). 2019年8月4日閲覧。
  3. ^ a b c d e f ゲスの極み乙女。の新作における、ちゃんMARIの重要性とは? 鍵盤を使った若手バンドも紹介”. Real Sound (2014年10月27日). 2019年8月4日閲覧。
  4. ^ H ZETT M×ゲスの極み乙女。ちゃんMARI対談 二人が音楽家・鍵盤奏者として大切にしていること”. Real Sound (2015年11月15日). 2019年8月4日閲覧。
  5. ^ a b c d あの人の音楽が生まれる部屋 Vol.13 ゲスの極み乙女。 スタジオレポート 「ヒップホッププログレサウンド」に欠かせない機材たち”. CINRA.NET (2014年8月21日). 2019年8月4日閲覧。
  6. ^ a b 川谷絵音×ちゃんMARI対談 バンドが起こす化学変化の面白さ「想像できなかった方向に進んでいる」1”. Real Sound (2019年1月19日). 2019年8月4日閲覧。
  7. ^ H ZETT M×ゲスの極み乙女。ちゃんMARI対談 二人が音楽家・鍵盤奏者として大切にしていること”. Real Sound (2015年11月15日). 2019年8月4日閲覧。
  8. ^ a b c d e あの人の音楽が生まれる部屋 Vol.13 ゲスの極み乙女。 アーティストドキュメント(後編) 結成当初の印象はまさかの「微妙だなあ」 大躍進を続けていることへの驚きと喜び”. CINRA.NET (2014年8月21日). 2019年8月4日閲覧。
  9. ^ 川谷絵音×ちゃんMARI対談 バンドが起こす化学変化の面白さ「想像できなかった方向に進んでいる」2”. Real Sound (2019年1月19日). 2019年8月4日閲覧。
  10. ^ Rei × ちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)対談”. Mikiki. TOWER RECORDS ONLINE (2018年11月29日). 2019年8月4日閲覧。
  11. ^ 話題のギタリストichika、トリプルギターのインストバンドichikoro始動”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2018年3月25日). 2019年8月4日閲覧。
  12. ^ RoE、ゲスの極み乙女。ちゃんMARIプロデュース作「ウカ*」でunBORDEよりデビュー”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2018年10月19日). 2019年8月4日閲覧。
  13. ^ ゲスの極み乙女。ちゃんMARIがソロデビュー、11月にはワンマンも”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2019年9月21日). 2019年9月21日閲覧。
  14. ^ ちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)、ソロEP『JAPANESE ONNA』デジタル・リリース&ワンマンライブも | Daily News”. Billboard JAPAN. 2023年9月3日閲覧。
  15. ^ 映画『月の満ち欠け』公式サイト | 大ヒット上映中”. 映画『月の満ち欠け』公式サイト | 大ヒット上映中. 2023年9月3日閲覧。
  16. ^ ゲスの極み乙女・ちゃんMARIが赤楚衛二主演ドラマ「こっち向いてよ向井くん」劇伴担当”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2023年6月20日). 2023年8月3日閲覧。
  17. ^ BIOGRAPHY”. crimzon (2014年12月31日). 2014年12月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月14日閲覧。
  18. ^ Rei × ちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)対談”. Mikiki. TOWER RECORDS ONLINE (2018年11月29日). 2019年8月4日閲覧。
  19. ^ ichikoro 『ichiroove』 6人のやべえメンツがやべえ遊びをしているよ!”. Mikiki. TOWER RECORDS ONLINE (2018年4月9日). 2019年8月4日閲覧。
  20. ^ ゲスの極み乙女 ちゃんMARIことFUKUSHIGE MARI、約3年半ぶりの新曲リリース”. BARKS. 2023年3月8日閲覧。
  21. ^ “「日本アカデミー賞」優秀賞に二宮和也、目黒蓮、有岡大貴、松村北斗、ちゃんMARI、RADWIMPSら”. ナタリー. (2023年1月24日). https://natalie.mu/music/news/510052 2023年3月1日閲覧。 
  22. ^ ちゃんMARIのツイート”. Twitter (2017年4月15日). 2018年10月15日閲覧。
  23. ^ ネットで突然の“ヌプゥ”祭り、チュートリアル徳井のワードに反響。”. ナリナリドットコム (2015年5月5日). 2018年10月15日閲覧。

外部リンク[編集]