こきりこ

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室町時代歌合七十一番職人歌合』より「放下
笹竹を背負い、「こきりこ」を手にもつ烏帽子姿の放下師

こきりことは日本民謡こきりこ節」(こきりこ踊)などを歌って踊る際に用いる民俗楽器である。漢字では、「筑子」と表記される。中世にあっては、大道芸の一種で、主に曲芸をおこなった放下(ほうか)が常時携帯していた楽器であったことが知られている。

概要[編集]

長さ75(約23センチメートル)に切ったを両手に一本ずつ指先でつまみ、回しながら打ち鳴らして踊り歌う。太さはおよそ1センチメートルである[1]。日本では中世の時代から使用され、なかでも室町時代中期以降にあらわれた放下師は常にこきりこを打ち鳴らしていた。

この「こきりこ」を楽器としてフルに活用した民謡が「こきりこ節」である。こきりこ節は、富山県五箇山地方のものが有名だが、ほかにも新潟県柏崎市女谷(おなだに)の綾子舞の演目にも見られる。

五箇山の「こきりこ節」では「こきりこの竹は七寸五分じゃ・・・」と、その長さが明確に歌われているほか、「月見て歌う放下のこきりこ・・・」と放下が歌われている。「こきりこ節」の伴奏に用いられる民俗楽器には他に「ささら」がある[注釈 1]。また、大道芸の一種である放下(ほうか)の特技のひとつとしても知られる。

放下師は、こきりこを打ち合わせて拍子をとって物語歌をうたい歩き、あるいはに立って歌い、特に子女からの人気を集めた[2][3]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 「ささら」は、茶筅を長くしたような形状をしており、竹の先を細かく割ってつくり、「ささら子」という刻みをつけた細いでこするとサラサラと音のする道具である。本来は洗浄用具であるが、説経節門説経)の徒はこれを楽器として使用した。室木「解説」(1977)p.404

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 織田鉱二「曲芸」『世界大百科事典7 キセ - キン』平凡社(編)、平凡社、1988年3月。ISBN 4-582-02200-6
  • 郡司正勝「放下」『藝芸辞典』坪内博士記念演劇博物館(編)、東京堂出版、1953年3月。ASIN B000JBAYH4
  • 室木弥太郎「解説」『説経集』室木弥太郎校注、新潮社〈新潮日本古典集成〉、1977年1月。ASIN B000J8URGU
  • 山路興造「放下」『世界大百科事典26 ホ - マキ』平凡社(編)、平凡社、1988年3月。ISBN 4-582-02200-6
  • 『古代民謡 筑子の起原考』(高桑敬親 著)1970年昭和45年)8月1日発行

関連項目[編集]