くじら座タウ星

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くじら座τ星
(τセティ)
τ Ceti
Cetus constellation map.svg
くじら座の恒星。中央下に位置するのがτ星 (τ)
星座 くじら座[1]
視等級 (V) 3.50[1]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α) 01h 44m 04.08338s[1]
赤緯 (Dec, δ) -15° 56′ 14.9262″[1]
赤方偏移 -0.000056[1]
視線速度 (Rv) -16.68km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -1,722.05 ミリ秒/年[1]
赤緯: -854.16 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 273.96 ± 0.17ミリ秒[1]
距離 11.88 ± 光年[注 1]
(2.64 ± 0.01パーセク)[注 1]
絶対等級 (MV) 5.68[注 2]
物理的性質
半径 0.793±0.004R
質量 0.783±0.012M
自転周期 34日
スペクトル分類 G8.5 V[1]
光度 0.52 ± 0.03L
表面温度 5,380 K
色指数 (B-V) 0.727[2]
色指数 (U-B) 0.21[1]
色指数 (V-I) 0.820[2]
金属量 25 - 31%(太陽比)
年齢 5.8×109
別名称
別名称
くじら座52番星,
BD-16°295,GJ 71,
HD 10700,
HR 509, HIP 8102,
LCC 0260
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くじら座τ星(学名:Tau Ceti、略称:τ Cet)は太陽から11.9光年の距離に存在する主系列星である。

概要[編集]

大きさの比較
太陽 くじら座τ星
The Sun Exoplanet

太陽に似た恒星(ソーラーアナログ)である。質量は太陽の77 - 79パーセント、直径は79パーセントだが、明るさは49 -55パーセントほどである。この恒星は誕生後58億年ほど経っていると考えられており、質量に比して明るさが低いのは恒星のエネルギー源となる水素核融合反応の速度が遅いためである。主系列に属する恒星の絶対光度はおおよそ質量の3乗から4乗に比例しているので、太陽より軽量なくじら座τ星は、太陽との質量比以上に光度が小さくなる。

エリダヌス座ε星と共にオズマ計画の探査目標となったが、文明の存在の証拠は得られなかった。

惑星系[編集]

くじら座τ星は、地球から比較的近い恒星でありスペクトル型も太陽と同じG型(黄)であることなどから、SF作品などでしばしば異星人の故郷や宇宙植民地として登場する[3]

21世紀初頭までの位置天文学的手法やハッブル宇宙望遠鏡を使用した観測では惑星は発見されなかったが、太陽系エッジワース・カイパーベルトに相当する塵の円盤が、主星から55auの距離まで広がっていることが確認されていた。塵の円盤の質量はエッジワース・カイパーベルトの10倍以上であり、なぜ質量の多い塵の円盤が存在するかは不明である。

0.6auから0.9auの距離に地球型惑星が存在すればが液体で存在し居住に適していると考えられるが、仮に木星型惑星が存在しなければ、その惑星には地球木星に守られるようなシステムが無い。太陽系では、エッジワース・カイパーベルト或いはオールトの雲から来る彗星が、木星の強い引力により軌道を変えられて地球との衝突が回避されて来た可能性があるが[4]、くじら座τ星を巡る惑星ではそうした小天体との接近・衝突が頻発する可能性がある。

2012年になって、地球質量の2倍から6倍の太陽系外惑星が5つ発見された。そのうちの1つくじら座τ星eハビタブルゾーンにあると考えられており[5]。また、くじら座τ星fもハビタブルゾーンに入っているとする説もある[6]。しかしながら2015年には、τ星eはハビタブルゾーンに入るための条件を甘く見積もる必要があり、τ星fもハビタブルゾーンに入ってからの期間が推定10億年と短いことから、地球外生命体が存在する見込みは薄いとする研究も発表されている[3][7]

また、くじら座τ星bは、ドップラー効果法で発見された中で最小級の質量を持つ天体である[要出典]

くじら座τ星の惑星
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b > 2.0 M 0.105 13.962 0.16
c > 3.1 M 0.195 33.362 0.03
d > 3.6 M 0.374 94.11 0.08
e > 4.3 M 0.552 168.12 0.05
f > 6.6 M 1.35 642 0.03
塵の円盤 30—50 or 55 AU

作品[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。有効桁小数第3位

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k SIMBAD Astronomical Database”. Results for tau Ceti. 2015年9月1日閲覧。
  2. ^ a b イェール輝星目録第5版
  3. ^ a b “SFでおなじみ「くじら座タウ星」、生命の存在はあまり期待できない 米研究”. ITmediaニュース (ITmedia). (2015年4月23日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1504/23/news092.html 2015年4月24日閲覧。 
  4. ^ Coming Soon: "Good Jupiters"”. Astrobiology Magazine. 2008年11月27日閲覧。
  5. ^ Tuomi, M.; Jones, H. R. A.; Jenkins, J. S.; Tinney, C. G.; Butler, R. P.; Vogt, S. S.; Barnes, J. R.; Wittenmyer, R. A.; O’Toole, S.; Horner, J.; Bailey, J.; Carter, B. D.; Wright, D. J.; Salter, G. S.; Pinfield, D. (2013). "Signals embedded in the radial velocity noise". Astronomy & Astrophysics 551: A79. doi:10.1051/0004-6361/201220509. ISSN 0004-6361. 
  6. ^ Two Nearby Habitable Worlds? Planetary Habitability Laboratory
  7. ^ Pagano, Michael; Truitt, Amanda; Young, Patrick A.; Shim, Sang-Heon (2015). "THE CHEMICAL COMPOSITION OF τCETI AND POSSIBLE EFFECTS ON TERRESTRIAL PLANETS". The Astrophysical Journal 803 (2): 90. doi:10.1088/0004-637X/803/2/90. ISSN 1538-4357. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]