くじゃく座デルタ星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
くじゃく座δ星
Delta Pavonis
星座 くじゃく座
視等級 (V) 3.56[1]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α) 20h 08m 43.6084s[1]
赤緯 (Dec, δ) −66° 10′ 55.446″[1]
視線速度 (Rv) -21.7 ± 0.9[1]
年周視差 (π) 163.71 ± 0.17
距離 19.91 ± 0.08 光年
(6.11 ± 0.02 パーセク
絶対等級 (MV) 4.62
物理的性質
半径 1.06 R
質量 0.98 ± 0.036 M
自転速度 1 km/s
自転周期 ~54 日
スペクトル分類 G8 IV[1]
光度 1.18 L
表面温度 5,560 K[2]
色指数 (B-V) 0.76[3]
色指数 (U-B) 0.45[3]
金属量[Fe/H] +0.33
年齢 5 - 7 ×109[4]
別名称
別名称
HD 190248, HR 7665, CD-66°2367, GCTP 4754, GJ 780, LHS 485, SAO 254733, LTT 7946, LFT 1520, HIP 99240[1], LCC 0710
Template (ノート 解説) ■Project

くじゃく座δ星(くじゃくざデルタせい、δ Pav / δ Pavonis)は、くじゃく座恒星

観測[編集]

この恒星はスペクトル型G8 IVで、外層大気の有効温度が太陽より低いのに対し、光度は太陽より2割あまり高いことから、既に準巨星水素核融合がほぼ停止して赤色巨星への進化を開始した恒星)化していると考えられる。質量は太陽とほぼ同じだが、半径は太陽の1.2倍ある。表面の対流層は、半径にして恒星の43.1%を占めるが、その領域に含まれる質量は4.8%に過ぎない[5]

この恒星は50億歳から70億歳で、光度は誕生時に比して60%増大している(後期の増大は太陽のそれに近い)。くじゃく座δ星の銀河に対する軌道は太陽のそれと非常に良く似ている。

この恒星に対するスペクトル分析の結果は、ヘリウムよりも重い元素の割合(金属量)が太陽よりも高い事を示している。この値は通常、水素と鉄の存在比を太陽大気と比較して示される(鉄は恒星大気中で検知しやすいため)。 くじゃく座δ星の場合、金属量は以下の通り。

(太陽を基準とした鉄:水素比を対数を用いて表記)この恒星の大気が太陽大気に比して240%の鉄を持つことを示す。これまでの研究により、恒星の金属量と惑星の存在には相関があることが示されており[6]、この恒星もその高い金属量から惑星の存在確率は平均以上とされるが、この恒星を巡る惑星は今のところ見つかっていない[4]

SETI[編集]

金属量が高く、磁力は弱く、自転は遅く、銀河面付近に存在する、といった好条件から、SETI研究所マギー・ターンブルジル・ターターによって、「近傍のG型星中で最良のSETIターゲット星」に選定されている[7]視線速度の変動が検出されていないことから、この恒星のハビタブルゾーン付近に木星型惑星は存在しないと考えられるが、却って、もし地球型惑星が存在するなら不安定化せずに済むといえる。くじゃく座δ星は連星でないソーラーアナログとしては最も地球に近い恒星である[4]

事物[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f del Pav -- Variable Star”. Centre de Données astronomiques de Strasbourg. 2008年1月17日閲覧。
  2. ^ Abia, C.; Rebolo, R.; Beckman, J. E.; Crivellari, L. (1988). “Abundances of light metals and Ni in a sample of disc stars”. Astronomy & Astrophysics 206: 100-107. http://adsabs.harvard.edu/abs/1988A&A...206..100A 2008年1月17日閲覧。. 
  3. ^ a b Cousins, A. W. J.; Stoy, R. H. (1962). “Photoelectric magnitudes and colours of Southern stars”. Royal Observatory Bulletins 64: 103-248. 
  4. ^ a b c G. F. Porto de Mello, E. F. del Peloso, L. Ghezzi (2006). “Astrobiologically interesting stars within 10 parsecs of the Sun”. Astrobiology 6 (2): 308-331. doi:10.1089/ast.2006.6.308. 
  5. ^ Takeda, Genya; et al. (2008-11), VizieR Online Data Catalog: Stellar parameters of nearby cool stars (Takeda+, 2007), VizieR On-line Data Catalog: J/ApJS/168/297, http://adsabs.harvard.edu/abs/2008yCat..21680297T 
  6. ^ S.G. Sousa, N.C. Santos, G. Israelian, M. Mayor, M. J. P. F. G. Monteiro (2006). “Spectroscopic parameters for a sample of metal-rich solar-type stars”. Astronomy and Astrophysics 458 (3): 873-880. doi:10.1051/0004-6361:20065658. http://esoads.eso.org/abs/2006A%26A...458..873S. 
  7. ^ M.C. Turnbull, J.C. Tarter (2003). “Target Selection for SETI. II. Tycho-2 Dwarfs, Old Open Clusters, and the Nearest 100 Stars”. The Astrophysical Journal Supplement Series 149 (2): 423-436. doi:10.1086/379320. http://adsabs.harvard.edu/abs/2003ApJS..149..423T. 

外部リンク[編集]