かんぴょう
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画像提供依頼:皮むきの器具の様子の画像提供をお願いします。(2009年7月) |
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 1,089 kJ (260 kcal) |
68.1 g | |
食物繊維 | 30.1 g |
0.2 g | |
6.3 g | |
ビタミン | |
リボフラビン (B2) |
(3%) 0.04 mg |
ナイアシン (B3) |
(18%) 2.7 mg |
パントテン酸 (B5) |
(35%) 1.75 mg |
ビタミンB6 |
(3%) 0.04 mg |
葉酸 (B9) |
(25%) 99 µg |
ビタミンE |
(3%) 0.4 mg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 3 mg |
カリウム |
(38%) 1800 mg |
カルシウム |
(25%) 250 mg |
マグネシウム |
(31%) 110 mg |
リン |
(20%) 140 mg |
鉄分 |
(22%) 2.9 mg |
亜鉛 |
(19%) 1.8 mg |
銅 |
(31%) 0.62 mg |
セレン |
(3%) 2 µg |
他の成分 | |
水分 | 19.8 g |
水溶性食物繊維 | 6.8 g |
不溶性食物繊維 | 23.3 g |
ビオチン(B7) | 8.0 µg |
硝酸イオン | 0.5 g |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]。 | |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
干瓢(かんぴょう)は、ユウガオの果実(ふくべ[3])を紐状に剥いて、乾燥させた食品(乾物)である。「乾瓢」と表記されることもある[4]。
水で戻して煮て、巻き寿司の具材や、煮物、和え物などとして使われる。低カロリーで食物繊維に富む。
製法[編集]
気温の低い、日の出前の早朝に作業を行うことが一般的である。
加工[編集]
直径30cm程度になった実を収穫し、伝統的には包丁で輪切りにし、中心部のワタをくりぬき、手鉋(てかんな)で内側から均等に削る[5]。
主産地では加工が電動化されており、実を機械の軸に刺してモーターで回転させて、外皮、白い実の順に外側から帯状にむく[6]。機械には足踏みレバーが付いており、実を回転させて、横から皮むき器を当て、まず硬い外皮から取り去る。次に、ぶれの出ないように、柄を半固定した鉋(かんな)の様な刃物を当てて、桂剥きのように帯状に長く剥く。
かんぴょう作りでは水にさらす工程のある地域(栃木など)と水にさらす工程のない地域(福島など)がある[5]。
乾燥[編集]
伝統的な製法では、かんぴょう干しには2日かかり、1日目に竹竿に吊るして干し、それを切り揃えて2日目にゴザの上に広げて干す[5]。雨などの影響でかんぴょう干しに3日以上かかってしまうと茶色に変色する[5]。
乾物の干瓢には、防カビ、防虫、変色防止のために亜硫酸ガスで硫黄燻蒸を行う漂白干瓢と、燻蒸を行わない無漂白干瓢がある。亜硫酸は有害物質であり、食品衛生法では干し干瓢1kgにつき5.0g以上残存しないように使用しなければならない[7]。
重さ6 - 7キログラムのユウガオから、約150グラムの干瓢が作られる[8]。
産地[編集]
江戸時代から作られていたとされる干瓢の主産地は20世紀以後、栃木県南部であり、日本の干瓢生産の8割以上を占めている。かつては近畿地方が栽培が多く、歌川広重の浮世絵連作『東海道五十三次』では、水口宿(現在の滋賀県甲賀市)の絵に干瓢を干す姿が描かれている。
現代では、日本で消費される干瓢のうち、8割は輸入品(中国産など)で、主に業務用で使われる。国産は2割で、消費者へ直接小売りされる商品に多い[3]。
食材・料理[編集]
全国的には、巻き寿司の干瓢巻きや太巻き寿司やちらし寿司の具、煮物の昆布巻きや揚げ巾着、ロールキャベツの結束に用いるのが一般的な用途である。
産地の栃木県では、この他に、煮物、炒め物、金平、卵入りの干瓢汁、酢の物等にも用いることが多い。近年では、サラダ材料や揚げ物の衣としての使い方も広がりつつある。
漂白干瓢は乾物から戻す時に、塩揉みと下ゆでをして、硫黄の残留物を除去する必要がある。無漂白干瓢は薄い褐色で、自然な甘味や旨味があり、柔らかく仕上がるが価格は漂白品に比べて一般に高い[9]。
鉄砲巻き[編集]
海苔を半分に切って直径3センチメートル程度に細巻きにした海苔巻き。乾燥させた干瓢を水で戻し甘辛く煮たものを使用。その黒い細身の姿から鉄砲巻きとも呼ばれる。食べるときは二等分に切り、さらに二等分もしくは三等分に切る。
木津巻き[編集]
寿司屋の符牒で干瓢巻きのことを「木津巻き」と呼ぶ。その由来には下記のように諸説があり、いずれもゆかりの地名から取っているとされる。
- 摂津国木津が干瓢生産の発祥の地といわれ、また干瓢生産が盛んであったから。
- 山城国から木津川を下り摂津の木津へ運ばれ、そこで干瓢巻が誕生したから。大正時代から昭和にかけて大阪の市場では山城の木津干瓢はブランドとなっていた。故に、関西では干瓢のことを木津とも呼んでいた。
- 正徳二年に近江国水口藩から下野国壬生藩に国替えになった鳥居忠英が、干瓢の栽培を奨励したことが、今日の栃木県の干瓢生産の興隆につながっている。その水口藩内の産地が木津であったから。
干瓢で結んだ昆布巻き
食材以外での利用[編集]
かんぴょうの弾力は人の皮膚に似ていることから、宇都宮市所在の医療器具製造のマニーと下野市の自治医科大学が協力、かんぴょうを使った縫合練習キットを開発している[10]。
備考[編集]
脚注[編集]
- ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
- ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」
- ^ a b かんぴょう 遠足のお弁当といえば『朝日新聞』be「サザエさんをさがして」(3面)2018年10月18日閲覧。
- ^ 農花園主人『乾瓢の作り方』、国立国会図書館デジタルコレクション(2018年10月18日閲覧)。
- ^ a b c d “ユウガオ”. いわき市. 2019年10月19日閲覧。
- ^ かんぴょう - 下野市観光協会、2020年4月2日閲覧。
- ^ 「食品添加物の指定、使用基準の改正等について」厚生労働省、2015年8月3日閲覧。
- ^ 最新版日本の地理5『関東地方』15頁
- ^ 家森幸男、奥薗壽子 監修『すべてがわかる!「乾物」事典』 世界文化社、2013年。ISBN 9784418133420、p.45.
- ^ かんぴょうで縫合練習キット商品化 マニーと自治医大 - 日本経済新聞、2020年1月28日、2020年4月2日閲覧。
- ^ “歴史とロマンの干瓢街道 平成23年秋号”. 栃木県下都賀農業振興事務所企画振興部 (2011年). 2017年1月24日閲覧。