かけ算の順序問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

かけ算の順序問題(かけざんのじゅんじょもんだい)[1]は、かけ算によって解が得られる算数の文章題において、特定の順序で書かれた式のみを正解とする採点方針と、どの順序で書かれた式でも正解とするべきであるという主張の対立である(詳細は本文)[要出典]。日本では、1972年に朝日新聞で報道されて以来、数学者らにたびたび取り上げられた[2]。「かけ算の順序強制問題[3]かけ算の式の正しい順序[4]かけ算の順番[5]などとも言われている。

例えば、1つぶんの数×いくつ分で求まるかけ算の文章問題では、「6人のこどもに、1人4こずつみかんをあたえたい。みかんはいくつあればよいでしょうか。」という設問に対する、「(しき)6 × 4 = 24(こたえ)24 個」という解答を不正解にすべきかどうか[6]が問題となる。日本の小学校では、1つぶんの数×いくつ分の順序で書かれている式のみを正解とする採点方針がしばしば見られ、式を不正解とし答えを正解とすることがある[7]。これに対して、交換法則が成り立つからどちらの順序でもよい[8]、トランプ配りのように1こずつ渡した子は6をひとつ分(1巡分)と考えることもできる[9]などの批判がある。日本の小学生向け教科書、学習参考書に例示されている式は「1つぶんの数×いくつ分」の順序にほぼ統一されている。逆の順序に書かれた式を不正解とみなす記述は、各社の教科書指導書および一部の教科書・学習参考書に見られる。しかし、文部科学省による学習指導要領および指導要領解説では順序は規定されておらず、文部科学省は新聞の取材に対して採点方針は学校現場に裁量があるとしている[10]

世界的には、順序を不問とする地域[11]と、以上のような順序とは逆の順序を主流とする文化圏がある[12]

日本におけるかけ算の順序指導の現状[編集]

学習指導要領・学習指導要領解説の記述[編集]

学習指導要領では、乗法の記号「×」は乗法の意味などとともに第2学年で学習することとなっている。

小学校学習指導要領解説算数編[13]では、× の左側に一つ分の数(かけられる数、被乗数)、右側にいくつ分にあたる数(かける数、乗数)を書いている式が多く見られる[要出典]。いくつか例を示す。

第2学年では、「乗数が1増えれば積は被乗数分だけ増えること」を活用して、4 × 9 = 36から、4 × 10 = 40(36より4だけ増える)などを求める。数学的には「被乗数が1増えれば積は乗数分だけ増えること」も言えるが、4 × 9 = 36から5 × 9 = 45を求めるといった事例は書かれていない。第2学年ではこのほか、乗法の式から場面や問題をつくる活動において、3 × 4の式に対し、「プリンが3個ずつ入ったパックが4パックあります。プリンは全部で幾つありますか。」という問題を例示している。「プリンが4個ずつ入ったパックが3パックあります。プリンは全部で幾つありますか。」というような問題をつくる子どもへの指導については、規定されていない。

第3学年では、筆算において被乗数と乗数が区別される。23 × 45だと45が乗数であり、これを45 = 40 + 5とみて、23 × 40と23 × 5に分けて計算する。また同じく第3学年で除法が導入されるが、その際に除法の「意味」には「等分除と包含除」(#等分除と包含除を参照)があるとして、それと乗法を、包含除は3 × □ = 12、等分除は□ × 3 = 12である、などと関連付けさせている。

高学年では小数の乗法を学習するが、第4学年では乗数が整数である場合に限られる。0.1 × 3ならば、0.1 + 0.1 + 0.1の意味である。第5学年では乗数が小数となる乗法を学習し、「1mの長さが80円の布を2.5m買ったときの代金」は、80 × 2.5で表される。

言葉の式についても、「1mの重さ × 棒の長さ = 棒の重さ」「(単価)×(個数)=(代金)」と一貫している。なお中学校学習指導要領解説数学編[14]では、いくつかの言葉の式と並んで「(値段)=(単価)×(個数)」が記されている。

しかし、場面に対応するかけ算の式は、常に一つというわけではない。第2学年では、「12個のおはじきを工夫して並べる」という活動において、次のようにおはじきを並べ、複数の式を記載している。これは「一つの数をほかの数の積としてみる」ことを意図したものである。

●●●●●●
●●●●●●
2×6 または6×2
●●●●
●●●●
●●●●
3×4 または4×3

第4学年の長方形の面積の公式では、「(長方形の面積)=(縦)×(横)(もしくは(横)×(縦))」とある。

学習指導要領は「教育課程の標準」「各教科で教える内容」を定めたものであり、例示として片方の順序を示しているところはあっても、その片方の順序でのみ式を書くことを要請する文は存在せず、他方の順序を不正解とすることもない。学習指導要領・学習指導要領解説に基づき教材や授業、テストとして具体化されていく中で、特定の順序が選択される。そのとき、逆の順序に書かれた式を正解とするか不正解とするかは様々である[15]

文部科学省初等中等教育局教育課程課は中日新聞の取材に答えて「かけ算の意味を理解させるよう定めているが、順序については国が定めるものではない」と述べるとともに、指導要領解説の「10 × 4は、10が四つあることから、40になる」を根拠に「順序に意味がある」とする解釈については「深く考えすぎだと思う」と否定している[16]

教科書・教科書指導書の記述[編集]

日本の学校教育では、小学校2年生の算数でかけ算の導入が行なわれる。小学校2年生の算数教科書では、

1つぶんの数 × いくつ分 = ぜんぶの数

として、かけ算の導入がなされる。

例えば、

☆1(ア) 1冊x円のノートを8冊買います。代金をy円としてxとyの関係を式に表しましょう。

啓林館 小6算数教科書『わくわく算数6上』 p.58

という問題の正解は「x × 8 = y」と教科書に示されている。

この教科書の指導書[17]では、

☆1の(ア)でいえば、x × 8 = y でも y = x × 8 でも正しいが、「1冊x円のノートを8冊買い、代金がy円であるときの関係式」という文章の流れからいけば、x × 8 = yを推奨したい。 ただし、x × 8 が 8 × x になっている場合は、「8円のノートがx冊」という意味になってしまうので問題文とは合わない。常に式の意味をしっかりと意識させることが大事である。

啓林館 小6算数教科書『わくわく算数6上』指導書朱註 p.58

と説明されている。さらに、

1個x円の弁当を3個まとめて買うと、80円安くなります。
このときの代金を表している式は、次のどれですか。

(あ) x×3+80
(い) 3×x+80
(う) x×3-80
(え) 3×x-80

という問題があり、(う)のみを正解としている。このように、現行の啓林館教科書では小学6年に至るまで「特定の順序で表される式のみが正しい」とし、現場教員向けのマニュアルでも順序の逆になった式は意味が文と合わないとしている。

小学校算数教材では解答欄が「式」と「答」に分かれているのが通例である。教員は、指導書に従って、「式」の欄を見て、児童が問題文の読み取りを正しくできているかどうかを採点することになる。正しく読み取りができていないとされる式の書き方をしている児童は、答が正しくても「式」が正しくないので不正解だとされることがある[16]。このような場合は、「式」にバツをつけて「答」にマルをつけるのが通例である。

中日新聞の取材に対して、東京書籍は、文章題の意味を理解しているかを判別する手がかりとして式の順序を見るといい、また、指導要領解説に「10 × 4は、10が四つあることから、40になる」といった記述があることを根拠に「順序に意味がある」と主張した[16]

児童の理解[編集]

伊藤宏の報告[18]によると、 「ここに4まいのふくろがあります。かずや君が,1まいのふくろにりんごを3こずつ入れました。りんごは,ぜんぶでなんこありますか」 という設問に対して、小学3年生34名中、8人が3 × 4, 1人が3+3+3+3, 21人が4 × 3と答え、その他の解答が4人だった。 また、絵をかかせたところ

どうして,そのようなしきになったか,絵に書いて教えてください。

  • 式が正答で,絵にも正しく表すことができた児童(8名)
  • 式が誤答でも,絵には正しく表すことができた児童(21名)
  • 式が正答で,絵には正しく表すことができなかった児童(1名)
  • 式が誤答で,絵にも正しく表すことができなかった児童(4名)

という結果を得た。ここで、4 × 3は誤答とみなされている。

また、一旦、絵にもとづいて式と答えを書くことができるようになった児童が、かけ算の順序を指導された後、文章題が解けないと言い出し、式を書くのを躊躇するようになった例が報告されている[19]

「正しい順序」を書かせるための指導[編集]

児童に「正しい」順序で式を書かせるのは難しいことであり、そのために、いろいろな方法が開発実践されている。

式とあう絵を選んで線で結びなさい…

たとえば、田中博史は文章と絵を線で結ぶことと絵と式を線で結ぶことを練習するドリルを開発した[20]。このドリルでは、たとえば、「3 × 2」と「3個のさらに2個ずつリンゴがのっている絵」を結ぶと誤答であるということになる。

ほかに

「3 × 2は3本耳のウサギが2羽、2 × 8は2本足のタコが8匹いるという意味になります。」[21]などと指導を行なう。
絵を描かせて、絵のなかでひとかたまりになっているものを「1つぶんの数」にするように指示する[要出典]
サンドイッチの法則」という特殊な規約を遵守するように指示する[要出典]

といった「正しい順序」指導が展開される。

たとえば「3人に4個ずつミカン」の場合、絵を描かせると、各自が4個ずつミカンを持っていて、絵のなかでミカン4個がひとかたまりになっているので、4を「1つぶんの数」として、4 × 3と「立式」しなければならない。

「100円のノートを8冊」の場合だと、単位(助数詞)に注目して 円 × 冊 = 円 のようにサンドイッチの形にするのが正しく、100 × 8 = 800 が正解とされる[要出典]。このような「立式」のしかたをサンドイッチの法則とよぶ。

「かけ算の正しい順序」に対する批判[編集]

交換法則を満たすので、どの順序で書いても不正解にすべきでない[編集]

表形式(アレイ図)に並べたみかん

答案に6×4=24という式を書いてぺけをつけられたある児童の父兄は、「6×4=4×6というのは一般的な常識であるし、数学上、交換法則にもとづく真理でもある」と指摘した。

朝日新聞、1972年1月26日

「6人のこどもに、1人4こずつみかんをあたえたい」というかけ算の問題において、交換法則から6×4は4×6は同じ値になるため、不正解にすべきでないという主張がある。

このかけ算の問題には交換法則が適用できる。理由の1つは、この問題を解こうとしたときにイメージをするために表形式(アレイ図)に並べて描いた場合、縦から始める式(6×4)も横から始める式(4×6)も図から読み取れ、この縦と横の対等性は交換法則の前提であるからである。[22]

数学的には、交換法則を満たす代数系では左作用と右作用の区別がなくなることが保障されている。[23] つまり、交換法則を満たす自然数と自然数のかけ算を1つ分×いくつ分のように左右を区別する必要性は数学的にはない。 ただし、コンピューター・シミュレーションなどでよく使用される行列のかけ算は、交換法則を満たさないため、作用(被作用)という観点で扱われるべきである。[23]

1つぶんの数を決めつけるのはよくない[編集]

4つずつ配るか 6つずつ配るかによって1つぶんの数が変わる。

みかんを配るのに,トランプを配るときのやり方で配ると,1回分が6こ,それを4回くばるのだから,それを思い浮かべる子どもは,むしろ,6×4=24 という方式をたてるほうが合理的だといえる。

遠山啓、量とは何か I, p116

「6人のこどもに、1人4こずつみかんをあたえたい」というかけ算の問題において、「1つぶんの数」が1人に配る4こであるとは限らない。

トランプ配りのように、6人に1こずつみかんを配り始めた人は、6こが1つぶんの数と考えてもおかしくない。 それを 4巡するという式「6×4=24」は、1つぶんの数 × いくつ分 = ぜんぶの数という教えられたとおりのかけ算になるので、不正解にすべきでないという主張がある。

6×4 も 4×6 も正解にするということは、結果的に、どちらの順序も正解にするという採点方針になる。 だから、かけ算の順序に拘わらない先生なのか、それでも、× の左右の意味が逆(いくつ分 × 1つぶんの数)であるのは誤りであることには変わりがないという先生なのかは、この主張からは判断できない。

順序では文章題の意味を理解しているかを判別できない[編集]

かけ算の順序で「読み取り」が正しくできているかあるいは「文章題の意味を理解しているか」を判定するという考え方は不合理である。 伊藤宏の報告[18]のように絵を描かせた場合、絵を見ることによって児童が正しく問題文を読み取っているか判断できる。その結果、小学3年生において、順序の読み取りが適切にできていても問題に登場した順に書く児童のほうが多いし、「正しい順序」でない式を書いた児童でも適切に読み取りができていることが報告されている。

また、円 × 冊 = 円 のようにサンドイッチの形にするのが正しいなどと指導すれば、数値と単位(助数詞)を見れば機械的に「正しい立式」ができてしまうことになる。問題文を正しく読み取らせるという当初の目的に逆行するものである。

このように、かけ算の順序で「読み取り」が正しくできているか判定するという考え方は不合理であり、説得力をもたない [要出典]

テストは教育の一手段であり、不正解にして終わらせるべきではない[編集]

これ(朝日新聞、1972年1月26日)を読んでまず感じたことは、(中略)テストは教育の一手段であって、その目的ではない。(中略)6×4と書いた子どもがいたら、バツをつけるまえに(中略)いいかわるいかを討議させるといいだろう。そうすると、その討議の過程で、その子がまちがっていたら、なぜ誤りとされたかを納得するだろう。また、4×6と書いた子どもも、その子の説明をきいて6×4の考え方がわかって、賛成するかもしれない。(中略)バツをつけて終わりにしたら、せっかくのチャンスをのがすことになってしまう。

遠山啓、量とは何か I, p114

一見正解と異なる解答を挙げて討議させれば、なぜ誤りかを知ることや、正しい考え方をいろいろ知ることができ、教育の1つの手段になるので、かけ算の順序が異なっていても正解の可能性があるテストは、すぐに不正解にして終わらせるべきではないという主張である。

この主張では、正解かどうかは討議の後で明らかになるのだが、討議に入るまでの採点方法や、正しく理解しているかどうかを調べる目的のテストの扱いについては言及されていない。(テストは点を取ることが目的ではないことは言及されている。) しかし、解答に書かれたかけ算の順序が異なるかどうかだけで、かけ算の理解が正しいかどうかを調べることができないことは示されている。

多面的にものを見る力や論理的に考える力を育てることにマイナス[編集]

必ずしも「1つぶんの数 × いくつ分 = ぜんぶの数」というパターンにあてはめて考えなければならないわけではない。

「3人にそれぞれ4個ずつミカンを配った。ミカンは全部で何個か」という問題は、長方形の形に並べて置いてあるミカンの数を求める問題と同じものであるとみなせる。このように考えた場合、「3 × 4」「4 × 3」いずれも正しいことは自明である。また、かけ算の式を「1つぶんの数 × いくつ分 = ぜんぶの数」ではなく「いくつ分 × 1つぶんの数 = ぜんぶの数」と解釈することもできる。

「3 × 2 で3本耳のウサギが2羽、2 × 8 で2本足のタコが8匹という意味になります。」という解釈は不適切である。[要出典]

「かけ算の正しい順序」を推進・擁護する主張[編集]

「1つ分の数」×「いくつ分」の順序で書く約束になっている[編集]

かけ算の式は「1つ分の数」×「いくつ分」の順に書く約束になっているので、問題文から正しく読み取って、そのとおりに式に書けるようにしましょう。

Benesse 小学生の学習Q&A

かけ算の式は「1つ分の数」×「いくつ分」であると教えているからその順序に書く約束になっているので、×の左右の数が逆になった式は意味が異なり、不正解であるという主張である。[24]

「1つ分の数」×「いくつ分」の順序で書く約束があれば、1つ分の数といくつ分がそれぞれ正しく読み取れているかどうかを、問題文と式の順序をあえて逆にした問題によって確認できる。[25]

かけ算の数字と文章に表れる数字をあえて逆にした問題文

「一冊5円のノートを,6冊買ったら,いくら支払えばよいでしょう。」という問題を解くときには,「5円×6」として,その結果を求めるのが普通である。ところが,この問題を,「ノートを6冊買いました。どれも1冊5円でした。ぜんぶでいくら支払ったらよいでしょう。」とすると,「6×5=30(円)」として結果を求めるこどもがでてくるであろう。

こどもが,このような誤った解決をするのは,(以下略)

文部省、1951年

田中博史は、式を「1つ分の数」×「いくつ分」の順序で書き、逆の順序の式は意味が異なることを明確にした、九九カルタ という算数教材を開発した。[26]

「5 × 8」
(読み札)1はこに5こ入りのチョコレートが8はこあります。
「8 × 5」
(読み札)チョコレートが5はこあります。1はこは8こ入りです。
カードの答えの数を見て5 × 8の答えを取ろうとすると、これまでは40の答えが2まいあって、どちらの式かわかりませんでした。このカードなら数の横に文章題も書いてありますので、それを読み取ることにより、判別することができます。

田中博史、2011年

「1つ分の数」×「いくつ分」の順序で書く約束があるという擁護派の主張は、戦後すぐの算数指導から見られ、現在においても根強い。 1951年 小学校学習指導要領算数科編(試案)、数学教育協議会、1972年 大阪府の小学校、1977年 森毅、1993年 伊藤武広、萩上紘一、原田実、2008年 田中耕治、2011年 守屋誠司、田中博史、2014年 坪田耕三。 詳しくは『#かけ算の順序問題の経緯』の章を参照のこと。

「1つ分の数」×「いくつ分」の順序で書く方が合理的である[編集]

日本は「4の6倍」式に4×6と書くが,欧米では「6倍の4」式に6×4と書く.これは(中略)言語習慣から来ている.ただし,日本式の方が合理的というのが世界の相場(中略)「4の6倍」式に操作をあとから書く日本式が便利になる.最近のコンピューター言語はこちらが便利だし,欧米語でヨコ書きを左から右に書いているときも,6xと逆行するよりも,x6と続ける方がやりやすい.

森毅 、 数の現象学 p67,p76

かけ算は、「1つ分の数」×「いくつ分」のように、操作内容である乗数を後に書く方が合理的であるとの判断が世界的に見て多い[要出典]。 なお、乗算 における被乗数の定義は掛けられる方の数(1つ分の数)、乗数の定義は掛ける方の数(いくつ分)である。

英文式は操作と被操作の順序が加算減算のときと異なる

乗数を右に書くと、四則演算のすべてが 操作される数、操作する数 の順に統一でき合理的である。 欧米では「6×」の書き方も普及しているが[27][28]、2を引くひき算は「-2」のように書き、演算によって数字と記号の位置関係が逆である。

電卓で4を6倍する場合、4、×、6、= の順に押しても、6、×、4、= の順に押しても正しい計算結果は表示されるが、6倍した後に更に2倍する場合、続けて ×、2、= の順に押すしかない。 逆ポーランド記法で行う一部の電卓(HP-15Cなど)では、4、Enter、6、× の順に押した後、2、× の順に押すことができるが、四則演算すべてが逆ポーランド記法になるため、更に3を引く場合、3、- の順に押さなければならない。 四則演算のうちかけ算だけ押す順序が変わる電卓は存在しない。

プログラミング言語は、被乗数と乗数の順序にこだわりはない。 変数 a を6倍した値を表す式は、a * 6 でも 6 * a でも記述できる。 変数 a は数値だけでなく文字列にできる言語(Pythonなど)もあり、たとえば "W"*3 や 3*"W" の評価結果は "WWW" になる。 World Wide Web Consortium の略称である W3C は乗数が右にある。 Rubyは 3*"W" と書けないが、これは文字列のクラスに * 演算のメソッドがあり、数値のクラスに文字列の引数を持つ * 演算のメソッドがないためである。 クラス(オブジェクト)を被乗数、メソッドを乗数と見た場合、被乗数→乗数の順序があると見ることもできる。 変数 a を6倍する(その結果をまた変数 a に戻す)式は、a *= 6 のように乗数を右に記述することになる。

その他の推進・擁護する主張[編集]

兵庫教育大学大学院教授 加藤明 : 児童にかけ算をどのような場面に使うのかを理解させるためには、かけ算の順序に意味があるとすべき。
筑波大学附属小学校算数研究部・共愛学園大学前橋国際大学講師 田中博史 : 絵を描くことに飽きてきた子どもは、大人に指示されなくても簡略化した図を描くようになる。これは良いが、かけ算の順序をまもらないのは認められない。
「なぞって絵を描きましょう」

また、「かけ算の順序が逆になっているのは、かけ算の意味を理解していないからであり、かけ算の意味を理解していないと、わり算を理解できない。」などとして、「かけ算の正しい順序」の正しさを主張したりする[要出典]。これは、以下のような論法である。

  1. ただ単に「わり算はかけ算の逆算だ」と指導するだけでは、じゅうぶんな理解を得られない。
  2. なぜならば、わり算には、「12個のミカンを3人で分けると、1人何個もらえるか」(等分除)というパターンと「12個のミカンを3個ずつ分けると、ミカンをもらえるのは何人か」(包含除)というパターンがある。
  3. 同じわり算とよばれているものなのに出題パターンが2つあるので、ただ単に「わり算はかけ算の逆算だ」と指導するだけでは、じゅうぶんな理解を得られない。
  4. それゆえ、かけ算の学習のときに、何個でひとかたまりになっているか・かたまりがいくつあるかを意識して、問題文の読み取りをさせる必要がある。

このように、「かけ算の順序に意味をもたせることによって、読み取りが正しくできているか判断できる。」という考えにもとづいて、「問題文の読み取りをしてから立式するように指導しないとただ計算ができるだけで応用問題に対応できなくなる。」「わり算を理解できなくなる。」などという主張がなされ、かけ算の順序にこだわった指導が展開されている[要出典]

前国学院大学栃木短期大学の正木孝昌は、問題の答えを求めるには,どちらの順序でもどちらでもいいにもかかわらず、「式には,その情景を表現するという機能がある。その機能を大切にするためには」特定の順序で書かなければならないと主張した[29]

筑波大学附属小学校算数研究部の中心メンバーの田中博史は、意味づけのためにかけ算の式の数値に順序性を求めるのが当たり前だという考えを示した[30]。 また、割り算の初期指導まで等分除、包含除の理解の際に順序が決まっているほうが児童にもわかりやすいと主張した[30]

さらに、田中博史は、

「船が5そうあります。1そうに4人ずつ乗ることにします。」このような問題文になっていると子どもたちは必ず式を間違えますよね。「5 × 4」と書きます。今まで文の中に出てきた順番に数を使って式を書くだけで、ずっと丸をもらえていた子たちは、必ずこういう問題で引っかかります。
ところが、この前2年生の子に聞いてびっくりしたことなのですが、「そろそろ式は反対に書かなきゃいけないころだ」と言うんです(笑)。「何で?」と聞くと、「プリントは、後の方になるとそういうふうにしないとバツになることが多い」と言うのです。そういえばそうですよね。まとめのテストの文章題の終わりは、必ず式が逆になる場合の問題が多いのです。まあ、統計的にみる力は素晴らしいものがあるかもしれませんが(笑)、それではやはり意味がありません。
そこで、この文の後に「何人乗ることができますか」と聞くのを一度やめて、絵にしてみようと指示をします。絵にすることでイメージ化させるのです。文章題は読んだら絵にさせます。絵にするところが考えるところです。正しく絵が描けたら、文章を読み取っていることになります。読み取った絵を見て式をつくるところは、教えていいと思います。「この場面を、このような式に書くんだよ。」と教えます。算数の式は外国語と一緒で、子どもにとっては新しい言葉ですから、教えなければいけません。

田中博史、東洋館出版社 プレミアム講座ライブ 田中博史の算数授業のつくり方 p62

と述べ、文章題の内容を正しく絵に描ければ読み取りができていると判断できるが、それだけでは不十分で「かけ算の正しい順序」をまもらないのは間違いであるとした。その理由として、「算数の式は外国語と一緒で、子どもにとっては新しい言葉ですから、教えなければいけません。」と述べ、「文章題の内容を式に翻訳する」という考え方を支持した。

そのうえで、「抽象化」については、以下のような見解を示した。

「子どもが大作の絵を描き、いつまでたっても抽象化しません」と言うから、「本当にたくさん絵を描かせていますか」と私が聞き返したところ、それほどたくさんは描かせていないのです。文章題を読んでは絵に描く。たくさん描かせる。それだけでいいんです。式や、答えを求めさせないで、お話を読んだら絵に描くことをいっぱいやらせると、子どもはそのうちに飽きてきます。

田中博史、東洋館出版社 プレミアム講座ライブ 田中博史の算数授業のつくり方 p62

絵を描くことに飽きてきた子どもは、大人に指示されなくても、文章題の内容を表わす簡略化した図を描くようになり、抽象化して考えるようになるという。しかし、

このように描いたのに、もし式を「5 × 4」と書いたとすると、この子は読み取りができないのではなくて、式の意味を間違えて覚えているだけとなります。治療するところが変わりますよね。
式を「5 × 4」と書いた子どもに「ちゃんと文章を読んでごらん」といくら指導してもだめです。この子は逆に覚えているわけですから。絵が図にできたら、その後で算数の言葉に表し直して「4 × 5」と書くんだよと、ここは確認していいところです。「こういう絵のことを4 × 5と言うんだよ」と教えるのです。

田中博史、東洋館出版社 プレミアム講座ライブ 田中博史の算数授業のつくり方 p62

として、かけ算の式には具体的な状況を表わす意味があるので正しい順序があるという考えを示し、正しい順序に従わない子どもは治療しなければならないと主張した。

ディポール大学教育学部の高橋昭彦は、かけ算の式において特定の順序のみが正しいという考えを前提に、どちらでもよいと考える先生・学生が多いアメリカの教育レベルを低く評価する考えを示した[28]

等分除と包含除[編集]

かけ算の順序問題と関連し、除法について初等的な教育手法として、(整数の)除法の「意味」として等分除包含除の 2 種類に分類し導入をはかる、というものがある。ある量が「基準となる量」の「幾つ分」に除されるかを考えるとき、「基準となる量」を求めるのが等分除、「幾つ分」になるかを求めるのが包含除である。

等分除包含除について東京書籍算数教科書の著者の1人、加藤明(兵庫教育大学大学院教授)は、

「2年 かけ算」で述べたように、「3×4」の式の意味は、図のように「3個の集まり」が「4つ分」あること、つまり「同じ数ずつの集まり」が「いくつ分」かあるときに、全体の個数を求める計算がかけ算でした。数学的にはたし算の逆算がひき算であり、かけ算の逆算がわり算です。したがって、、わり算とは、かけ算の式の意味の「同じ数ずつ」と、「いくつ分」を求めるときに使う演算なのです。

加藤明、文溪堂 お母さんの算数ノート p78

として、

(ア) 12このおはじきを、同じ数ずつ4つに分ける場合(「等分除(とうぶんじょ)」といいます)

加藤明、文溪堂 お母さんの算数ノート p78

(イ) 12このおはじきを、3こずつ分ける場合(「包含除(ほうがんじょ)」といいます)

加藤明、文溪堂 お母さんの算数ノート p79

と述べている[31]。なお、ここで「式の意味」なる語が出てくるが、『「3×4」の意味は「3個の集まり」が「4つ分」あること』といったような「式の意味」の定義(「立式」といった、やはりその世界のみの用語が使われる)は、日本の一部の初等教育の世界にだけ存在する「定義」である(かけ算の順序問題)。[要出典]

海外でのかけ算の導入[編集]

中国では、かけ算の導入時から、因子 × 因子 = 積と、左右が対等な形で教え、両方の順序を示している[11]

アメリカでは、「一般的に指導されているかけ算の意味は、(いくつ分)×(ひとつ分) = (全部の数)であり、日本のそれとは順序が逆である」とされる[28]。しかし、数学教育において、式の順序は重視されていないようである。

例えば、私が黒板に自転車が3台並んでいる絵を書いて、タイヤの数を求める式は、2 × 3か、それとも3 × 2か、と問うと、教員養成課程の学生ばかりでなく、現場で算数を教えている先生も、ほとんどが、どちらでもかまわないという。その理由は、「どっちでも答えは6だから」というのである。驚くなかれ、大学で数学教育を教えている人の中にもこのような人は少なくないのである。

高橋昭彦、東洋館出版 筑波大学附属小学校算数研究部 企画・編集 算数授業論究 2012(平成24年)年 論究II かけ算を究める p54 「小学校でかけ算を教えるのは何のためか」

かけ算の順序問題の経緯[編集]

文部省は1951年, 小学校学習指導要領算数科編(試案)昭和26年(1951)改訂版[25]において

「一冊5円のノートを,6冊買ったら,いくら支払えばよいでしょう。」という問題を解くときには,「5円×6」として,その結果を求めるのが普通である。ところが,この問題を,「ノートを6冊買いました。どれも1冊5円でした。ぜんぶでいくら支払ったらよいでしょう。」とすると,「6×5=30(円)」として結果を求めるこどもがでてくるであろう。

こどもが,このような誤った解決をするのは,かけ算の意味をひととおり理解しているにしても,その理解が形式的になっていることを示しているといえる。

問題が,どんな形式で出されようとも また,いくつかの条件がどんな順序で書いてあろうとも,かけ算を式で示すとすれば,(グループの大きさ)×(グループの個数)=(量全体の大きさ)であることが,こどもにじゅうぶん理解されておらなければならない。この一般化がふじゅうぶんなために,6×5=30(円)というような式を書くのである。

と記述したが、正式な学習指導要領および学習指導要領解説にはこのような記述がなされることはなかった。

1951年4月16日に数学者の遠山啓らを中心に数学教育協議会が結成された。数学教育協議会は、かけ算を4 × 6 = 4 + 4 + 4 + 4 + 4 + 4 のように累加として導入するのはよくないと主張した。累加では4 × 1/3のような分数のかけ算が出てきたときに困る、かけ算は

1あたり量 × いくつ分

と考えるべきであると主張した[要出典]

1972年1月26日の朝日新聞[6]によると、大阪府の小学校で「6人に4個ずつミカンを配る」という問題が出題されたが、「6 × 4 = 24 こたえ24こ」という答案の答にマルがつけられ、式にバツがつけられて「4 × 6」が正しいと指導されたという。これに異議をとなえ文部省に質問状を送る親も現れ、かけ算の順序の「正解」をめぐって論争が起こった。

1972年遠山啓は、『科学朝日』1972年5月号で、4 × 6だけを正解とすることについては否定的な見解を示した。その理由は「6人に1個ずつミカンを配ることを4回繰り返すと、6個ずつのまとまりが4つあると考えられるから」というものである[9]

1977年、数学者の森毅は、『科学朝日』に『数の現象学』を連載し、5月号に「次元を異にする3種の乗法」として出版した中で、「大学入試などでは、『1人に1個ずつ配ると6人に対しては6個必要になる。1人当たり4個にするためには、それを4回繰り返さなければならない』というように書かなければ大減点される。6人を6個/回に、4個/人を4回に転換するところを書かないと、それぞれ1割程度減点、わざわざ間接的にマワリミチしたことで1割ぐらい減点。」「日本は『4の6倍』式に4 × 6と書くが、ヨーロッパでは『6倍の4』式に6 × 4と書く、日本のほうが合理的」と主張した[32]

1984年、数学者の矢野健太郎は、『おかしなおかしな数学者たち』[33]を出版した。この本で遠山啓についての項[34]で、名古屋のラジオ局から、名古屋の小学校で「ミカンを4つずつ6人の人に配りたいと思う。ミカンは全部でいくつあればよいか」という問題に6 × 4 = 24と答えた子どもがいて、教師はこれを0点にしたということを聞かされ、意見を求められたのに対してどちらでも良いと答えたことを記している。矢野は理由付けを1時間ほどかけて考えたが、一週間後に遠山啓に話したところ、遠山啓はそう言うように考える子がときどきあることおよび、カード式配りとよんでいてもともと知っていたというエピソードを述べている。

1993年、数学者の伊藤武広、萩上紘一、原田実は、小学生に算数を教える教師に整数環Zの代数的構造などの数学的素養が必要であるとする論文[35]を出版した。そのきっかけは、筆者らのうち一人の長男が2年生の時、「3枚の皿にりんごが2個ずつのっている時全部でりんごが何個あるか」という問題に対して「3 × 2 = 6」と解答したところ担任教師が「答えの6は正しいけれども,式は3 × 2ではなく 2 × 3でなければならない」と指導したことである[35]。その後の問答で、教師は「リンゴが2個ずつのっている皿が3枚あるから2個+2個+2個即ち2個 × 3 = 6個である。2+2+2は2の3倍即ち2 × 3であって3の2倍即ち3 × 2ではないこれを同数累加という。」「2(リンゴの数)が被乗数,3(皿の枚数)が乗数でそれぞれちがう意味を持っている(立場が違う)から2 × 3と 3 × 2は同じではない 」などの主張をしたことが報告されている[35]

1994年、心理学者の守一雄は伊藤武広ら(1993)の論文[35]について、なぜ環と加群の知識が必要な素養なのか示されていないと批判する論文[36]を出版した。このなかで、守一雄は教師の対応は十分だったと評価している[36]

2001年7月24日教育課程部会(第2回)にて上野健爾(京都大学理学研究科教授)は

特に今の教員免許状を取得する課程において、特に小学校、中学校において、専門の課程の勉強が少な過ぎると思うんです。

きのうも、私の友人が広島地方の新聞の投書欄を送ってきたんですけれども、小学校で、長方形の面積の計算をしなさいというテストが出ていて、式が△になって、答えが○になっていた。なぜ式が△になったかというと、学校では、長方形の面積は縦×横だと教えたのに、その子は横×縦に書いていたからだというんですね。でも、長方形、横、縦というのは、ひっくり返せばどうでもなることですから、そんなことどうでもいいことですし、掛け算は順番を変えてもいいわけですからね。

皆さん、お笑いになるけれども、現実に起こっていることなんです。私の息子の場合も、中学校の幾何の問題で、わからないから聞かれたことがありまして、息子のノートを見ると、私が言ったことと違う書き方がしてあるんですね。どうして、さっき言ったのと違うのと聞いたら、教科書ではこう書いてある。それは、「ゆえに」か、「よって」か、「したがって」かの言葉の違いなんです。だから、どう書いても正しいのにその教科書どおりに書いておかないと5点引かれるというんですね。

ばかげているんですけれども、これは先生が本当にはわかっておらないから、自信がなくて、つい教科書に書いてあるものにしか○をあげられなくなってしまっているのだと思います。そういうことを改善するためにぜひ、何らかの対策を打ってほしいと思います。

と述べた。

2007年、数学者の岩永恭雄は伊藤武広ら(1993)[35]と守一雄(1994)[36]の論文を再検討する論文を発表した[37]。岩永は教師の誤りと断じるとともに、その原因を考察し、教科書および指導書の記述が不適切であることを指摘した[37]

2008年の小学校学習指導要領解説算数編p147[38]では

(長方形の面積)=(縦)×(横)(もしくは(横)×(縦))

と但し書きが書かれている。

3 × 2は3本耳のウサギが2羽、
2 × 8は2本足のタコが8匹いるという意味になります。[21]

2008年、京都大学の田中耕治は、作問法によるパフォーマンス評価の出題例として「4×8=32となるようなお話をつくってください」を挙げ、採点基準の一つに、「乗数と被乗数の意味が区別されているか(とくに正比例型では「4」は「一あたり量」,「8」は「いくつ分」と区別されているか)」を示した[39]。ここで正比例型は「一あたり量×いくつ分=全体量」で表される[40]

2011年1月15日 朝日新聞 夕刊 「花まる先生公開授業」[21]では、「3 × 2だと3本耳のウサギが2羽いることになる。」「2 × 8だと2本足のタコが8ひきいることになる。」という授業を肯定的にとりあげた。

2011年5月26日、算数教育史家の高橋誠は『かけ算には順序があるのか』[8]を著し、「指導書[17]は「式」と「計算」を区別して扱っており、「計算」では交換法則が成り立つが「式」には順序に意味があるので勝手に順序を変えることはできないとしている」と指摘した[41]。また、このような指導に対しては以下のような批判がなされていると指摘した[42]

  1. かけ算には交換法則が成り立つから、「いくら分 × 1あたり量」という順序で書いてもよい。
  2. 仮に「1あたり量 × いくら分」の順序で書くとしても、どちらの数を「1あたり量」としてもよい。
  3. そもそも、かけ算は「1あたり量」と「いくら分」の積だけではない。

高橋誠、『かけ算には順序があるのか』[42]

高橋は、小学校の算数教育に浸透しつつある、かけ算の式には順序が存在するという指導法に警鐘を鳴らしている。本来「正しい」式の順序とはかけ算を教える上での単なる道具だったはずなのに、教師たちは「数学的にも算数的にも」根拠があると信じ始めているようにみえるからである[43]

2012年12月25日小林道正『数とは何か』[44]が発行された。小林道正は本書で(1あたり量)×(いくつ分)=(全体量)、(いくつ分)×(1あたり量)=(全体量)いずれでも良いことを明示的に述べる(p.44)とともに、特定の順序で書かなくてはならないと思っているひとが多いことについて困ったことであると評価した(p.46)。

2014年、青山学院大学教授の坪田耕三は、九九の三の段の学習において、「(一つ分)×(いくつ分)=(全体)の式の意味を確認していきたい。」としたのち、「チューリップがたくさんありました。子どもが7人います。そこで,このチューリップを3本ずつくばったら,ちょうどなくなりました。チューリップは何本あったのでしょう。」という文章題では、式の約束にそって「3×7」と書くことを確認するよう主張した[45]

2014年、志村五郎は、『数学をいかに教えるか』のなかで掛け算の順序の章に4ページをさき、「結局どちらでもよいのにどちらが正しいかを考えさせるのは余計なあるいは無駄なことを考えさせているわけである」と指摘し、そんなことはやめるべきであると論じた[46]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 高橋誠 2011, p. 117,118.
  2. ^ かけ算の順序問題の経緯節を参照
  3. ^ 黒木玄 2014.
  4. ^ 高橋誠 2011, p. 2.
  5. ^ 片岡麻実 2013.
  6. ^ a b 朝日新聞社 1972.
  7. ^ NEWSポストセブン 2012.
  8. ^ a b 高橋誠 2011.
  9. ^ a b 遠山啓 1972.
  10. ^ 上原佳久 2013.
  11. ^ a b 国立教育政策研究所 2009, p. 181.
  12. ^ 森毅 1989, p. 56.
  13. ^ 文部科学省 2008a.
  14. ^ 文部科学省 2008b.
  15. ^ 守屋誠司 2011.
  16. ^ a b c 栗山真寛 2012.
  17. ^ a b 指導書とは、教科書出版社が現場教員向けに作成するマニュアルで、文部科学省が作成する学習指導要領とは関係ない。学校関係者以外の者が指導書を閲覧したり購入したりすることは非常に困難である。国立国会図書館および公益財団法人教科書研究センター附属教科書図書館では閲覧できるが、現行の版は学校教育関係者以外は複写を認められていない。
  18. ^ a b 伊藤宏 2001.
  19. ^ 宮田佳緒里, 海老名正司 & 工藤与志文 2011.
  20. ^ 田中博史 2009, p. 62.
  21. ^ a b c 2 × 8ならタコ2本足(花まる先生公開授業)”. asahi.com (2011年1月17日). 2012年10月25日閲覧。
  22. ^ 森毅 1989, p. 72, ただし、対等性の考えのまま発展させると複比例というとらえにくい値なると指摘している
  23. ^ a b 岩永恭雄 2007, p. 4.
  24. ^ Benesse 小学生の学習Q&A 2007年11月20日.
  25. ^ a b 文部省 1951.
  26. ^ 田中博史 2011.
  27. ^ COMMON CORE STATE STANDARDS INITIATIVE 2013, p. 89.
  28. ^ a b c 高橋昭彦 2012.
  29. ^ 正木孝昌 2012.
  30. ^ a b 田中博史 2012a.
  31. ^ 加藤明 2010.
  32. ^ 森毅 1977.
  33. ^ 矢野健太郎 1984.
  34. ^ 矢野健太郎 1984, p. 119-124.
  35. ^ a b c d e 伊藤武広 1993.
  36. ^ a b c 守一雄 1994.
  37. ^ a b 岩永恭雄 2007.
  38. ^ 文部科学省 2008.
  39. ^ 田中耕治 2008, p. 158.
  40. ^ 田中耕治 2008, p. 155.
  41. ^ 高橋誠 2011, pp. 24–28.
  42. ^ a b 高橋誠 2011, p. 33.
  43. ^ 高橋誠 2011, p. 47.
  44. ^ 小林道正 2013.
  45. ^ 坪田耕三 2014, pp. 59-60.
  46. ^ 志村五郎 2014, pp. 45-48.

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]