お台場フィリピン人バラバラ殺人事件

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お台場フィリピン人バラバラ殺人事件
場所 日本の旗 日本東京都港区台場お台場)のマンション
日付 1999年(平成11年)4月22日(第1の事件)
2008年平成20年)4月3日(第2の事件、発覚)
概要 麻薬密輸を巡ってトラブルとなっていた麻雀店経営者ら2人を生きたまま電動のこぎりで切断し殺害し、遺体をバラバラにして横浜港に遺棄した。
攻撃側人数 1人
死亡者 女性2人
犯人 男N
対処 逮捕・起訴
刑事訴訟 死刑未執行
管轄 警視庁東京地方検察庁
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お台場フィリピン人バラバラ殺人事件(おだいばフィリピンじんバラバラさつじんじけん)とは、2008年平成20年)4月3日東京都港区台場のマンションで発覚した殺人死体損壊事件。

事件の概要[編集]

2008年の事件[編集]

2008年4月3日午後8時ごろ「六本木フィリピンパブに勤めていた従業員女性A(当時22歳)と連絡が取れなくなった」という同僚の連絡を受け、被害者の親族が部屋を訪ねると室内が血まみれになっており同居していた男性N(当時48歳)が消えていたため警察へ通報。

4月6日夜に埼玉県川口市の路上で手首を切って自殺を図っていたNを発見。Nが持っていたメモに書いてあったコインロッカーから被害者の遺体の一部が発見されたため、Nを死体損壊の容疑で逮捕した[1]

4月11日、さらにNの供述から現場近くの運河から被害者の頭部が発見された。

1999年の事件[編集]

Nはかつて1999年(平成11年)4月22日早朝、当時住んでいた神奈川県横浜市神奈川区のマンションでフィリピンパブの従業員女性B(当時27歳・埼玉県草加市在住)を掛け布団を首に押し当てて窒息死させ、遺体をバラバラにしての運河に遺棄するという同様の事件を起こしていた[2]。Nはこの事件で翌2000年(平成12年)に埼玉県警察死体損壊・遺棄容疑で逮捕されたが、遺体は歯・毛髪以外に発見されなかったため「殺人容疑での立件は難しい」として見送られ、懲役3年6ヶ月の実刑判決を受けた[2]

出所後[編集]

Nは刑務所から出所後にフィリピンパブに通い詰め「チャーリー」という手品師を名乗り、上野の店で働いていた被害者女性と接触。金銭的に余裕があるそぶりを見せ被害者と親密になったとされ、同居後はNが家賃を滞納しトラブルが絶えなかったという[3][4]

裁判[編集]

東京地方検察庁は立件できなかった1999年のバラバラ事件についても殺人容疑で立件し、2人の殺人容疑+1人の死体損壊・遺棄容疑で立件、死刑求刑した。

2009年(平成21年)12月16日東京地方裁判所登石郁朗裁判長)は2008年の事件に対して無期懲役、1999年の事件に対して懲役14年の判決を言い渡した[5]。1999年のバラバラ殺人事件は被告人Nの出所後に殺人事件として立件されたため、「確定判決前後の罪は併合しない」という刑法の規定から、判決を2つに分けて言い渡した。検察側は2008年の事件について「死刑が相当である」として量刑不当を主張した上で東京高等裁判所控訴した一方、被告人側も「量刑は重すぎて不当である」と主張して同じく東京高裁に控訴した[6]

2010年(平成22年)10月8日東京高等裁判所長岡哲次裁判長)で控訴審判決が言い渡された。東京高裁は1999年の事件については第一審・懲役14年判決を支持(被告人側の控訴を棄却)したが、2008年の事件に関しては検察側控訴を認容し、第一審・無期懲役判決を破棄して死刑を言い渡した[6][7][8][9]。判決理由で東京高裁は「犯罪の性質や執拗で残忍な犯行態様、結果の重大性などを考慮すると被告人の罪責は誠に重大であり死刑をもって臨むほかない」「殺人と死体損壊・遺棄は一連の行為として評価すべきであり、被告人Nは服役して反省の機会を与えられたにも拘らず以前より残虐性が強い類似の犯行に及んでいるため矯正可能性は認められない」と判断した[7]

2012年(平成24年)12月14日、最高裁判所第二小法廷小貫芳信裁判長)は上告棄却する判決を言い渡したため、被告人Nの死刑が確定した[10]。判決理由で同小法廷は「関係が悪化し、自分の思い通りにならないことに激怒して殺害し、遺体を解体しており、残忍で悪質極まりない」と事実認定した上で「以前にも同様の事件で服役し反省の機会があったにもかかわらず、再び犯行に及んだことなどから矯正可能性が認められず、死刑はやむを得ない」と述べた[10]

2017年(平成29年)9月22日現在[11]、死刑囚Nは東京拘置所収監されている[12]

脚注[編集]

  1. ^ “比人切断遺体で同居男逮捕 死体損壊容疑、以前も実刑”. 47NEWS (共同通信社). (2008年4月7日). オリジナルの2014年2月22日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140222173311/http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008040701000377.html 2014年2月22日閲覧。 
  2. ^ a b “別の比女性殺害で再逮捕…台場の切断事件で起訴男”. ZAKZAK. (2008年10月8日). オリジナルの2014年2月22日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140222204849/http://www.zakzak.co.jp/top/200810/t2008100849_all.html 2012年12月14日閲覧。 
  3. ^ 【衝撃事件の核心】フィリピーナ連続猟奇殺人 9年前の事件を警視庁に全面自供した「チャーリー」  (1/5ページ) MSN産経ニュース 2008年10月21日時点でのアーカイブ 2008年10月18日
  4. ^ 【衝撃事件の核心】「だましてもだまされない」…10年前の比女性殺害を一転否認、被告の“法廷戦術”は (1/4ページ) MSN産経ニュース 2009年8月26日時点でのアーカイブ 2009年8月22日
  5. ^ “フィリピン人2女性バラバラ殺人 被告の男に無期懲役 東京地裁”. MSN産経ニュース (産業経済新聞社). (2009年12月16日). オリジナルの2009年12月19日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091219171354/http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091216/trl0912161025001-n1.htm 2018年9月22日閲覧。 
  6. ^ a b “フィリピン2女性殺害、無期破棄し二審死刑 東京高裁”. 日本経済新聞 (2010-10-08). オリジナルの2018年9月22日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20180922140445/https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0802L_Y0A001C1CC1000/ 2018年9月22日閲覧。 
  7. ^ a b “2人目殺害 二審は死刑 比女性事件 併合せず審理”. 東京新聞 朝刊 (中日新聞社). (2010年10月9日). オリジナルの2010年10月12日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101012163546/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010100902000030.html 2018年9月22日閲覧。 
  8. ^ “比女性殺害、N被告に逆転死刑判決 東京高裁”. MSN産経ニュース (産業経済新聞社). (2010年10月8日). オリジナルの2010年10月11日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101011104813/http://sankei.jp.msn.com:80/affairs/trial/101008/trl1010081507001-n1.htm 2018年9月22日閲覧。 
  9. ^ “最後まで謝罪の言葉なく 比女性殺害「逆転死刑」のN被告”. MSN産経ニュース (産業経済新聞社). (2010年10月8日). オリジナルの2010年10月11日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101011175540/http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/101008/trl1010081844003-n1.htm 2018年9月22日閲覧。 
  10. ^ a b “フィリピン2女性殺害、被告死刑確定へ 最高裁上告棄却”. 日本経済新聞 (2012-12-14). オリジナルの2018年9月22日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20180922140436/https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1402O_U2A211C1CC1000/ 2018年9月22日閲覧。 
  11. ^ インパクト出版会 (2017, p. 205)
  12. ^ インパクト出版会 (2017, p. 201)

参考文献[編集]

刑事裁判の判決文[編集]

『最高裁判所裁判集刑事編』(集刑)第309号205頁
裁判所ウェブサイト掲載判例
死刑の量刑が維持された事例(フィリピン人女性殺人等事件)
  • 判決内容:被告人N側上告棄却(死刑判決確定)

関連書籍[編集]

  • 年報・死刑廃止編集委員会『ポピュリズムと死刑 年報・死刑廃止2017』インパクト出版会、2017年10月15日、201,205。ISBN 978-4755402807

関連項目[編集]

類似事件[編集]