コンテンツにスキップ

おうし座イプシロン星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
おうし座ε星
Epsilon Tauri
仮符号・別名 アイン[1], Ain[2][3]
星座 おうし座
見かけの等級 (mv) 3.53[4]
位置
元期:J2000.0[4]
赤経 (RA, α)  04h 28m 36.99882s[4]
赤緯 (Dec, δ) +19° 10′ 49.5446″[4]
赤方偏移 0.000128[4]
視線速度 (Rv) 38.43±0.08 km/s[4]
固有運動 (μ) 赤経: 106.19 ミリ秒/年[4]
赤緯: -37.84 ミリ秒/年[4]
年周視差 (π) 22.24 ± 0.25ミリ秒[4]
(誤差1.1%)
距離 147 ± 2 光年[注 1]
(45 ± 0.5 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 0.3[注 2]
ε星の位置
物理的性質
半径 13.7±0.6 R[5]
質量 2.7±0.1 M[5]
表面重力 2.64±0.07 cm/s2[5]
自転速度 2.5 km/s[5]
スペクトル分類 K0III[4]
光度 97±8 L[5]
表面温度 4,901±20 K[5]
色指数 (B-V) 1.014[5]
色指数 (U-B) 0.88[6]
色指数 (R-I) 0.50[6]
金属量[Fe/H] 0.17±0.04[5]
年齢 6.25 ± 0.5×108[5]
他のカタログでの名称
Oculus Boreus[7],
おうし座74番星[4],
BD+18 640[4],
FK5 164[4],
HD 28305[4],
HIP 20889[4],
HR 1409[4],
SAO 93954[4]
Template (ノート 解説) ■Project

おうし座ε星(おうしざイプシロンせい、Epsilon Tauri)は、おうし座の方角に位置する橙色巨星である。ヒアデス星団に属する恒星

概要

[編集]

ヒアデス星団に属しているため、年齢は6億2500万年と精度良く予測されている[5]。その質量の大きさから、スペクトル型がA型の主系列星から巨星に進化したものと考えられている。また、核でヘリウムを燃焼しているレッドクランプと推測されている。

189秒離れたところに見える11等級の恒星と連星であるか見かけの二重星であるかは定かではない[8]。仮に連星であった場合、最低でも8,600au離れた軌道を50万年以上掛けて周回していることとなる[8]

黄道面に近いところにあるため、おうし座ε星は惑星と一緒に昇ることがある。

惑星系

[編集]

2007年に、おうし座ε星の周りを公転している巨大な太陽系外惑星が報告された[9]。惑星はやや楕円の軌道で、1.6年かけて公転する[9]。発見当時は、散開星団中に見つかった唯一の太陽系外惑星だった。ヒアデス星団からはこれ以外の惑星は見つかっていないが、かつてヒアデス星団に属していたと考えられているとけい座ι星も惑星を持つことが知られている。

おうし座ε星の惑星
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
b(アマテル) > 7.6 ± 0.2 MJ 1.93 ± 0.03 594.9 ± 5.3 0.151 ± 0.023

名称

[編集]

固有名のアイン[1] (Ain[2][3]) は、アラビア語で「牛の眼」を意味する ʿain al-thaur に由来するが、これは元々はアルデバランのことを指していたものが近年ε星に使われるようになったものである[2]ジョン・フラムスティードラテン語で「北の眼」を意味する Oculus Boreusと名付けている[7]。2015年12月15日に国際天文学連合は、Ain をおうし座ε星の固有名として正式に承認した[3]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

[編集]
  1. ^ a b 国際天文学連合「太陽系外惑星命名キャンペーン」一般投票最終結果”. 国立天文台 (2015年12月15日). 2016年12月8日閲覧。
  2. ^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. p. 55. ISBN 978-1-931559-44-7 
  3. ^ a b c IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年12月8日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q SIMBAD Astronomical Database”. Results for eps Tau. 2015年12月21日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j Sato, Bun’ei; Izumiura, Hideyuki; Toyota, Eri; Kambe, Eiji; Takeda, Yoichi; Masuda, Seiji; Omiya, Masashi; Murata, Daisuke et al. (2007). “A Planetary Companion to the Hyades Giant ε Tauri”. The Astrophysical Journal 661 (1): 527-531. doi:10.1086/513503. ISSN 0004-637X. 
  6. ^ a b 輝星星表第5版
  7. ^ a b Richard Hinckley Allen. “Star Names, their lore and meaning”. p. 391. 2015年12月23日閲覧。
  8. ^ a b Jim Kaler. “Ain”. STARS. 2016年12月8日閲覧。
  9. ^ a b Notes for star eps Tau”. The Extrasolar Planets Encyclopaedia. 2016年12月8日閲覧。

外部リンク

[編集]
  • Star Names”. Frosty Drew Observatory. 2008年6月24日閲覧。