おいしいコーヒーのいれ方

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おいしいコーヒーのいれ方』(おいしいコーヒーのいれかた)は、村山由佳によるライトノベルシリーズ。

概要[編集]

「勝利」といとこの「かれん」、その弟である「丈」の同居生活における日常が描かれている。

『ジャンプノベル』に掲載され、読者アンケートで多くの得票を得る。1994年9月に、1巻の『キスまでの距離』が発売される。当初は、単発での発売を予定していたが、その後、ファンの声にこたえる形でシリーズ化。2012年6月現在、SecondSeason第7巻まで発売されている。

また以前に書かれた「もう一度デジャ・ヴ」および「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズに弊録されている短編作品と世界観を共有しており、稀に「もう一度デジャ・ヴ」のキャラクターが登場する。

イラストはジャンプ ジェイ ブックス版「もう一度デジャ・ヴ」表紙・漫画、「おいしいコーヒーのいれ方」表紙・挿絵をSecond Season IIまで、集英社文庫版「おいしいコーヒーのいれ方」表紙をXまで志田光郷(しだ みさと、旧ペンネームは志田正重(しだ まさえ))が担当している。志田光郷のイラストレーター引退によりSecond Season IIIの連載では挿絵が無く、ジャンプ ジェイ ブックス版Second Season III、文庫版Second Season I以降の表紙・挿絵は結布(ゆう)が担当する。

また、ソニーレコーズ インターナショナルより、本作をイメージしたCD「おいしいコーヒーのいれ方 COFFEE BREAK」が発売されている。

ヤングユー2001年2月号、3月号に架月弥による『キスまでの距離』のコミカライズが前後編で掲載された。

あらすじ[編集]

おいしいコーヒーのいれ方[編集]

Ⅰ.キスまでの距離
高校3年生になる春、父の転勤のため、いとこ姉弟と同居するはめになった勝利。そんな彼を驚かせたのは、久しぶりに会う5歳年上のかれんの美しい変貌ぶりだった。しかも彼女は、彼の高校の新任美術教師。同じ屋根の下で暮らすうち、勝利はかれんの秘密を知り、その哀しい想いに気づいてしまう。守ってあげたい!いつしかひとりの女性としてかれんを意識しはじめる勝利。ピュアで真摯な恋の行方は。
Ⅱ.僕らの夏
5歳年上のいとこのかれんとその弟の丈と同居して1年。大学生になった勝利の毎日は不安と焦りでいっぱい。恋人でもあるかれんとの仲が、なかなか進展しないからだ。ファースト・キスを交わしたけれど、かれんは本当に僕のことを好きなのだろうか?強力なライバルの出現、そして大学での新たな人間関係と、勝利の心は休まる暇もない。シリーズ第二弾。かれんと勝利、ふたりの夏がはじまる。
Ⅲ.彼女の朝
進展するとみえて、なかなか思うようにすすまない勝利とかれんの「秘密の恋」。互いの心が見えなくて、不安になったりもしたけれど。そんな気分をすべて洗い流したくてふたりで来た鴨川。思いっきり海ではしゃいだその帰り、外房線の不通というアクシデントが。「…今日は、鴨川にいない?」消え入るようなかれんの言葉の意味が、ようやく理解できたとき勝利は―。はじめての、ふたりだけの夜。
Ⅳ.雪の降る音
親父が再婚するぅ?突然のビッグニュースに福岡に単身赴任している父を訪ねた勝利。父と息子、男同士で過ごす夜、5歳年上のいとこ・かれんへの思いをはじめてうち明ける。まだまだ秘密にしなければならない恋だけど、少しだけ、前進。なのに美術教師のかれんには彼女に思いを寄せる同僚がいるし、大学生になった勝利は陸上部のマネージャーから告白されて。おおやけにできない恋ゆえの悩みが続く。
Ⅴ.緑の午後
5歳年上のいとこ、かれんと恋におちた大学生・勝利。そうとは知らず、勝利に思いをよせる星野りつ子。追いつめられた勝利は、ついに星野に「秘密の恋」をうち明ける。単身赴任していた勝利の父親も帰京し再婚、勝利の妹も誕生して、かれんとその弟の丈そして勝利の3人だけの生活が変わろうとしている―。番外編、丈の恋物語も収録する好評シリーズ第5弾。
Ⅵ.遠い背中
花村の叔母夫婦がついにロンドンから戻ってくる。勝利はかれんとふたりだけになれる場所を確保するために、周囲を説得して、ひとり暮らしを決意する。男としての強さ、優しさに、磨きをかけるためにも。なのにかれんは近いようで遠くて。ふたりの甘く切ない恋の行方が、ますます気になる人気シリーズ第6弾。かれんの実兄「風見鶏」のマスターのエピソードも収録。
Ⅶ.坂の途中
一人で部屋を借りさえすればいつだって好きなときに彼女と二人きりになれるとばかり思っていた―なのに、思うようにはいかない勝利の一人暮らし。バイト先の「風見鶏」では失敗を重ねるし、勝利への思いを断ち切れずに苦しむ星野りつ子が気にかかる。何よりかんじんの「かれん」が離れていこうとしている…。波乱含みのシリーズ7弾には星野りつ子の独白を収録。
Ⅷ.優しい秘密
「かれんと付き合ってるって本当?」花村のおばさんからきかれ、とっさに否定してしまった勝利。誰も傷つけたくなくて、ふたりの関係を守りたくて、ずっと秘密にしてきた。それが間違いだったのか。勝利へ思いをよせる星野りつ子の存在も、かれんには言えなくて。後ろめたいから言えない。言えないからますます後ろめたい。秘密は増殖する。悩み多きシリーズ8弾。
Ⅸ.聞きたい言葉
介護福祉士をめざすかれんは鴨川へ移住することをついに決意する。遠く離れてふたりの関係はどうなるのだろう。かれんを応援したいけれど、行って欲しくもない勝利の心は複雑だ。離れていても互いの思いは変わらない、彼女だって同じはず。それはふと触れ合う瞬間にだって、充分すぎるほど伝わってくる。でも確かめたい、彼女の言葉で、その胸の内を。シリーズ9弾。
Ⅹ.夢のあとさき
遠距離恋愛を始めたふたり。最初はうまくいっていたが、やがてかれんと連絡が全く取れなくなってしまう。気持ちまで離れてしまったのではないか。僕がそばにいなくても平気なのではないか。部活でのスランプからも抜け出せずに焦る勝利は、とうとう激情のままにかれんを深く傷つけてしまい…。ふたりの恋はどこへたどりつくのか―。切なく胸をしめつける人気シリーズ、第一シーズン完結。

おいしいコーヒーのいれ方 Second Season[編集]

Ⅰ.蜂蜜色の瞳
何の保証もないとわかっていても、彼女から強い約束を引き出したい。僕だけだ、と。一生、僕以外は愛さない、と。遠距離恋愛で、思うように会えない勝利とかれん。久々に週末を一緒に過ごすが、ちょっとした誤解から、なんとなくギクシャクしてしまう。愛おしすぎて、相手を思いやる気持ちが空回りする。それでも少しずつふたりの歩みはすすんでいく…。人気シリーズ待望のSecond Seasonへ。
Ⅱ.明日の約束
いつのまに、彼女はここまで凛ときれいになったんだろう。久々にふたりで過ごす休日、“おとなの女”になったかれんに、愛しさが募る反面、焦りや不安を感じる勝利。ひとり東京に戻り、一緒にいられない理不尽さに悶々としているころ、大家の裕恵さんの義弟が帰国する。一方、喫茶店『風見鶏』のマスターの身辺もあわただしくなる。かれんの同僚だった桐島先生の視点で描くサイドストーリーも収録。
Ⅲ.消せない告白
突然降りかかった災難に前歯を一本失った勝利。身体に走る激痛とともに、勝利は、恋する痛みや苦しさを思い知り、逢えない恋人かれんを想う。そんなとき、部屋に訪ねてきたりつ子に対し、勝利は…。村山由佳のハートフル・ラブストーリーSecond Season第3巻、新イラストにて登場。
Ⅳ.凍える月
勝利の目の前で泣き出すかれん。かれんへの愛おしさと、何もしてやれないふがいなさとで、勝利の心は千々に乱れる。自分のまわりの愛する人間たちがトラブルに見舞われるのを目にし、障害こそ成長の糧だ、と割り切れるほど、まだ勝利は大人になってはいなかった。
Ⅴ.雲の果て
急展開!! 勝利、オーストラリアの大地へ!!大学を休学しオーストラリアに渡った勝利は、アポリジニの研究者・秀人さんの手伝いをするが、働きすぎて倒れてしまう。そんな折、かれんの弟・丈からの手紙が届いた・・・。
Ⅵ.彼方の声
勝利は、金髪の美少女、秀人の同僚ダイアンの妹アレックスに出会う。アレックスは、初対面から勝利につっかかり、勝利がオーストラリアへ「逃げて」きたことまで知られてしまった。しかし、勝利は徐々に彼女の歌声の素晴らしさに感動し、二人はうちとけていく。
Ⅶ.記憶の海
いちばん逃げたくないと思っているのは、勝利自身のはずだ。誰よりも勝利こそが、今の自分を不甲斐なく思っているに違いないんだから……。勝利がオーストラリアに旅立ち、残された傷心のかれんを支える弟の丈。勝利の辛さもかれんの寂しさも、そばでずっと見てきた丈には、わかりすぎるほどわかる。そんなもどかしい日々の中、由里子の思いがけない提案によって、新しい光が差し込み始める。
VIII. 地図のない旅
誰一人として、勝利くんを罰しようとしなかった。その結果、彼はあそこまで追い詰められたんです――中沢の言葉を反芻しながら、風見鶏のマスターは、自分がかれんの兄であることを花村家に告げに行く。由里子さん、若菜ちゃんもそれぞれのつらい経験を乗り越えようと、一歩ずつ足を前に進める。あのとき以来、時間がとまったままの勝利だったが、急遽オーストラリアから帰国することになり……。

登場人物[編集]

和泉 勝利(いずみ かつとし)
主人公。父が福岡に転勤になったのを機に、花村家の居候となる。物語開始時点では高校二年生だったが、後に大学に進学する。
まだ男子学生であるにもかかわらず、かなりの家事の腕前を持つ。高校、大学共に陸上部に所属している。
一人称は、地の文では「僕」となっているが、台詞では「俺」を使っている。
花村 かれん(はなむら かれん)
ヒロイン。美人だが、かなりのんびりとした性格で、家事も苦手である。勝利の高校に、美術教師として赴任する。
勝利を「ショーリ」と呼ぶ唯一の人物(過去に勝利の母がそう呼んでいたが、現在彼女は他界している)。
花村 丈(はなむら じょう)
かれんの弟。物語開始時点では中学一年。年相応に生意気ながら、割としっかりしているところがある。
マスター
勝利たちが溜まり場にして、後にバイトすることになる喫茶店『風見鶏』のマスター。
髭を生やしているため年を取っているように見えるが、実際は若い。彼がいれるコーヒーは絶品である。
かれんの初恋の人物。名前は藤谷裕明(ふじたに ひろあき)。この苗字は母方の姓で、マスターの祖母と同じ苗字である。
花村 佐恵子
かれん・丈の母であり、勝利の叔母(母の千恵子の妹)。
和泉 正利(いずみ まさとし)
勝利の父。妻の千恵子を亡くしてから、男手一つで勝利を育て上げたが、どこかだらしのない人物。
家事はまるで駄目であり、勝利が家事の腕前が上がったのは半ば父親のせいである。
転勤先の福岡で、勝利の初恋の相手である明子と偶然に再会し、再婚した。
石原 京子(いしはら きょうこ)
丈のガールフレンド。やや気が強いところがある。
中沢 博巳(なかざわ ひろみ)
マスターの後輩で、かれんの同僚の教師。担当は英語。かれんに一目惚れをする。
顔が良く、さわやかな性格で、ライバルである勝利も認める好青年である。スポーツもしており、草野球チームに参加している。
星野 りつ子(ほしの りつこ)
勝利の大学の友人。勝利に恋するようになる。
原田 政志(はらだ まさし)
勝利の陸上部の先輩。ネアンデルタール人などと呼ばれている。粗暴な体育会系でお節介なところもあるが、悪い人間ではない。
森下 裕恵(もりした ひろえ)
勝利が借りているアパートの大家さんの奥さん。
佐藤 若菜(さとう わかな)
勝利が家庭教師をしている、原田先輩の妹。

シリーズ作品[編集]

ジャンプ ジェイ ブックス(以下JBと表記)および集英社文庫から刊行

おいしいコーヒーのいれ方[編集]

刊数 作品名 JB版発売年月日 JB版ISBN 文庫版発売年月日 文庫版ISBN 備考
I キスまでの距離 1994/9/2 ISBN 4-08-703025-3 1999/6/18 ISBN 4-08-747059-8
II 僕らの夏 1996/7/19 ISBN 4-08-703049-0 2000/6/20 ISBN 4-08-747202-7
III 彼女の朝 1997/10/3 ISBN 4-08-703064-4 2001/6/20 ISBN 4-08-747330-9
IV 雪の降る音 1999/4/2 ISBN 4-08-703079-2 2002/11/20 ISBN 4-08-747508-5
V 緑の午後 2000/12/25 ISBN 4-08-703100-4 2003/6/20 ISBN 4-08-747586-7
VI 遠い背中 2002/3/22 ISBN 4-08-703113-6 2004/6/18 ISBN 4-08-747705-3
VII 坂の途中 2003/5/26 ISBN 4-08-703128-4 2005/6/17 ISBN 4-08-747827-0
VIII 優しい秘密 2004/5/24 ISBN 4-08-703140-3 2006/6/28 ISBN 4-08-746047-9
IX 聞きたい言葉 2005/5/30 ISBN 4-08-703155-1 2007/6/28 ISBN 978-4-08-746165-7
X 夢のあとさき 2006/5/26 ISBN 4-08-703169-1 2008/6/26 ISBN 978-4-08-746303-3

おいしいコーヒーのいれ方 Second Season[編集]

刊数 作品名 JB版発売年月日 JB版ISBN 文庫版発売年月日 文庫版ISBN 備考
I 蜂蜜色の瞳 2007/5/26 ISBN 978-4-08-703179-9 2009/6/26 ISBN 978-4-08-746442-9
II 明日の約束 2008/5/26 ISBN 978-4-08-703192-8 2010/6/25 ISBN 978-4-08-746575-4
III 消せない告白 2009/5/29 ISBN 978-4-08-703203-1 2011/6/28 ISBN 978-4-08-746706-2
IV 凍える月 2010/5/31 ISBN 978-4-08-703224-6 2011/6/28 ISBN 978-4-08-746707-9
V 雲の果て 2011/6/20 ISBN 978-4-08-703248-2 2012/6/26 ISBN 978-4-08-746841-0
VI 彼方の声 2011/12/15 ISBN 978-4-08-703256-7 2012/6/26 ISBN 978-4-08-746842-7
VII 記憶の海 2012/6/26 ISBN 978-4-08-703263-5 2013/6/26 ISBN 978-4-08-745082-8
VIII 地図のない旅 2013/6/26 ISBN 978-4-08-703284-0 2014/6/25 ISBN 978-4-08-745198-6


参考

  • 『もう一度デジャ・ヴ』 - JB版1993/6/4発売、ISBN 4-08-703009-1、漫画版も収録。文庫版1998/2/20発売、ISBN 4-08-748515-3
  • 『志田光郷画集「ANGELS」』 - プライムライン発行、2006/5/1発売、ISBN 4-99-027577-2、『おいしいコーヒーのいれ方』のイラストも収録。

ラジオドラマ[編集]

NHKのラジオドラマ番組『青春アドベンチャー』にて、ラジオドラマ化されているが、CD化はされていない。そのため、どうしても聞きたい場合には、再放送を気長に待つしかないのが、現状である

なお、青春アドベンチャーでのラジオドラマは2006年12月の年内最後の放送までに第一部最終巻「夢のあとさき」までの残り全てがラジオドラマ化、オンエアされた。なお、ラジオドラマの内容は、文庫化の前に製作されている都合上ジャンプ ジェイ ブックス版準拠であり、文庫化の際変更された、表現・設定などは考慮されていない。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

シリーズ 副題 原作 脚色 音楽 演出 技術 音響効果 ラジオドラマ 小説
I キスまでの距離 村山由佳 佐藤ひろみ 梶本芳孝 千葉守 小倉善二 平塚清 1997年1月 1994年9月
II 僕らの夏 1996年7月
III 彼女の朝 太田岳二 1997年12月 1997年10月
IV 雪の降る音 平位敦 西ノ宮金之助 1999年7月 1999年4月
V 緑の午後 千葉守 星野勇一 菅野秀典 2001年2月 2000年12月
VI 遠い背中 大久保篤 糸林薫、金子泰三 日下英介、米田達也 2002年10月 2002年3月
VII 坂の途中 真銅健嗣 糸林薫 山田正幸 2003年11月 2003年5月
メモリーズ

※I〜VII総集編

大久保篤 浜中邦基 和田尚也 2006年11月
VIII 優しい秘密 米本満 2006年12月 2004年5月
IX 聞きたい言葉 2005年5月
X 夢のあとさき 2006年5月

外部リンク[編集]