うがい

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うがい(gargling)とは、などをふくんでのどをすすぐこと[1]。漢字ではと表記する。

概説[編集]

うがいは風邪の予防には有効とされている。 調査によって、緑茶や水でうがいをするのは効果がある、ということが明らかになっている(後述)。(緑茶でうがいすると、水よりもさらに効果が上がる、とされる。だが、反対にいわゆる「うがい薬」を混ぜたものでうがいを行うと、かえって効果がほとんどなくなる、との研究結果がある。後述)

うがいはインフルエンザに関しては効果は期待できない。(※ 一般に風邪インフルエンザは別ものとされている)

から(塩)水を吸い込んで鼻腔内を洗浄する行為は鼻うがいと呼ばれる。

英語圏では、風邪でが痛い時など、コップのぬるま湯にをスプーン半分ほど入れてうがいをすると、痛みをやわらげるとして、薦められることがある[2]。欧米の民間療法では、風邪の際には、蜂蜜をくわえた水でうがいをするという方法が伝わっているといい[2]、コップ2杯分のお湯に、ラズベリーの葉を1さじ(あるいはレモンジュースを同量)くわえ、そこに蜂蜜1さじを加えて、それをさましてからうがいするという[2] [出典無効]

うがいの種類[編集]

口中の洗浄
ブクブクうがいとも呼ばれる。水を含んで口を閉じ、を膨らませたり元に戻したりを交互に素早く行ってすすぐ。
喉の洗浄
ガラガラうがいとも呼ばれる。水を含んで口を開け、頭部を後ろに傾け(=上を向いて)息を吐く。

語源・歴史[編集]

「うがい」という語の語源は、鵜飼でありレトリック表現である。に魚を飲み込ませ、その後吐き出させる様子が似ていることから、「うがい」と呼ばれるようになった。1444年文安元年)に成立した国語辞典『下学集』には「鵜飼嗽也」とある。

うがいは、日本では古くは平安時代から行われてきたとされている。

効果[編集]

風邪予防
京都大学川村孝教授のグループが、被験者を「うがいをしない群」「水うがい群」「ヨード液うがい群」に割り付けて、うがいの風邪予防効果を検証した[3][4]
その結果は、1か月あたり100人中の発症率は、うがいをしない群26.4人、水うがい群17.0人、ヨード液うがい群23.6人であった。多変量解析で群間のばらつきを揃えると、水うがいをした場合の発症確率はうがいをしない場合に比べ、40%低下となった。一方ヨード液うがいをした場合はうがいをしない場合に比べ、12%の低下にとどまり、統計学的に意味のある抑制効果は認められなかった。
この結果について川村教授は、うがいをすることにより、水の乱流によってウイルスや、埃の中にありウイルスにかかりやすくするプロテアーゼという物質が洗い流されること、水道水に含まれる塩素が何らかの効果を発揮したことなどが考えられ、またヨード液でそれほど効果が出なかったことについては、ヨード液がのどに常在する細菌叢を壊して風邪ウイルスの侵入を許したり、のどの正常細胞を傷害したりする可能性があるとみている。
発熱予防
浜松医科大学野田龍也助教(公衆衛生学)らは、研究者から疑問視されているにもかかわらず、日本国内でうがいが推奨され続けていることを不思議に思い、調査を実施した。調査は、2006年1〜2月の20日間、福岡市の保育所145か所で、2〜6歳の子ども1万9595人を対象に行った。保育所で1日1回以上、水道水や緑茶などでうがいを行ったグループと、行っていないグループに分け、37.5度以上の発熱をした子どもの割合に差があるかどうかを調べた。その結果、うがいをする子どもが発熱する割合は0.4%だったのに対し、うがいをしない子どもは1%が発熱していた。また、緑茶でうがいをした子どもが最も発熱しにくく、食塩水、水道水の順に発熱者の割合が増えた。[5]
インフルエンザに関して
東京大学医科学研究所河岡義裕教授は、(うがいは)「インフルエンザに関しては、意味がないと思います」と否定した[6]
首相官邸ホームページでも、「インフルエンザを予防する効果については科学的に証明されていません」とした[7]

うがい薬[編集]

いわゆる「うがい薬(含嗽薬)」には、大別して殺菌消毒用と鎮痛消炎用の2種類がある。

殺菌消毒用の薬は、「風邪の予防」や「口内炎の治療」などが謳われている。主成分はポビドンヨード塩化セチルピリジニウムグルコン酸クロルヘキシジン塩化ベンゼトニウムなど。のどや口腔内に付着した細菌を殺菌する効果があり、口臭除去にも有効である、とされる。だが、上述したように、調査の結果では、ヨード液うがいをした場合はうがいをしない場合に比べ、発症は12%の低下にとどまり、統計学的に意味のある抑制効果は認められなかった。

鎮痛・消炎用のうがい薬は、アズレンスルフォン酸ナトリウムグリチルリチン酸ジカリウム塩化リゾチームなどが主成分で、「細菌の付着などで損傷を受けたのどや口腔内の粘膜炎症を鎮める作用がある」などと謳われている。

処方箋医薬品[編集]

処方箋医薬品としてはポビドンヨードベンゼトニウムフラジオマイシンなどが知られている。

ポピドンヨード

ポピドンヨードの代表薬はイソジン®ガーグルである。咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防、口腔内の消毒に対して用いられる。遊離ヨウ素の酸化作用によって蛋白質を変性させて微生物を殺す。ヨード過敏症では使用できない。また長期使用で甲状腺機能低下症となった例も存在する。褐色の液体であるが、チオ硫酸ナトリウム(通称ではハイポエタノール)で脱色することができる。イソジン®ガーグルは2~4mlを約60mlの水で希釈して1日数回含嗽する。

ベンゼトニウム

ベンゼトニウムは陽イオン界面活性剤である。ネオステリン®グリーンが商品名である。口腔内の消毒や抜歯創の感染予防に対して用いる。ポピドンヨードとの違いは、ヨードアレルギーの患者に使用可能であること、洗口後に清涼感があること、口腔粘膜に対する刺激が少なく毒性が低いことが知られている。口腔内の消毒ではネオステリン®グリーン1mlを水で約50mlに50倍希釈して1日数回含嗽する。抜歯創の感染予防ではネオステリン®グリーン1mlを水で約10~20mlに10~20倍希釈して1日数回含嗽する。

フラジオマイシン

フラジオマイシンアミノグリコシド系抗生物質である。フラジオマイシン以外にネオマイシンあるいはソフラマイシンという別名もある。デンターグル®が商品名である。抜歯創・口腔手術創の二次感染に対してデンターグル®20mgを3包に水約500mlにして1日数回含嗽する。

マナー[編集]

うがいのマナーエチケットに関して言うと、欧米では人前や食事の時間帯にうがいをすることは下品だと見なされており、うがいをするのはあくまで、独りでバスルーム洗面所)にいる時である。

脚注[編集]

  1. ^ 広辞苑 第五版 p.223「うがい」
  2. ^ a b c Home Remedies_For_Colds
  3. ^ 京都大学保健管理センターflu
  4. ^ Kazunari Satomura; Tetsuhisa Kitamura, Takashi Kawamura, et al. (November 2005). “Prevention of Upper Respiratory Tract Infections by Gargling: A Randomized Trial”. American Journal of Preventive Medicine 29 (4): pp. 302-307. 
  5. ^ うがい効果あった…浜松医大助教ら調査
  6. ^ 爆笑問題のニッポンの教養』「File090 新型インフルエンザの真実」 2009年11月3日放送
  7. ^ 首相官邸「冬の感染症にご注意! ~インフルエンザ&ノロウイルス特集~」2013年1月31日閲覧

関連項目[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]