いろは坂

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一般国道
国道120号標識
日光道路
いろは坂
路線延長 15.9 km
制定年 1954年(第一いろは)
1965年(第二いろは)
開通年 大正時代(第一いろは)
1965年(第二いろは)
廃止年 1984年(無料化)
起点 日光市細尾町字横手612番(第一いろは)
日光市細尾町字横手705番の2(第二いろは)
終点 日光市中宮祠2478番の1(第一いろは)
日光市中宮祠2479番の1(第二いろは)
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路

いろは坂(いろはざか)は栃木県日光市馬返から、同市中禅寺湖畔間の国道120号の坂道を指す。

概要[編集]

いろは坂の名称は、初期のいろは坂が48箇所のヘアピンカーブがあったことからその名が付けられたとされる[1]。初期のいろは坂から改良された現在の「いろは坂」は、華厳滝がある華厳渓谷を挟むように、北側に山下り専用の第一いろは坂と、南側に山登り専用の第二いろは坂に分けられ[2][3]、この二つの坂に存在する48のカーブをいろは48音に例えており、個々のカーブには音に対応する文字板が建てられている[1]。二つの坂道は、ふもとの馬返(うまがえし)と山頂の中禅寺湖畔でそれぞれ合流する。

馬返から中禅寺湖へ山登り一方通行の第二いろは坂には「い」から「ね」までの20のカーブがあって、中禅寺湖から馬返へ山下り一方通行の第一いろは坂には「な」から「ん」までの28のカーブがある[2][3]。第二いろは坂の途中には、休憩所を兼ねた駐車場が、「黒髪平(くろかみだいら)」と「明智平(あけちだいら)」2か所にある。明智平には明智平ロープウェイの駅舎があり、ロープウェイ終点の明智平展望台からは華厳滝や中禅寺湖が一望できる。

1954年(昭和29年)から1984年(昭和59年)までの間は有料道路として供用されていたが、現在は無料開放されており、「48箇所のカーブ道」として旧建設省と「道の日」実行委員会により制定された日本の道100選に選ばれている[1]。急な勾配とカーブが続き、沿線は春の新緑と秋の紅葉が美しいところで有名である[2][3]。そのため、春秋の観光シーズン中はかなり混雑する[1]

沿線には野生のニホンザルが姿をあらわすが、餌付けをする観光客が後をたたず、付近一帯で土産物等が奪われたりするなどの被害が続出している。このため日光市では全国初となる「餌付け禁止条例」が施行されている[4][5]

路線データ[編集]

  • 路線名:一般国道120号
  • 区間:日光市細尾 - 日光市宮司
  • 延長
    • 第一いろは坂:6.5 km[1]
    • 第二いろは坂:9.5 km[1]
男体山とその裾野にある第一いろは坂を南南東から望む。
拡大
第二いろは坂

歴史[編集]

奈良時代の782年(天応2年)に勝道上人らにより男体山が開山され、古くから山岳信仰聖地であった。いろは坂はその頃に開拓されたのが起源とされる[1]明治時代初期まで男体山は女人禁制牛馬禁制となっていた。その名残は、ふもとに「馬返(うまがえし)」の地名として、そして第一いろは坂の途中に、女性が男体山を拝んだ「女人堂(にょにんどう)」として残っている。明治から昭和時代初期にかけて、各国の大使館中禅寺湖畔に避暑地として別荘を相次いで建設することになる。 大正時代になると、人の往来が激しくなったため、中禅寺湖畔までの道路が整備され、今の第一いろは坂の元となった道ができた。自動車がいろは坂を通ることができるようになったのは昭和初期からであるが、まだこの当時は砂利道で、道路の幅員はわずか3 - 4メートル (m) のすれ違いが困難な狭隘道路であった[1]

太平洋戦争が終わり、復興の兆しが見え始めた頃の1952年(昭和27年)になって、栃木県によって、日光と奥日光を結ぶ幹線道路として本格的な道路改良整備が始められた[1]。いろは坂区間である延長6.5キロメートル (km) の道路改良事業には莫大な資金が注ぎ込まれることとなり、1954年(昭和29年)10月に日本で2番目の有料道路が誕生し、馬返から中禅寺湖畔まで20分ほどで結ばれるようになった[1]

いろは坂の供用開始によって、多くの観光客が奥日光を訪れるようになったが、自動車交通量や観光客数は増加し続け、紅葉シーズンを中心に慢性的な交通渋滞が発生するようになった。この状況を受けて第二いろは坂の建設が日本道路公団によってすすめられ、1965年(昭和40年)に、それまでのいろは坂を「第一いろは坂」と称して、山登りと山下りが完全分離された一方通行の道路として完成[1]、1984年(昭和59年)に無料開放された[1]

第二いろは坂は山登り専用であるが、以前はこのうち明智平 - 中禅寺湖畔間は上下2車線の対面通行となっていて、これが渋滞の原因のひとつと考えられたことから、2018年の社会実験を経て、2019年(令和元年)10月1日以降、明智平ロープウェイ駐車場から二荒橋前交差点手前の市道交差部までの区間を中禅寺湖畔方面への一方通行とし[6]、完全に山登り専用となった。これに伴い、中禅寺湖方面から明智平へ直接向かうことができなくなった。また、これにより、第二いろは坂は全区間片側2車線の運用となった(終点部は対面3車線)。

年表[編集]

  • 1953年昭和28年)5月18日 - 二級国道120号日光沼田線に指定される。
  • 1954年(昭和29年)10月1日 - 日本で2番目の有料道路として全面改修され、料金徴収を開始[7]
  • 1959年(昭和34年) - 管理が、栃木県から新規設立の日本道路公団に移る。
    当時は現在の第一いろは坂のみであり、片側一車線の対面通行であった。また、48か所あったカーブは整備され、30か所となった。これにより、麓から中禅寺湖畔までの所要時間が大幅に短縮され、交通量が増大。さらに急カーブでは大型自動車同士がすれ違うには十分な道幅でなかったため、渋滞が多発するようになった。
  • 1963年(昭和38年)7月30日 - 第二いろは坂の工事を開始[8]
  • 1965年(昭和40年)9月22日 - 第二いろは坂の工事が終了[9]
  • 1965年(昭和40年)10月7日 - 馬返から明智平へと通じる第二いろは坂を供用開始し、第一いろは坂と合わせて有料道路「日光道路」として料金徴収を開始[10]
    第二いろは坂はカーブが20あるため、第一いろは坂のカーブを2つ減らし、合わせて48のカーブの道となった。
  • 1984年(昭和59年)10月1日 - 無料開放される[11]
  • 1986年(昭和61年) - 日本の道100選に選出される。
  • 1987年(昭和62年)4月 - 日本ロマンチック街道の一部となる。
  • 1989年平成元年度) - 明智平バイパス着工[12]
  • 1994年(平成6年)3月30日 - 明智平バイパス開通[12]
  • 2018年(平成30年)10月 - 明智平ロープウェイ駐車場 - 二荒橋前交差点手前の市道交差部までの区間を、2車線とも中禅寺湖畔方向への一方通行とする社会実験を実施[13]
  • 2019年(令和元年)10月 - 上記区間を、恒久的に中禅寺湖畔方向への一方通行とする[6]

路線状況[編集]

バイパス[編集]

明智平バイパス
明智平 - 中宮祠間延長1,800 m、幅員9 mのバイパス。旧来のルート上の明智トンネル・白雲トンネルの天井の低さによる大型観光バスの交通障害の解消を目的として建設された。同バイパスにある明智第一トンネルは延長42.1 m、明智第二トンネルは延長926 mで、いずれも幅7.5 m、高さ4.5 mである[12]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l 「日本の道100選」研究会 2002, pp. 54-55.
  2. ^ a b c 小川、栗栖、田宮 2016, p. 67.
  3. ^ a b c 中村純一 編 2017, p. 67.
  4. ^ 栃木県/ニホンザルの管理”. 栃木県. 2018年11月26日閲覧。
  5. ^ 日光市サル餌付け禁止条例”. 日光市. 2018年11月26日閲覧。
  6. ^ a b 国道120号 第二いろは坂の一方通行化の実施について - 栃木県 交通政策課 行政情報(更新日:2019年7月1日)、2019年9月19日閲覧
  7. ^ JH日本道路公団『日本道路公団(JH)年報(平成15年版)』2003年
  8. ^ 同年7月29日、日本道路公団公告第27号「日光道路(第2期)一部工事開始公告」
  9. ^ 同年9月18日、日本道路公団公告第32号「日光道路工事完了公告」
  10. ^ 同年10月4日、日本道路公団公告第35号「有料道路「日光道路」料金徴収公告」
  11. ^ 1976年(昭和51年)4月16日、日本道路公団公告第27号「有料道路「日光道路」の料金の額及び徴収期間の変更公告」
  12. ^ a b c 広報にっこう平成6年5月1日 (PDF)”. 広報にっこう. 日光市 (1996年5月1日). 2015年2月13日閲覧。
  13. ^ 第2いろは坂(国道120号)の一方通行化社会実験について - 栃木県 交通政策課 行政情報(更新日:2018年10月16日)2018年10月30日閲覧

参考文献[編集]

  • 小川秀夫、栗栖国安、田宮徹「いろは坂」『ニッポン絶景ロード100』中村純一 編、枻出版社〈エイムック〉、2016年4月10日、67頁。ISBN 978-4-7779-3980-0
  • 「いろは坂」『日本の絶景道100選』中村純一 編、枻出版社〈エイムック〉、2017年4月10日、67頁。ISBN 978-4-7779-4572-6
  • 「日本の道100選」研究会『日本の道100選〈新版〉』国土交通省道路局(監修)、ぎょうせい、2002年6月20日。ISBN 4-324-06810-0

関連項目[編集]

外部リンク[編集]