いびき

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いびき)は、狭くなった上気道呼吸時に擦れて出す。睡眠時や脳梗塞失神した時などに発生する事がある。

概要[編集]

様々な病気や器質的な異常・障害、その他一時的な疲れやアルコールの影響などにより、軟口蓋舌根上気道をふさいで上気道が狭くなることがある。この状態で呼吸をすると、出入りする空気が塞いだ物を振動させてが出る。

その音を称していびきと言い、通常は「いびきをかく」と表現する。また、それが連日のように続くなどの病態もいびきと言い、それに悩む人向けの「いびき外来」などが設けられている医療施設がある。通常は耳鼻咽喉科の受診が推奨される。

睡眠時にいびきを生ずる場合、自身は気付かないことが多く、同居人などの睡眠の障害となる。しかしながら、本人の睡眠レベルや音の大きさなどにより、自身が驚いて目が覚めてしまうこともある。場合によっては睡眠が浅くなることがある。静かなものから激しいものまで様々であり、速やかな治療が推奨されるものもある。

いびきは呼吸のリズムと同期して起こるため、それが途切れることが一定レベル以上起こると、睡眠時無呼吸症候群の発見の手がかりとなる。軟口蓋などが気道を塞ぐために呼吸が途切れる。これが起こると一般に睡眠レベルが浅くなり、いわゆる熟睡ができないため、昼間の活動に支障をきたす。これが疑われる場合、まずは家族に自分のいびきの様子などをチェックしてもらうと良い。無呼吸とまではいかない場合、睡眠時低呼吸症となる。

いびきは、他人に多大な迷惑をかけることや、羞恥心のため、団体旅行を避けるようになるなど、様々なリスクを背負う。夫婦の寝室が別室となるだけではなく、離婚等の原因ともなり得る。

かつては「高いびきをかいているのは熟睡している証拠」といった誤解も蔓延していたが、むしろ睡眠の質を低下させるばかりか、後述するように、何らかの疾病と関連している場合もある。

原因[編集]

上気道が狭くなることがいびきの原因だが、必ずしも一般的な意味でいう病気とは限らない

  • 口蓋垂(のどちんこ)が大きい場合、それが呼吸の障害となっていびきの原因となる。
  • 扁桃腺やアデノイドが炎症をおこすなどして腫れている場合、いびきの原因となることがある。
  • が大きかったり、軟口蓋が大きい場合もいびきの原因となる。
  • 肥満が原因で喉が狭くなる、即ち上気道が狭くなるためにいびきをかきやすくなることがある。
  • 花粉症を含むアレルギー性鼻炎や鼻ポリープ蓄膿症など鼻詰まりを起こす病気が原因となることもある。
  • 疲れがひどい場合や飲酒などが原因で、舌の筋力が落ちることがいびきの原因となることがある。睡眠薬等が原因となることもある。
注意すべきいびきの原因
  • 上記の飲酒などが原因の場合と同様、意識レベルが低下している時には、舌根が咽頭をふさぐ舌根沈下が起きやすい。したがって、舌根沈下によるいびきは意識障害の症候の一つであることもあり、その意識障害を来たす疾患には脳血管障害等がある。普段、いびきをかかないような人が突然にいびきをかくケースがある。
  • 習慣性のいびきを伴う上気道抵抗症候群という病態もあり、これは睡眠時無呼吸症候群と同様に、昼間のひどい眠気などが特徴である。心臓病が関与している可能性がある。

対策と治療[編集]

  • いびきをかきにくくすると称する健康用品や健康器具がいくつか市販されている。鼻の両側の穴に差し込み、鼻中隔をクリップして止める一部がとぎれたリング状のものや、音響センサーなどによっていびきを感知し振動などの刺激を与えるものや、空気袋等により睡眠姿勢を若干変えるようなものなど、方法も価格も千差万別である。しかしながら、その効果・実績は、それぞれ明確に示しているものと明らかでないものがある。
  • 睡眠時無呼吸症候群の治療装置・CPAP(シーパップ)には、いびきを消滅させる効果がある。
  • グリセリンを保湿剤とする鼻スプレーもいびき対策として販売されている。
  • 枕の高さなどを見直してみることが有効である場合もある。
  • 仰向けに寝るとあごが後退し、舌根がのどの方に沈下していびきをかきやすい。横向きで寝ると有効な場合がある。
  • 肥満が原因と考えられる場合は、その解消が有効な対策となる。アルコールも避けた方がよい。
  • 意識障害に対しては気道確保の上で原因検索を行いつつ経験的治療を行う必要がある。
  • 軟口蓋下垂等に対しては外科手術によりいびきを低減させることができるが人間の蘇生力によってもとに戻ることが多い。
  • 鼻疾患においては、その治療を行う。

語源[編集]

「いびき」の語源については、いびき(息引・息吹)説、いひびき(息響・気響・唾響)説、いきびき(息響)説、いきひびき(息響)説、ねいきひびき(寝息響)説など諸説ある[1]平安時代の漢和字書『新撰字鏡(しんせんじきょう)』にもいびきの語がみられるという。

また、漢字の「鼾」は「鼻から出る干声」の意味で「干声(かんせい)」とは「大きな音」という意味であるという[1]

成句[編集]

  • 白河を夜舟で渡る高いびき
いびきをかくほどにぐっすりと寝ていたために、記憶が全くないこと。その昔、京を見物した振りをした人が白河のことを尋ねられ、うっかり川のことだと思い込んで「夜に船で渡ったので見ていない」と答えた故事に由来。
  • いびきをかく者は夜聡し
いびきをかいて寝ている人は、なんらかの物音や気配などで敏感に目を覚ますという意味。

脚注[編集]

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  1. ^ a b フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.20 1988年 永岡書店

関連項目[編集]