あ・うん

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あ・うん』は、1980年3月9日から3月30日までNHKで放送された向田邦子脚本テレビドラマ。テレビドラマとして続編が制作され、1981年5月17日から6月14日まで放送された。向田は大人の恋の物語としてこのドラマを続ける意向であったが、1981年8月に飛行機で事故死したため中断した。

向田自身により、同名で小説化されている。向田の唯一の長編小説であり、1981年に文藝春秋から刊行された。

1989年に映画化され、2000年には正月スペシャルドラマとしてTBSで放送された。

概要[編集]

昭和初期の山の手を舞台とした、製薬会社のサラリーマンの水田仙吉と親友の実業家門倉修造、門倉に思われる仙吉の妻たみ、仙吉夫婦の一人娘さと子、門倉の愛を得られぬ妻の君子を中心とした、暗い昭和の支那事変前夜の庶民の暮らしを描いている。

タイトルの「あ・うん」は、仙吉の父初太郎がこの2人をさして「神社を守っている狛犬の阿(あ)と吽(うん)だ」と評したことが作品の中で示されている。

あらすじ[編集]

登場人物[編集]

門倉修造(43歳)
鋳物工場経営者。妻との間に子供はなく、妊娠したたみの子を欲しいと懇願する。仙吉の部下の使い込みを埋め合わせるために五千円を仙吉に貸すが、軍縮の不景気で会社が倒産。
水田仙吉(43歳)
名前は志賀直哉の「小僧の神様」から向田が採用。夜学を卒業。小さな製薬会社の松山[要曖昧さ回避]出張所所長から本社課長に栄転し、5年ぶりに東京に戻る。芝白金三光町の借家(家賃30円)に居住。門倉とは陸軍での「寝台戦友」。
水田たみ(39歳)
仙吉の妻。帰京早々、妊娠、その後腹を強打して流産する。門倉の好意を知るが、弥次郎兵衛のごとく均衡をたもつ。
門倉君子(39歳)
門倉の妻。門倉が肺病でサナトリウムに入っていた時の看護婦。禮子の妊娠を知り、自殺を計画する。
水田さと子(18歳)
仙吉夫妻の一人娘。肺病にかかる。半年の静養を言い渡される。君子の勧めで帝大出の辻本と見合いをするが、仙吉の事情で破談にされる。
三田村禮子
カフェの女給。門倉の子を妊娠する。
水田初太郎(74歳)
仙吉の父。元・山師。四星物産で出世するが、山林の材木投機にとりつかれ破産し、仙吉は結果として、夜学出となる。仙吉の貯金をたみから用立ててもらうが、仙吉に知れて以来、初太郎と仙吉は決裂し、死ぬまで口を利(き)かなくなった。

テレビドラマ(NHK)[編集]

1980年3月9日 - 3月30日にNHK総合『ドラマ人間模様 あ・うん』で4話放送。続編を『ドラマ人間模様 続あ・うん』として1981年5月17日 - 6月14日に5話放送。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

タイトルと視聴率[1][編集]

第1シリーズ[編集]

  • こま犬(14.3%)
  • 蝶々(11.4%)
  • 青りんご(11.6%)
  • 弥次郎兵衛(11.2%)

第2シリーズ[編集]

  • 恋(20.1%)
  • 四角い帽子(18.4%)
  • 芋俵(18.1%)
  • 実らぬ実(18.3%)
  • 送別(22.1%)

テレビドラマ(TBS)[編集]

2000年1月1日に『向田邦子新春ドラマ あ・うん』として放送。

キャスト[編集]

ほか

スタッフ[編集]

映画『あ・うん』[編集]

あ・うん
監督 降旗康男
脚本 中村努
原作 向田邦子
製作 石井幸一
伊藤伴雄
進藤淳一
出演者 高倉健
富司純子
板東英二
音楽 朝川朋之
撮影 木村大作
編集 飯塚勝
配給 東宝
公開 日本の旗 1989年11月3日
上映時間 114分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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1989年11月3日東宝系にて公開。カラービスタビジョンサイズ。監督は降旗康男。主演は高倉健富司純子板東英二宮本信子富田靖子真木蔵人らが脇を固め上品で感動的で温かい作品に仕上がっている。NHKドラマのパート1までを一つにまとめたストーリーになっている。

板東は第13回日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞、ブルーリボン賞で助演男優賞、第2回日刊スポーツ映画大賞で助演男優賞をそれぞれ受賞した。

あらすじ[編集]

新聞に「神風の覇業遂に成る」という見出しが躍る1937年(昭和12年)春。中小企業の社長・門倉修造が水田一家を迎えるための準備に忙しい。水田仙吉の娘・さと子は「だって、門倉さんはお母さんのこと好きだから」という。妻・たみは心の中を覗かれたようで否定する。水田が3年半ぶりに東京に帰り、一家ぐるみの付き合いが始まる。水田はつましいサラリーマンで性格も地味。門倉は軍需景気で羽振りがよく、妻・君子を女で泣かせてきた。二人は20数年来の「戦友」だった。

さと子は君子の紹介で帝大生・石川義彦と見合いをして石川に二人は狛犬の「阿吽」みたいだといわれる。夜学しか出ていない仙吉は身分不相応と断わる。しかし、さと子が肺炎になると堀口大学訳の『ヴエルレエヌ詩集』を渡す。

出世のためと倒産寸前の門倉に上司の使い込みの5000圓の借金をする。隠れて石川とデートを重ねていたさと子が「修善寺」と書いていなくなり、捜しに行った温泉では水田夫婦が駆落ちに間違えられる。生真面目な仙吉が門倉に紹介された神楽坂の芸者・まり奴に入れあげる。門倉はまり奴を匿ったが、誤解から君子や仙吉を傷つける。義彦が特高に捕まり、説得してくれと頼まれ、門倉は「みすみす実らないと分かっていても人は惚れるんだよ」という。門倉はたみに惹かれていく自分に歯止めをかけようと料亭で仙吉に喧嘩を売り、「顔つきが卑しくなったな」と水田家と絶縁する。さと子は「みんな本当のことを言わないで生きている」「巷に雨の降るごとく」というと門倉は「わが心にも涙ふる」[2]と答える。

仙吉がジャワ支店長として転勤することが決まり、門倉は最後の別れを言いに水田家を訪れ、仙吉の「入れるな」を制止してたみが中に入れる。義彦も召集令状を受け取り、別れを告げに来る。門倉はさと子に雪の中を去る義彦を追わせ、水田家で久しぶりに三人で酒をくみ交わす。「さと子ちゃんは今夜一晩が一生だな」とつぶやき、たみは「門倉さんの行く場所がなくなっちゃう」。

キャスト[編集]

ほか

スタッフ[編集]

その他[編集]

  • 朝日新聞』読書欄の「重松清さんと読む百年読書会」2009年6月7号の回でこの作品がとりあげられたが、男性読者からは「仙吉と門倉の関係が不自然」という意見が多く、女性読者からは2人の友情を肯定的にとらえる意見が多かった。

脚注[編集]

  1. ^ 「テレビ視聴率季報(関東地区)」ビデオリサーチ。
  2. ^ ヴエルレエヌ『言葉なき恋唄』。

外部リンク[編集]