あげくの果てのカノン

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あげくの果てのカノン
ジャンル 青年漫画
恋愛漫画
SF漫画
漫画
作者 米代恭
出版社 小学館
掲載誌 月刊!スピリッツ
レーベル ビッグコミックス
発表号 2015年10月号 -
発表期間 2015年8月27日[1] -
巻数 既刊4巻(2017年11月現在)
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ポータル 漫画

あげくの果てのカノン』(あげくのはてのカノン)は、米代恭による日本青年漫画地球外生命体の侵略を受けた近未来の東京を舞台に、恋い慕う男性との不倫に走る女性を描いた恋愛漫画である[2]。『月刊!スピリッツ』(小学館)において、2015年から連載中。

あらすじ[編集]

本作の主人公・高月かのんは、高校時代に先輩の境宗介に恋心を抱く。宗介が高校を卒業する日、かのんは宗介に告白するが、フラれる。しかし、かのんはその後も宗介への想いを断てずにいた。一方、宗介は高校を卒業後、異星生物対策委員会 (SLC) という組織の一員となり、そこで「ゼリー」と呼ばれる地球外生命体と戦う日々を送っていた。

時が経ち、かのんは、SLCの本部の近くにあるパティスリーでアルバイトをしていた。ある日、パティスリーに宗介が立ち寄り、店番をしていたかのんは宗介と再会を果たす。2人は連絡先を交換し、それ以来、宗介はパティスリーに足繁く通うようになる。そして、再会から約3ヶ月後、かのんは、誕生日を間近に控えた宗介から「誕生日を一緒に過ごそう」と誘われる。

SLCでは、戦闘員がゼリーとの戦いで負傷した際、「修繕」という処置を施していた。この処置は人体にゼリーを移植するというものであり、欠損した肉体を再生することができるが、心が変化するというデメリットを抱えていた。宗介の妻・初穂は、このデメリットを克服すべくSLCで研究を行っていたが、研究の都合で、宗介の誕生日を夫とともに迎えることができなくなってしまう。宗介は、修繕によって自分は否応なく変わってしまうのに、初穂は「変化する宗介」を許さず、以前と変わらない自分を求めていると感じており、誕生日を巡って妻とすれ違いが生じたのを機に、高校時代から変わらず宗介を慕い続けるかのんを求めたのだった。

かのんは戸惑いつつも宗介の誘いに応じるが、結局、その予定は宗介の任務の都合で流れる。しかし、その後も宗介のアプローチは続き、2人はSLCの本部でデートする。しかし、デートの最中、脱走したゼリーに襲われて宗介が負傷する。この一件で宗介の不倫を知った初穂は、彼のスマートフォンを破壊し、宗介がかのんと連絡を取れないよう取り計らう。さらに、その直後、初穂は修繕に伴う心変わりを抑えることに成功し、これを「夫のため」と喧伝することで宗介の愛を取り戻そうとする。しかし、宗介はかのんを選び、かのんを連れて北海道に逃避行する。これを受けて、初穂は宗介を連れ戻すため、SLCの本部で囲っていたゼリーを解放し、姿をくらます。

ゼリーが解放されたことで東京は大きな被害を受け、北海道から帰ったかのんも避難所での生活を余儀なくされる。さらに今回の事件の背景に宗介の不倫があったことが報じられ、不倫相手だったかのんは、ゼリーの被害を受けた人々から非難される。そんな中、かのんは友人が勤めるクラブを訪れ、そこで宗介と再会する。しかし、初穂の研究はまだ実用化には至っていなかったため、解放されたゼリーと戦い続けた宗介は修繕の影響で心変わりし、かのんへの愛情を失っていた。

登場人物[編集]

高月 かのん(こうづき かのん)
本作の主人公[3]。東京にあるパティスリーで働く女性。
地味で挙動不審なところがあり[4]、かつ自虐的な傾向がある[5]。宗介に恋をしており、ストーカーじみた行動をとる[3]
境 宗介(さかい そうすけ)
かのんの想い人。SLCの戦闘員。
優しい性格で、かつイケメンであり、大勢のファンがいる[3]。一方で、戦闘員という職業柄、しばしば修繕を受けており、その影響で心が変化することに苦悩している。
境 初穂(さかい はつほ)
宗介の妻。SLCの研究員で、修繕に伴う心の変化について研究している[6]
宗介とはSLCに入隊する前から交際しており、彼が修繕の影響で心変わりすることを承知で結婚した。彼の心変わりを止めることを目指して研究に励む一方、宗介の不倫相手であるかのんに敵意を抱く。

作風[編集]

本作は「不倫」というテーマを扱った漫画である[2]。しかし、その内容は、主人公が1人の男性に恋をし、その男性が別の女性と結婚しても陰で想い続けていたら成就してしまった、というものであり、日本の昼ドラで描かれるようなドロドロの不倫劇とは趣が異なる[7]

特に、主人公・かのんの純愛がストーカーじみている点が本作の特徴であり[7]、ライターの井口啓子は、本作について「見返りを求めず、純粋に盲目的に誰かを思い続ける『恋』の甘美さとグロテスクさ」が徹底的に描かれていると述べている[8]。加えて、SFの設定が恋物語にスパイスを効かせており[7]、マンガライターの門倉紫麻は、SFの要素を加えたことで「恋の持つ切実さと異常性」が際立っている、と本作を評している[6]

ライターの平松梨沙は、本作について「主人公が憧れの先輩との不倫に突き進むと、それが人類の危機とも結びつくという、ぶっ飛んだSF恋愛マンガ」と語っている[9]。主人公・かのんが「ぼく」、憧れの先輩・宗介が「きみ」という「きみとぼく」の物語であり、かつメインキャラクターに世界の命運が左右されるという点から、本作をセカイ系と関連づける意見もあり[10]、ライターのたまごまごは、セカイ系の文法を受け継いでいる、と本作を表現している[11]

制作背景[編集]

作者の米代によると、本作は、担当編集者から不倫ものを描くよう要望され、加えて「SFも面白いのではないか」と提案されたことがきっかけで誕生したという[12]

担当編集者には、米代に「世界がどんなことになっていてもそれを気にしない女の子」を描いてほしい、という思いがあったという[13]。一方、提案された側の米代は、SF漫画も恋愛漫画も得意ではなかったが、恋愛相手に幻想を見ている状態の人間なら描けると考え、その結果、本作が誕生した[12]

米代は、2016年に開催されたトークイベントで「交際経験がない」と明かしており[13]、それ故に「憧れそのものに恋をしてしまう状態」が描けるのかもしれない、と自己分析している[14]。しかし、経験不足故に分からない部分もあるといい[14]、そのため、担当編集者の恋愛経験も参考にして本作は執筆されている[2]

賞歴・ノミネート歴[編集]

発表年 部門 対象 結果
2018 全国書店員が選んだおすすめコミック2018 一般部門 あげくの果てのカノン 15位[15]

書誌情報[編集]

出典[編集]

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  1. ^ 気鋭・米代恭が描く自虐系女子のSFラブストーリー、月スピにて始動”. コミックナタリー. ナターシャ (2015年8月27日). 2017年9月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  2. ^ a b c 『あげくの果てのカノン』の米代恭氏、漫画にすべてを捧げる25歳に密着”. ORICON NEWS. oricon ME (2017年11月14日). 2017年11月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  3. ^ a b c 加山竜司 (2017年1月10日). “圧倒的僥倖っ‥‥! 『アカギ』で19年ぶりに雨があがるっ‥‥!!【B級ニュース】”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. 2017年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  4. ^ 『このマンガがすごい!2017』 『このマンガがすごい!』編集部、宝島社、2016年、64頁。ISBN 978-4-8002-6449-7
  5. ^ 『このマンガがすごい!2017』 『このマンガがすごい!』編集部、宝島社、2016年、82頁。ISBN 978-4-8002-6449-7
  6. ^ a b 門倉紫麻「『あげくの果てのカノン』米代恭インタビュー」、『ダ・ヴィンチ』第24巻第10号、KADOKAWA2017年10月6日、 188-189頁。
  7. ^ a b c 大路実歩子 (2016年11月29日). “SF×ストーカーの純情な不倫!?『あげくの果てのカノン』無垢な狂気にドキドキキュンキュン”. おたくま経済新聞. 2018年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  8. ^ 井口啓子 (2016年7月9日). “『あげくの果てのカノン』第1巻 米代恭 【日刊マンガガイド】”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. 2017年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  9. ^ 「高橋一生 広瀬アリスに「不倫SFマンガ指南」」、『女性自身』第61巻第6号、光文社2018年2月13日、 41頁。
  10. ^ いつの世も人は不倫にドハマリする 一途ストーカー女子が恋の泥沼に沈むSF「あげくの果てのカノン」”. ねとらぼ. p. 2 (2016年7月8日). 2017年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  11. ^ たまごまご (2017年5月31日). “『あげくの果てのカノン』 第3巻 米代恭 【日刊マンガガイド】”. このマンガがすごい!WEB. 宝島社. 2017年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  12. ^ a b 五十嵐大 (2016年8月27日). “いま注目の女性作家対談! 芥川賞作家・村田沙耶香דSF不倫”で話題『あげくの果てのカノン』マンガ家・米代恭/「嫌な人間を書くのが好き」村田発言に米代も共感!? 【前編】”. ダ・ヴィンチニュース. 2018年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  13. ^ a b 平松梨沙 (2016年7月26日). “不倫SF『あげくの果てのカノン』米代恭 × 芥川賞受賞の村田沙耶香 対談「イヤな人ほど愛おしい」”. KAI-YOU.net. KAI-YOU. 2017年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  14. ^ a b 五十嵐大 (2016年8月27日). “いま注目の女性作家対談! 芥川賞作家・村田沙耶香דSF×不倫”で話題『あげくの果てのカノン』マンガ家・米代恭/「異様なくらい健全な人が好き」村田が明かした、意外な恋愛観とは? 【後編】”. ダ・ヴィンチニュース. 2018年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  15. ^ 全国書店員が選んだおすすめマンガ、今年の1位は「とんがり帽子のアトリエ」”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年2月1日). 2018年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。

小学館公式サイト[編集]

以下の出典は『小学館公式サイト』内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。

  1. ^ あげくの果てのカノン 1”. 2018年2月18日閲覧。
  2. ^ あげくの果てのカノン 2”. 2018年2月18日閲覧。
  3. ^ あげくの果てのカノン 3”. 2018年2月18日閲覧。
  4. ^ あげくの果てのカノン 4”. 2018年2月18日閲覧。

外部リンク[編集]