小麦粉
100 gあたりの栄養価 | |
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エネルギー | 1,523 kJ (364 kcal) |
76.31 g | |
糖類 | 0.27 g |
食物繊維 | 2.7 g |
0.98 g | |
飽和脂肪酸 | 0.155 g |
一価不飽和 | 0.087 g |
多価不飽和 | 0.413 g |
10.33 g | |
トリプトファン | 0.127 g |
トレオニン | 0.281 g |
イソロイシン | 0.357 g |
ロイシン | 0.71 g |
リシン | 0.228 g |
メチオニン | 0.183 g |
シスチン | 0.219 g |
フェニルアラニン | 0.52 g |
チロシン | 0.312 g |
バリン | 0.415 g |
アルギニン | 0.417 g |
ヒスチジン | 0.23 g |
アラニン | 0.332 g |
アスパラギン酸 | 0.435 g |
グルタミン酸 | 3.479 g |
グリシン | 0.371 g |
プロリン | 1.198 g |
セリン | 0.516 g |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(0%) 0 µg(0%) 0 µg18 µg |
チアミン (B1) |
(10%) 0.12 mg |
リボフラビン (B2) |
(3%) 0.04 mg |
ナイアシン (B3) |
(8%) 1.25 mg |
パントテン酸 (B5) |
(9%) 0.438 mg |
ビタミンB6 |
(3%) 0.044 mg |
葉酸 (B9) |
(7%) 26 µg |
ビタミンB12 |
(0%) 0 µg |
コリン |
(2%) 10.4 mg |
ビタミンC |
(0%) 0 mg |
ビタミンD |
(0%) 0 IU |
ビタミンE |
(0%) 0.06 mg |
ビタミンK |
(0%) 0.3 µg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 2 mg |
カリウム |
(2%) 107 mg |
カルシウム |
(2%) 15 mg |
マグネシウム |
(6%) 22 mg |
リン |
(15%) 108 mg |
鉄分 |
(9%) 1.17 mg |
亜鉛 |
(7%) 0.7 mg |
マンガン |
(32%) 0.682 mg |
セレン |
(48%) 33.9 µg |
他の成分 | |
水分 | 11.92 g |
アルコール (エタノール) | 0 g |
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%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 出典: USDA栄養データベース(英語) |
小麦粉(こむぎこ)とは、小麦を挽いて作られた粉。英語ではwheat flour(ウィート・フラワー)と呼ぶが、穀物の粉の中でも最も頻繁に用いられるため単にflourと呼ぶことが多い。
概要
小麦粉は7~8割がデンプンだが、タンパク質も約1割含んでいる。主なタンパク質はグリアジンとグルテニンで、これらは水を吸収すると、粘りのあるグルテンとなる。このグルテンが小麦粉独特の料理を生み出し、様々な食品に生まれ変わる。このグルテンのみを取り出したものが、麩(ふ)である。
他の穀物と同様、小麦タンパクもヒトに不可欠な必須アミノ酸のいくつかが欠如もしくは不足しているため、小麦だけをタンパク源にするとさまざまな健康障害を引き起こす。それらは不足しているアミノ酸を別の食品から摂取することで解消できる。世界各地における小麦粉を主要な穀物源とする地域には古くからそのような健康障害を回避するための料理法や食材がある。
うどん粉、メリケン粉ともいう。「メリケン粉」という呼び方は関西などでよく使われているが、これは国内で生産された小麦をうどん粉と呼ぶのに対して、外国産の機械製粉された白い小麦粉という意味で使用される。「アメリカの粉」という意味から来ている。(日本に輸入された頃 "American" が「メリケン」と聞こえたため)。
小麦粉は小麦粒の胚乳の部分を挽いたものであるが、小麦粒の果皮や胚芽の部分はふすまとして取り除かれる。100kgの小麦粒からはおおよそ72~75%の小麦粉が得られる。胚乳部分のみを残し果皮や胚芽を完全に取り除くと真っ白で純粋な小麦粉が取れるが、パンに使用する場合、パンに風味を与えるために必ずしもふすま部分を完全に取り除いたものが良いとも限らない。素朴な味わい風味を出すために、小麦粒をふすまごと丸々挽いた全粒粉も用いられる[3]。
性質
カロチノイド色素により淡いクリーム色をしている[4]。粒子は直径150ミクロン以下と細かく、粉塵爆発のおそれもあるため東京都など一部の自治体では指定可燃物に規定している[5]。ほかの粉末と混ざりやすく、粉末調味料などを混ぜてプレミックスとしたり、ビタミンなどの添加に応用される。表面に水気を帯びたものに付着しやすく、ムニエルなどの衣や、麺類の打ち粉として使われる。匂いを吸着しやすく、香り付けの加工ができる反面、保管の仕方によっては異臭が付くことがある[4]。液体を加えることにより状態が変化し、小麦粉100に対し水60でパン生地、水45でうどん生地となる。こうした、こねることができる固めの生地をドウ(en)と総称する。小麦粉の2倍の水または卵を加えて混ぜた緩やかな生地はバッター(en)と呼び、天ぷらの衣やケーキに使われる。小麦粉の5~20倍の水を加えて加熱しながら混ぜると糊になる。合板の接着にも使われる。等級の低い末粉が適する。小麦粉と同量のバターとともに炒るとルーとなり、ソースやシチューのとろみをつけるのに用いられる[4]。
種類
小麦粉は含まれるタンパク質(主にグリアジン、グルテニン)の割合と形成されるグルテンの性質によって薄力粉、中力粉、強力粉に分類される。タンパク質分を除いた残渣を精製したものは浮き粉と呼ぶ。澱粉だけで出来たちょうど片栗粉のようなものになる。
強力粉
強力粉(きょうりきこ)はタンパク質の割合が12%以上のもので、パン・中華麺・学校給食で出てくるソフト麺等に使われる他、国産の一部乾燥パスタは粗挽きの強力粉を用いて作られる。主にアメリカ・カナダ産の硬質小麦を使用している。焼くと硬い仕上がりになるので洋菓子には向かない。英語圈の分類ではbread flourがこれに近い。
中力粉
中力粉(ちゅうりきこ)はタンパク質の割合が9%前後のものでうどんによく使われるほか、お好み焼き、たこ焼きなどに用いる。主にオーストラリア・国内産の中間質小麦を使用している。強力粉と薄力粉を混ぜれば性質は中間になるため中力粉の代用とすることができるが、本来の中力粉とは加工特性がやや異なるため工夫を要する。
薄力粉
薄力粉(はくりきこ)はタンパク質の割合が8.5%以下のものでケーキなどの菓子類・天ぷらに使われる。主にアメリカ産の軟質小麦を使用している。タンパク質の含有量を抑えれば抑えるほど繊細な仕上がりになるので、含有量を減らした、主に製菓に使われる超薄力粉も存在する。また、乾燥パスタ原料からの連想で誤解されがちなのであるが、卵を用いて生パスタを作る場合に使われるのは薄力粉である。英語圏の表記ではcake flourがこれに近い。
浮き粉
浮き粉(うきこ)は、小麦粉の生地から麩の原料としても使われるグルテンを分離した残りの澱粉分をいう。グルテンを分離するには、こねた生地を水につけて洗い流すのだが、この水に浸かっている状態では沈粉(じんこ)という。主に明石焼きや和菓子、香港の透明な皮の海老餃子などの原料として使われている。
全粒粉
「ぜんりゅうふん」。小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて粉にしたものである。精製された小麦粉に比べて食物繊維、ミネラル、ビタミンが豊富。主にパンやビスケット、シリアル食品の材料として用いられる。
グラハム粉
グラハム粉(グラハムこ、Graham flour)とは、全粒粉の一種。小麦を胚乳と表皮および胚芽に分けてから、胚乳は普通の小麦粉と同じ細かさに挽き、表皮と胚芽は粗挽きにして両方を混ぜ合わせたもの。全粒粉よりもざらざらしている。
セモリナ粉
セモリナ粉(セモリナこ)とは、小麦粉より粒子の粗い(210μmの布ふるいに残留する)粉をいう[6]。 セモリナ(Semolina)は英語であり、イタリア語のSemolaから由来している。Semolaはラテン語のSimila(穀粉)に由来する。 クスクスなどを作るために使用されるデュラム粉から精製されており、蛋白質の量が強力粉よりも多く、グルテンが少ない。実際には乾燥パスタ、シリアル、プリンなどに使用されている。
等級
日本では、ミネラルの含有率により一等粉~三等粉、末粉などの等級に分類される。等級が上位のものほどミネラル分が少なく、くすみの少ない淡いクリーム色をしている。種類と組み合わせて「強力一等粉」や「中力三等粉」のように表記される[4]。
小麦粉を主成分とする調合原料
作る料理によって、タンパク質の割合が適した小麦粉を選び、他の穀粉や膨らし粉、粉乳、ショートニング、調味料、香料、着色料などの原料を調合した商品(調製粉、プレミックス)が多種市販されている。
主に小麦粉を使って作る食品
その他、小麦粉を使って作る食品としては、饅頭、もんじゃ焼き、トルティーヤ、などがあるほか、餃子の皮やピザクラストにも小麦粉の生地を用いる。
麩は小麦グルテンを原料として作られ、焼麩の種類(車麩や庄内麩など)により異なる種類と等級の小麦粉が合わせ粉として使われる[7]。
歴史
日本では、戦後、食糧不足対策として余剰小麦粉を援助物資として供給されたことや学校給食でパン食が取り入れられたことなどから食習慣が広まった。韓国では1960年代後半、米不足対策として食生活改善運動の一環として粉食を奨励した。[8]
メリケン粉とうどん粉の違い
現在日本では料理用として薄力粉(天ぷら粉など)が普及しているが、強力粉以外をうどん粉と呼ぶ場合が多い(中力粉または薄力粉の意味)。
これに対しメリケン粉は、そもそもは外国産に比べ製粉技術が劣っていた国産小麦粉と区別するための名称であり、小麦粉の性質(強力粉や中力粉)を表すものではない。このため、明治~昭和30年代頃にかけての古いレシピにメリケン粉とある場合、注意が必要である。
脚注
- ^ http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/
- ^ アミノ酸スコア
- ^ ジェフリーハメルマン『BREAD』p36~38
- ^ a b c d 長尾精一『粉屋さんが書いた小麦粉の本』三水社、1994年。ISBN 4-915607-68-2。
- ^ 東京都火災予防条例
- ^ 長尾精一編 『小麦の科学』 朝倉書店、1995年、p.62、ISBN 978-4-254-43038-7
- ^ 長尾精一編 『小麦の科学』 朝倉書店、1995年、pp.187-188、ISBN 978-4-254-43038-7
- ^ 食パンで節米運動
参考文献
ジェフリーハメルマン『BREAD』旭屋出版2009年