ヒツジ

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ヒツジ

分類
界: 動物界 Animalia
門: 脊索動物門 Chordata
亜門: 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱: 哺乳綱 Mammalia
目: ウシ目 Artiodactyla
科: ウシ科 Bovidae
亜科: ヤギ亜科 Caprinae
属: Ovis
: aries
ヒツジ


学名

Ovis aries

和名

ヒツジ

英名

Sheep

ヒツジ)は、脊椎動物門 哺乳綱 ウシ目 ウシ科ヤギ亜科の動物。角をもち、主に羊毛のために飼育される家畜

家畜としてのヒツジ

(ひつじ)として十二支の一つに入っているように、中国では8,000年以上前から飼育されていた。最初にヒツジが家畜化されたのは、現在の中近東にいたアジアムフロンではないかと言われている。毛を刈って衣料に利用する、肉を食用にする、乳を飲用または乳製品への加工に用いるなど、人間はヒツジをさまざまな形で用いてきた。 不眠時「一匹、二匹」と数を数える場合があるが、本来はsheep(ヒツジ)とsleep(睡眠)をかけた一種の駄洒落に由来する。また犬種にShetland Sheepdogシェットランド・シープドッグ)の様にsheepdogと付くものがあるが、これはヒツジ犬(ヒツジに似た犬)ではなく牧羊犬に適した犬種であることを示している。これらは、英語圏を初めとする欧州地域でものヒツジが比較的身近な家畜である顕著な例でもある。

砂漠や山岳地帯など、さまざまな環境に適応した固有の種がある。

戦前、防寒具の原料を自給するためにと輸入されたのが、日本での本格的なヒツジの飼育のはじめとされている。ジンギスカン鍋は、毛を刈った後で潰したヒツジの大量の肉を消費する方法として、新しく考案された。

角はオス・メスの両方にあり、メスの角は短くまっすぐだが、オスの角は長くて曲がったり、ねじれたりする。

通常は、150日ぐらいで仔を1頭だけ産むが、2頭あるいは3頭産むときもある。

主要な飼育種

羊肉の利用

ジンギスカン用のラム肉

羊肉は広い地域で食用とされている。羊の年齢によって、生後1年未満をラム(lamb、子羊肉)・生後2年以上をマトン(mutton)と区別することもある。オセアニアは生後1年以上2年未満をホゲットと区別している。

日本国内では、牛肉豚肉鶏肉に比べ、消費量は少なく、ジンギスカン鍋ラムしゃぶ、スペアリブの香草焼きなど特定の料理でのみ使われることが多い。カルニチンを他の食肉よりも豊富に含むことから、体脂肪の消費を助ける食材とされている。

マトンには独特の臭みがある。ラムには臭みが少なく、こちらは日本で近年人気が高まりつつある。マトンの臭みを取り除くには、脂肪をそぎ落とすといいと言われる。脂肪に羊肉特有の臭みが集中するためである。他は、香りの強い香草と共に炒める、牛乳に付けておく等の方法がある。

海外では、飼育が盛んなオーストラリアニュージーランドをはじめ、豚肉を避けるイスラム教が広く普及した中東での消費量が多い。東アジアでも、モンゴル中国西北部などでは、代表的な食肉となっており、さまざまな調理法が用いられている。

インドのマクドナルドにはマハラジャマックと呼ばれるメニューがあり、これは牛を神聖な生き物とみなす人々のため、マトンを用いたビックマックのことである。

羊毛

羊の飼育上もっとも重要な利用対象はメリノ種などから取る羊毛(ウール)である。詳細は羊毛の項目を参照。

羊皮紙

羊皮紙はヒツジの皮を原料とするが、ヤギウシなど、ヒツジ以外の生き物の皮が使われることも多かった。 中近東中世西洋などでは、東洋から製の技術が伝播するまで、羊皮紙はパピルス粘土板と共に、宗教関連の記録や重要な書類の作成に、長い間使用されていた。

ウールオイル(ウールグリース)、ラノリン

羊毛の根元に付着している油分をウールオイルまたはウールグリースという。これを精製したものをラノリンといい化粧品、軟膏の原料にする。

キリスト教とヒツジのイメージ

キリスト教、またその母体となったユダヤ教では、ヤハウェ(唯一神)やメシア(救世主)に導かれる信徒たちが、しばしば羊飼いに導かれる羊たちになぞらえられる。旧約聖書では、ヤハウェや王が羊飼いに、ユダヤの民が羊の群れにたとえられ(エレミヤ書エゼキエル書詩篇等)ている。
また、旧約聖書の時代、羊は神への捧げもの(生贄)としてささげられる動物の一つである。特に、出エジプト記12章では、「十の災い」の最後の災いを避けるために、モーセはイスラエル人の各家庭に小羊を用意させ、その血を家の入り口の柱と鴨居に塗り、その肉を焼いて食べるように命じた。のちに、出エジプトを記念する過越祭として記念されるようになる。
また、羊の肉はユダヤ教徒が食べることができる肉として規定されている。カシュルートを参照のこと。
新約聖書では、「ルカ福音書」(15章)や「マタイ福音書」(18章)に「迷子の羊と羊飼い」のたとえ話の節がある。愛情も慈悲も深い羊飼いは、たとえ100匹の羊の群れから1匹が迷いはぐれたときでも、残りの99匹を放っておいて、そのはぐれた1匹を捜しに行くものだとある。隠喩で、このはぐれた羊はキリストへの信仰が薄い逸脱者とみなされる。しかしこの羊は迷っただけであり、完全な反抗者でも異端信者でもないため、キリスト信者への復帰が認められている。
ヨハネ福音書」では、イエスが「私は善き羊飼いである」と語るが、イエス自身も「世の罪を取り除く神の小羊」と呼ばれる(1.29)。
この「神の小羊」は、イエスが後に十字架上で刑死することにより、人間の罪を除くための神への犠牲となる意味があり、イエスが刑死したのも前述の過越祭の期間であったことから、パウロ第一コリント5章7節で、イエスは「過越の小羊として屠られた」と表現する。
ミサミサ曲
また、「ヨハネ黙示録」において、天上の光景のなかで啓示されるイエスの姿は「屠られたような」「七つの目と七つの角」を持つ小羊の姿である(5章他)。

映画や小説(その他)でのヒツジ

  • 「メリーさんの羊」- アメリカ童謡(Mary Had a Little Lamb)。訳詞は高田三九三。
  • シートン「動物記」では、峰の主であるオオツノヒツジ「クラッグ」と彼を狙うハンターの交流を扱っている。
  • 映画「ベイブ」とその原作の童話では、主人公の同名の子ブタが牧羊犬コンテストで優勝を目指すほか、母代わりの牧羊犬も脇役として活躍する。
  • 羊たちの沈黙」 - 原題は「子羊たちの沈黙」の意。
  • 羊をめぐる冒険」 - 村上春樹著。
  • 「ひつじのモコモコ」 - 童謡。歌:鹿島かんな(コロムビアミュージックエンタテインメント)。

羊をモチーフにしたキャラクター

関連項目

外部リンク

  • List_of_sheep_breeds - 英語版 Wikipedia のヒツジの品種一覧。800種以上あるといわれる内の一部。

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