「COVID-19に対する薬剤転用研究」の版間の差分
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{{Pathnav|[[SARSコロナウイルス2|新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)]]|[[新型コロナウイルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス感染症(COVID-19)]]|COVID-19に対する薬剤研究|frame=1}} |
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'''COVID-19に対する[[ドラッグリポジショニング|薬剤転用研究]]'''は、既存薬において[[新型コロナウイルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス感染症(COVID-19)]]にも薬効を示す薬剤を発見する研究である。 |
'''COVID-19に対する[[ドラッグリポジショニング|薬剤転用研究]]'''は、既存薬において[[新型コロナウイルス感染症 (2019年)|新型コロナウイルス感染症(COVID-19)]]にも薬効を示す薬剤を発見する研究である。 |
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新薬の開発には多数の候補の[[化合物]]から絞り込み臨床試験を経て上市される。そのためには数年の月日と同時に場合によっては数百億円規模の多大な投資を要する。一方、既存の承認済みの薬剤には効果が期待できるものが少なからず存在する。それら既存の薬剤は既に[[副作用]]が判明しているので[[臨床試験]]を含む認証までのプロセス及び期間を大幅に短縮できる。また、製薬会社にとっても新薬の市場規模はそれほど大きくはなく、収益が見込めない可能性があり、既存の薬剤の[[ドラッグリポジショニング|転用]]のほうが投資額が少なくて済むため魅力的である<ref>{{Cite web |date=2020-03-10 |url=https://www.swissinfo.ch/jpn/business/covid-19-_新型コロナウイルスのワクチン開発-製薬大手が消極的な理由/45605794 |title=新型コロナウイルスのワクチン開発 製薬大手が消極的な理由 |publisher= swissinfo.ch|accessdate=2020-09-08}}</ref>。 |
新薬の開発には多数の候補の[[化合物]]から絞り込み臨床試験を経て上市される。そのためには数年の月日と同時に場合によっては数百億円規模の多大な投資を要する。一方、既存の承認済みの薬剤には効果が期待できるものが少なからず存在する。それら既存の薬剤は既に[[副作用]]が判明しているので[[臨床試験]]を含む認証までのプロセス及び期間を大幅に短縮できる。また、製薬会社にとっても新薬の市場規模はそれほど大きくはなく、収益が見込めない可能性があり、既存の薬剤の[[ドラッグリポジショニング|転用]]のほうが投資額が少なくて済むため魅力的である<ref>{{Cite web |date=2020-03-10 |url=https://www.swissinfo.ch/jpn/business/covid-19-_新型コロナウイルスのワクチン開発-製薬大手が消極的な理由/45605794 |title=新型コロナウイルスのワクチン開発 製薬大手が消極的な理由 |publisher= swissinfo.ch|accessdate=2020-09-08}}</ref>。 |
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==主な候補の薬剤== |
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* [[アジスロマイシン]]<ref>Gautret, Philippe, et al. "Hydroxychloroquine and azithromycin as a treatment of COVID-19: results of an open-label non-randomized clinical trial." International journal of antimicrobial agents (2020): 105949.</ref> |
* [[アジスロマイシン]]<ref>Gautret, Philippe, et al. "Hydroxychloroquine and azithromycin as a treatment of COVID-19: results of an open-label non-randomized clinical trial." International journal of antimicrobial agents (2020): 105949.</ref> |
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* [[アンジオテンシンII受容体拮抗薬]]<ref>Zhang, Peng, et al. "Association of inpatient use of angiotensin converting enzyme inhibitors and angiotensin II receptor blockers with mortality among patients with hypertension hospitalized with COVID-19." Circulation research (2020).</ref> |
* [[アンジオテンシンII受容体拮抗薬]]<ref>Zhang, Peng, et al. "Association of inpatient use of angiotensin converting enzyme inhibitors and angiotensin II receptor blockers with mortality among patients with hypertension hospitalized with COVID-19." Circulation research (2020).</ref> |
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* [[ロピナビル/リトナビル]]<ref>Cao, Bin, et al. "A trial of lopinavir-ritonavir in adults hospitalized with severe Covid-19." New England Journal of Medicine (2020).</ref> |
* [[ロピナビル/リトナビル]]<ref>Cao, Bin, et al. "A trial of lopinavir-ritonavir in adults hospitalized with severe Covid-19." New England Journal of Medicine (2020).</ref> |
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* [[TMC-310911]]<ref>Mina, Fahmida, et al. "Potential Drug Candidates Underway Several Registered Clinical Trials for Battling COVID-19." (2020).</ref> |
* [[TMC-310911]]<ref>Mina, Fahmida, et al. "Potential Drug Candidates Underway Several Registered Clinical Trials for Battling COVID-19." (2020).</ref> |
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==脚注== |
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=== ロピナビル・リトナビル(抗HIV薬;プロテアーゼ阻害剤)の合剤 === |
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[[ロピナビル]]・[[リトナビル]](商品はこれらの成分からなる合剤である。商品名 [[カレトラ]] (Kaletra) 配合錠またはアルビア (Aluvia);略称 '''LPV/r''')は、上記のように中国での初期の治療から広く用いられている(→ [[#中国での探索研究]])。ロピナビルとリトナビルはどちらもHIV感染症に対する[[HAART療法]]に用いられ、[[プロテアーゼ]]を阻害する作用を持つ。 |
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2020年2月26日の[[日本感染症学会]]の文書でも、現時点で日本での入手可能性や[[有害事象]]等の観点を考慮した抗ウイルス薬の選択肢として筆頭に名前が上がっている<ref name="kansensho_20200226">{{Cite web|date=2020-02-26|title=COVID-19に対する抗ウイルス薬による治療の考え方 第1版|url=http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31|publisher=[[日本感染症学会]]|doi=10.3760/cma.j.cn311365-20200210-00050|accessdate=2020-03-03}}</ref>。日本の症例報告レベルでも有効とする報告がみられる一方<ref name=":5">{{Cite web|date=2020-03-03|url=http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200303_01.pdf|title=ロピナビル・リトナビルで治療した新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の症例報告|publisher=[[日本感染症学会]]|accessdate=2020-03-14}}</ref><ref name=":9">{{Cite web|date=2020-03-10|url=http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200310_3.pdf|title=ロピナビル/リトナビル合剤が有効であったと考えられたCOVID-19関連肺炎の一例|publisher=[[日本感染症学会]]|accessdate=2020-03-14}}</ref>、[[復旦大学]]のチームが2020年1月から2月に行った[[ロピナビル]]・[[リトナビル]]投与群52例を含む134例の比較臨床試験の結果、「症状緩和やウイルス除去促進の影響が見られなかった」と報告した<ref name="cma_j_20200210">{{Cite web|date=2020-02-10|url=http://rs.yiigle.com/yufabiao/1182592.htm|title=Efficacies of lopinavir/ritonavir and abidol in the treatment of novel coronavirus pneumonia|author=Chen Jun LY, Xi Xiuhong et al.|publisher=中华传染病杂志 |accessdate=2020-03-13}}、[http://rs.yiigle.com/pdfAttachment.jspx?contentId=1182592 同、英文概要付きPDF]</ref>。また、同様の時期に行われた、中国 [[首都医科大学]]など多くの医療機関の共同研究でも、計199例で半数に[[ロピナビル]]・[[リトナビル]]を投与するRCTを行った結果、「重度の患者では標準治療を超える利益(benefit)は観察されなかった」と報告した<ref name=":10">{{Cite journal|last=Cao|first=Bin|last2=Wang|first2=Yeming|last3=Wen|first3=Danning|last4=Liu|first4=Wen|last5=Wang|first5=Jingli|last6=Fan|first6=Guohui|last7=Ruan|first7=Lianguo|last8=Song|first8=Bin|last9=Cai|first9=Yanping|date=2020-03-18|title=A Trial of Lopinavir-Ritonavir in Adults Hospitalized with Severe Covid-19|url=https://doi.org/10.1056/NEJMoa2001282|journal=New England Journal of Medicine|volume=0|issue=0|pages=null|doi=10.1056/NEJMoa2001282|issn=0028-4793}}</ref>。二件の大規模RCTにおいて、有効性を示すことはできなかった{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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米国ガイドラインでは、入院患者および外来患者に対して、ロピナビル、リトナビルおよびその他のHIVプロテアーゼ阻害剤を使用しないことを推奨している{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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==== 時系列 ==== |
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米製薬会社[[アッヴィ]]は2020年1月26日、中国保健当局からの要請で{{仮リンク|アルビア(薬剤)|en|Aluvia|label=アルビア}}を試験的に使用していることを明らかにした<ref name="hivdrug" />。アルビアは、[[冷蔵]]不要という特徴がある<ref>{{Cite web|date=2007-07-19|url=https://www.msf.or.jp/news/detail/adsha60000005k76.html|title=苦い薬:安価で使い易い第二選択薬を待つタイのエイズ患者たち|publisher=[[国境なき医師団]]|accessdate=2020-02-03}}</ref>。 |
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2月2日、[[保健省 (タイ)|タイ保健省]]は[[バンコク]]の病院で中国人女性旅行客(70代)の患者に対し、本剤と抗[[インフルエンザ]]薬[[オセルタミビル]] (oseltamivir)(商品名 [[タミフル]]等)の併用によって、投与後48時間以内にコロナウイルスが消失したと発表した<ref>{{Cite web|date=2020-02-03 | url=https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000175291.html | title=インフルとエイズの薬でコロナが消えた…タイ保健省 | publisher=[[テレビ朝日]] | accessdate=2020-02-03}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-02-02 | url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55159240S0A200C2FF8000/ | title=タイ政府「新型肺炎、エイズ・インフル薬で治癒」と発表 | publisher=[[日本経済新聞]] | accessdate=2020-02-03}}</ref><ref>{{Twitter|id=ohwatsana|name=Watsana|lang=th}}</ref>。 |
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2月4日、[[浙江大学]]教授[[李蘭娟]]研究チームはロピナビルとリトナビルは大きな効果はなく、しかも副作用があると述べた<ref name="cgtn-li">[https://news.cgtn.com/news/2020-02-04/Researchers-find-two-drugs-that-can-effectively-inhibit-coronavirus-NOFpci7NJK/index.html Researchers find two new drugs that can effectively inhibit coronavirus]中国グローバルテレビジョンネットワーク[[CGTN (放送事業者)|CGTN]] 2020-02-04</ref>。(→[[#アビドルとダルナビル]]) |
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2月10日、[[:zh:上海市公共卫生临床中心|上海市公共衛生臨床センター]]の 陈军凌云(Chen Jun LY)らは、134症例中52例が経口LPV/r治療、34例は経口 アビドール治療、残り48例は抗ウイルス薬を不使用で(なお、全例でインターフェロン-α2b スプレーと対症療法は実施)、この結果、両方の薬剤とも'''症状緩和の効果もウイルス除去促進の効果も見つからず'''、有効性についてさらなる調査が必要と結論づけた<ref name="cma_j_20200210" /><ref>「新型コロナウイルス肺炎の治療における、[[ロピナビル]]/[[リトナビル]]および[[アビドル]]の有効性」(直訳)報告</ref>。 |
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3月3日、[[杏林大学医学部付属病院]]のグループは症例研究で、LPV/rを投与しても呼吸状態が増悪したことを説明し、上記[[復旦大学]]チームの報告書<ref name="cma_j_20200210" />を引いて、「LPV/r は中国からの報告ではウイルス量の低下、症状の改善には影響を与えておらず、COVID-19肺炎への'''過度な期待は難しい'''」と考察した<ref>{{Cite web|date=2020-03-03|url=http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200303_02.pdf|title=COVID-19肺炎の2症例:クルーズ船内感染例および市中感染例(杏林大学医学部付属病院)|publisher=[[日本感染症学会]]|accessdate=2020-03-13}}</ref>。 |
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3月3日、[[国際医療福祉大学]]熱海病院のチームは、無症状から高熱と肺炎に増悪した患者に LPV/r を投与して治療を行ったところ、投与から2日後に解熱など好転し、入院後20日間で[[ポリメラーゼ連鎖反応|PCR検査]]で陰性化し退院したと報告した<ref name=":5" /><ref>症例報告「ロピナビル・リトナビルで治療した新型コロナウイルス肺炎 (COVID-19) の症例報告」</ref>。「本例に限って言えばカレトラは好意的に評価できる。[[酸素化低下]]などの重症化の徴候を待たず、肺炎の診断を得た時点で早期に治療介入を行うことで、重症化の阻止、致命率の低下ができるかもしれない」と考察している。 |
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3月10日、[[聖マリアンナ医科大学]]横浜市西部病院のグループは、入院4日目に低酸素血症と全身倦怠感の増悪があり急性肺傷害に移行する懸念があった患者にLPV/rを投与したところ、投与2日目には[[解熱鎮痛薬]]なしでも発熱しない状態になったと報告した<ref name=":9" /><ref>症例報告「ロピナビル/リトナビル合剤が有効であったと考えられたCOVID-19関連肺炎の一例」</ref>。これは、有効性の高い対象症例であった可能性と、投与時期が的確であった可能性があると考察している。 |
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3月18日、中国で行われたCOVID-19を対象としてLPV/rを投与する臨床試験の結果が報告されたが、LPV/rの有効性を示すことができなかった<ref name=":10" />。 |
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=== ファビピラビル (アビガン) === |
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{{See also | [[ファビピラビル#2019新型コロナウイルスへの適用]]}} |
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抗インフルエンザ薬の[[ファビピラビル]](商品名 [[アビガン]]錠; {{lang-zh|法維拉韋}})は[[富山化学工業]]が開発し、[[神奈川県]]が[[国家戦略特別区域]]で2013年から開発に協力してきた<ref>{{Cite web|date=2020-02-23|url=https://twitter.com/kuroiwayuji/status/1231570873921859584|title=神奈川県が特区で7年前からフジフィルムの新型インフルエンザの特効薬として…|publisher=[[Twitter]]|accessdate=2020-02-24}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-03-04|url=https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200304-00000001-friday-soci|title=「アビガン」で新型コロナは迎撃できるか…素朴な疑問に答える|publisher=[[フライデー]]|accessdate=2020-03-21}}</ref>。2016年に「{{zh|浙江海正薬業股份有限公司}}({{en|Zhejiang Hisun Pharmaceutical}})」に[[中華人民共和国]]におけるライセンスを導出済<ref>{{Cite news|date=2016-06-23|url=https://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ22HRK_S6A620C1TI1000/|title=富士フイルム、インフル薬「アビガン」のライセンスを中国大手に|publisher=[[日本経済新聞]]|accessdate=2020-02-22}}</ref>。2020年3月現在、日本では、「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品」であり、新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症に対する本剤の投与経験はない<ref>{{Cite web |url=http://fftc.fujifilm.co.jp/med/abigan/index.html |title=アビガン錠に関する情報 |publisher=富士フイルム富山化学 |accessdate=2020-04-18}}</ref>。 |
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中国ではCOVID-19に対する治療選択肢の1つとして挙げられている<ref name=":8">{{Cite web|title=中国政府 臨床試験でアビガンに治療効果 治療薬として使用へ|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200317/k10012336431000.html|website=NHKニュース|accessdate=2020-03-17|last=日本放送協会}}</ref>。[[中華人民共和国科学技術部|中国科学技術部]]は2月15日、ファビピラビルをCOVID-19治療の臨床試験を実施していると発表<ref>{{Cite web|date=2020-02-04|url=https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/02/04/06513/|title=新型コロナに対する臨床試験を全調査、ゾフルーザやアビガンの成分活用 2月4日にアップデート、既存のHIV薬やインフル薬を相次ぎ転用|publisher=[[日経バイオテク]]|accessdate=2020-02-22}}</ref>。比較的高い治療効果と副作用が少ないとされた(ただし、日本では後述するように副作用が報告されている)<small>(治験番号 ChiCTR2000029548<ref>{{Cite web|date=2020-02-04|url=http://www.chictr.org.cn/showprojen.aspx?proj=49015|title=ChiCTR2000029548|publisher=Chinese Clinical Trial Registration Center (ChiCTR)|accessdate=2020-02-22}}</ref>)</small>。2月18日、[[中華人民共和国国家食品薬品監督管理局|国家薬監局]]は、ファビピラビル<ref name="kegg_avigan">{{Cite web|url=https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066852|title=医療用医薬品 : アビガン|publisher=[[KEGG]]|accessdate=2020-02-22}}</ref>の販売を許可した<ref>{{Cite news|date=2020-02-18|url=https://www.afpbb.com/articles/-/3268869|title=新型肺炎の初の潜在的治療薬、販売を許可 中国国家薬監局|publisher=[[AFP]]|accessdate=2020-02-22}}</ref>。 |
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2020年2月22日、[[厚生労働大臣]][[加藤勝信]]は「アビガンが効くということになれば、全国に展開をして治療に使っていきたい」「効果があると考えられている他の治療薬の使用も並行して考えていく」と述べた<ref>{{Cite news|date=2020-02-22|url=https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200222-OYT1T50145/|title=厚労相「インフル薬が効くなら全国展開を」…中国で効果確認|publisher=[[読売新聞]]|accessdate=2020-02-22}}</ref><ref>{{Cite news|date=2020-02-22|url=https://mainichi.jp/articles/20200222/k00/00m/010/040000c|title=加藤厚労相、新型肺炎に「インフル治療薬アビガン使用を検討」 テレビ番組で表明|publisher=[[毎日新聞]]|accessdate=2020-03-05}}</ref>。アビガンは新型インフルエンザ治療薬として日本国内で製造され、約200万人分が備蓄されている。[[神奈川県知事]][[黒岩祐治]]は、アビガンの[[人道的使用]]と臨床試験の早期開始を国に提言した<ref>{{Cite web|date=2020-02-23|url=https://twitter.com/kuroiwayuji/status/1231570873921859584|title=神奈川県が特区で7年前からフジフィルムの新型インフルエンザの特効薬として…|publisher=[[Twitter]]|accessdate=2020-02-24}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-02-21|url=https://r.nikkei.com/article/DGXMZO55941140R20C20A2L82000?s=4|title=神奈川県、抗インフル薬の投与承認を国に要望|publisher=[[日本経済新聞]]|accessdate=2020-02-24}}</ref>。 |
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2020年1月28日、販売元の[[富士フイルム富山化学]]は、本ウイルスへの効果の検証に取り組んでいないが<ref>{{Cite news|date=2020-01-28|url=https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/01/28/06477/|title=新型コロナウイルスに「今」効く薬は無いのか RNAポリメラーゼ阻害薬「アビガン」の可能性|publisher=[[日経バイオテク]]|accessdate=2020-02-22}}</ref>、日本でも[[治験]](非盲検試験)が開始され<ref>{{Cite web|title=新型コロナウイルス感染症におけるファビピラビル錠の有効性、安全性を評価する多施設共同非盲検前向き単群試験|関連する治験情報【臨床研究情報ポータルサイト】|url=https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/jr?trial_id=jRCTs031190226|website=rctportal.niph.go.jp|accessdate=2020-03-18}}</ref><ref>{{Cite web|title=SARS-CoV2感染無症状・軽症患者におけるウイルス量低減効果の検討を目的としたファビピラビルの多施設非盲検ランダム化臨床試験|関連する治験情報【臨床研究情報ポータルサイト】|url=https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/jr?trial_id=jRCTs041190120|website=rctportal.niph.go.jp|accessdate=2020-03-18}}</ref>、2月22日から日本の医療機関で本疾患の患者にアビガンの投与が始まった<ref name="avigan_start">{{Cite news|date=2020-02-22|url=https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3911888.html|title=インフルエンザ治療薬「アビガン」 患者に投与|publisher=[[TBS]]|accessdate=2020-02-23}}</ref>。 |
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3月17日、中国政府はファビピラビルが有効であったと発表した<ref name=":8" />。ファビピラビルはロピナビル・リトナビルとの非盲検比較試験において、ウイルス排出期間を短縮し(4日 vs. 11日)、X線画像の改善率を高め(91.43% vs. 62.22%)、さらに安全性にも問題がなかった(後に論文は撤回された)<ref>{{Cite journal|last=Cai|first=Qingxian|last2=Yang|first2=Minghui|last3=Liu|first3=Dongjing|last4=Chen|first4=Jun|last5=Shu|first5=Dan|last6=Xia|first6=Junxia|last7=Liao|first7=Xuejiao|last8=Gu|first8=Yuanbo|last9=Cai|first9=Qiue|date=2020-03-18|title=Experimental Treatment with Favipiravir for COVID-19: An Open-Label Control Study|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2095809920300631|journal=Engineering|language=en|doi=10.1016/j.eng.2020.03.007|issn=2095-8099}}</ref>。 |
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4月、ドイツ政府がアビガン数百万セットを大量購入すると報道された<ref>[https://www.faz.net/aktuell/wirtschaft/unternehmen/corona-grippemittel-avigan-aus-japan-koennte-patienten-retten-16707481.html Riesiger Wirbel um eine Pille gegen Corona]AKTUALISIERT AM 01.04.2020-18:59,FAZ.</ref><ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57606530T00C20A4EAF000/ ドイツ、「アビガン」大量調達へ 新型コロナ治療に] 日本経済新聞2020/4/3 3:24</ref>。 |
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==== 副作用 ==== |
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本剤は[[動物実験]]において初期胚の致死および[[催奇性|催奇形性]]([[サル]]・[[マウス]]・[[ラット]]・[[ウサギ]])が確認されており、[[胎児]]への[[曝露]]の危険性があり、[[妊婦]]への投与は[[禁忌]]である<ref name="kegg_avigan" />。本剤は[[精液]]中へ移行するので、その危険性について十分に説明し、投与期間中及び投与終了後7日間まで、性交渉を行う場合は必ず[[コンドーム]]を着用する<ref name="kegg_avigan" />。 |
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[[痛風]]、[[高尿酸血症]]の患者では、症状が悪化するおそれがある<ref name="kegg_avigan" />。国内臨床試験では副作用が501例中100例 (19.96%) に認められ、血中尿酸増加24例 (4.79%)、下痢24例 (4.79%)、好中球数減少9例 (1.80%)、AST (GOT) 増加9例 (1.80%)、ALT (GPT) 増加8例 (1.60%) 等であった<ref name="kegg_avigan" />。 |
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重大な副作用はアビガンでは未確認だが、他の抗インフルエンザウイルス薬 (類薬)で、ショック、[[アナフィラキシー]]、[[肺炎]]、[[劇症肝炎]]、肝機能障害、黄疸、[[中毒性表皮壊死融解症]]、[[皮膚粘膜眼症候群]]、急性腎障害、[[白血球]]・[[好中球]]・[[血小板]]減少、[[意識障害]]、[[譫妄]]、[[幻覚]]、[[妄想]]、[[痙攣]]等の精神神経症状、[[出血性大腸炎]]などが報告されている<ref name="kegg_avigan" />。 |
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=== シクレソニド (吸入ステロイド;喘息治療薬) === |
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{{Main2|商品、開発、権利情報|シクレソニド}} |
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[[シクレソニド]]<ref>{{Cite web| url=https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr_ja:D01703 | title= DRUG: シクレソニド | publisher=[[KEGG]] | accessdate=2020-03-03}}</ref>(商品名 [[オルベスコ]]([[帝人ファーマ]])<ref>{{Cite web| url=https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059259 | title=医療用医薬品 : オルベスコ | publisher=[[KEGG]] | accessdate=2020-03-03}}</ref>、Covis Pharma<ref name='covis'>{{Cite web| url=https://covispharma.com/ | title=Covis Pharma | publisher=Covis Pharma | accessdate=2020-03-03}}</ref>のAlvesco)は[[気管支喘息]]を適応症として承認済の吸入[[ステロイド]]薬である<ref>{{Cite web| | url=https://medical.teijin-pharma.co.jp/iyaku/product/skhk4v0000000sow-att/skhk4v0000000sq6.pdf | title=医薬品インタビューフォーム オルベスコ | publisher=[[帝人ファーマ]] | accessdate=2020-03-29}}</ref><ref>{{Cite web| | url=https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00059259 | title=医療用医薬品 : オルベスコ | publisher=[[KEGG]] | accessdate=2020-03-29}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-03-18 | url=https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/alvesco/ | title=吸入ステロイド薬「オルベスコ」の特徴!吸入を補助するグッズも紹介 | publisher=[[フリービットEPARKヘルスケア]] | accessdate=2020-03-29}}</ref>。 |
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;時系列 |
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2020年2月19日、[[国立感染症研究所]]村山庁舎[[コロナウイルス]]研究室は基礎実験でシクレソニド(オルベスコ)が強い抗ウイルス活性を有すると報告した。他の吸入ステロイドには同様の抗ウイルス効果が見られず、シクレソニド特有の作用と考えられた。本知見をもとに[[神奈川県立足柄上病院]]のチームはCOVID-19患者3名への投与治療をすぐに行った。その結果、3例とも2日ほどで状態が好転、という著しい効果があったとする症例報告を3月2日、[[日本感染症学会]]の[http://www.kansensho.or.jp/modules/topics/index.php?content_id=31 サイト]で以下内容で発表した<ref name=":6">{{Cite web|date=2020-03-02|url=http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200302_02.pdf|title=COVID-19肺炎初期{{~}}中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例|publisher=[[日本感染症学会]]|accessdate=2020-03-14}}</ref><ref name=":7">追記、修正後{{Cite web|date=2020-03-09|url=http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200310.pdf|title=COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例(2020.3.9 追記・一部修正)|publisher=[[日本感染症学会]]|accessdate=2020-03-14}}</ref>。 |
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* [[クルーズ船]]「[[ダイヤモンド・プリンセス_(客船)|ダイヤモンド・プリンセス号]]」に乗り合わせたCOVID-19陽性者で、肺炎が増悪中の患者3名にシクレソニドを投与したところ、良好な結果が得られた。うち2例は咽頭ぬぐい[[ポリメラーゼ連鎖反応|PCR検査]]でまだ陽性のため、吸入量を増量して継続中。 |
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* COVID-19は(多くの報告のとおり)初期が軽症でも発症後7-10日で急速に悪化する印象。シクレソニドの投与時期は、重症化する前の、感染早期から中期あるいは肺炎初期が望ましい。 |
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* '''ウイルスの早期陰性化'''や'''重症肺炎への進展防止'''効果が期待される。 |
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* 本ウイルスが[[肺胞]][[上皮細胞]]で増殖し、肺障害を引き起こしながら、同時に肺胞[[マクロファージ]]等に感染し局所の炎症を起こすと推定され、それに対しシクレソニドの持つ抗ウイルス作用と抗炎症作用が、重症化しつつある肺傷害の治療に有効であることが期待されている。 |
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* COVID-19に対し広く投与されている[[ロピナビル]]/[[リトナビル]]([[カレトラ]]錠)(略号 LPV/r)<ref name="Kaletra">{{Cite web | url=https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057452 | title=医療用医薬品 : カレトラ | publisher=[[KEGG]] | accessdate=2020-03-03}}</ref>対シクレソニドの比較 |
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# [[in vitro]]([[試験管]]レベルでの研究)でウイルス'''増殖防止効果'''は同等以上、 |
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# [[肺胞]]到達時の組織'''濃度'''は数十倍、 |
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# '''副作用'''は前者が「下痢、吐き気、嘔吐、腹痛等」で高齢者における薬物動態については十分な検討がなされていない<ref name="Kaletra" />。後者は添付文書に副作用の記載はあるが、未熟児・新生児から高齢者まで広く用いられる安全な薬剤で、報告時点までで同院で有害事象はなかった。 |
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# '''価格'''は前者が 1,289.6円/日、後者は1キット2,169円(同院の1,200 μg/日 処方で)と安価。 |
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* この3例のみの症例数で効果を論じることはできないので、今後症例の蓄積と検討が望まれる。 |
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|[[日本感染症学会]]|[http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200310.pdf COVID-19肺炎初期{{~}}中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例]}} |
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3月6日、[[国立感染症研究所]]は、上記3症例について「シクレソニドが、ウイルスの遺伝情報を担う[[RNA|リボ核酸 (RNA) ]]の複製を阻害した」との見方を示した。また、MERSで抗ウイルス作用を示したとのデータがあったと述べた<ref>{{Cite web|date=2020-03-06|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2020030601281|title=ぜんそく薬、RNA複製阻害か 新型コロナ肺炎改善報告で―感染研|publisher=[[時事]]|accessdate=2020-03-06}}</ref>。 |
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3月9日に[[厚生労働省]]健康局結核感染症課より要請を受け、[[帝人ファーマ]]と親会社の[[帝人]]は翌10日、オルベスコの供給体制を(本剤使用中の[[気管支喘息]]患者への安定供給を確保した上で)2万本分確保すると発表した<ref name=2man/><ref>{{Cite web|date=2020-03-10|url=https://www.teijin-pharma.co.jp/pressrelease/2020/20200310.html|title=臨床研究等に向けたシクレソニド吸入用製剤の供給について|publisher=[[帝人ファーマ]]|accessdate=2020-03-11}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-03-10|url=https://www.teijin.co.jp/news/2020/20200310_2538.html|title=臨床研究等に向けたシクレソニド吸入用製剤の供給について|publisher=[[帝人]]|accessdate=2020-03-11}}</ref>。オルベスコは海外のメーカーから導入していて帝人の一存では増産できないが、メーカーと協議しながら確保していく<ref name=2man>{{Cite web|date=2020-03-10|url=https://nk.jiho.jp/article/149551|title=新型コロナ対応で「オルベスコ」2万本分確保へ 政府要請受け帝人ファーマ、臨床研究用に|publisher=[[日刊薬業]]|accessdate=2020-03-11}}</ref>。 |
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3月10日、[[日本環境感染学会]]は「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第2版改訂版 ver.2.1)」を公開し<ref>{{Cite web|date=2020-03-10|url=http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=343|title=「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第2版改訂版 ver.2.1)」の公開について|publisher=[[日本環境感染学会]]|accessdate=2020-03-11}}</ref>、治療に関する説明の中に、3月2日の前版にはなかった本剤に関する記載を追加した(下線部)<ref>{{Cite web|date=2020-03-10|url=http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=343|title=「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第2版改訂版 ver.2.1)」の公開について|publisher=[[日本環境感染学会]]|accessdate=2020-03-11}}</ref>。 |
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'''治療・予防(ワクチン)''' |
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、現在、有効性が証明された治療法はありません。ただし、抗HIV薬のロピナビル/リトナビル、抗インフルエンザ薬のアビガン、エボラ出血熱の治療薬として開発されたレムデシビル、および<u>'''吸入ステロイドの喘息治療薬であるシクレソニド'''</u>などが治療薬の候補として挙がっており、今後の検証によって効果が証明されれば治療薬として用いられる可能性があると思われます。 |
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|[[日本環境感染学会]]| 医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第2版改訂版 ver.2.1)}} |
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3月12日に掲載された[[国立感染症研究所]]松山州徳らの審査前論文によれば、シクレソニドはコロナウイルスのもつ非構造タンパク質であるNSP15に作用してウイルスのRNA複製を抑制する<ref>Shutoku et al. [https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.03.11.987016v1 The inhaled corticosteroid ciclesonide blocks coronavirus RNA replication by targeting viral NSP15]. bioRxiv. 2020年3月12日</ref>。したがって、シクレソニドはコロナウイルスであるMERSまたはCOVID-19の患者の治療の候補薬となる。 |
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3月16日の時点で、オルベスコで治療を受けているCOVID-19の患者は、10人程度であった<ref>{{Cite web|date=2020-03-16 | url=https://mainichi.jp/articles/20200316/k00/00m/040/174000c | title=新型コロナ 加速する治療法開発 効く既存薬研究、迅速検査キットも | publisher=[[毎日新聞]] | accessdate=2020-04-05}}</ref>。 |
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3月20日、韓国の[[パスツール研究所]]のSangeun Jeonらのチームは[[bioRxiv]]サイト(未査読論文掲載サイト)に、「直訳:FDA承認済み医薬品からのSARS-CoV-2に対する抗ウイルス薬候補の特定)」と題する論文を掲載した<ref>{{Cite web|date=2020-03-20 | url=https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.03.20.999730v1.full.pdf | title=Identification of antiviral drug candidates against SARS-CoV-2 from FDA-approved drugs(直訳:FDA承認済み医薬品からのSARS-CoV-2に対する抗ウイルス薬候補の特定) | publisher=[https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.03.20.999730v1.full.pdf] | accessdate=2020-03-27}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-03-23 | url=http://www.koreabiomed.com/news/articleView.html?idxno=7807 | title=http://www.koreabiomed.com/news/articleView.html?idxno=7807 | publisher=[[Korea Biomedical Review]] | accessdate=2020-03-27}}</ref>。同研究所は既にMERS株でのスクリーニング結果を発表していた(→ [[# 韓国での探索研究]])。発表によれば、同研究所は「'''COVID-19の治療にアルベスコ(シクロソニド)が有効である'''」と判断した。同研究所では本ウイルスSARS-CoV-2を入手してスクリーニングで24種の薬剤を抽出した。これらは、[[レムデシビル]]、[[カレトラ]]および[[クロロキン]]と同等かそれ以上の抗ウイルス活性を細胞実験で確認した。特に、シクレソニドの安全性、薬効、関連する海外の症例、および韓国国内での同剤の販売状況をレビューした結果、シクレソニドを「最も実現可能な医薬品(most feasible medication)」に選んだ。また、シクレソニドと並んで[[サナダムシ]]駆虫薬[[ニクロサミド]]([[富士フイルム和光純薬]]、[[関東化学]]などが販売)(別名 '''ニクロシド''')<ref>{{Cite web| | url=https://www.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_CB6147451.htm | title=ニクロサミド | publisher=[[Chemical Book]] | accessdate=2020-03-27}}</ref>にも注目した。 |
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3月22日、[[国立感染症研究所]]の松山州徳室長は次のことを明らかにした<ref>{{Cite web|date=2020-03-22|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200322/k10012344251000.html|title=既存薬の効果の確認 安全性や開発時間短縮で意義|publisher=[[NHK]]|accessdate=2020-03-23}}{{リンク切れ|date=2020年4月}}</ref>。 |
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# 同研究所では2年前から、MERSに効く薬を1,200種の薬剤ライブラリからスクリーニング研究を実施し、シクレソニドが有効である可能性を見つけていた。 |
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# 今回新型コロナウイルスに感染させた細胞にシクレソニドを作用させる実験を行ったところ、'''ウイルス量は100分の1程度にまで減った'''。 |
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# シクレソニドは'''ウイルスの増殖を抑える'''と同時に、'''炎症を抑える'''効果もあると思われる。 |
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3月23日、[[国立国際医療研究センター]]は、肺炎症状の'''ない'''COVID-19患者を対象として、シクレソニドの臨床試験(特定臨床研究)を早期に始める予定でプロトコール検討中であることを明らかにした<ref>{{Cite web|date=2020-03-24 | url=https://www.chemicaldaily.co.jp/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%80%80%E7%B1%B3%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%89%E3%81%AE%E3%80%8C%E3%83%AC%E3%83%A0%E3%83%87%E3%82%B7%E3%83%93%E3%83%AB%E3%80%8D%E3%80%80%E6%97%A5/ | title=新型コロナ 米ギリアドの「レムデシビル」 日本も治験開始 | publisher=[[化学工業日報]] | accessdate=2020-03-25}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-03-23 | url=https://nk.jiho.jp/article/149939 | title=NCGM、「オルベスコ」の臨床試験を計画 新型コロナ患者の肺炎予防効果で | publisher=[[日刊薬業]] | accessdate=2020-03-25}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-03-26 | url=https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20200324-OYTET50011/ | title=新型コロナ 抗ウイルス薬「レムデシビル」の医師主導治験 国内でも開始へ | publisher=[[読売新聞]] | accessdate=2020-03-27}}</ref>(なお、同時期に、肺炎があり参加条件を満たす患者はレムデシビルの国際共同臨床試験に参加させる。一方、肺炎があるが当該条件を満たさない患者には、[[ファビピラビル]]([[富士フイルム富山化学]]の[[アビガン]])、[[ナファモスタット]]メシル酸塩([[日医工]]の[[フサン]])での臨床試験を検討中、と述べた)。 |
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3月30日(日本時間)、[[国際連合教育科学文化機関|UNESCO]]が開催した世界127カ国の閣僚級やWHOの専門家等が出席したテレビ会議で、[[大韓民国|韓国]][[科学技術情報通信部]]は、[[シクレソニド]]および[[ニクロサミド]]がCOVID-19に効果があったという事実を共有した<ref>{{Cite web|date=2020-03-31 | url=https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200331005500882 | title=各国閣僚級のテレビ会議でコロナ対策を共有 韓国当局 | publisher=[[聯合ニュース]] | accessdate=2020-04-01}}</ref>。 |
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3月31日の[https://www.jsicm.org/ 日本集中治療医学会]の報告<ref>{{Cite web|date=2020-03-31 | url=https://www.jsicm.org/news/upload/COVID19_Clinical_report_20200322-v3.pdf | title=COVID-19の臨床的特徴~日本COVID-19対策ECMOnet対応症例のまとめ~(3月22日第3版) | publisher=[https://www.jsicm.org/ 日本集中治療医学会] | accessdate=2020-04-03}}</ref>によれば、[[ECMO|体外式膜型人工肺 (ECMO) ]]によるCOVID-19治療対象患者(の一部)である21例のうち'''43%の9例'''の治療でシクレソニド(オルベスコ)投与。ちなみに、同じ統計で、ファビピラビル(アビガン)は38%の8例、[[リン酸クロロキン]]は5%の1例、[[カレトラ]]は95%の21例<small>(※ 母集団は厳密に同一ではない模様)</small>。 |
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4月14日に、インドのガウタムブッダ大学のチームが、未査読論文サイトに発表したところによれば、彼らはSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ (Mpro) <ref>{{Cite web|date=2020-03-23 | url=https://www.riken.jp/press/2020/20200323_2/index.html | title=新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) メインプロテアーゼの分子動力学シミュレーションデータを公開 | publisher=[[理化学研究所]] | accessdate=2020-04-16}}</ref>を標的に、[[FDA]]の承認市販薬化合物からヒトの抗ウイルスおよび抗菌特性を備えたものを文献調査で12種選び、それらをコンピュータシミュレーションで仮想スクリーニングにかけて候補を探した。その結果最強の'''[[リファンピシン]]'''([[抗生物質]])の次に有望な薬剤として出てきたのは、シクレソニドであった<ref name='gautam_20200414'>{{Cite web|date=2020-04-14 | url=https://www.researchsquare.com/article/rs-22546/v1 | title=Rifampicin may be repurposed for COVID-19 treatment: Insights from an in-silico study | doi=10.21203/rs.3.rs-22546/v1 | publisher=Research Square | author= Yamini Pathak et al. |accessdate=2020-04-16}}</ref>。リファンピシンとシクレソニドは、参照用化合物として使用した、COVID-19治療によく使われてきたカレトラの成分2剤(ロピナビルとリトナビル)よりも、Mproとの結合親和性に優れていた。 |
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4月14日、[[帝人ファーマ]]は、COVID-19への取り組みの一環で、本剤の「追加的な供給の実現に向けた協議を輸入先とおこなって」いることを公表した<ref>{{Cite web|date=2020-04-14 | url=https://www.teijin-pharma.co.jp/information/2020/202004142.html | title=帝人ファーマ株式会社・帝人ヘルスケア株式会社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への取り組みについて(2) | publisher=[[帝人ファーマ]] | accessdate=2020-04-23}}</ref>。 |
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4月18日の[[日本感染症学会]]の学術講演会「COVID-19 シンポジウム ―私たちの経験と英知を結集して―」<ref>{{Cite web|date=2020-04-20 | url=http://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=146 | title=第94回日本感染症学会学術講演会 COVID-19 シンポジウム―私たちの経験と英知を結集して―動画配信のご案内 | publisher=[[日本感染症学会]] | accessdate=2020-04-22}}</ref>で、シクレソニドの観察研究の4月8日時点中間報告が紹介された。それによれば、国内24施設から85症例が登録された。そのうち死亡は2例、また、投与後に気管挿管が必要になった悪化例は3例にとどまった。座長の土井洋平教授([[藤田医科大学]])は「シクレソニドは抗炎症効果と抗ウイルス作用をあわせもつ。幅広い年齢層に使われてきたので、安全に使えることが大きい」と期待感を示した<ref>{{Cite web|date=2020-04-20 | url=https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=69134 | title=日本感染症学会・新型コロナWebシンポ アビガンは重症患者6割、軽中等度で9割改善 | publisher=[[ミクス]] | accessdate=2020-04-22}}</ref>。 |
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[[国立国際医療研究センター]]でも、肺炎のない比較的軽症のCOVID-19患者をシクレソニド7日間吸入群と非吸入群にランダムに割り付け8日目の肺炎発症割合を検討する、という形の特定臨床試験が行われている<ref>{{Cite web|date=2020-04-22 | url=https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0422530077/ | title=国内で既存薬に関する臨床研究進む シクレソニドとファビピラビルの試験状況 | publisher=[[Medical Tribune]] | accessdate=2020-04-23}}</ref>。 |
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同年12月23日、国立国際医療研究センターは、有効性を検証する臨床試験を行った結果、有効性が示されなかったと発表し、COVID-19に対する投与が'''推奨できない'''としている<ref>{{citeweb |url=https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/12/23/07734/ |title=オルベスコ、COVID-19への有効性確認できず |date=2020-12-24 |accessdate=2020-12-25 |publisher=日経バイオテク}}</ref>。 |
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==== 副作用 ==== |
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感染症患者の症状を増悪するおそれがある<ref name=teijin-ph-Alvesco>[https://medical.teijin-pharma.co.jp/iyaku/product/skhk4v0000000sow-att/skhk4v0000000sp6.pdf オルベスコ (Alvesco) 添付文書] 2017年9月改訂.2020年4月14日閲覧</ref>。588例中45例 (7.7%) に[[副作用]]がみられ、[[血管浮腫]]等[[過敏症]]、[[発疹]]、[[そう痒]]、呼吸困難、味覚異常、[[AST]] (GOT) および[[ALT]] (GPT) の増加、尿中蛋白、[[動悸]]、[[気管支]][[痙攣]]などが報告されている<ref name=teijin-ph-Alvesco/>。また、ウサギの[[動物実験]]で[[副腎皮質ステロイド剤]]に共通した[[催奇形作用]]が、ラットの動物実験で乳汁への移行が報告されている<ref name=teijin-ph-Alvesco/>。 |
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[[日本産科婦人科学会]]では、4月7日時点で「本薬剤は'''喘息の妊婦にも有益性投与が認められています'''。しかしながら保険適用外である点に加えてまだ十分なエビデンスが無く、副作用の問題や高度の全身管理が必要であるため酸素投与が必要となった重症例には本人と家族に十分な[[インフォームドコンセント|Informed Consent]]のうえ呼吸器科や救命救急科医師の意見を求めたうえで投与を検討してください.」としている<ref>{{Cite web|date=2020-04-07 | url=http://jsidog.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20200414113425-0CC09573DD8A6ED051C0E8DE7F5C73BA573029CE9C51E8D695C26F8E23ABE31A.pdf | title=新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) への対応(第三版) | publisher=[[日本産科婦人科学会]] | accessdate=2020-04-23}}</ref>。なお、2020年4月現在、COVID-19の各治療薬の添付文書では、妊娠中の安全性について、本剤オルベスコ、カレトラ、フォイバン、フサン、プラケニル、ストロメクトールは「有益性投与」で、アビガンは「禁忌(不可)」とされている<ref>{{Cite web | url=https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/covid.html | title=新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)について | publisher=[[国立成育医療研究センター]] | accessdate=2020-04-23}}</ref>。 |
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=== ウミフェノビル(抗インフルエンザ薬) === |
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ウミフェノビル([[:en:Umifenovir|Umifenovir]]、アルビドルまたはアルビドール; Arbidol、アビドル; Abidol)は中国とロシアで使用されている抗インフルエンザ薬である。 |
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2020年2月4日、[[浙江大学]]教授[[李蘭娟]]の研究チームは、細胞実験で、'''ウミフェノビル'''と'''ダルナビル'''([[:en:Darunavir|Darunavir]])の2種類の薬剤がコロナウイルスを効果的に阻害するのに有効であると発表した<ref name="cgtn-li" />。この報道により米株先物取引が急伸した<ref>{{Cite web|date=2020-02-05|url=https://jp.reuters.com/article/BRIEF-%E6%AC%A7%E7%B1%B3%E6%A0%AA%E3%81%8C%E4%B8%8A%E6%98%87-%E6%B5%99%E6%B1%9F%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%81%AE%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%8C%E6%96%B0%E5%9E%8B%E8%82%BA%E7%82%8E%E3%81%AE%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E7%9A%84%E6%B2%BB%E7%99%82%E8%96%AC%E7%99%BA%E8%A6%8B%E3%81%A8%E3%81%AE%E4%B8%AD-idJPL4N2A52OU|title=欧米株が上昇、浙江大学の研究チームが新型肺炎の効果的治療薬発見との中国テレビ報道を材料視|publisher=[[ロイター]]|accessdate=2020-02-05}}</ref>。 |
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{{Quotation| |
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* 李教授によれば、前臨床試験 (preliminary tests) の [[in vitro]] 細胞実験で、'''アビドル''' (Abidol) と'''ダルナビル''' ([[:en:Darunavir|Darunavir]]) の2種類の薬剤がこのウイルスを阻害するのに有効であることが分かった。 |
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* 李教授は、新たに感染した患者の緊急治療を強化しようという望みをかけて、中国東部の[[浙江省]]から中国中央の[[湖北省]]に医療従事者を連れてきた。 |
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* 李教授は、現在使用されている 抗[[ヒト免疫不全ウイルス|HIV]]薬'''[[ロピナビル]]'''・'''[[リトナビル]]'''錠(商品名Kelizhi<ref>{{Cite web|date=2020-02-03 | url=https://amadischemical.wordpress.com/2020/02/03/potential-drug-against-new-coronaviruses-mk-8591-efda/ | title=Potential Drug against New Coronaviruses: MK-8591 (EFDA) | publisher=Amadis Chemical Company Limited | accessdate=2020-02-05}}</ref>)(前述カレトラ配合錠に相当)はあまり大きな効果はなく、しかも副作用が複数あると述べた。 |
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* 李教授は、2つの新薬を、コロナウイルスによる新型肺炎の[[:en:National Health Commission|国家衛生健康委員会]]の治療プログラムに含めることを推奨した。 |
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* チームの別の研究者、陳作炳 (Chen Zuobing) は、2つの薬は医学的指導なしに服用すべきではない、と釘をさした。 |
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* 浙江大学医学院附属第一医院の副理事長 (deputy president) でもある陳作炳は、この2つの薬は[[浙江省]]でこのウイルスに感染した患者たちの治療に使用されてきており、次の段階で、有効性で劣っているほかの薬に取って代わるだろうと述べた<ref name=cgtn-li/>。}} |
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なお中国語の阿比多尔をラテン文字表記した際の混乱があり、当初はインドで販売されている鎮痛薬の商品名Abidol<ref>{{Cite web| url=https://www.drugs.com/international/abidol.html | title=Abidol | publisher=drugs.com | accessdate=2020-02-0}}</ref>であるとする報道も見られたが、中国当局は阿比多尔が抗ウイルス薬であると主張していることから、正しくはウミフェノビルの商品名Arbidolであると考えられる<ref>{{Cite web|title=中国がソ連の医薬品でコロナウイルスを治療。この医薬品、ロシアでは議論の余地があるとされている|url=https://jp.rbth.com/science/83286-chugoku-soren-iyakuhin-coronavirus-chiryo|website=jp.rbth.com|date=2月 21, 2020|accessdate=2020-04-06|language=ja-JP|last=エカテリーナ・シネリシチコワ}}</ref>。 |
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2020年2月18日、中国政府の専門家チームは、本ウイルスの診療ガイドラインを新たに発表し、抗[[インフルエンザ]]薬の「[[アルビドール]]」を治療薬として加えた<ref name='tvasahi_aerosol'>{{Cite web|date=2020-02-20 | url=https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000176736.html | title=新型コロナ感染経路 エアロゾル感染の可能性も | publisher=[[テレビ朝日]] | accessdate=2020-02-20}}</ref>。 |
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=== 完治患者の血漿 === |
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中国の公式の「新型コロナウイルス肺炎診療方案」では、2020年2月18日の試行第6版から、病状の進行が比較的に早い重症 (severe) または重篤 (critically ill) な患者向けに、回復者血漿療法が追加された<ref>{{Cite web|date=2020-02-19 | url=http://www.nhc.gov.cn/yzygj/s7653p/202002/8334a8326dd94d329df351d7da8aefc2.shtml | title=关于印发新型冠状病毒肺炎诊疗方案(试行第六版)的通知 | publisher=中国・医政医管局 | accessdate=2020-04-18}}</ref><ref>和訳:{{Cite web|date=2020-02-18 | url=http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_haien_200302.pdf | title=中国新型コロナウイルス診療ガイドライン(第6版)(2020.2.18)(和訳) | publisher=[[日本感染症学会]] | accessdate=2020-04-18}}</ref><ref>英訳:{{Cite web|date=2020-02-18 | url=http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/eng_clinical_protocols_v6.pdf | title=Diagnosis and Treatment Protocol for Novel Coronavirus Pneumonia(Trial Version 6, Revised) | publisher=[[日本感染症学会]] | accessdate=2020-04-18}}</ref>。 |
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2020年3月27日、中国・[[南方科技大学]]第二附属医院などのチームは、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) を併発した重症COVID-19患者5例に対して、COVID-19から回復した患者より採取した中和抗体を含む回復期血漿を投与して有効であったと報告した<ref>{{Cite journal|last=Shen|first=Chenguang|last2=Wang|first2=Zhaoqin|last3=Zhao|first3=Fang|last4=Yang|first4=Yang|last5=Li|first5=Jinxiu|last6=Yuan|first6=Jing|last7=Wang|first7=Fuxiang|last8=Li|first8=Delin|last9=Yang|first9=Minghui|date=2020-03-27|title=Treatment of 5 Critically Ill Patients With COVID-19 With Convalescent Plasma|url=https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763983|journal=JAMA|language=en|doi=10.1001/jama.2020.4783}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-04-08 | url=https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0408529894/ | title=COVID-19重症例に回復例の血漿投与が有益か 中国の5例で検討 | publisher=[[Medical Tribune]] | accessdate=2020-04-18}}</ref>。それによれば、COVID-19の回復例([[ドナー]])5例 (18 - 60歳) から、回復期血漿を採取し、採取当日中に各患者に投与した。投与のタイミングは入院後10 - 22日目であった。その結果、4例で投与後3日以内に体温が正常化した。投与後12日で全例のウイルス量が陰性化した。投与後12日目に4例で[[ARDS]]が軽快した。投与後2週間以内に3例が[[人工呼吸器]]から離脱した。[[体外式膜型人工肺]] (ECMO) 使用は1例で、投与後5日目に離脱した。 |
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アメリカや日本でも臨床試験が開始されることになった<ref>{{Cite web|title=米国、患者1例への緊急臨床試験の枠組みで新型コロナに回復期血漿投与へ|url=https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/04/01/06761/|website=日経バイオテクONLINE|accessdate=2020-04-06|language=ja|last=日経バイオテクONLINE}}</ref><ref>{{Cite web|title=COVID-19回復者の血漿投与、臨床試験を開始|url=https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202004/565038.html|website=日経メディカル|accessdate=2020-04-06|language=ja|last=日経メディカル}}</ref>。 |
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米国ガイドラインでは、現状では回復患者の血漿は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしている{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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=== 漢方薬 (清肺排毒湯)=== |
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2020年1月27日、[[中国国家中医薬管理局]]は本疾患の予防と治療のための中医薬(漢方薬)の効果的処方を発見するための臨床研究を開始し<ref name="sina20200217">{{Cite web|date=2020-02-17|url=https://news.sina.com.cn/o/2020-02-17/doc-iimxxstf2164147.shtml|title=中国发布|国家中医药管理局:清肺排毒汤对治疗新冠肺炎有疗效|publisher=[[新浪]]|accessdate=2020-02-25}}</ref>、[[山西省]]、[[河北省]]、[[黒竜江省]]、[[陝西省]]で漢方薬の[[清肺排毒湯]]<!--(清肺解毒湯ともいう)-->(中国語 清肺排毒汤)での治療の臨床的観察とデータ分析を行った。臨床的に有効なデータ214件により、2月6日、国家衛生健康委員会と国家中医薬管理局は共同で全国に、清肺排毒湯の使用を勧告する文書を発行した。発表されている効果は以下のとおり。 |
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2月19日の[[中国国家中医薬管理局]]の発表<ref name="satcm_gov_Report">[http://www.satcm.gov.cn/hudongjiaoliu/guanfangweixin/2020-02-19/13220.html 清肺排毒汤为什么快速有效?来听听国医大师薛伯寿解方! 国家中医药管理局政府网站]中国国家中医薬管理局 2020年2月19日公式掲載(中国語、2020年2月22日閲覧)</ref>によると、10省57指定医療機関で701例を投与して観察した結果、130例 (19%) が治癒して退院、51例 (7%) が症状が消失し、268例(38%)で症状が改善し、212例(30%)は症状が安定し悪化しなかったという<ref name="satcm_gov_Report" />。 |
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そのうち351症例が詳しく分析され、うち112人の患者の体温が37.3℃を超えていたところ、服薬1日後で51.8%、服薬6日後で94.6%の患者が平熱に戻り、また、咳症状214人のうち46.7%が服用して短期に改善した<ref name="sina20200217"/>。 |
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また、だるさや吐き気、のどの痛みなどの症状にも顕著な治療効果が見られた。351例の中でひとりも、軽度の患者も普通の患者は重篤にはなっていないという<ref>{{Cite web|date=2020-02-17 | url=https://news.ifeng.com/c/7u8kpZgM8Aa | title=国家中医药管理局:清肺排毒汤治疗新冠肺炎有效 | publisher=[[鳳凰網]] | accessdate=2020-02-25}}</ref>。 |
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効果100%ではないものの約半数以上の改善がみられることから、[[中華人民共和国国家衛生健康委員会|中国国家衛生健康委員会]]と国家中医薬管理局は2月6日、清肺排毒湯の'''使用を推奨するむね中国全土に通達'''した<ref>[https://www.afpbb.com/articles/-/3268889 既存の薬と中国医学の伝統薬、新型肺炎に効果あり 専門家]AFP通信(日本語版) 2020年2月21日記事(2020年2月22日閲覧)</ref>。 |
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2月19日付、国民健康衛生委員会発行の「新型コロナウイルス肺炎の診断と治療(試行6版)」<ref>{{Cite web|date=2020-02-19|url=http://www.nhc.gov.cn/yzygj/s7653p/202002/8334a8326dd94d329df351d7da8aefc2.shtml|title=关于印发新型冠状病毒肺炎诊疗方案(试行第六版)的通知|publisher=[[中国医政医管局]]|accessdate=2020-02-23}}</ref>とその解説<ref name="nhc_covid_19_ver6_2020_0219">{{Cite web|date=2020-02-19|url=http://www.nhc.gov.cn/yzygj/s7652m/202002/54e1ad5c2aac45c19eb541799bf637e9.shtml|title=《新型冠状病毒肺炎诊疗方案(试行第六版)》解读|publisher=[[中国医政医管局]]|accessdate=2020-02-23}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-02-20|url=http://tsuzukiuka.livedoor.blog/archives/2020-02.html|title=新型コロナウイルス感染症 診療方案 第六版|publisher=[http://tsuzukiuka.livedoor.blog/ 中国医学臨床医 太美]|accessdate=2020-02-23}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-02-19|url=https://www.chinalawtranslate.com/en/diagnostic-and-treatment-plan-6/|title=Novel Coronavirus Pneumonia Diagnosis and Treatment Plan (Provisional 6th Edition)|publisher=[https://www.chinalawtranslate.com/en/ Chine Law Translation]|accessdate=2020-02-25}}</ref>によれば、以下のとおり。 |
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{{Quotation | |
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一般的な処方“清肺排毒湯”は臨床治療期間中に推奨される。軽度、一般的、重度、重大、および回復期間の臨床症状がえられた。推奨される処方と投与量、および投与方法は、3つの側面から説明されている。 |
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2月21日の中国国務院の記者会見で、全国6万例以上の症例で西洋医学に漢方薬を併用して結果良好と以下のように発表された。 |
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{{Quotation | |
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漢方薬の併用により、臨床症状が消えるまでが2日間短縮、平熱への解熱が1.7日間短縮、入院日数は2.2日間短縮、CT画像は22%改善され、臨床治癒率はが33%改善、重症化率は27.4%減少、リンパ球は70%増加したという<ref>{{Cite web|date=2020-02-22 | url=http://www.satcm.gov.cn/hudongjiaoliu/guanfangweixin/2020-02-22/13307.html | title=新华社:中医药参与救治6万例,中西医结合治疗效果好 | publisher=[[新華社]]、[[中国国家中医薬管理局]] | accessdate=2020-02-23}}</ref>。 |
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||}} |
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清肺排毒湯を処方された患者たちのインタビューが2月23日に記事になり国家中医薬管理局のサイトに掲載された<ref>{{Cite web|date=2020-02-23|url=http://www.satcm.gov.cn/hudongjiaoliu/guanfangweixin/2020-02-23/13310.html|title=清肺排毒汤治疗新冠肺炎显身手|publisher=[[微信]]|accessdate=2020-02-25}}</ref>。 |
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なお、日本では、漢方薬と中医薬を同じものだと認識しているが、中国当局は、漢方薬と中医薬は厳密には別の物であると認識しているため留意が必要である。 |
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=== リン酸クロロキン・ヒドロキシクロロキン === |
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{{See also|リン酸クロロキン|ヒドロキシクロロキン}} |
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2020年2月18日、中国政府の専門家チームは、抗[[マラリア]]薬の「[[リン酸クロロキン]]」と抗[[インフルエンザ]]薬の「[[アルビドール]]」を本疾患の治療薬候補として発表した<ref name="tvasahi_aerosol" />。このうちリン酸クロロキンは「特効薬ではないが検討に値する」「ウイルス検査で陰性になるのが早いほか、副作用も大きくない」という。[[北京市]]や[[広東省]]などの病院に入院する患者に対する[[臨床試験]]で症状の改善を確認した。15日の会議で臨床試験の対象拡大で一致した<ref>{{Cite web|date=2020-02-17|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021700914&g=int|title=新型肺炎に抗マラリア薬有効 中国|publisher=[[時事通信]]|accessdate=2020-02-20}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-02-19|url=https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3909534.html|title=新型肺炎に抗マラリア薬「効果あり」、中国専門家チームトップ|publisher=[[TBS]]|accessdate=2020-02-20}}</ref>。 |
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[[ヒドロキシクロロキン]](商品名 プラケニル)は[[全身性エリテマトーデス]]治療薬として承認されている。2020年5月にクロロキンまたはヒドロキシクロロキンを投与した患者において、院内死亡率の上昇おおよび心室性不整脈の発生率の上昇が認められたとする多国籍レジストリ解析の結果がLancet誌に報告されたが<ref>{{Cite journal|last=Mehra|first=Mandeep R|last2=Desai|first2=Sapan S|last3=Ruschitzka|first3=Frank|last4=Patel|first4=Amit N|date=2020-05|title=Hydroxychloroquine or chloroquine with or without a macrolide for treatment of COVID-19: a multinational registry analysis|url=https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0140673620311806|journal=The Lancet|pages=S0140673620311806|language=en|doi=10.1016/S0140-6736(20)31180-6}}</ref>、その後撤回された。英国での入院患者を対象としたRCTでは、ヒドロキシクロロキンは28日死亡率を低下させなかった{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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米国ガイドラインでは、クロロキンまたはヒドロキシクロロキンは、入院患者には使用しないことを推奨し、外来患者でも臨床試験でない限り使用しないことを推奨している(これはアジスロマイシンの併用を問わない){{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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=== アジスロマイシン === |
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抗生物質の[[アジスロマイシン]](商品名 ジスロマックまたはアジスロシン)はヒドロキシクロロキンと併用すると上気道からのウイルス消失効果がより高い可能性があるという研究が3月20日にフランスの大学病院研究所 (I.H.U.) <ref>{{Cite web|date=2020-01-16|url=https://www-overseas-news.jsps.go.jp/%E3%80%90%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%80%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E7%97%85%E9%99%A2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%EF%BC%88ihu%EF%BC%89%E3%81%B8/|title=【ニュース・フランス】大学病院研究所(IHU)への7,400万ユーロの追加予算 -|publisher=[[日本学術振興会]]|accessdate=2020-03-23}}</ref>地中海感染症院などの研究チームから発表された<ref>{{Cite web|date=2020-03-20|url=https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0924857920300996|doi=10.1016/j.ijantimicag.2020.105949|title=Hydroxychloroquine and azithromycin as a treatment of COVID-19: results of an openlabel non-randomized clinical trial|publisher=[[International Journal of Antimicrobial Agents]]|accessdate=2020-03-23}}</ref><ref>{{Cite web|date=2020-03-20|url=https://jp.techcrunch.com/2020/03/20/2020-03-19-french-study-finds-anti-malarial-and-antibiotic-combo-could-reduce-covid-19-duration/|title=フランスで抗マラリア剤と抗生物質の混合投与が新型コロナに有効との研究報告|publisher=[[TechCrunch]]|accessdate=2020-03-23}}</ref>。 |
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SARS-CoV-2は細胞内のウイルスRNA認識受容体[[MDA5]]/[[RIG-I]]を阻害して[[I型インターフェロン]]生産を抑制することなどにより免疫応答を逃れる可能性がある<ref>[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S152166162030259X COVID-19 - Considerations for the paediatric rheumatologist] Clinical Immunology 2020年</ref>。アジスロマイシンはin vitroにおいてウイルス誘発性インターフェロン産出を促すことにより抗ウイルス作用を発揮し、[[ライノウイルス]]に対して効果のあることが見つかっていた<ref>[https://www.nature.com/articles/srep28698 Azithromycin induces anti-viral effects in cultured bronchial epithelial cells from COPD patients] [[Scientific Reports]] 2016年</ref><ref>[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5458233/ Azithromycin augments rhinovirus-induced IFNβ via cytosolic MDA5 in experimental models of asthma exacerbation] {{仮リンク|Oncotarget|en|Oncotarget}} 2017年</ref>。 |
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=== カモスタットおよびナファモスタット (セリンプロテアーゼ阻害剤) === |
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ドイツの研究によれば[[セリンプロテアーゼ]]阻害剤の[[カモスタット]]はin vitroにおいてSARS-CoV-2が細胞へと侵入する際に使われる宿主側酵素のTMPRSS2[[プロテアーゼ]]を阻害するため、新型コロナウイルスに効果のある可能性がある<ref name="camostat-forbes">[https://www.forbes.com/sites/victoriaforster/2020/03/03/there-is-a-drug-already-used-in-japan-which-may-treat-covid-19-says-new-study/ There Is A Drug Already Used In Japan Which May Treat COVID-19, Says New Study] {{en icon}} Forbes 2020年3月3日</ref><ref>[https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)30229-4 SARS-CoV-2 Cell Entry Depends on ACE2 and TMPRSS2 and Is Blocked by a Clinically Proven Protease Inhibitor] {{en icon}} [[セル (雑誌)|セル]] 2020年</ref>。SARSコロナウイルスでは動物実験においてカモスタット単独投与の効果が確認されており<ref>Yanchen et al.、[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4774534/ Protease Inhibitors Targeting Coronavirus and Filovirus Entry] {{en icon}} {{仮リンク|Antiviral Research|en|Antiviral Research}} 2016年</ref>、その用量をヒトに当てはめると日本で既に承認されている量でも効果のある可能性がある<ref name="nkbs-camostat">[https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/031600009/ 新型コロナに有効? 期待高まる日本の意外な医薬品] 日経ビジネス 2020年3月16日</ref>。[[東京大学大学院医学系研究科・医学部|東京大学大学院医学系研究科]]は新型コロナウイルス感染症患者に対するカモスタット投与の臨床研究を計画している<ref>[https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/03/16/06694/ 東京大がカモスタットの新型コロナに対する臨床研究を計画] 日経バイオテク 2020年3月17日</ref>。 |
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また中国の研究によれば[[セリンプロテアーゼ]]阻害剤の[[ナファモスタット]]は[[ベロ細胞|Vero E6細胞]]においてSARS-CoV-2の感染を防いだものの、その50%効果濃度 ([[EC50]]値) は高めの22.50μMとなっている<ref>[https://www.nature.com/articles/s41422-020-0282-0 Remdesivir and chloroquine effectively inhibit the recently emerged novel coronavirus (2019-nCoV) in vitro] {{en icon}} {{仮リンク|Cell Research|en|Cell Research}} 2020年2月4日</ref>。[[東京大学医科学研究所]]は新型コロナウイルス患者に対しナファモスタットの試験投与を行う予定となっている<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56862030W0A310C2EE8000/ 新型コロナ治療薬候補に膵炎向け「ナファモスタット」] 日経新聞 2020年3月16日</ref>。同研究所の研究成果として、SARS-CoV-2 Sタンパク質による膜融合において、ナファモスタットはカモスタットのおよそ10分の1の濃度で阻害効果を示すことが発表された<ref>{{Cite web|title=新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入過程を阻止、効率的感染阻害の可能性がある薬剤を同定|url=https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00060.html|website=www.ims.u-tokyo.ac.jp|accessdate=2020-08-16|publisher=東京大学医科学研究所|work=東京大学医科学研究所プレスリリース|archiveurl=https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00060.html|archivedate=2020-8-16}}</ref>。 |
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日本では[[カモスタット]]は慢性膵炎や術後逆流性食道炎に、[[ナファモスタット]]は膵炎や播種性血管内凝固症候群などに対して保険適用されている<ref>{{Cite web|title=医療用医薬品 : カモスタットメシル酸塩|url=https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00061209|website=www.kegg.jp|accessdate=2020-03-15}}</ref><ref>{{Cite web|title=医療用医薬品 : ナファモスタット|url=https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00065701|website=www.kegg.jp|accessdate=2020-03-15}}</ref>。 |
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カモスタットおよびナファモスタットの[[副作用]]として、ショック、[[アナフィラキシー]]様症状などの[[アレルギー]]、過敏症、[[高カリウム血症]]、[[低ナトリウム血症]]、[[血小板]]や[[白血球]]減少、肝機能障害、黄疸などが報告されている<ref>[https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00065701 医療用医薬品 : ナファモスタット添付文書]</ref><ref>[https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00061209 医療用医薬品 : カモスタットメシル酸塩]</ref>。 |
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=== トシリズマブ (抗IL-6抗体;リウマチ・膠原病・血管炎治療薬) === |
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'''[[トシリズマブ]]'''([[:en:Tocilizumab|Tocilizumab]] (英語版))([[中外製薬]]の'''[[アクテムラ]]'''<ref>{{Cite web|url=https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00054586|title=医療用医薬品 : アクテムラ|publisher=[[KEGG]]|accessdate=2020-03-10}}</ref>)([[エフ・ホフマン・ラ・ロシュ|ロシュ]]のActemra/RoActemra)は、強力な[[IL-6]]阻害薬である。 |
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2020年3月4日、[[中華人民共和国国家衛生健康委員会]]はトシリズマブのCOVID-19患者に対する投与を認可し<ref>[http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN20R0WZ.html 中国、新型肺炎患者向けにロシュの関節炎薬の処方を認可] 朝日新聞 2020年3月4日</ref>、医療規定の標準治療に組み込んだ<ref name="nhc-covid19-7th">[http://www.nhc.gov.cn/yzygj/s7652m/202003/a31191442e29474b98bfed5579d5af95.shtml 《新型冠状病毒肺炎诊疗方案(试行第七版)》解读] {{zh icon}} 中華人民共和国国家衛生健康委員会 2020年3月4日</ref>。 |
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3月5日、[[中国科学技術大学]]附属第一医院([[安徽省]]立医院)と安徽富陽第二人民病院のチームは、2020年2月5日から2月14日のあいだ、COVID-19重症患者20例に、通常の治療に加えてトシリズマブを投与して分析した結果を、未査読論文サイトに発表した<ref>{{Cite web|date=2020-03-05 | author=Effective Treatment of Severe COVID-19 Patients with Tocilizumab et al.| url=http://www.chinaxiv.org/abs/202003.00026 | title=Effective Treatment of Severe COVID-19 Patients with Tocilizumab | | publisher=[[ChainaXiv]] | accessdate=2020-04-17}}<!-- html文書中の doi=10.12074/202003.00026 は未定義エラーのためここに含めない --></ref>。それによれば、その結果、20人の患者のうち15人 (75.0%) は摂取酸素量が減り、1人の患者は酸素療法も不要となった。CTスキャンにより、19人の患者 (90.5%) で肺の病変の濁りは消えた。目立った副作用はなかった。19人の患者 (90.5%) はトシリズマブによる治療後平均13.5日で退院し、残りも良好に回復中と述べられている。 |
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また、イタリアでも、COVID-19重症患者2人に対し[[トシリズマブ]]の投与が行われ、これにより24時間で症状が改善した<ref name="leggo-tocilizumab">[https://www.leggo.it/italia/cronache/coronavirus_farmaco_anti_artrite_pazienti_curati_napoli_oggi_8_marzo_2020-5099254.html Coronavirus, con il farmaco anti-artrite Tocilizumab pazienti gravi a Napoli migliorati in 24 ore] {{it icon}} {{仮リンク|Leggo|en|Leggo}} 2020年3月9日</ref>。この投与は{{仮リンク|モナルディ病院|it|Ospedale Monaldi|label=在コッリ病院会社}}及び{{仮リンク|IRCCS財団国立がん研究所|it|Fondazione IRCCS Istituto nazionale dei tumori}}の協力によって{{仮リンク|コトゥーニョ病院|it|Ospedale Cotugno}}の患者に対し行われた<ref name="leggo-tocilizumab" />。 |
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3月24日、[[エフ・ホフマン・ラ・ロシュ|ロシュ]]は、重症COVID-19での入院患者330例を対象に、Actemra/RoActemraの第III相臨床試験を実施すると発表した<ref>{{Cite web|date=2020-03-24 | url=https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200324170000_961.html | title=ロシュ社、重症COVID-19肺炎による入院患者を対象にActemra/RoActemraの第III相臨床試験を開始 | publisher=[[中外製薬]] | accessdate=2020-04-17}}</ref>。 |
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4月8日、[[中外製薬]]はCOVID-19を対象とした[[アクテムラ]]の第3相臨床試験の実施に向け、治験届を提出した<ref>{{Cite web|date=2020-04-08 | url=https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200408170000_969.html | title=アクテムラ、新型コロナウイルス肺炎を対象とした国内第III相臨床試験の実施について | publisher=[[中外製薬]] | accessdate=2020-04-17}}</ref>。 |
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4月9日、[[中国科学技術大学]]附属第一医院らのチームは、[[IL-6]]受容体を標的とした薬剤トシリズマブによる治療したCOVID-19重症患者2名の末梢血単核細胞を分析した結果、過剰に活性化された炎症性免疫応答は減弱していた一方、抗ウイルス免疫応答は保たれたことを未査読論文サイトに報告した<ref>{{Cite web|date=2020-04-09 | url=https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.04.08.029769v1 | title=Tocilizumab treatment in severe COVID-19 patients attenuates the inflammatory storm incited by monocyte centric immune interactions revealed by single-cell analysis | author= Chuang Guo et al. | doi= 10.1101/2020.04.08.029769 | publisher=[[bioRxiv]] | accessdate=2020-04-17}}</ref>。 |
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4月15日のMedical Tribuneの記事によれば、COVID-19の主な死因に[[免疫]]システムの暴走、すなわち「[[サイトカインストーム]]」で肺の細胞が壊れる[[ARDS]](急性呼吸窮迫症候群)がある。ARDSの予後不良例で[[IL-6]], [[IL-8]]などの炎症性バイオマーカーの値が高いことがある。トシリズマブはIL-6の働きを阻害し、炎症反応を抑えるため期待されているという<ref name='il6inhibitors'>{{Cite web|date=2020-04-15 | url=https://medical-tribune.co.jp/rensai/2020/0415529972/ | title=IL-6阻害薬が重症COVID-19の切り札に? トシリズマブ、サリルマブが治験開始へ | publisher=[[Medical Tribune]] | accessdate=2020-04-17}}</ref>。 |
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=== サリルマブ(関節リウマチ薬) === |
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[[関節リウマチ]]薬のヒト型抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体である、'''[[サリルマブ]]'''([[:en:Sarilumab|Sarilmab(英語版)]])([[サノフィ]]の'''[[ケブザラ]]'''<ref>{{Cite web| url=https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067827 | title=医療用医薬品 : ケブザラ | publisher=[[KEGG]] | accessdate=2020-04-17}}</ref>)がある。これも、[[トシリズマブ]]と同様、[[免疫]]システムの暴走を抑えてCOVID-19重症患者の治療に有効ではないかと期待されている<ref name='il6inhibitors' />。 |
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4月2日、サノフィは、重症COVID-19患者を対象としたケブザラ(サリルマブ)の臨床試験の一環として、米国外で第1例の患者に投与したことを発表した<ref>{{Cite web|date=2020-03-30 | url=https://www.sanofi.co.jp/-/media/Project/One-Sanofi-Web/Websites/Asia-Pacific/Sanofi-JP/Home/press-releases/PDF/2020/20200402.pdf?la=ja | title=重症COVID-19患者を対象としたケブザラ(サリルマブ)のグローバル臨床試験プログラム、米国外で第1例の患者に投与 | publisher=[[サノフィ]] | accessdate=2020-04-17}}</ref>。本試験は、イタリア・スペイン・ドイツ・フランス・カナダ・ロシアおよび米国で実施している。 |
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米国FDAは、重度の疾患もしくは入院に進行するリスクである患者に対して、モノクローナル抗体の緊急使用許可を出している{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。これは臨床試験であるため、米国ガイドラインは実験参加に対して患者と話し合うことを奨励している{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。ガイドラインでは、現状では有効性について決定的な結論を出すことは困難であると述べている{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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=== ルキソリチニブ(JAK阻害薬;血液疾患治療薬) === |
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[[ルキソリチニブ]](商品名 ジャカビ)はJAK阻害薬であり、真性多血症などの治療薬である。サイトカインストームを伴うCOVID-19患者におけるジャカビを評価するため臨床試験が計画されている<ref>{{Cite web|title=ノバルティス、COVID-19重症患者におけるジャカビ®の臨床試験計画とインターナショナルアクセスプログラムについて発表 {{!}} ノバルティス {{!}} Novartis Japan|url=https://www.novartis.co.jp/news/media-releases/prkk20200407|website=www.novartis.co.jp|accessdate=2020-04-10|language=ja}}</ref>。 |
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=== カリウムおよびナトリウム補充療法 === |
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審査前論文ではあるものの中国温州の病院の報告によれば、多くのCOVID-19患者が尿からのカリウムイオン (K+) 排出によって軽度〜重度の[[低カリウム血症]]を起こしており、カリウム補充療法は回復傾向の患者で良い反応を示したとされる<ref>[https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.02.27.20028530v1 Hypokalemia and Clinical Implications in Patients with Coronavirus Disease 2019 (COVID-19)] medRxiv 2020年2月29日</ref>。 |
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また[[日本感染症学会]]に報告された症例において[[低ナトリウム血症]]が報告されており、その場合に電解質輸液剤による[[輸液|補液]]が行われている<ref>[http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200318_2.pdf 重症化経過において遷延する低ナトリウム血症・比較的徐脈を認めた市中発症新型コロナウイルス(COVID-19)肺炎の 2 例]</ref>。 |
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なおSARSにおいても低カリウム血症および低ナトリウム血症が報告されていた<ref>[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3000162/ Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) in Singapore: Clinical Features of Index Patient and Initial Contacts] {{仮リンク|Emerging Infectious Diseases (雑誌)|en|Emerging Infectious Diseases (journal)|label=Emerging Infectious Diseases}} 2003年6月</ref>。 |
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=== 酸水素混合吸入 === |
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酸水素混合吸入は中国においてCOVID-19の治療に使われている<ref name="sciencenet-h2o2gas">[http://news.sciencenet.cn/htmlnews/2020/3/436762.shtm 氢氧混合吸入治疗新冠肺炎还需更多严谨证据] {{zh icon}} 中国科学報 2020年3月9日</ref><ref name="sina-h2o2gas">[https://news.sina.com.cn/c/2020-03-05/doc-iimxyqvz8164705.shtml “吸氢疗法”纳入第七版新冠诊疗方案 曾引发争议] {{zh icon}} 新浪 2020年3月5日</ref>。 |
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2020年2月5日、上海潓美医療科技の酸水素吸入器 (水素66.66%/酸素33.33%) が[[武漢市中心医院|武漢中央病院]]、{{仮リンク|武漢大学中南医院|zh|武汉大学中南医院}}などの病院へと届けられ、使用されるようになった<ref name="sciencenet-h2o2gas" />。この酸水素吸入器は[[慢性閉塞性肺疾患]] (COPD)、[[喘息]]、[[気管支拡張症]]、[[気道狭窄]]などに向けて開発されていた<ref name="sciencenet-h2o2gas" />。 |
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2月17日、中国非公立医療機構協会 (CNMIA) がこの酸水素吸入器を推奨し<ref name="sciencenet-h2o2gas" /><ref>[http://www.cnmia.org/NoticeDetail_69B3504FE9124BF3AA2C4FBA0E3F8234.html 中国非公立医疗机构协会关于推荐氢氧气雾化机 助力新冠肺炎临床治疗的通知] {{zh icon}} 中国非公立医療機構協会 2020年2月17日</ref>、3月3日、[[中華人民共和国国家衛生健康委員会]] (NHC) はガイドライン第七版で酸水素吸入器を標準治療に組み込んだ<ref name="nhc-covid19-7th" /><ref name="sina-h2o2gas" />。ただし二重盲検比較試験は行われておらず論争も起きている<ref name="sciencenet-h2o2gas" /><ref name="sina-h2o2gas" />。 |
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=== 高気圧酸素治療 (HBO) === |
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一部の病院において[[高気圧酸素治療]] (HBO) がCOVID-19の治療に使われており成果を上げているとされるものの、大規模な臨床試験は2020年8月時点でまだ行われていない<ref>[https://fortune.com/2020/08/11/covid-19-treatment-hbo-oxygen-therapy-coronavirus/ How HBO—the treatment, not the TV network—could help doctors fight COVID-19] [[フォーチュン (雑誌)|フォーチュン]] 2020年8月12日</ref><ref>[https://abcnews.go.com/Health/wireStory/doctors-pressurized-oxygen-chambers-covid-fight-72101889 Doctors try pressurized oxygen chambers in COVID fight] [[ABCニュース]] 2020年7月31日</ref>。 |
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=== ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬 === |
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新型コロナウイルス感染症の患者の血漿では著しく高いレベルの[[アンジオテンシンII]]が確認されており<ref name="scls-arb">[https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11427-020-1643-8 Clinical and biochemical indexes from 2019-nCoV infected patients linked to viral loads and lung injury] {{仮リンク|Science China Life Sciences|en|Science China Life Sciences}} 2020年2月9日</ref>、それによる障害を防ぐために[[アンジオテンシンII受容体拮抗薬]] (ARB) を使うことが[[インド]]マハラシュトラ保健大学の [[:en:Mrudula Phadke|Mrudula Phadke]] 教授から提案された<ref name="scls-arb" /><ref name="bmj-arb">[https://www.bmj.com/content/368/bmj.m406/rr-2 Response to the emerging novel coronavirus outbreak] BMJ 2020年</ref>([[#宿主細胞受容体]]も参照)。ARBには[[テルミサルタン]]、[[ロサルタン]]などがある<ref name="bmj-arb" />。 |
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{{仮リンク|欧州製薬団体連合会|en|European Federation of Pharmaceutical Industries and Associations}} (EFPIA) は、降圧剤であるアンジオテンシンII生成を阻害する[[アンジオテンシン変換酵素阻害薬]] (ACE阻害剤) の効果の検証を含む治療法の特定を、会員企業に求めている<ref>[https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/02/3c775f3d6a07da78.html 欧州製薬団体連合会、新型コロナウイルス対策で会員企業の連携呼び掛け] [[日本貿易振興機構]](ジェトロ) 2020年2月5日</ref>。 |
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ACEI又はARBの静脈内投与がACE2受容体の発現を増やし重症化リスクを高める可能性があるとする仮説も存在する<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32186711/ Hypothesis: Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin Receptor Blockers May Increase the Risk of Severe COVID-19] Journal of Travel Medicine 2020年3月18日</ref>が、中国におけるCOVID-19患者の[[メタアナリシス]]の審査前論文によれば65歳以上の高血圧患者におけるARBの服用者は重症化リスクが有意に低かったとされる<ref>[https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.20.20039586v1 Anti-hypertensive Angiotensin II receptor blockers associated to mitigation of disease severity in elderly COVID-19 patients] medRxiv 2020年3月27日</ref>。 |
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米国ガイドラインでは臨床試験ではない限り、ACE阻害薬およびアンジオテンシン受容体拮抗薬を使用しないよう勧告している{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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=== リコンビナントACE2 === |
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ヒト組み換え可溶性ACE2 (hrsACE2) はin vitroにおいてSARS-CoV-2の細胞への感染を阻害することが見つかっている<ref name="mx-hrsace2">[https://medicalxpress.com/news/2020-04-trial-drug-significantly-block-early.html Trial drug can significantly block early stages of COVID-19 in engineered human tissues] Medical Xpress 2020年4月2日</ref><ref>[https://www.cell.com/pb-assets/products/coronavirus/CELL_CELL-D-20-00739.pdf Inhibition of SARS-CoV-2 infections in engineered human tissues using clinical-grade soluble human ACE2] [[セル (雑誌)|セル]] 2020年</ref>。SARSでの研究ではマウスでの動物実験においてアンジオテンシンIIの分解を行うリコンビナント(組み換え)ACE2の投与がSARSの重症化を防ぐことが見つかっている<ref>[https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16001071/ Angiotensin-converting Enzyme 2 Protects From Severe Acute Lung Failure] Nature 2005年</ref>。 |
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ヒト組み換え可溶性ACE2にはApeiron Biologics製の「APN01」が存在し<ref name="mx-hrsace2"/>、既に第II相臨床試験を開始している<ref>[https://www.reuters.com/article/brief-apeiron-biologics-initiates-phase/brief-apeiron-biologics-initiates-phase-ii-clinical-trial-of-apn01-for-treatment-of-covid-19-idUSFWN2BP1IL BRIEF-Apeiron Biologics Initiates Phase II Clinical Trial Of APN01 for Treatment Of COVID-19] ロイター 2020年4月2日</ref>。また、日本の[[医薬基盤・健康・栄養研究所]]は量産可能なバクテリア由来の[[アンジオテンシン変換酵素#ACE2 (アンジオテンシン変換酵素2)|ACE2]]様酵素「B38-CAP」を発見し、それが新型コロナウイルス患者の重症化抑制に使える可能性のあることを発表した<ref>[https://www.yakuji.co.jp/entry77731.html 新型コロナ対策に新酵素‐医薬基盤研が発見] 薬事日報 2020年3月3日</ref><ref>[https://www.nibiohn.go.jp/information/nihn/files/1357b762d7f34ea208f5da87d30ccb34e283dba4.pdf 新型コロナウイルス受容体ACE2と同じ機能を持つ微生物酵素B38-CAPを発見] 医薬基盤・健康・栄養研究所 2020年2月27日</ref>。 |
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ヒト組み換え可溶性ACE2を投与したCOVID-19患者の初期の臨床観察では各種バイオマーカーの改善と血漿ウイルス量の減少が確認されている<ref>[https://www.thelancet.com/journals/lanres/article/PIIS2213-2600(20)30418-5/fulltext Human recombinant soluble ACE2 in severe COVID-19] The Lancet Respiratory Medicine 2020年9月24日</ref><ref>[https://www.nature.com/articles/s41392-020-00374-6 Human recombinant soluble ACE2 (hrsACE2) shows promise for treating severe COVID19] Signal Transduction and Targeted Therapy 2020年11月3日</ref>。 |
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=== メプラズマブ(抗 CD147 抗体) === |
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ACE2以外のウイルス受容体として CD147 が関与している可能性が示唆されている。抗 CD147 抗体であるメプラズマブによりウイルス陰性化までの期間が短縮されたと報告された(2020年3月26日現在、査読前論文であるため[[Wikipedia:免責事項|解釈に注意が必要]])<ref>{{Cite journal|last=Bian|first=Huijie|last2=Zheng|first2=Zhao-Hui|last3=Wei|first3=Ding|last4=Zhang|first4=Zheng|last5=Kang|first5=Wen-Zhen|last6=Hao|first6=Chun-Qiu|last7=Dong|first7=Ke|last8=Kang|first8=Wen|last9=Xia|first9=Jie-Lai|date=2020-03-24|title=Meplazumab treats COVID-19 pneumonia: an open-labelled, concurrent controlled add-on clinical trial|url=https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.03.21.20040691v1|journal=medRxiv|pages=2020.03.21.20040691|language=en|doi=10.1101/2020.03.21.20040691}}</ref>。 |
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=== BCGワクチン === |
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[[File:Total-confirmed-cases-of-covid-19-per-million-people.png|200px|thumb|世界のCOVID-19感染率(2020/4/1時点)]] |
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[[File:COVID-19 outbreak Germany per capita cases map.svg|thumb|200px|東西ドイツのCOVID-19感染率の相違]] |
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[[ハーバード大学医学大学院]][[国際保健]]リサーチコア教授メガン・マリーは[[3月13日]]、[[BCG]]ワクチンの再接種によって[[上気道感染症]]が減った報告や、trained immunity(訓練免疫状態){{Refnest|group="注"|[[西川伸一 (科学者)|西川伸一]]訳による<ref name=nisik-BCG/>}}によるオフターゲット効果の可能性にも触れ、BCGワクチンのCOVID-19への効果の研究価値があると述べた<ref>Megan Murray, [https://ghresearch.org/covid-19/could-bcg-vaccination-revaccination-protect-against-sars-cov2-disease/ Could BCG vaccination/revaccination protect against SARS-CoV2 disease?]March 13, 2020,Global Health Research Core Harvard Medical School</ref><ref name=kimuraOFFTarget/>。BCG接種状況<ref>Alice Zwerling et al., [https://www.researchgate.net/publication/50892386_The_BCG_World_Atlas_A_Database_of_Global_BCG_Vaccination_Policies_and_Practices#pf3 The BCG World Atlas: A Database of Global BCG Vaccination Policies and Practices], Health in Action, "PLoS Medicine" | www.plosmedicine.org March 2011 | Volume 8 | Issue 3 | e1001012</ref><ref>[http://www.bcgatlas.org/index.php THE BCG WORLD ATLAS 2nd Edition]、A Database of Global BCG Vaccination Policies and Practices、2020/04/08閲覧</ref>と世界の COVID-19 感染率の類似が指摘されている<ref>池田 信夫、[https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60006?page=2 BCG接種で新型コロナの感染は防げるか、驚異的に死亡率の低い「日本の謎」を解く鍵]、2020.4.3(金)、JBPress</ref><ref>[http://agora-web.jp/archives/2045229.html BCGワクチン接種は新型コロナに有効か --- サトウ・ジュン], アゴラ, 2020/04/05閲覧</ref>。 |
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[[オランダ]]の研究チームは医療従事者に[[BCG]]ワクチン接種を行う者1,000人を募集したと『[[サイエンス]]』誌が[[3月23日]]に掲載した<ref>[https://www.sciencemag.org/news/2020/03/can-century-old-tb-vaccine-steel-immune-system-against-new-coronavirus?fbclid=IwAR3UkYZT941PpzUVKkNwXzkARg9uL-d2OdiZV0qQICrL9U5ke0FwegMwYZ0 Can a century-old TB vaccine steel the immune system against the new coronavirus?]By Jop de Vrieze,Mar. 23, 2020 , 6:25 AM,[[サイエンス|Science]].</ref>。このグループはBCGが[[血液]]の[[エピジェネティック]]を変化させるという[[仮説]]を人間で確かめることを目的としている<ref name=nisik-BCG>[[西川伸一 (科学者)|西川伸一]]「[https://aasj.jp/news/watch/12665 BCGはなぜウイルス感染予防効果があるのか(2018年1月号 Cell Host & Microbe 掲載論文)] 2020年3月26日AASJ.</ref>。 |
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[[マウントサイナイ医科大学]]助教授アニー・スパローは、2016年のWHOの[[システマティック・レビュー]]でもBCGワクチンのオフターゲット効果{{Refnest|group="注"|「分子標的薬などで本来の標的(on-target)とは異なる別の分子(off-target)を阻害,あるいは活性化してしまう効果」[https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/2902.html off-target効果]実験医学online.}}の有効性が報告されているとし<ref>[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27737834 Association of BCG, DTP, and measles containing vaccines with childhood mortality: systematic review]BMJ. 2016 Oct 13;355:i5170. doi: 10.1136/bmj.i5170.</ref>、BCGワクチンが医療従事者を救う可能性については研究する価値があると3月24日に述べた<ref name=kimuraOFFTarget>[https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200330-00170482/ 9本針のはんこ注射が新型コロナに効く?BCGのオフターゲット効果とは 医師や看護師を守る秘密兵器に]木村正人3/30(月) 10:29</ref><ref>[https://foreignpolicy.com/2020/03/24/coronavirus-vaccine-health-care-workers-bcg/ This Vaccine Could Save Health Care Workers’ Lives Now]BY ANNIE SPARROW | MARCH 24, 2020, 1:12 PM,Foreign Policy.</ref>。 |
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{{仮リンク|マードック・チルドレンズ研究所|en|Murdoch Children's Research Institute}}は[[BCG]]ワクチンが免疫力を高め、SARS-CoV-2にも効果のある可能性があるとして臨床試験することを発表したと3月27日に報じられた<ref>{{Cite news|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200327/k10012354671000.html|title=豪 BCGワクチン 新型コロナウイルスに有効か臨床試験へ|publisher=NHK|date=2020年3月27日}}</ref>。 |
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[[大阪大学]]名誉教授([[免疫動態学]])の[[宮坂昌之]]は、免疫学の世界ではこのワクチンが高齢者の細菌性肺炎に予防的効果があると指摘されているとし、BCGが自然免疫や獲得免疫を刺激して、ウイルス感染による重症化を防いでいるとも考えられると解説した<ref name=":12">{{Cite web|title=日本株のBCG接種に「コロナ死」抑制力の根拠|url=https://www.dailyshincho.jp/article/2020/04270557/|website=デイリー新潮|accessdate=2020-05-23|language=ja}}</ref>。また、同氏はBCGワクチンを接種している国とそうでない国では統計的に死亡率が異なっているとし、特に、日本株とソ連株の効果が強く、デンマーク株では効果が薄いように見えると述べた<ref name=":12" />。 |
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イスラエルの[[テルアビブ大学]]での研究によれば、イスラエルではBCGワクチン(株不明)接種中止前と後の3年間においてBCGワクチン接種世代と不接種世代で新型コロナウイルスの感染率に差は存在しなかった<ref>{{Cite news|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200514/k10012430111000.html|title=新型コロナ BCGワクチン“予防効果なし” イスラエル研究G|publisher=NHK|date=2020年5月14日}}</ref>。 |
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北山忍米ミシガン大学教授らの研究グループは、BCGワクチンの接種を義務付けていた国々は、義務付けていない国々と比べて、感染者数、死者数ともに増加率が有意に低いことを報告した<ref>Martha K. Berg, Shinobu Kitayama, et al., "[https://advances.sciencemag.org/content/6/32/eabc1463 Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19]", Science Advances 05 Aug 2020:Vol. 6, no. 32, eabc1463, {{doi|10.1126/sciadv.abc1463}}</ref>。 |
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==== 副反応と注意喚起 ==== |
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BCGワクチン接種での[[副反応]]も報告されており、重篤例として[[リンパ節炎]]や[[骨髄炎]]などの播種性BCG感染症の発症や、[[重症複合型免疫不全症]] (SCID) や[[慢性肉芽腫症]]などの[[原発性免疫不全症候群|先天性免疫不全症(原発性免疫不全症候群)]]では重症化することが多い<ref name=jspid>{{PDFlink|[http://www.jspid.jp/journal/full/02303/023030227.pdf BCG 骨髄炎 27 例の検討]}} 日本小児感染症学会、小児感染免疫 Vol. 23 No. 3 227、2011年</ref>。また[[アナフィラキシー]]や[[皮膚結核|皮膚結核様病変]]も報告されている<ref>[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html BCGワクチンの副反応]厚生労働省</ref>。 |
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4月3日、[[日本ワクチン学会]]は「『新型コロナウイルスによる感染症に対してBCGワクチンが有効ではないか』という仮説は、いまだその真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない。」「定期接種としての乳児へのBCGワクチンの安定供給が影響を受ける事態は避けなければならない。」などの見解を示した<ref>{{PDFlink|[http://www.jsvac.jp/pdfs/kenkai.pdf 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対するBCGワクチンの効果に関する見解(2020年4月3日)] 日本ワクチン学会}}</ref>。 |
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[[日本小児科学会]]も同日にBCGは新生児や乳児を対象に接種が行われており、成人を対象とした知見は十分ではない、また、[[結核菌]]の既罹患者やBCG菌に対する免疫を有する者に接種した場合、強い接種局所反応などの副反応が出現する可能性もあると発表した<ref>[http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=337 最近の BCG ワクチンと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する報道に関連して~乳児への BCG ワクチンの優先接種のお願い~] 2020年4月3日。副反応の出典は公益財団法人予防接種リサーチセンター:予防接種ガイドライン 2019 年度版</ref>。 |
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厚生労働省も「BCGワクチンは、乳児の定期接種のために製造されており、メーカーが出荷できる量は出生数と同程度で、余剰はありません。」と発信した<ref>{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index_00002.html |title=ワクチンの供給状況について |accessdate=2020-04-07 |publisher=厚生労働省}}</ref>。 |
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4月10日、BCGを扱っていない日本の医療機関において、BCGワクチンを新型コロナウイルス感染症の予防のために接種を希望した成人に、誤って全量注射し、発熱やじんましん、血尿などの健康被害が出ていたことが報告された<ref name=main-BCG-MISS>[https://mainichi.jp/articles/20200410/k00/00m/040/275000c 新型コロナ予防しようと…BCGワクチン接種ミス 成人に“絶対禁止”の皮下注射] 毎日新聞2020年4月10日 20時45分</ref>。BCGは腕に塗ったBCG溶液のうち微量だけ体内に入れる方式で、説明文書には「絶対に注射してはならない」と記載されている<ref name=main-BCG-MISS/>。 |
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{{Quotation|経皮接種用の濃厚なワクチンであり、'''もし皮内等に注射すると強い局所反応を呈するので、絶対に注射してはならない'''。|日本ビーシージー製造株式会社 [https://www.bcg.gr.jp/medical/text_k_bcg.pdf 乾燥BCGワクチン添付文書]}} |
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==== VPM1002(BCGワクチンベースのワクチン) ==== |
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[[マックス・プランク研究所]]は3月21日、BCGワクチンをベースにしたワクチン候補である VPM1002 が、SARS-CoV-2 の感染に対して有効かどうかドイツの病院で高齢者と医療従事者を対象に[[治験|第III相試験]]に入ることを発表した<ref name=MaxP-Gesel>[https://www.mpg.de/14610776/immune-boost-corona-virus Immune boost against the corona virus:In Germany, a vaccine candidate will be tested for its effectiveness against infections with the novel corona virus]MARCH 21, 2020</ref>。VPM1002は、ステファン・H・E・カウフマンのグループが[[結核]]ワクチンとして開発したもので、従来の標準的なBCGワクチンよりも安全で、結核や癌に効果があるとされる<ref name=MaxP-Gesel/>。このワクチンは現在インドで第III相の治験がされており、2020年半ばに完了予定で、SARS-CoV-2に特化したワクチンが開発されるまでの間の利用が期待されている<ref name=MaxP-Gesel/>。Vakzine Project Management (VPM) と世界最大級のワクチンメーカーであるインド血清研究所 (Serum Institute of India) と共同で開発する<ref name=MaxP-Gesel/>。 |
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=== イベルメクチン(駆虫薬) === |
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2020年4月4日、[[オーストラリア]]南東部メルボルンの[[モナッシュ大学]]の研究チームは、'''[[イベルメクチン]]''' (Ivermectin)([[MSD]]社、[[マルホ]]社の'''ストロメクトール''')が、実験の結果、本ウイルスの抑制に効果があったと発表した。1回量のイベルメクチンで本ウイルスの複製を48時間以内に止めることができた。今後臨床試験を行い、できるだけ早くCOVID-19の治療薬に応用したいとしている<ref>{{Cite web|title=豪大学「イベルメクチンに効果」|url=https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3948470.html|website=TBSNEWS|accessdate=2020-04-05|publisher=TBS|date=2020-04-05}}</ref><ref>{{Citation |author=Caly, L., Druce, J.D., Catton, M.G., Jans, D.A., Wagstaff, K.M. |date=2020-04-03 |title=The FDA-approved Drug Ivermectin inhibits the replication of SARS-CoV-2 in vitro |journal=Antiviral Research |volume= |issue= |pages= |url=https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166354220302011 |doi=10.1016/j.antiviral.2020.104787 |accessdate=2020-04-06}}</ref>。 |
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2020年4月19日、[[ユタ大学]]の研究チームは、169病院においてイベルメクチンを用いずに治療した704人の死亡率が8.5%(人工呼吸器を使用した重症者に限れば21.3%)であるのに対し、イベルメクチンを投与した704人の死亡率が1.4%(重症者に限れば7.3%)と低いことを発表した<ref>{{Cite news|title=大村氏のイベルメクチン、新型コロナに効果 米ユタ大が報告|url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58525110X20C20A4I00000/|newspaper=日本経済新聞|accessdate=2020-04-29|date=2020-04-27}}</ref><ref>{{Cite web|title=イベルメクチンが有効か|url=https://www.covid19-yamanaka.com/cont4/23.html|website= |
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山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信|accessdate=2020-04-29|publisher=京都大学iPS細胞研究所|date=2020-04-27}}</ref><ref>{{Citation |author=Amit N. Patel, Sapan S. Desai, David W. Grainger, Mandeep R. Mehra|date=2020-04-19 |title=Usefulness of Ivermectin in COVID-19 Illness |journal=SSRN |volume= |issue= |pages=12 |url=https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3580524 |doi= |accessdate=2020-04-29}}</ref>。しかしその後、発表の信頼性に疑義が生じ、投稿中であった論文も撤回された<ref>{{Cite web|title=イベルメクチンのコロナ論文取り下げ 米大学など|url=https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60089570Y0A600C2I00000/|website=日本経済新聞 電子版|accessdate=2020-06-25|language=ja}}</ref>。 |
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* Leon Caly, Julian D. Druce, Mike G. Catton, David A. Jans, Kylie M. Wagstaff: "The FDA-approved drug ivermectin inhibits the replication of SARS-CoV-2 invitro", Antiviral Research 178 (2020) 104787. |
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[[イベルメクチン]]は、数々の業績をあげて[[2015年]][[ノーベル生理学・医学賞]]を受賞した[[化学者]]で[[北里大学]]特別栄誉教授の[[大村智|大村 智]]により開発された<ref>{{Cite web | url=https://www.kitasato-u.ac.jp/lisci/international/OmuraSatoshi.html | title=ノーベル生理学医学賞 大村 智博士 | publisher=[[大村智記念研究所]] | accessdate=2020-04-05}}</ref>。 |
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米国ガイドラインでは、イベルメクチン投与は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしている{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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=== リファンピシン(抗生物質) === |
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2020年4月14日に、インドの[[ガウタム ブッダ大学]]のチームが、未査読論文サイトに発表したところによれば、彼らは SARS-CoV-2 のメイン[[プロテアーゼ]] (Mpro) を標的に、[[FDA]]の承認市販薬化合物からヒトの抗ウイルスおよび抗菌特性を備えたものを文献調査で12種選び、それらをコンピュータシミュレーションで仮想スクリーニングにかけて候補を探した。その結果最も有望な薬剤として出てきたのは、[[結核]]の治療で定評のある、[[抗生物質]]の'''[[リファンピシン]]'''([[第一三共]]の'''リファジン'''<ref>{{Cite web| url=https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00058152 | title=医療用医薬品 : リファジン | publisher=[[KEGG]] | accessdate=2020-04-16}}</ref>)([[:en:Rifampicin|Rifampicin]](英語版))であった。そしてリファンピシンがCOVID-19の治療に使えるかもしれないと提案した<ref name='gautam_20200414' />。 |
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=== カテキン === |
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[[緑茶]]を飲用する習慣のある地域とそうではない地域では新型コロナウイルスの感染率に有意な差がある事が判明しており、[[緑茶]]に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)がウイルス表面の突起と結合することにより感染力を弱める効果があると報告されている<ref name="katekin">{{Cite web|url=https://www.shizukaen.co.jp/health/ |title=高濃度の柿渋、新型コロナ感染抑える効果 食品化に期待 |accessdate=2020-10-15}}</ref><ref>Khan, Mohammad Faheem, et al. "Identification of Dietary Molecules as Therapeutic Agents to Combat COVID-19 Using Molecular Docking Studies." (2020).</ref><ref name="katekin2">{{Cite web|url=https://shizuoka-cha.com/files/9114/4178/2051/10secrets_of_green_tea.pdf |title=知らなきゃソンするお茶のこと 10のひみつ |publisher=公益財団法人 静岡県茶業会議所 |format=PDF|accessdate=2020-10-15}}</ref>。 |
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=== タンニン === |
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[[柿渋]]に含まれる[[タンニン]]にはコロナウイルスを不活性化する効果がある事が判明し、[[経口感染]]の予防効果が期待される<ref name="tannin">{{Cite web|url=https://www.yomiuri.co.jp/national/20201002-OYT1T50317/|title=柿渋にコロナ不活化させる効果、奈良県立医大が確認…カギは濃度とウイルスとの接触時間 |accessdate=2020-10-15}}</ref><ref name="tannin2">{{Cite web|url=https://www.asahi.com/articles/ASN9H7HTNN9HPOMB00C.html |title=高濃度の柿渋、新型コロナ感染抑える効果 食品化に期待 |
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|accessdate=2020-10-15}}</ref>。 |
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=== ビタミンC === |
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{{節スタブ|date=2020年4月}} |
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重症患者における高濃度ビタミンC点滴が{{仮リンク|武漢大学中南医院|zh|武汉大学中南医院}}で第II相臨床試験中となっている<ref>[https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04264533 Vitamin C Infusion for the Treatment of Severe 2019-nCoV Infected Pneumonia] NIH 2020年</ref>。米国ガイドラインでは、現状ではビタミンC投与は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしている{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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=== ビタミンD === |
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{{節スタブ|date=2020年9月}} |
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[[ビタミンD]]にも効能がある可能性が複数報告されているが<ref>Carter, Stephen J., Marissa N. Baranauskas, and Alyce D. Fly. "Considerations for Obesity, Vitamin D, and Physical Activity Amid the COVID‐19 Pandemic." Obesity (2020).</ref><ref>Grant, William B., et al. "Evidence that vitamin D supplementation could reduce risk of influenza and COVID-19 infections and deaths." Nutrients 12.4 (2020): 988.</ref><ref>Panarese, Alba, and Endrit Shahini. "Covid‐19, and vitamin D." Alimentary Pharmacology & Therapeutics 51.10 (2020): 993.</ref>、英国NICEは臨床治験ではない限り、COVIDの予防または治療を目的としてビタミンDサプリメントを処方することのないよう勧告している<ref>{{Cite report|publisher=[[英国国立医療技術評価機構]] |title=NG187: COVID-19 rapid guideline: vitamin D |date=2020-12 |url=https://www.nice.org.uk/guidance/ng187}}</ref>。米国ガイドラインでは、現状ではビタミンD投与は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしている{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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=== ニコチン === |
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{{節スタブ|date=2020年9月}} |
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喫煙者と非喫煙者の間には重症化する割合に有意な差が認められ[[ニコチン]]に効能がある可能性があるとの複数の報告がある<ref>Farsalinos, Konstantinos, Anastasia Barbouni, and Raymond Niaura. "Systematic review of the prevalence of current smoking among hospitalized COVID-19 patients in China: could nicotine be a therapeutic option?." Internal and Emergency Medicine (2020): 1-8.</ref><ref>Olds, James L., and Nadine Kabbani. "Is nicotine exposure linked to cardiopulmonary vulnerability to COVID‐19 in the general population?." The FEBS journal (2020).</ref>。 |
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=== ラクトフェリン === |
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{{節スタブ|date=2020年9月}} |
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[[ラクトフェリン]]にも効能がある可能性が複数報告されている<ref>Peroni, Diego G., and Vassilios Fanos. "Lactoferrin is an important factor when breastfeeding and COVID‐19 are considered." Acta Paediatrica (2020).</ref><ref>Chang, Raymond, W. Zen Sun, and T. Bun Ng. "Lactoferrin as potential preventative and treatment for COVID-19." (2020).</ref><ref>{{Cite web |date=2020-04-27 |url=https://food-and-healthcare.com/lactoferrin-3-1497 |title=【研究論文】「ラクトフェリンが新型コロナウイルス肺炎の予防と治療に有用である可能性」 |publisher=食と健康 Food and Healthcare |accessdate=2020-09-08}}</ref>。 |
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=== TMC-310911 === |
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{{節スタブ|date=2020年9月}} |
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[[TMC-310911]]にも効果がある可能性があるとの複数の報告がある<ref>Mina, Fahmida, et al. "Potential Drug Candidates Underway Several Registered Clinical Trials for Battling COVID-19." (2020).</ref><ref>Cozac, Romeo, Nazim Medzhidov, and Shinya Yuki. "Predicting inhibitors for SARS-CoV-2 RNA-dependent RNA polymerase using machine learning and virtual screening." arXiv preprint arXiv:2006.06523 (2020).</ref>。 |
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=== 亜鉛 === |
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COVID-19患者に対する亜鉛の静脈内投与が[[オーストラリア]]の[[メルボルン]]にある{{仮リンク|オースティン病院|en|Austin Hospital, Melbourne}}で臨床試験されている<ref name="zinc-forbes"/><ref>[https://about.unimelb.edu.au/newsroom/news/2020/april/world-first-trial-to-test-benefit-of-intravenous-zinc-in-covid-19-fight World-first trial to test benefit of intravenous zinc in COVID-19 fight] [[メルボルン大学]] 2020年4月8日</ref>ものの、エビデンスはまだ無く、安全かも分かっていない<ref name="zinc-forbes">[https://www.forbes.com/sites/saibala/2020/04/10/zinc-no-evidence-yet-to-support-its-effects-on-coronavirus/ Zinc: No Evidence Yet To Support Its Effects On Coronavirus] 2020年4月10日</ref>。 |
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亜鉛イオンには抗ウイルス作用があり、この作用はウイルスのポリタンパク質プロセシングを阻害することなどによるものとされている<ref>[https://journals.plos.org/plospathogens/article?id=10.1371/journal.ppat.1001176 Zn2+ Inhibits Coronavirus and Arterivirus RNA Polymerase Activity In Vitro and Zinc Ionophores Block the Replication of These Viruses in Cell Culture] {{仮リンク|PLOS Pathogens|en|PLOS Pathogens}} 2010年11月4日</ref>。 |
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米国ガイドラインでは、現状では亜鉛投与は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしており{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}、臨床試験でない限り食事摂取基準を超える亜鉛を取ることのないよう推奨している{{Sfn|アメリカ国立衛生研究所|2021}}。 |
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=== 人工サーファクタント === |
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[[イスラエル工科大学]]は[[新生児呼吸窮迫症候群]] (RDS) のために開発されたサーファクタント補充療法を改良し、そのSARS-CoV-2に対する治験を計画している<ref>[https://www.technion.ac.il/en/2020/04/new-hope-for-acute-respiratory-distress/ New Hope for Acute Respiratory Distress] イスラエル工科大学 2020年4月14日</ref><ref>{{Cite news|url=https://www.jiji.com/jc/article?k=000000004.000056306&g=prt|title=【速報/緊急アピール】イスラエル工科大学(Technion大学)はコロナウイルスの重症肺炎患者への新しい救急救命治療方法を開発。世界に向けて治験の資金を募集!|publisher=時事通信|date=2020年4月13日}}</ref>。 |
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[[埼玉県立循環器・呼吸器病センター]]によれば、COVID-19が感染するために使用するACE2は肺において主に[[II型肺胞上皮細胞]]で発現しているため、SARS-CoV-2ではその細胞への感染によって[[肺サーファクタント]]の産生が阻害されて肺胞体積低下に陥ると推察している<ref>[http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200331_1.pdf 新型コロナウイルス肺炎患者における重症化因子の検討] [[埼玉県立循環器・呼吸器病センター]] 2020年3月31日</ref>。 |
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=== コルヒチン === |
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2021年1月22日、カナダ・{{仮リンク|モントリオール心臓研究所|en|Montreal Heart Institute}}(MHI)は、[[痛風]]治療薬[[コルヒチン]]が、新型コロナウイルス感染症治療に効果的で、合併症のリスクを減少させることが、PCR検査で陽性だった患者のうち4159人に投与した大規模臨床試験([[治験]])で明らかになったと発表した<ref name="afpbb" />。MHIは、コルヒチンが「在宅療養中のコロナ患者の治療に使用できる世界初の経口薬」と説明し、治験の結果は重要な科学的発見で、[[サイトカインストーム]]と呼ばれる危険な炎症性症候群の発生を防ぎ、合併症の発症率を下げる効果がある、としている<ref name="afpbb">{{citenews |url=https://www.m3.com/news/general/871402 |title=痛風治療薬「コルヒチン」、コロナ治療に有効か カナダ研究 |date=2021-01-25 |accessdate=2021-01-26 |publisher=m3.com(AFPBB News)}}</ref>。 |
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== 注釈 == |
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{{Reflist|group="注"}} |
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==出典== |
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{{Reflist|2}} |
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==文献== |
==文献== |
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* {{Cite report|title=Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Treatment Guideline |publisher=[[アメリカ国立衛生研究所]] |url=https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/ |date=2021-01 |ref={{SfnRef|アメリカ国立衛生研究所|2021}} }} |
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* Rosa, Sandro G. Viveiros, and Wilson C. Santos. "Clinical trials on drug repositioning for COVID-19 treatment." Revista Panamericana de Salud Pública 44 (2020): e40. |
* Rosa, Sandro G. Viveiros, and Wilson C. Santos. "Clinical trials on drug repositioning for COVID-19 treatment." Revista Panamericana de Salud Pública 44 (2020): e40. |
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* Serafin, Marissa B., et al. "Drug repositioning an alternative for the treatment of coronavirus COVID-19." International Journal of Antimicrobial Agents (2020): 105969. |
* Serafin, Marissa B., et al. "Drug repositioning an alternative for the treatment of coronavirus COVID-19." International Journal of Antimicrobial Agents (2020): 105969. |
2021年3月6日 (土) 03:10時点における版
COVID-19に対する薬剤転用研究は、既存薬において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも薬効を示す薬剤を発見する研究である。
2020年代にり、COVID-19感染者数は2020年9月時点においても尚、拡大中で収束の気配がない。そのため、世界中の研究機関や医薬品会社では新薬の開発やドラッグリポジショニングによる対応を迫られている。一時期脚光を浴びたアビガンも当初は別の目的で開発された薬剤だった。また既存の漢方薬も治療薬の候補として期待される[1]。
薬剤転用の背景
新薬の開発には多数の候補の化合物から絞り込み臨床試験を経て上市される。そのためには数年の月日と同時に場合によっては数百億円規模の多大な投資を要する。一方、既存の承認済みの薬剤には効果が期待できるものが少なからず存在する。それら既存の薬剤は既に副作用が判明しているので臨床試験を含む認証までのプロセス及び期間を大幅に短縮できる。また、製薬会社にとっても新薬の市場規模はそれほど大きくはなく、収益が見込めない可能性があり、既存の薬剤の転用のほうが投資額が少なくて済むため魅力的である[2]。
主な候補の薬剤
- アジスロマイシン[3]
- アンジオテンシンII受容体拮抗薬[4]
- I型インターフェロン[5]
- イベルメクチン[6]
- エリスロポエチン[7]
- エリスロマイシン[8]
- カモスタット[9]
- クロロキン/ヒドロキシクロロキン[10]
- コルヒチン[11]
- サリルマブ[12]
- シクレソニド/オルベスコ[13]
- ダパグリフロジン[14]
- デキサメタゾン[15]
- トシリズマブ[16]
- ナファモスタット[17]
- ニコチン[18]
- ビタミンC[19]
- ビタミンD[20]
- ファビピラビル/アビガン[21]
- ラクトフェリン[22][23][24]
- リトナビル[25]
- レムデシビル[26]
- レンジルマブ[27]
- ロピナビル/リトナビル[28]
- TMC-310911[29]
ロピナビル・リトナビル(抗HIV薬;プロテアーゼ阻害剤)の合剤
ロピナビル・リトナビル(商品はこれらの成分からなる合剤である。商品名 カレトラ (Kaletra) 配合錠またはアルビア (Aluvia);略称 LPV/r)は、上記のように中国での初期の治療から広く用いられている(→ #中国での探索研究)。ロピナビルとリトナビルはどちらもHIV感染症に対するHAART療法に用いられ、プロテアーゼを阻害する作用を持つ。
2020年2月26日の日本感染症学会の文書でも、現時点で日本での入手可能性や有害事象等の観点を考慮した抗ウイルス薬の選択肢として筆頭に名前が上がっている[30]。日本の症例報告レベルでも有効とする報告がみられる一方[31][32]、復旦大学のチームが2020年1月から2月に行ったロピナビル・リトナビル投与群52例を含む134例の比較臨床試験の結果、「症状緩和やウイルス除去促進の影響が見られなかった」と報告した[33]。また、同様の時期に行われた、中国 首都医科大学など多くの医療機関の共同研究でも、計199例で半数にロピナビル・リトナビルを投与するRCTを行った結果、「重度の患者では標準治療を超える利益(benefit)は観察されなかった」と報告した[34]。二件の大規模RCTにおいて、有効性を示すことはできなかった[35]。
米国ガイドラインでは、入院患者および外来患者に対して、ロピナビル、リトナビルおよびその他のHIVプロテアーゼ阻害剤を使用しないことを推奨している[35]。
時系列
米製薬会社アッヴィは2020年1月26日、中国保健当局からの要請でアルビアを試験的に使用していることを明らかにした[36]。アルビアは、冷蔵不要という特徴がある[37]。
2月2日、タイ保健省はバンコクの病院で中国人女性旅行客(70代)の患者に対し、本剤と抗インフルエンザ薬オセルタミビル (oseltamivir)(商品名 タミフル等)の併用によって、投与後48時間以内にコロナウイルスが消失したと発表した[38][39][40]。
2月4日、浙江大学教授李蘭娟研究チームはロピナビルとリトナビルは大きな効果はなく、しかも副作用があると述べた[41]。(→#アビドルとダルナビル)
2月10日、上海市公共衛生臨床センターの 陈军凌云(Chen Jun LY)らは、134症例中52例が経口LPV/r治療、34例は経口 アビドール治療、残り48例は抗ウイルス薬を不使用で(なお、全例でインターフェロン-α2b スプレーと対症療法は実施)、この結果、両方の薬剤とも症状緩和の効果もウイルス除去促進の効果も見つからず、有効性についてさらなる調査が必要と結論づけた[33][42]。
3月3日、杏林大学医学部付属病院のグループは症例研究で、LPV/rを投与しても呼吸状態が増悪したことを説明し、上記復旦大学チームの報告書[33]を引いて、「LPV/r は中国からの報告ではウイルス量の低下、症状の改善には影響を与えておらず、COVID-19肺炎への過度な期待は難しい」と考察した[43]。
3月3日、国際医療福祉大学熱海病院のチームは、無症状から高熱と肺炎に増悪した患者に LPV/r を投与して治療を行ったところ、投与から2日後に解熱など好転し、入院後20日間でPCR検査で陰性化し退院したと報告した[31][44]。「本例に限って言えばカレトラは好意的に評価できる。酸素化低下などの重症化の徴候を待たず、肺炎の診断を得た時点で早期に治療介入を行うことで、重症化の阻止、致命率の低下ができるかもしれない」と考察している。
3月10日、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院のグループは、入院4日目に低酸素血症と全身倦怠感の増悪があり急性肺傷害に移行する懸念があった患者にLPV/rを投与したところ、投与2日目には解熱鎮痛薬なしでも発熱しない状態になったと報告した[32][45]。これは、有効性の高い対象症例であった可能性と、投与時期が的確であった可能性があると考察している。
3月18日、中国で行われたCOVID-19を対象としてLPV/rを投与する臨床試験の結果が報告されたが、LPV/rの有効性を示すことができなかった[34]。
ファビピラビル (アビガン)
抗インフルエンザ薬のファビピラビル(商品名 アビガン錠; 中国語: 法維拉韋)は富山化学工業が開発し、神奈川県が国家戦略特別区域で2013年から開発に協力してきた[46][47]。2016年に「浙江海正薬業股份有限公司(Zhejiang Hisun Pharmaceutical)」に中華人民共和国におけるライセンスを導出済[48]。2020年3月現在、日本では、「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品」であり、新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症に対する本剤の投与経験はない[49]。
中国ではCOVID-19に対する治療選択肢の1つとして挙げられている[50]。中国科学技術部は2月15日、ファビピラビルをCOVID-19治療の臨床試験を実施していると発表[51]。比較的高い治療効果と副作用が少ないとされた(ただし、日本では後述するように副作用が報告されている)(治験番号 ChiCTR2000029548[52])。2月18日、国家薬監局は、ファビピラビル[53]の販売を許可した[54]。
2020年2月22日、厚生労働大臣加藤勝信は「アビガンが効くということになれば、全国に展開をして治療に使っていきたい」「効果があると考えられている他の治療薬の使用も並行して考えていく」と述べた[55][56]。アビガンは新型インフルエンザ治療薬として日本国内で製造され、約200万人分が備蓄されている。神奈川県知事黒岩祐治は、アビガンの人道的使用と臨床試験の早期開始を国に提言した[57][58]。
2020年1月28日、販売元の富士フイルム富山化学は、本ウイルスへの効果の検証に取り組んでいないが[59]、日本でも治験(非盲検試験)が開始され[60][61]、2月22日から日本の医療機関で本疾患の患者にアビガンの投与が始まった[62]。
3月17日、中国政府はファビピラビルが有効であったと発表した[50]。ファビピラビルはロピナビル・リトナビルとの非盲検比較試験において、ウイルス排出期間を短縮し(4日 vs. 11日)、X線画像の改善率を高め(91.43% vs. 62.22%)、さらに安全性にも問題がなかった(後に論文は撤回された)[63]。
4月、ドイツ政府がアビガン数百万セットを大量購入すると報道された[64][65]。
副作用
本剤は動物実験において初期胚の致死および催奇形性(サル・マウス・ラット・ウサギ)が確認されており、胎児への曝露の危険性があり、妊婦への投与は禁忌である[53]。本剤は精液中へ移行するので、その危険性について十分に説明し、投与期間中及び投与終了後7日間まで、性交渉を行う場合は必ずコンドームを着用する[53]。
痛風、高尿酸血症の患者では、症状が悪化するおそれがある[53]。国内臨床試験では副作用が501例中100例 (19.96%) に認められ、血中尿酸増加24例 (4.79%)、下痢24例 (4.79%)、好中球数減少9例 (1.80%)、AST (GOT) 増加9例 (1.80%)、ALT (GPT) 増加8例 (1.60%) 等であった[53]。
重大な副作用はアビガンでは未確認だが、他の抗インフルエンザウイルス薬 (類薬)で、ショック、アナフィラキシー、肺炎、劇症肝炎、肝機能障害、黄疸、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、急性腎障害、白血球・好中球・血小板減少、意識障害、譫妄、幻覚、妄想、痙攣等の精神神経症状、出血性大腸炎などが報告されている[53]。
シクレソニド (吸入ステロイド;喘息治療薬)
シクレソニド[66](商品名 オルベスコ(帝人ファーマ)[67]、Covis Pharma[68]のAlvesco)は気管支喘息を適応症として承認済の吸入ステロイド薬である[69][70][71]。
- 時系列
2020年2月19日、国立感染症研究所村山庁舎コロナウイルス研究室は基礎実験でシクレソニド(オルベスコ)が強い抗ウイルス活性を有すると報告した。他の吸入ステロイドには同様の抗ウイルス効果が見られず、シクレソニド特有の作用と考えられた。本知見をもとに神奈川県立足柄上病院のチームはCOVID-19患者3名への投与治療をすぐに行った。その結果、3例とも2日ほどで状態が好転、という著しい効果があったとする症例報告を3月2日、日本感染症学会のサイトで以下内容で発表した[72][73]。
- クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に乗り合わせたCOVID-19陽性者で、肺炎が増悪中の患者3名にシクレソニドを投与したところ、良好な結果が得られた。うち2例は咽頭ぬぐいPCR検査でまだ陽性のため、吸入量を増量して継続中。
- COVID-19は(多くの報告のとおり)初期が軽症でも発症後7-10日で急速に悪化する印象。シクレソニドの投与時期は、重症化する前の、感染早期から中期あるいは肺炎初期が望ましい。
- ウイルスの早期陰性化や重症肺炎への進展防止効果が期待される。
- 本ウイルスが肺胞上皮細胞で増殖し、肺障害を引き起こしながら、同時に肺胞マクロファージ等に感染し局所の炎症を起こすと推定され、それに対しシクレソニドの持つ抗ウイルス作用と抗炎症作用が、重症化しつつある肺傷害の治療に有効であることが期待されている。
- COVID-19に対し広く投与されているロピナビル/リトナビル(カレトラ錠)(略号 LPV/r)[74]対シクレソニドの比較
- in vitro(試験管レベルでの研究)でウイルス増殖防止効果は同等以上、
- 肺胞到達時の組織濃度は数十倍、
- 副作用は前者が「下痢、吐き気、嘔吐、腹痛等」で高齢者における薬物動態については十分な検討がなされていない[74]。後者は添付文書に副作用の記載はあるが、未熟児・新生児から高齢者まで広く用いられる安全な薬剤で、報告時点までで同院で有害事象はなかった。
- 価格は前者が 1,289.6円/日、後者は1キット2,169円(同院の1,200 μg/日 処方で)と安価。
— 日本感染症学会、COVID-19肺炎初期〜中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例
- この3例のみの症例数で効果を論じることはできないので、今後症例の蓄積と検討が望まれる。
3月6日、国立感染症研究所は、上記3症例について「シクレソニドが、ウイルスの遺伝情報を担うリボ核酸 (RNA) の複製を阻害した」との見方を示した。また、MERSで抗ウイルス作用を示したとのデータがあったと述べた[75]。
3月9日に厚生労働省健康局結核感染症課より要請を受け、帝人ファーマと親会社の帝人は翌10日、オルベスコの供給体制を(本剤使用中の気管支喘息患者への安定供給を確保した上で)2万本分確保すると発表した[76][77][78]。オルベスコは海外のメーカーから導入していて帝人の一存では増産できないが、メーカーと協議しながら確保していく[76]。
3月10日、日本環境感染学会は「医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第2版改訂版 ver.2.1)」を公開し[79]、治療に関する説明の中に、3月2日の前版にはなかった本剤に関する記載を追加した(下線部)[80]。
治療・予防(ワクチン) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して、現在、有効性が証明された治療法はありません。ただし、抗HIV薬のロピナビル/リトナビル、抗インフルエンザ薬のアビガン、エボラ出血熱の治療薬として開発されたレムデシビル、および吸入ステロイドの喘息治療薬であるシクレソニドなどが治療薬の候補として挙がっており、今後の検証によって効果が証明されれば治療薬として用いられる可能性があると思われます。
— 日本環境感染学会、 医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド(第2版改訂版 ver.2.1)
3月12日に掲載された国立感染症研究所松山州徳らの審査前論文によれば、シクレソニドはコロナウイルスのもつ非構造タンパク質であるNSP15に作用してウイルスのRNA複製を抑制する[81]。したがって、シクレソニドはコロナウイルスであるMERSまたはCOVID-19の患者の治療の候補薬となる。
3月16日の時点で、オルベスコで治療を受けているCOVID-19の患者は、10人程度であった[82]。
3月20日、韓国のパスツール研究所のSangeun JeonらのチームはbioRxivサイト(未査読論文掲載サイト)に、「直訳:FDA承認済み医薬品からのSARS-CoV-2に対する抗ウイルス薬候補の特定)」と題する論文を掲載した[83][84]。同研究所は既にMERS株でのスクリーニング結果を発表していた(→ # 韓国での探索研究)。発表によれば、同研究所は「COVID-19の治療にアルベスコ(シクロソニド)が有効である」と判断した。同研究所では本ウイルスSARS-CoV-2を入手してスクリーニングで24種の薬剤を抽出した。これらは、レムデシビル、カレトラおよびクロロキンと同等かそれ以上の抗ウイルス活性を細胞実験で確認した。特に、シクレソニドの安全性、薬効、関連する海外の症例、および韓国国内での同剤の販売状況をレビューした結果、シクレソニドを「最も実現可能な医薬品(most feasible medication)」に選んだ。また、シクレソニドと並んでサナダムシ駆虫薬ニクロサミド(富士フイルム和光純薬、関東化学などが販売)(別名 ニクロシド)[85]にも注目した。
3月22日、国立感染症研究所の松山州徳室長は次のことを明らかにした[86]。
- 同研究所では2年前から、MERSに効く薬を1,200種の薬剤ライブラリからスクリーニング研究を実施し、シクレソニドが有効である可能性を見つけていた。
- 今回新型コロナウイルスに感染させた細胞にシクレソニドを作用させる実験を行ったところ、ウイルス量は100分の1程度にまで減った。
- シクレソニドはウイルスの増殖を抑えると同時に、炎症を抑える効果もあると思われる。
3月23日、国立国際医療研究センターは、肺炎症状のないCOVID-19患者を対象として、シクレソニドの臨床試験(特定臨床研究)を早期に始める予定でプロトコール検討中であることを明らかにした[87][88][89](なお、同時期に、肺炎があり参加条件を満たす患者はレムデシビルの国際共同臨床試験に参加させる。一方、肺炎があるが当該条件を満たさない患者には、ファビピラビル(富士フイルム富山化学のアビガン)、ナファモスタットメシル酸塩(日医工のフサン)での臨床試験を検討中、と述べた)。
3月30日(日本時間)、UNESCOが開催した世界127カ国の閣僚級やWHOの専門家等が出席したテレビ会議で、韓国科学技術情報通信部は、シクレソニドおよびニクロサミドがCOVID-19に効果があったという事実を共有した[90]。
3月31日の日本集中治療医学会の報告[91]によれば、体外式膜型人工肺 (ECMO) によるCOVID-19治療対象患者(の一部)である21例のうち43%の9例の治療でシクレソニド(オルベスコ)投与。ちなみに、同じ統計で、ファビピラビル(アビガン)は38%の8例、リン酸クロロキンは5%の1例、カレトラは95%の21例(※ 母集団は厳密に同一ではない模様)。
4月14日に、インドのガウタムブッダ大学のチームが、未査読論文サイトに発表したところによれば、彼らはSARS-CoV-2のメインプロテアーゼ (Mpro) [92]を標的に、FDAの承認市販薬化合物からヒトの抗ウイルスおよび抗菌特性を備えたものを文献調査で12種選び、それらをコンピュータシミュレーションで仮想スクリーニングにかけて候補を探した。その結果最強のリファンピシン(抗生物質)の次に有望な薬剤として出てきたのは、シクレソニドであった[93]。リファンピシンとシクレソニドは、参照用化合物として使用した、COVID-19治療によく使われてきたカレトラの成分2剤(ロピナビルとリトナビル)よりも、Mproとの結合親和性に優れていた。
4月14日、帝人ファーマは、COVID-19への取り組みの一環で、本剤の「追加的な供給の実現に向けた協議を輸入先とおこなって」いることを公表した[94]。
4月18日の日本感染症学会の学術講演会「COVID-19 シンポジウム ―私たちの経験と英知を結集して―」[95]で、シクレソニドの観察研究の4月8日時点中間報告が紹介された。それによれば、国内24施設から85症例が登録された。そのうち死亡は2例、また、投与後に気管挿管が必要になった悪化例は3例にとどまった。座長の土井洋平教授(藤田医科大学)は「シクレソニドは抗炎症効果と抗ウイルス作用をあわせもつ。幅広い年齢層に使われてきたので、安全に使えることが大きい」と期待感を示した[96]。
国立国際医療研究センターでも、肺炎のない比較的軽症のCOVID-19患者をシクレソニド7日間吸入群と非吸入群にランダムに割り付け8日目の肺炎発症割合を検討する、という形の特定臨床試験が行われている[97]。
同年12月23日、国立国際医療研究センターは、有効性を検証する臨床試験を行った結果、有効性が示されなかったと発表し、COVID-19に対する投与が推奨できないとしている[98]。
副作用
感染症患者の症状を増悪するおそれがある[99]。588例中45例 (7.7%) に副作用がみられ、血管浮腫等過敏症、発疹、そう痒、呼吸困難、味覚異常、AST (GOT) およびALT (GPT) の増加、尿中蛋白、動悸、気管支痙攣などが報告されている[99]。また、ウサギの動物実験で副腎皮質ステロイド剤に共通した催奇形作用が、ラットの動物実験で乳汁への移行が報告されている[99]。
日本産科婦人科学会では、4月7日時点で「本薬剤は喘息の妊婦にも有益性投与が認められています。しかしながら保険適用外である点に加えてまだ十分なエビデンスが無く、副作用の問題や高度の全身管理が必要であるため酸素投与が必要となった重症例には本人と家族に十分なInformed Consentのうえ呼吸器科や救命救急科医師の意見を求めたうえで投与を検討してください.」としている[100]。なお、2020年4月現在、COVID-19の各治療薬の添付文書では、妊娠中の安全性について、本剤オルベスコ、カレトラ、フォイバン、フサン、プラケニル、ストロメクトールは「有益性投与」で、アビガンは「禁忌(不可)」とされている[101]。
ウミフェノビル(抗インフルエンザ薬)
ウミフェノビル(Umifenovir、アルビドルまたはアルビドール; Arbidol、アビドル; Abidol)は中国とロシアで使用されている抗インフルエンザ薬である。
2020年2月4日、浙江大学教授李蘭娟の研究チームは、細胞実験で、ウミフェノビルとダルナビル(Darunavir)の2種類の薬剤がコロナウイルスを効果的に阻害するのに有効であると発表した[41]。この報道により米株先物取引が急伸した[102]。
- 李教授によれば、前臨床試験 (preliminary tests) の in vitro 細胞実験で、アビドル (Abidol) とダルナビル (Darunavir) の2種類の薬剤がこのウイルスを阻害するのに有効であることが分かった。
- 李教授は、新たに感染した患者の緊急治療を強化しようという望みをかけて、中国東部の浙江省から中国中央の湖北省に医療従事者を連れてきた。
- 李教授は、現在使用されている 抗HIV薬ロピナビル・リトナビル錠(商品名Kelizhi[103])(前述カレトラ配合錠に相当)はあまり大きな効果はなく、しかも副作用が複数あると述べた。
- 李教授は、2つの新薬を、コロナウイルスによる新型肺炎の国家衛生健康委員会の治療プログラムに含めることを推奨した。
- チームの別の研究者、陳作炳 (Chen Zuobing) は、2つの薬は医学的指導なしに服用すべきではない、と釘をさした。
- 浙江大学医学院附属第一医院の副理事長 (deputy president) でもある陳作炳は、この2つの薬は浙江省でこのウイルスに感染した患者たちの治療に使用されてきており、次の段階で、有効性で劣っているほかの薬に取って代わるだろうと述べた[41]。
なお中国語の阿比多尔をラテン文字表記した際の混乱があり、当初はインドで販売されている鎮痛薬の商品名Abidol[104]であるとする報道も見られたが、中国当局は阿比多尔が抗ウイルス薬であると主張していることから、正しくはウミフェノビルの商品名Arbidolであると考えられる[105]。
2020年2月18日、中国政府の専門家チームは、本ウイルスの診療ガイドラインを新たに発表し、抗インフルエンザ薬の「アルビドール」を治療薬として加えた[106]。
完治患者の血漿
中国の公式の「新型コロナウイルス肺炎診療方案」では、2020年2月18日の試行第6版から、病状の進行が比較的に早い重症 (severe) または重篤 (critically ill) な患者向けに、回復者血漿療法が追加された[107][108][109]。
2020年3月27日、中国・南方科技大学第二附属医院などのチームは、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) を併発した重症COVID-19患者5例に対して、COVID-19から回復した患者より採取した中和抗体を含む回復期血漿を投与して有効であったと報告した[110][111]。それによれば、COVID-19の回復例(ドナー)5例 (18 - 60歳) から、回復期血漿を採取し、採取当日中に各患者に投与した。投与のタイミングは入院後10 - 22日目であった。その結果、4例で投与後3日以内に体温が正常化した。投与後12日で全例のウイルス量が陰性化した。投与後12日目に4例でARDSが軽快した。投与後2週間以内に3例が人工呼吸器から離脱した。体外式膜型人工肺 (ECMO) 使用は1例で、投与後5日目に離脱した。
アメリカや日本でも臨床試験が開始されることになった[112][113]。
米国ガイドラインでは、現状では回復患者の血漿は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしている[35]。
漢方薬 (清肺排毒湯)
2020年1月27日、中国国家中医薬管理局は本疾患の予防と治療のための中医薬(漢方薬)の効果的処方を発見するための臨床研究を開始し[114]、山西省、河北省、黒竜江省、陝西省で漢方薬の清肺排毒湯(中国語 清肺排毒汤)での治療の臨床的観察とデータ分析を行った。臨床的に有効なデータ214件により、2月6日、国家衛生健康委員会と国家中医薬管理局は共同で全国に、清肺排毒湯の使用を勧告する文書を発行した。発表されている効果は以下のとおり。
2月19日の中国国家中医薬管理局の発表[115]によると、10省57指定医療機関で701例を投与して観察した結果、130例 (19%) が治癒して退院、51例 (7%) が症状が消失し、268例(38%)で症状が改善し、212例(30%)は症状が安定し悪化しなかったという[115]。
そのうち351症例が詳しく分析され、うち112人の患者の体温が37.3℃を超えていたところ、服薬1日後で51.8%、服薬6日後で94.6%の患者が平熱に戻り、また、咳症状214人のうち46.7%が服用して短期に改善した[114]。
また、だるさや吐き気、のどの痛みなどの症状にも顕著な治療効果が見られた。351例の中でひとりも、軽度の患者も普通の患者は重篤にはなっていないという[116]。
効果100%ではないものの約半数以上の改善がみられることから、中国国家衛生健康委員会と国家中医薬管理局は2月6日、清肺排毒湯の使用を推奨するむね中国全土に通達した[117]。
2月19日付、国民健康衛生委員会発行の「新型コロナウイルス肺炎の診断と治療(試行6版)」[118]とその解説[119][120][121]によれば、以下のとおり。
一般的な処方“清肺排毒湯”は臨床治療期間中に推奨される。軽度、一般的、重度、重大、および回復期間の臨床症状がえられた。推奨される処方と投与量、および投与方法は、3つの側面から説明されている。
2月21日の中国国務院の記者会見で、全国6万例以上の症例で西洋医学に漢方薬を併用して結果良好と以下のように発表された。
漢方薬の併用により、臨床症状が消えるまでが2日間短縮、平熱への解熱が1.7日間短縮、入院日数は2.2日間短縮、CT画像は22%改善され、臨床治癒率はが33%改善、重症化率は27.4%減少、リンパ球は70%増加したという[122]。
清肺排毒湯を処方された患者たちのインタビューが2月23日に記事になり国家中医薬管理局のサイトに掲載された[123]。
なお、日本では、漢方薬と中医薬を同じものだと認識しているが、中国当局は、漢方薬と中医薬は厳密には別の物であると認識しているため留意が必要である。
リン酸クロロキン・ヒドロキシクロロキン
2020年2月18日、中国政府の専門家チームは、抗マラリア薬の「リン酸クロロキン」と抗インフルエンザ薬の「アルビドール」を本疾患の治療薬候補として発表した[106]。このうちリン酸クロロキンは「特効薬ではないが検討に値する」「ウイルス検査で陰性になるのが早いほか、副作用も大きくない」という。北京市や広東省などの病院に入院する患者に対する臨床試験で症状の改善を確認した。15日の会議で臨床試験の対象拡大で一致した[124][125]。
ヒドロキシクロロキン(商品名 プラケニル)は全身性エリテマトーデス治療薬として承認されている。2020年5月にクロロキンまたはヒドロキシクロロキンを投与した患者において、院内死亡率の上昇おおよび心室性不整脈の発生率の上昇が認められたとする多国籍レジストリ解析の結果がLancet誌に報告されたが[126]、その後撤回された。英国での入院患者を対象としたRCTでは、ヒドロキシクロロキンは28日死亡率を低下させなかった[35]。
米国ガイドラインでは、クロロキンまたはヒドロキシクロロキンは、入院患者には使用しないことを推奨し、外来患者でも臨床試験でない限り使用しないことを推奨している(これはアジスロマイシンの併用を問わない)[35]。
アジスロマイシン
抗生物質のアジスロマイシン(商品名 ジスロマックまたはアジスロシン)はヒドロキシクロロキンと併用すると上気道からのウイルス消失効果がより高い可能性があるという研究が3月20日にフランスの大学病院研究所 (I.H.U.) [127]地中海感染症院などの研究チームから発表された[128][129]。
SARS-CoV-2は細胞内のウイルスRNA認識受容体MDA5/RIG-Iを阻害してI型インターフェロン生産を抑制することなどにより免疫応答を逃れる可能性がある[130]。アジスロマイシンはin vitroにおいてウイルス誘発性インターフェロン産出を促すことにより抗ウイルス作用を発揮し、ライノウイルスに対して効果のあることが見つかっていた[131][132]。
カモスタットおよびナファモスタット (セリンプロテアーゼ阻害剤)
ドイツの研究によればセリンプロテアーゼ阻害剤のカモスタットはin vitroにおいてSARS-CoV-2が細胞へと侵入する際に使われる宿主側酵素のTMPRSS2プロテアーゼを阻害するため、新型コロナウイルスに効果のある可能性がある[133][134]。SARSコロナウイルスでは動物実験においてカモスタット単独投与の効果が確認されており[135]、その用量をヒトに当てはめると日本で既に承認されている量でも効果のある可能性がある[136]。東京大学大学院医学系研究科は新型コロナウイルス感染症患者に対するカモスタット投与の臨床研究を計画している[137]。
また中国の研究によればセリンプロテアーゼ阻害剤のナファモスタットはVero E6細胞においてSARS-CoV-2の感染を防いだものの、その50%効果濃度 (EC50値) は高めの22.50μMとなっている[138]。東京大学医科学研究所は新型コロナウイルス患者に対しナファモスタットの試験投与を行う予定となっている[139]。同研究所の研究成果として、SARS-CoV-2 Sタンパク質による膜融合において、ナファモスタットはカモスタットのおよそ10分の1の濃度で阻害効果を示すことが発表された[140]。
日本ではカモスタットは慢性膵炎や術後逆流性食道炎に、ナファモスタットは膵炎や播種性血管内凝固症候群などに対して保険適用されている[141][142]。
カモスタットおよびナファモスタットの副作用として、ショック、アナフィラキシー様症状などのアレルギー、過敏症、高カリウム血症、低ナトリウム血症、血小板や白血球減少、肝機能障害、黄疸などが報告されている[143][144]。
トシリズマブ (抗IL-6抗体;リウマチ・膠原病・血管炎治療薬)
トシリズマブ(Tocilizumab (英語版))(中外製薬のアクテムラ[145])(ロシュのActemra/RoActemra)は、強力なIL-6阻害薬である。
2020年3月4日、中華人民共和国国家衛生健康委員会はトシリズマブのCOVID-19患者に対する投与を認可し[146]、医療規定の標準治療に組み込んだ[147]。
3月5日、中国科学技術大学附属第一医院(安徽省立医院)と安徽富陽第二人民病院のチームは、2020年2月5日から2月14日のあいだ、COVID-19重症患者20例に、通常の治療に加えてトシリズマブを投与して分析した結果を、未査読論文サイトに発表した[148]。それによれば、その結果、20人の患者のうち15人 (75.0%) は摂取酸素量が減り、1人の患者は酸素療法も不要となった。CTスキャンにより、19人の患者 (90.5%) で肺の病変の濁りは消えた。目立った副作用はなかった。19人の患者 (90.5%) はトシリズマブによる治療後平均13.5日で退院し、残りも良好に回復中と述べられている。
また、イタリアでも、COVID-19重症患者2人に対しトシリズマブの投与が行われ、これにより24時間で症状が改善した[149]。この投与は在コッリ病院会社及びIRCCS財団国立がん研究所の協力によってコトゥーニョ病院の患者に対し行われた[149]。
3月24日、ロシュは、重症COVID-19での入院患者330例を対象に、Actemra/RoActemraの第III相臨床試験を実施すると発表した[150]。
4月8日、中外製薬はCOVID-19を対象としたアクテムラの第3相臨床試験の実施に向け、治験届を提出した[151]。
4月9日、中国科学技術大学附属第一医院らのチームは、IL-6受容体を標的とした薬剤トシリズマブによる治療したCOVID-19重症患者2名の末梢血単核細胞を分析した結果、過剰に活性化された炎症性免疫応答は減弱していた一方、抗ウイルス免疫応答は保たれたことを未査読論文サイトに報告した[152]。
4月15日のMedical Tribuneの記事によれば、COVID-19の主な死因に免疫システムの暴走、すなわち「サイトカインストーム」で肺の細胞が壊れるARDS(急性呼吸窮迫症候群)がある。ARDSの予後不良例でIL-6, IL-8などの炎症性バイオマーカーの値が高いことがある。トシリズマブはIL-6の働きを阻害し、炎症反応を抑えるため期待されているという[153]。
サリルマブ(関節リウマチ薬)
関節リウマチ薬のヒト型抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体である、サリルマブ(Sarilmab(英語版))(サノフィのケブザラ[154])がある。これも、トシリズマブと同様、免疫システムの暴走を抑えてCOVID-19重症患者の治療に有効ではないかと期待されている[153]。
4月2日、サノフィは、重症COVID-19患者を対象としたケブザラ(サリルマブ)の臨床試験の一環として、米国外で第1例の患者に投与したことを発表した[155]。本試験は、イタリア・スペイン・ドイツ・フランス・カナダ・ロシアおよび米国で実施している。
米国FDAは、重度の疾患もしくは入院に進行するリスクである患者に対して、モノクローナル抗体の緊急使用許可を出している[35]。これは臨床試験であるため、米国ガイドラインは実験参加に対して患者と話し合うことを奨励している[35]。ガイドラインでは、現状では有効性について決定的な結論を出すことは困難であると述べている[35]。
ルキソリチニブ(JAK阻害薬;血液疾患治療薬)
ルキソリチニブ(商品名 ジャカビ)はJAK阻害薬であり、真性多血症などの治療薬である。サイトカインストームを伴うCOVID-19患者におけるジャカビを評価するため臨床試験が計画されている[156]。
カリウムおよびナトリウム補充療法
審査前論文ではあるものの中国温州の病院の報告によれば、多くのCOVID-19患者が尿からのカリウムイオン (K+) 排出によって軽度〜重度の低カリウム血症を起こしており、カリウム補充療法は回復傾向の患者で良い反応を示したとされる[157]。
また日本感染症学会に報告された症例において低ナトリウム血症が報告されており、その場合に電解質輸液剤による補液が行われている[158]。
なおSARSにおいても低カリウム血症および低ナトリウム血症が報告されていた[159]。
酸水素混合吸入
酸水素混合吸入は中国においてCOVID-19の治療に使われている[160][161]。
2020年2月5日、上海潓美医療科技の酸水素吸入器 (水素66.66%/酸素33.33%) が武漢中央病院、武漢大学中南医院などの病院へと届けられ、使用されるようになった[160]。この酸水素吸入器は慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、喘息、気管支拡張症、気道狭窄などに向けて開発されていた[160]。
2月17日、中国非公立医療機構協会 (CNMIA) がこの酸水素吸入器を推奨し[160][162]、3月3日、中華人民共和国国家衛生健康委員会 (NHC) はガイドライン第七版で酸水素吸入器を標準治療に組み込んだ[147][161]。ただし二重盲検比較試験は行われておらず論争も起きている[160][161]。
高気圧酸素治療 (HBO)
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一部の病院において高気圧酸素治療 (HBO) がCOVID-19の治療に使われており成果を上げているとされるものの、大規模な臨床試験は2020年8月時点でまだ行われていない[163][164]。
ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬
新型コロナウイルス感染症の患者の血漿では著しく高いレベルのアンジオテンシンIIが確認されており[165]、それによる障害を防ぐためにアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) を使うことがインドマハラシュトラ保健大学の Mrudula Phadke 教授から提案された[165][166](#宿主細胞受容体も参照)。ARBにはテルミサルタン、ロサルタンなどがある[166]。
欧州製薬団体連合会 (EFPIA) は、降圧剤であるアンジオテンシンII生成を阻害するアンジオテンシン変換酵素阻害薬 (ACE阻害剤) の効果の検証を含む治療法の特定を、会員企業に求めている[167]。
ACEI又はARBの静脈内投与がACE2受容体の発現を増やし重症化リスクを高める可能性があるとする仮説も存在する[168]が、中国におけるCOVID-19患者のメタアナリシスの審査前論文によれば65歳以上の高血圧患者におけるARBの服用者は重症化リスクが有意に低かったとされる[169]。
米国ガイドラインでは臨床試験ではない限り、ACE阻害薬およびアンジオテンシン受容体拮抗薬を使用しないよう勧告している[35]。
リコンビナントACE2
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ヒト組み換え可溶性ACE2 (hrsACE2) はin vitroにおいてSARS-CoV-2の細胞への感染を阻害することが見つかっている[170][171]。SARSでの研究ではマウスでの動物実験においてアンジオテンシンIIの分解を行うリコンビナント(組み換え)ACE2の投与がSARSの重症化を防ぐことが見つかっている[172]。
ヒト組み換え可溶性ACE2にはApeiron Biologics製の「APN01」が存在し[170]、既に第II相臨床試験を開始している[173]。また、日本の医薬基盤・健康・栄養研究所は量産可能なバクテリア由来のACE2様酵素「B38-CAP」を発見し、それが新型コロナウイルス患者の重症化抑制に使える可能性のあることを発表した[174][175]。
ヒト組み換え可溶性ACE2を投与したCOVID-19患者の初期の臨床観察では各種バイオマーカーの改善と血漿ウイルス量の減少が確認されている[176][177]。
メプラズマブ(抗 CD147 抗体)
ACE2以外のウイルス受容体として CD147 が関与している可能性が示唆されている。抗 CD147 抗体であるメプラズマブによりウイルス陰性化までの期間が短縮されたと報告された(2020年3月26日現在、査読前論文であるため解釈に注意が必要)[178]。
BCGワクチン


ハーバード大学医学大学院国際保健リサーチコア教授メガン・マリーは3月13日、BCGワクチンの再接種によって上気道感染症が減った報告や、trained immunity(訓練免疫状態)[注 1]によるオフターゲット効果の可能性にも触れ、BCGワクチンのCOVID-19への効果の研究価値があると述べた[180][181]。BCG接種状況[182][183]と世界の COVID-19 感染率の類似が指摘されている[184][185]。
オランダの研究チームは医療従事者にBCGワクチン接種を行う者1,000人を募集したと『サイエンス』誌が3月23日に掲載した[186]。このグループはBCGが血液のエピジェネティックを変化させるという仮説を人間で確かめることを目的としている[179]。
マウントサイナイ医科大学助教授アニー・スパローは、2016年のWHOのシステマティック・レビューでもBCGワクチンのオフターゲット効果[注 2]の有効性が報告されているとし[187]、BCGワクチンが医療従事者を救う可能性については研究する価値があると3月24日に述べた[181][188]。
マードック・チルドレンズ研究所はBCGワクチンが免疫力を高め、SARS-CoV-2にも効果のある可能性があるとして臨床試験することを発表したと3月27日に報じられた[189]。
大阪大学名誉教授(免疫動態学)の宮坂昌之は、免疫学の世界ではこのワクチンが高齢者の細菌性肺炎に予防的効果があると指摘されているとし、BCGが自然免疫や獲得免疫を刺激して、ウイルス感染による重症化を防いでいるとも考えられると解説した[190]。また、同氏はBCGワクチンを接種している国とそうでない国では統計的に死亡率が異なっているとし、特に、日本株とソ連株の効果が強く、デンマーク株では効果が薄いように見えると述べた[190]。
イスラエルのテルアビブ大学での研究によれば、イスラエルではBCGワクチン(株不明)接種中止前と後の3年間においてBCGワクチン接種世代と不接種世代で新型コロナウイルスの感染率に差は存在しなかった[191]。
北山忍米ミシガン大学教授らの研究グループは、BCGワクチンの接種を義務付けていた国々は、義務付けていない国々と比べて、感染者数、死者数ともに増加率が有意に低いことを報告した[192]。
副反応と注意喚起
BCGワクチン接種での副反応も報告されており、重篤例としてリンパ節炎や骨髄炎などの播種性BCG感染症の発症や、重症複合型免疫不全症 (SCID) や慢性肉芽腫症などの先天性免疫不全症(原発性免疫不全症候群)では重症化することが多い[193]。またアナフィラキシーや皮膚結核様病変も報告されている[194]。
4月3日、日本ワクチン学会は「『新型コロナウイルスによる感染症に対してBCGワクチンが有効ではないか』という仮説は、いまだその真偽が科学的に確認されたものではなく、現時点では否定も肯定も、もちろん推奨もされない。」「定期接種としての乳児へのBCGワクチンの安定供給が影響を受ける事態は避けなければならない。」などの見解を示した[195]。
日本小児科学会も同日にBCGは新生児や乳児を対象に接種が行われており、成人を対象とした知見は十分ではない、また、結核菌の既罹患者やBCG菌に対する免疫を有する者に接種した場合、強い接種局所反応などの副反応が出現する可能性もあると発表した[196]。
厚生労働省も「BCGワクチンは、乳児の定期接種のために製造されており、メーカーが出荷できる量は出生数と同程度で、余剰はありません。」と発信した[197]。
4月10日、BCGを扱っていない日本の医療機関において、BCGワクチンを新型コロナウイルス感染症の予防のために接種を希望した成人に、誤って全量注射し、発熱やじんましん、血尿などの健康被害が出ていたことが報告された[198]。BCGは腕に塗ったBCG溶液のうち微量だけ体内に入れる方式で、説明文書には「絶対に注射してはならない」と記載されている[198]。
経皮接種用の濃厚なワクチンであり、もし皮内等に注射すると強い局所反応を呈するので、絶対に注射してはならない。 — 日本ビーシージー製造株式会社 乾燥BCGワクチン添付文書
VPM1002(BCGワクチンベースのワクチン)
マックス・プランク研究所は3月21日、BCGワクチンをベースにしたワクチン候補である VPM1002 が、SARS-CoV-2 の感染に対して有効かどうかドイツの病院で高齢者と医療従事者を対象に第III相試験に入ることを発表した[199]。VPM1002は、ステファン・H・E・カウフマンのグループが結核ワクチンとして開発したもので、従来の標準的なBCGワクチンよりも安全で、結核や癌に効果があるとされる[199]。このワクチンは現在インドで第III相の治験がされており、2020年半ばに完了予定で、SARS-CoV-2に特化したワクチンが開発されるまでの間の利用が期待されている[199]。Vakzine Project Management (VPM) と世界最大級のワクチンメーカーであるインド血清研究所 (Serum Institute of India) と共同で開発する[199]。
イベルメクチン(駆虫薬)
2020年4月4日、オーストラリア南東部メルボルンのモナッシュ大学の研究チームは、イベルメクチン (Ivermectin)(MSD社、マルホ社のストロメクトール)が、実験の結果、本ウイルスの抑制に効果があったと発表した。1回量のイベルメクチンで本ウイルスの複製を48時間以内に止めることができた。今後臨床試験を行い、できるだけ早くCOVID-19の治療薬に応用したいとしている[200][201]。
2020年4月19日、ユタ大学の研究チームは、169病院においてイベルメクチンを用いずに治療した704人の死亡率が8.5%(人工呼吸器を使用した重症者に限れば21.3%)であるのに対し、イベルメクチンを投与した704人の死亡率が1.4%(重症者に限れば7.3%)と低いことを発表した[202][203][204]。しかしその後、発表の信頼性に疑義が生じ、投稿中であった論文も撤回された[205]。
- Leon Caly, Julian D. Druce, Mike G. Catton, David A. Jans, Kylie M. Wagstaff: "The FDA-approved drug ivermectin inhibits the replication of SARS-CoV-2 invitro", Antiviral Research 178 (2020) 104787.
イベルメクチンは、数々の業績をあげて2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞した化学者で北里大学特別栄誉教授の大村 智により開発された[206]。
米国ガイドラインでは、イベルメクチン投与は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしている[35]。
リファンピシン(抗生物質)
2020年4月14日に、インドのガウタム ブッダ大学のチームが、未査読論文サイトに発表したところによれば、彼らは SARS-CoV-2 のメインプロテアーゼ (Mpro) を標的に、FDAの承認市販薬化合物からヒトの抗ウイルスおよび抗菌特性を備えたものを文献調査で12種選び、それらをコンピュータシミュレーションで仮想スクリーニングにかけて候補を探した。その結果最も有望な薬剤として出てきたのは、結核の治療で定評のある、抗生物質のリファンピシン(第一三共のリファジン[207])(Rifampicin(英語版))であった。そしてリファンピシンがCOVID-19の治療に使えるかもしれないと提案した[93]。
カテキン
緑茶を飲用する習慣のある地域とそうではない地域では新型コロナウイルスの感染率に有意な差がある事が判明しており、緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)がウイルス表面の突起と結合することにより感染力を弱める効果があると報告されている[208][209][210]。
タンニン
柿渋に含まれるタンニンにはコロナウイルスを不活性化する効果がある事が判明し、経口感染の予防効果が期待される[211][212]。
ビタミンC
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重症患者における高濃度ビタミンC点滴が武漢大学中南医院で第II相臨床試験中となっている[213]。米国ガイドラインでは、現状ではビタミンC投与は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしている[35]。
ビタミンD
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ビタミンDにも効能がある可能性が複数報告されているが[214][215][216]、英国NICEは臨床治験ではない限り、COVIDの予防または治療を目的としてビタミンDサプリメントを処方することのないよう勧告している[217]。米国ガイドラインでは、現状ではビタミンD投与は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしている[35]。
ニコチン
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喫煙者と非喫煙者の間には重症化する割合に有意な差が認められニコチンに効能がある可能性があるとの複数の報告がある[218][219]。
ラクトフェリン
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ラクトフェリンにも効能がある可能性が複数報告されている[220][221][222]。
TMC-310911
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TMC-310911にも効果がある可能性があるとの複数の報告がある[223][224]。
亜鉛
COVID-19患者に対する亜鉛の静脈内投与がオーストラリアのメルボルンにあるオースティン病院で臨床試験されている[225][226]ものの、エビデンスはまだ無く、安全かも分かっていない[225]。
亜鉛イオンには抗ウイルス作用があり、この作用はウイルスのポリタンパク質プロセシングを阻害することなどによるものとされている[227]。
米国ガイドラインでは、現状では亜鉛投与は、推奨または反対するためのデータが不十分であるとしており[35]、臨床試験でない限り食事摂取基準を超える亜鉛を取ることのないよう推奨している[35]。
人工サーファクタント
イスラエル工科大学は新生児呼吸窮迫症候群 (RDS) のために開発されたサーファクタント補充療法を改良し、そのSARS-CoV-2に対する治験を計画している[228][229]。
埼玉県立循環器・呼吸器病センターによれば、COVID-19が感染するために使用するACE2は肺において主にII型肺胞上皮細胞で発現しているため、SARS-CoV-2ではその細胞への感染によって肺サーファクタントの産生が阻害されて肺胞体積低下に陥ると推察している[230]。
コルヒチン
2021年1月22日、カナダ・モントリオール心臓研究所(MHI)は、痛風治療薬コルヒチンが、新型コロナウイルス感染症治療に効果的で、合併症のリスクを減少させることが、PCR検査で陽性だった患者のうち4159人に投与した大規模臨床試験(治験)で明らかになったと発表した[231]。MHIは、コルヒチンが「在宅療養中のコロナ患者の治療に使用できる世界初の経口薬」と説明し、治験の結果は重要な科学的発見で、サイトカインストームと呼ばれる危険な炎症性症候群の発生を防ぎ、合併症の発症率を下げる効果がある、としている[231]。
注釈
- ^ 西川伸一訳による[179]
- ^ 「分子標的薬などで本来の標的(on-target)とは異なる別の分子(off-target)を阻害,あるいは活性化してしまう効果」off-target効果実験医学online.
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関連項目
- 2019新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)
- 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)
- 新型コロナウイルス感染症の世界的流行
- COVID-19に対する薬剤研究