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「マジックマッシュルーム」の版間の差分

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{{Otheruses|シロシビンを含むキノコ|その他の幻覚性キノコ|ベニテングタケ}}
{{Otheruses|シロシビンを含むキノコ|その他の幻覚性キノコ|ベニテングタケ}}
[[Image:Psilocybe.mexicana.jpg|thumb|マジックマッシュルーム(シロシベ・メキシカーナ)メキシコ、ハリスコ州]]
[[Image:Psilocybe.mexicana.jpg|thumb|マジックマッシュルーム(シロシベ・メキシカーナ)メキシコ、ハリスコ州]]
'''マジックマッシュルーム'''(Magic mushroom<ref group="注">ほかに Psychedelic mushroom, Psilocybe mushroom, Psilocybin mushroom</ref>)は、[[幻覚剤]]である[[トリプタミン]]系の[[アルカロイド]]の[[シロシビン]]や[[シロシン]]を含んだ、[[菌類]]の[[キノコ]]。200以上の種が存在し、世界中の様々な場所で自生している。毒キノコだが、その毒は主に幻覚作用であり重症や死亡はまずない<ref name="臨床中毒学"/>。日本では『[[今昔物語集|今昔物語]]』にて古代の呼び方で'''舞茸'''(今でいう[[マイタケ]]とは違う)とされており、後世にも'''笑茸'''(わらいたけ)、踊茸などと言及されてきた。多くが20世紀に菌類として同定され、大半は[[シビレタケ属]] ''Psilocybe'' や糞を好む[[ヒカゲタケ]] ''Panaeolus'' に属し<ref name="人間"/>、広範囲に自生しており、具体的な種としては[[ワライタケ]]、[[オオワライタケ]]、{{仮リンク|ミナミシビレタケ|en|Psilocybe cubensis}} (Psilocybe cubensis)、{{仮リンク|リバティーキャップ|en|Psilocybe Semilanceata}} Psilocybe Semilanceata など。
'''マジックマッシュルーム'''(Magic mushroom<ref group="注">ほかに Psychedelic mushroom, Psilocybe mushroom, Psilocybin mushroom</ref>)は、[[幻覚剤]]である[[トリプタミン]]系の[[アルカロイド]]の[[シロシビン]]や[[シロシン]]を含んだ、[[菌類]]の[[キノコ]]。200以上の種が存在し、世界中の様々な場所で自生している。毒キノコだが、主に幻覚作用であり重症や死亡はまずない<ref name="臨床中毒学"/>。日本では『[[今昔物語集|今昔物語]]』にて古代の呼び方で'''舞茸'''(今でいう[[マイタケ]]とは違う)とされており、後世にも'''笑茸'''(わらいたけ)、踊茸などと言及されてきた。多くが20世紀に菌類として同定され、大半は[[シビレタケ属]] ''Psilocybe'' や糞を好む[[ヒカゲタケ]] ''Panaeolus'' に属し<ref name="人間"/>、広範囲に自生しており、具体的な種としては[[ワライタケ]]、[[オオワライタケ]]、{{仮リンク|ミナミシビレタケ|en|Psilocybe cubensis}} (''Psilocybe cubensis'')、{{仮リンク|リバティーキャップ|en|Psilocybe Semilanceata}} (''Psilocybe Semilanceata'') など。


中世の南米のアステカ帝国では'''テオナナカトル'''と呼び、神聖なるキノコとして扱ったが、そうした扱いは原住民の間に現代まで続いている。日本では1917年に菌類分類学者の[[川村清一 (菌類分類学者)|川村清一]]が中毒症状を起こすワライタケを確認した。欧米では1950年代になると、アメリカの菌類研究者の[[ロバート・ゴードン・ワッソン]]らの実地調査によって西洋においてキノコの存在が明らかにされ、マジックマッシュルームの名称が広まった。1959年ごろ[[アルバート・ホフマン (化学者)|アルバート・ホフマン]]が幻覚成分を特定し、成分に[[シロシビン]]とシロシンと名をつけた。栽培されるなどして[[LSD (薬物)|LSD]]などと共に「[[サイケ]]」の原動力となった。
中世の南米のアステカ帝国では'''テオナナカトル'''と呼び、神聖なるキノコとして扱ったが、そうした扱いは原住民の間に現代まで続いている。日本では1917年に菌類分類学者の[[川村清一 (菌類分類学者)|川村清一]]が中毒症状を起こすワライタケを確認した。欧米では1950年代になると、アメリカの菌類研究者の[[ロバート・ゴードン・ワッソン]]らの実地調査によって西洋においてキノコの存在が明らかにされ、マジックマッシュルームの名称が広まった。1959年ごろ[[アルバート・ホフマン (化学者)|アルバート・ホフマン]]が幻覚成分を特定し、成分に[[シロシビン]]とシロシンと名をつけた。栽培されるなどして[[LSD (薬物)|LSD]]などと共に「[[サイケ]]」の原動力となった。


乱用され、1971年の[[向精神薬に関する条約]]はシロシビン単体を規制したが、その第32条4項は含有成分の自生国における少数集団による伝統的な使用を除外している。欧州でも合法であったり、抜け道があったり規制は様々である<ref name="Eight"/>。日本では、2002年よりシロシビンを含有するキノコは故意に使用・所持することは規制されているため、もっぱら鑑賞用となる。その菌糸はシロシビンを含まないため規制されていない。2010年代に入り、その成分シロシビンはうつ病や薬物依存症の治療薬として注目されている。
乱用され、1971年の[[向精神薬に関する条約]]はシロシビン単体を規制したが、その第32条4項は含有成分の自生国における少数集団による伝統的な使用を除外している。欧州でも合法であったり、抜け道があったり規制は様々である<ref name="Eight"/>。日本では、2002年よりシロシビンを含有するキノコは故意に使用・所持することは規制されているため、もっぱら鑑賞用となる。菌糸はシロシビンを含まないため規制されていない。2010年代に入り、成分シロシビンはうつ病や薬物依存症の治療薬として注目されている。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
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|1=2011-08-31 Panaeolus papilionaceus (Bull.) Quél 183735.jpg
|1=2011-08-31 Panaeolus papilionaceus (Bull.) Quél 183735.jpg
|2=[[ワライタケ]] ''Panaeolus papilionaceus''。日本では川村清一が1917年の石川県における中毒例から最初に確認。
|2=[[ワライタケ]] ''Panaeolus papilionaceus''。日本では川村清一が1917年の石川県における中毒例から最初に確認。
|3=Gymnopilus spectabilis 42904.jpg
|3=Gymnopilus junonius オオワライタケ 大笑茸 A030422.JPG
|4=[[オオワライタケ]] ''Gymnopilus junonius''。それからほどなく1922年、群馬の中毒例から川村が確認。
|4=[[オオワライタケ]] ''Gymnopilus junonius''(丹後半島)。それからほどなく1922年、群馬の中毒例から川村が確認。
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日本では、『[[今昔物語集|今昔物語]]』([[平安]]時代末期、12世紀に成立)の28巻28話は「女たちが山に入りて舞茸を食う話」(尼共入山食茸舞語)であり、山で道に迷った女の人たちはお腹が減り、見つけたキノコを酔いはしないだろうかと<ref group="注">原文: 酔ひやせむずらむ</ref>食べたところ、踊りたくてしょうがなくなったという逸話があるが、この物語を収載しようとした当時に知られた[[マイタケ|舞茸]]でそんなことは起こらないと記している。この物語は、近年の菌類学にて幻覚性のキノコだとして言及されている。


後にも笑茸などの逸話として伝えられている。[[元文]](1736年から1741年)には、佐渡(現・新潟県)羽田町の金助という者がある年の秋も更けて、山へいった帰り道に太きなキノコをとって帰り、鍋に豆腐などと煮て食べると、家族8人は大いに笑い狂い、心配した親族が医者を呼び、医者が鍋のキノコを見て笑茸を食べたことを伝えると親族は安心し、その後中毒した家族は狂い倒れて熟睡し翌日には平静に戻ったという話が伝えられる<ref>{{Cite book|和書|author=田中従太郎|title=佐渡奇談 |url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/767896/18 |publisher=斎藤長三 |date=1894|page=14-15}}</ref>。江戸時代の町奉行の手記『[[耳嚢]]』(みみぶくろ)には以下の記載がある。(現・東京)[[小石川]]の大前孫兵衛の仲間が笑い出して止まらなくなり、[[山伏]]を呼んで祈祷したが止まらず、[[カエデ|楓]]の下に生えたキノコを食べたとわかり笑茸だと判明したとか、伊豆に島流しされた者の手記では、シメジのようなものをとって食べていると島の住民が毒キノコだと言い、酒に酔ったようになり屋根、木の上など高いところへ登りたくなることから登茸(のぼりたけ)と呼ばれているものであった<ref>{{Cite book|和書|author=本山荻舟|title=飲食系図|url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1065557/131|publisher=関書院|date=1948 |page=244-246}}</ref>。他の書にも笑茸や踊茸の記載があるが、肝心のどういった形状かいった情報が欠けているため、菌類分類学者の[[川村清一 (菌類分類学者)|川村清一]]は、具体的に知りたいと切望しており中毒例が出るのを待っていた。
日本では、『[[今昔物語集|今昔物語]]』([[平安]]時代末期、12世紀に成立)の28巻28話は「女たちが山に入りて舞茸を食う話」(尼共入山食茸舞語)であり、山で道に迷った女の人たちはお腹が減り、見つけたキノコを酔いはしないだろうかと<ref group="注">原文: 酔ひやせむずらむ</ref>食べたところ、踊りたくてしょうがなくなったという逸話があるが、当時[[マイタケ|舞茸]]でそんなことは起こらないと記している。この物語は、近年の菌類学にて幻覚性のキノコだとして言及されている。


1917年(大正6年)の石川県における玉田十太郎とその妻が、[[クリ|栗]]の木の下で採取したキノコを汁に入れて食べたところ、妻が裸で踊るやら、三味線を弾きだしたやらということであり、川村清一が[[ワライタケ]] ''Panaeolus papilionaceus'' だと同定した。その3年前の『[[サイエンス]]』にはアメリカ、メイン州における男女の中毒例の記載があり、ピアノを弾いたり飛んだり跳ねたりおかしくてたまらず、部屋の花束が自分を巻いているようだというような幻覚が起きたという。それからほどなく、1922年(大正11年)群馬にて[[カシ|樫]]の切り株に生えたキノコを食べた青年が、昨年も中毒したのに気にも留めず、今年も同じ場所に生えたキノコを食べ中毒したという事例から川村が[[オオワライタケ]] ''Gymnopilus junonius'' だと確認し、欧米では中毒症状は知られていないと記した。<ref name="食毒菌">[[川村清一 (菌類分類学者)|川村清一]]『食菌と毒菌』岩波文庫、1931年。100-105、170-172頁。</ref> 1920年には、化学的に薬剤として精製し、憂うつ者を快活するだろうと述べた川村の書を読んだ者が、そのようなキノコは伝説の話かと思っていたが、早くその薬を作り、笑ったことのないような今の官僚どもに服用させてみたいと記した<ref>{{Cite book|和書|author=宮武外骨|title=裸に虱なし |url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/907238/71 |publisher=文武堂書房 |date=1920年|page=118-119}}</ref>。1932年には[[今井三子]]が札幌にて発見したキノコをシビレタケと命名<ref name="naid120005905658">{{Cite journal |和書|author=今井三子 |authorlink=今井三子 |date=1932-07-10 |title=一新毒菌シビレタケに就きて |url= http://hdl.handle.net/2115/64011|journal=札幌博物学会会報 |volume=12 |issue=2 |pages=148-151 |naid=120005905658}}</ref>。
後にも笑茸などの逸話として伝えられている。[[元文]](1736年から1741年)には、佐渡(現・新潟県)羽田町の金助という者がある年の秋も更けて、山へいった帰り道に太きなキノコをとって帰り、鍋に豆腐などと煮て食べると、家族8人は大いに笑い狂い、心配した親族が医者を呼び、医者が鍋のキノコを見て笑茸を食べたことを伝えると親族は安心し、その後中毒した家族は狂い倒れて熟睡し翌日には平静に戻ったという話が伝えられる<ref>{{Cite book|和書|author=田中従太郎|title=佐渡奇談 |url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/767896/18 |publisher=斎藤長三 |date=1894|page=14-15}}</ref>。江戸時代の町奉行の手記『[[耳嚢]]』(みみぶくろ)には以下の記載がある。(現・東京)[[小石川]]の大前孫兵衛の仲間が笑い出して止まらなくなり、[[山伏]]を呼んで祈祷したが止まらず、[[カエデ|楓]]の下に生えたキノコを食べたとわかり笑茸だと判明したとか、伊豆に島流しされた者の手記では、シメジのようなものをとって食べていると島の住民が毒キノコだと言い、酒に酔ったようになり屋根、木の上など高いところへ登りたくなることから登茸(のぼりたけ)と呼ばれているものであった<ref>{{Cite book|和書|author=本山荻舟|title=飲食系図|url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1065557/131|publisher=関書院|date=1948 |page=244-246}}</ref>。他の書にも笑茸や踊茸の記載があるが、肝心のどういった形状かいった情報が欠けているため、菌類分類学者の[[川村清一 (菌類分類学者)|川村清一]]は、具体的に知りたいと切望しており中毒例が出るのを待っていた。

1917年(大正6年)の石川県における玉田十太郎とその妻が、[[クリ|栗]]の木の下で採取したキノコを汁に入れて食べたところ、妻が裸で踊るやら、三味線を弾きだしたやらということであり、川村清一がワライタケ ''Panaeolus papilionaceus'' だと同定した。その3年前の『[[サイエンス]]』にはアメリカ、メイン州における男女の中毒例の記載があり、ピアノを弾いたり飛んだり跳ねたりおかしくてたまらず、部屋の花束が自分を巻いているようだというような幻覚が起きたという。それからほどなく、1922年(大正11年)群馬にて[[カシ|樫]]の切り株に生えたキノコを食べた青年が、昨年も中毒したのに気にも留めず、今年も同じ場所に生えたキノコを食べ中毒したという事例から川村がオオワライタケ ''Gymnopilus junonius'' だと確認し、欧米では中毒症状は知られていないと記した。<ref name="食毒菌">[[川村清一 (菌類分類学者)|川村清一]]『食菌と毒菌』岩波文庫、1931年。100-105、170-172頁。</ref> 1920年には、化学的に薬剤として精製し、憂うつ者を快活するだろうと述べた川村の書を読んだ者が、そのようなキノコは伝説の話かと思っていたが、早くその薬を作り、笑ったことのないような今の官僚どもに服用させてみたいと記した<ref>{{Cite book|和書|author=宮武外骨|title=裸に虱なし |url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/907238/71 |publisher=文武堂書房 |date=1920年|page=118-119}}</ref>。1932年には[[今井三子]]が札幌にて発見したキノコをシビレタケと命名<ref name="naid120005905658">{{Cite journal |和書|author=今井三子 |authorlink=今井三子 |date=1932-07-10 |title=一新毒菌シビレタケに就きて |url= http://hdl.handle.net/2115/64011|journal=札幌博物学会会報 |volume=12 |issue=2 |pages=148-151 |naid=120005905658}}</ref>。


===近代における発見===
===近代における発見===
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フランスの国立歴史博物館所長の菌学者[[ロジェ・エイム]]はワッソンに同行し、キノコを {{仮リンク|Psilocybe mexicana|en|Psilocybe mexicana|label=''Psilocybe mexicana Heim''}}と命名した{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=136}}。研究室で栽培し、人工栽培に適していることが確認された{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=136}}。フランスとアメリカの製薬会社がその成分の抽出に興味を示したが成果はなかった{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=137}}。
フランスの国立歴史博物館所長の菌学者[[ロジェ・エイム]]はワッソンに同行し、キノコを {{仮リンク|Psilocybe mexicana|en|Psilocybe mexicana|label=''Psilocybe mexicana Heim''}}と命名した{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=136}}。研究室で栽培し、人工栽培に適していることが確認された{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=136}}。フランスとアメリカの製薬会社がその成分の抽出に興味を示したが成果はなかった{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=137}}。


[[LSD (薬物)|LSD]]を合成、発見したスイスのサンド社の化学者[[アルバート・ホフマン (化学者)|アルバート・ホフマン]]は、幻覚を生じさせるサボテン以外にそうした植物は知らなかったため、1956年にワッソンに関する新聞記事を読んで興味を持っていたが、そこには詳細までは書かれていなかった{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=123}}。翌年、ロジェ・エイムが、パリのサンド社を介してメキシコのキノコの化学的研究を行ってくれないかと問い合わせ、ホフマンが研究を開始することとなる{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=124}}。しかし成果はなく、パリで栽培したため成分がなくなっていないかを確認するためにホフマンは自らをモルモットにし、メキシコ風の色彩が見え、助手の医師がアステカの司祭に変化しており、次第に抽象的な像が揺れ動く内面的なトリップへと変わった{{sfn|A・ホッフマン|1984|pp=139-140}}。このようにして有効成分がまだ存在することが確認され、難航し、モルモット役をかって出てくれた多くの同僚の手も借り、ついに最新の分留法によって成分を純粋な状態に精製し、2種類の分子構造を[[シロシビン]]とシロシンと名付けた{{sfn|A・ホッフマン|1984|pp=140-141}}。その化学構造は[[LSD (薬物)|LSD]]に類似していた{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=142}}。(またアステカの[[タービナ・コリボサ|オロリウキ]]から[[リゼルグ酸アミド]]を抽出しLSDと近いものであった{{sfn|A・ホッフマン|1984|pp=153, 157}}
[[LSD (薬物)|LSD]]を合成、発見したスイスのサンド社の化学者[[アルバート・ホフマン (化学者)|アルバート・ホフマン]]は、幻覚を生じさせるサボテン以外にそうした植物は知らなかったため、1956年にワッソンに関する新聞記事を読んで興味を持っていたが、そこには詳細までは書かれていなかった{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=123}}。翌年、ロジェ・エイムが、パリのサンド社を介してメキシコのキノコの化学的研究を行ってくれないかと問い合わせ、ホフマンが研究を開始することとなる{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=124}}。しかし成果はなく、パリで栽培したため成分がなくなっていないかを確認するためにホフマンは自らをモルモットにし、メキシコ風の色彩が見え、助手の医師がアステカの司祭に変化しており、次第に抽象的な像が揺れ動く内面的なトリップへと変わった{{sfn|A・ホッフマン|1984|pp=139-140}}。このようにして有効成分がまだ存在することが確認されたが、難航し、モルモット役をかって出てくれた多くの同僚の手も借り、ついに最新の分留法によって成分を純粋な状態に精製し、2種類の分子構造を[[シロシビン]]とシロシンと名付けた{{sfn|A・ホッフマン|1984|pp=140-141}}。その化学構造は[[LSD (薬物)|LSD]]に類似していた{{sfn|A・ホッフマン|1984|p=142}}。(またアステカの[[タービナ・コリボサ|オロリウキ]]から[[リゼルグ酸アミド]]を抽出しLSDと近いものであった{{sfn|A・ホッフマン|1984|pp=153, 157}})


サンド社はシロシビンの錠剤商品「インドシビン」を製造。ワッソンの発見は、1957年にアメリカの雑誌『[[ライフ (雑誌)|ライフ]]』誌にて『[[魔法のきのこを求めて]]』(''Seeking the Magic Mushrooms'')<ref>{{Cite book|和書|author=飯沢耕太郎|chapter=「魔法のきのこ」を求めて |title=マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー |publisher=東京キララ社・河出書房新社|date=2010|isbn=978-4-309-90879-3}} Robert Gordon Wasson 1957. [https://books.google.com/books?id=Jj8EAAAAMBAJ&lpg=PA100&ots=biwwlEN8c4&pg=PA100#v=onepage&q&f=false Seeking the magic mushroom]. ''Life'' 49, no. 19 (May 13): 100–102, 109–120.</ref>として掲載される。「マジックマッシュルーム」という用語は、『ライフ』の編集者が考えたものであった。
サンド社はシロシビンの錠剤商品「インドシビン」を製造。ワッソンの発見は、1957年にアメリカの雑誌『[[ライフ (雑誌)|ライフ]]』誌にて『[[魔法のきのこを求めて]]』(''Seeking the Magic Mushrooms'')<ref>{{Cite book|和書|author=飯沢耕太郎|chapter=「魔法のきのこ」を求めて |title=マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー |publisher=東京キララ社・河出書房新社|date=2010|isbn=978-4-309-90879-3}} Robert Gordon Wasson 1957. [https://books.google.com/books?id=Jj8EAAAAMBAJ&lpg=PA100&ots=biwwlEN8c4&pg=PA100#v=onepage&q&f=false Seeking the magic mushroom]. ''Life'' 49, no. 19 (May 13): 100–102, 109–120.</ref>として掲載される。「マジックマッシュルーム」という用語は、『ライフ』の編集者が考えたものであった。ヒッピーがメキシコに旅をして求めた。


===研究と乱用のせめぎあい===
1960年代には[[ハーバード・シロシビン計画|ハーバード大学で大規模なシロシビン実験]]が行われる。1960年にメキシコでマジックマッシュルームを食べた心理学教授の[[ティモシー・リアリー]]は、[[神秘主義|神秘体験]]をして衝撃を受け、[[オルダス・ハクスリー]]やリチャード・アルパートらと共に研究を開始。[[コンコード刑務所実験|刑務所の囚人での研究]]や、400人ものハーバード学生らにシロシビンの錠剤を投与した結果、前向きな変化が現れることを確認。[[マーシュ礼拝堂の実験|神学校の学生に投与した研究]]では、10人中9人が本物の宗教的な体験をしたと報告した。しかし、この時代にはLSDが豊富に出回ることになり、キノコはまだ栽培法が出回っていなかった。
1960年代には[[ハーバード・シロシビン計画|ハーバード大学で大規模なシロシビン実験]]が行われる。1960年にメキシコでマジックマッシュルームを食べた心理学教授の[[ティモシー・リアリー]]は、[[神秘主義|神秘体験]]をして衝撃を受け、[[オルダス・ハクスリー]]やリチャード・アルパートらと共に研究を開始。[[コンコード刑務所実験|刑務所の囚人での研究]]や、400人ものハーバード学生らにシロシビンの錠剤を投与した結果、前向きな変化が現れることを確認。[[マーシュ礼拝堂の実験|神学校の学生に投与した研究]]では、10人中9人が本物の宗教的な体験をしたと報告した。しかし、この時代にはLSDが豊富に出回り、キノコはまだ栽培法が出回っていなかった。


乱用により1971年の[[向精神薬に関する条約]]にて、シロシビンは規制されたが、メキシコがキノコ自体を規制しないように呼び掛けた<ref name="マイコ"/>。
乱用により1971年の[[向精神薬に関する条約]]にて、シロシビンは規制されたメキシコがキノコ自体を規制しないように呼び掛けた<ref name="マイコ"/>。


1970年代に入ると、LSDの規制に伴いナチュラルな[[幻覚剤]]の人気が上昇する。マジックマッシュルームが登場する[[カルロス・カスタネダ]]の『{{仮リンク|ドン・ファンの教え|en|The Teachings of Don Juan|label=呪術師と私―ドン・ファンの教え}}』や、[[テレンス・マッケナ]]、デニス・マッケナ兄弟による、『マジックマッシュルーム栽培ガイド』が出版され、『[[ハイ・タイムズ]]』などの[[カウンターカルチャー]]雑誌は、自宅でマジックマッシュルームを簡単に栽培するための菌糸や栽培キットの販売を行うようになった。
1970年代に入ると、LSDの規制に伴いナチュラルな[[幻覚剤]]の人気が上昇する。マジックマッシュルームが登場する[[カルロス・カスタネダ]]の『{{仮リンク|ドン・ファンの教え|en|The Teachings of Don Juan|label=呪術師と私―ドン・ファンの教え}}』や、[[テレンス・マッケナ]]、デニス・マッケナ兄弟による、『マジックマッシュルーム栽培ガイド』(未訳 ''Magic Mushroom Growers Guide'')が出版され、『[[ハイ・タイムズ]]』などの[[カウンターカルチャー]]雑誌は、自宅でマジックマッシュルームを簡単に栽培するための菌糸や栽培キットの販売を行うようになった。


アメリカのテルユライド地域(Telluride)では、1980年からこうしたキノコ祭典であるテルユライド・マッシュルーム・フェスティバルが毎年開催されている<ref name="マイコ">{{Cite book|和書|author=ユージニア・ボーン|translator=(監修)吹春俊光、(翻訳)佐藤幸治、田中涼子 |chapter=第10章 マジックマッシュルームの誘惑 |title=マイコフィリア―きのこ愛好症―知られざるキノコの不思議世界|publisher=パイインターナショナル|date=2016|isbn=978-4-7562-4405-5}}</ref>。1987年には[[ガストン・グマン]](多くの菌種を発見)が、著書『シビレタケ属』''The Genus Psilocybe''にて、467種の約半分223は存在しなかったり類似の種とした。
アメリカのテルユライド地域(Telluride)では、1980年からこうしたキノコ祭典であるテルユライド・マッシュルーム・フェスティバルが毎年開催されている<ref name="マイコ">{{Cite book|和書|author=ユージニア・ボーン|translator=(監修)吹春俊光、(翻訳)佐藤幸治、田中涼子 |chapter=第10章 マジックマッシュルームの誘惑 |title=マイコフィリア―きのこ愛好症―知られざるキノコの不思議世界|publisher=パイインターナショナル|date=2016|isbn=978-4-7562-4405-5}}</ref>。1987年には[[ガストン・グマン]](多くの菌種を発見)が、著書『シビレタケ属』(未訳 ''The Genus Psilocybe''にて、467種の約半分223は存在しなかったり類似の種とした。


''Psilocybe cubensis''はキューバでの発見にちなんだもので、1997年に日本菌学会にて和名がミナミシビレタケに決定されたことが報告された。
''Psilocybe cubensis''はキューバでの発見にちなんだもので、1997年に日本菌学会にて和名が[[ミナミシビレタケ]]に決定されたことが報告された。


日本では、[[露店]]でも「観賞用」と称して構わず販売されていたが、2001年に俳優の伊藤英明が摂取して警察が出動する騒ぎを起こすなど社会問題化したため、2002年に規制された。
日本では、[[露店]]でも「観賞用」と称して構わず販売されていたが、2001年に俳優の伊藤英明が摂取して警察が出動する騒ぎを起こすなど社会問題化したため、2002年に規制された。
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{{Main|[[:en:List of psilocybin mushroom species|マジックマッシュルーム菌種の一覧]] (英語版)}}
{{Main|[[:en:List of psilocybin mushroom species|マジックマッシュルーム菌種の一覧]] (英語版)}}
マジックマッシュルームの多くは、[[シビレタケ属]] ''Psilocybe'' や[[ヒカゲタケ]] ''Panaeolus'' に属する<ref name="人間">{{Cite book|和書|author=ニコラス・P.マネー|translator=小川真|title=キノコと人間 医薬・幻覚・毒キノコ|publisher=築地書館|date=2016|isbn=978-4-8067-1522-1|page=164}} ''Mushroom'', 2011.</ref>。400種あるシビレタケ属の1/4が幻覚性であり、100種あるヒカゲタケ属の1/10もそうであり、ヒカゲタケ属の大半は草食動物の糞に生育する<ref name="人間"/>。多くの種が存在し、その大きさや形態、生育地、シロシビン含有率は様々である。高熱や圧迫感などを受けると表面に青色をおびる種が多い。
マジックマッシュルームの多くは、[[シビレタケ属]] ''Psilocybe'' や[[ヒカゲタケ]] ''Panaeolus'' に属する<ref name="人間">{{Cite book|和書|author=ニコラス・P.マネー|translator=小川真|title=キノコと人間 医薬・幻覚・毒キノコ|publisher=築地書館|date=2016|isbn=978-4-8067-1522-1|page=164}} ''Mushroom'', 2011.</ref>。400種あるシビレタケ属の1/4が幻覚性であり、100種あるヒカゲタケ属の1/10もそうであり、ヒカゲタケ属の大半は草食動物の糞に生育する<ref name="人間"/>。多くの種が存在し、その大きさや形態、生育地、シロシビン含有率は様々である。高熱や圧迫感などを受けると表面に青色をおびる種が多い。


;代表的なマジックマッシュルーム
;代表的なマジックマッシュルーム
*[[ミナミシビレタケ]] ''Psilocybe cubensis'' 北アメリカ南東部、中央、南アメリカ、南アジア、オーストラリア。牧草地、糞にたまに発生<ref name="大図鑑">{{Cite book|和書|author=原色・原寸世界きのこ大図鑑|title=Amazon|publisher=東洋書林|date=2012|isbn=978-4-88721-799-7|page=143、253、278-279頁}} ''The Book of Fungi'', 2011.</ref>。主に熱帯から亜熱帯。
*{{仮リンク|ミナミシビレタケ|en|Psilocybe cubensis}} ''Psilocybe cubensis'' 北アメリカ南東部、中央、南アメリカ、南アジア、オーストラリア。牧草地、糞にたまに発生<ref name="大図鑑">{{Cite book|和書|author=原色・原寸世界きのこ大図鑑|title=Amazon|publisher=東洋書林|date=2012|isbn=978-4-88721-799-7|page=143、253、278-279頁}} ''The Book of Fungi'', 2011.</ref>。主に熱帯から亜熱帯。
*{{仮リンク|リバティーキャップ|en|Psilocybe Semilanceata}} ''Psilocybe Semilanceata'' 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、ニュージーランドの牧草地、草地によく発生し、たまに糞上に発生する<ref name="大図鑑"/>。
*{{仮リンク|リバティーキャップ|en|Psilocybe Semilanceata}} ''Psilocybe Semilanceata'' 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、ニュージーランドの牧草地、草地によく発生し、たまに糞上に発生する<ref name="大図鑑"/>。
*[[ワライタケ]] ''Panaeolus papilionaceus'' 北中央、南アメリカ、ヨーロッパ、北アフリカ、北アジア、オーストラリア、ニュージーランド、牧草地、草食動物の糞によく発生し、傘が変化に富み、かつては数種に分けられていた<ref name="大図鑑"/>。
*[[ワライタケ]] ''Panaeolus papilionaceus'' 北中央、南アメリカ、ヨーロッパ、北アフリカ、北アジア、オーストラリア、ニュージーランド、牧草地、草食動物の糞によく発生し、傘が変化に富み、かつては数種に分けられていた<ref name="大図鑑"/>。
*[[オオワライタケ]] ''Gymnopilus junonius'' 糞ではなく木の株に生え、[[カシ|樫]](カシ)、[[ナラ|楢]](ナラ)、リンゴ、[[トネリコ]]の木に生えることが知られる<ref name="食毒菌"/>。北南アメリカ、ヨーロッパ、北アフリカ、アジア、オーストラリア、ニュージーランド、林地、広葉樹、まれに針葉樹の、幹、切り株、埋もれた木によく発生<ref name="大図鑑"/>。独特の深い臭いがあり、臭いで覚えられる<ref name="観察を楽しむ"/>。
*[[オオワライタケ]] ''Gymnopilus junonius'' 糞ではなく木の株に生え、[[カシ|樫]](カシ)、[[ナラ|楢]](ナラ)、リンゴ、[[トネリコ]]の木に生えることが知られる<ref name="食毒菌"/>。北南アメリカ、ヨーロッパ、北アフリカ、アジア、オーストラリア、ニュージーランド、林地、広葉樹、まれに針葉樹の、幹、切り株、埋もれた木によく発生<ref name="大図鑑"/>。独特の深い臭いがあり、臭いで覚えられる<ref name="観察を楽しむ"/>。
*[[シロシベ・キアネセンス]] ''Psilocybe cyanescens''最もシロシビン含有率が高い。大きなカサを持つ6-8cm程度のキノコ。硬材に発生
*{{仮リンク|シロシベ・キアネセンス|en|Psilocybe cyanescens}} ''Psilocybe cyanescens'' 最もシロシビン含有率が高い。大きなカサを持つ6-8cm程度のキノコ。硬材に発生


日本
日本
*ワライタケ 同上 石川県、[[クリ|栗]]の木<ref name="食毒菌"/>。6月から10月の本州、北海道<ref name=きのこ""/>。沖縄、庭の菜園<ref name="naid10031161946"/>。
*ワライタケ 既出 石川県、[[クリ|栗]]の木<ref name="食毒菌"/>。6月から10月の本州、北海道<ref name=きのこ""/>。沖縄、庭の菜園<ref name="naid10031161946"/>。
*オオワライタケ 同上 群馬、樫の木、新潟の楢の木<ref name="食毒菌"/>。9月の東京渋谷区、10月の町田市<ref>{{Cite book|和書|author=都会のキノコ図鑑刊行委員会、長谷川明、大舘一夫|title=都会のキノコ図鑑|publisher=八坂書房|date=2007|isbn=978-4-89694-891-2|page=113}}</ref>。富山、樫の木<ref name="naid120005317481">{{Cite journal |和書|author1=黒野吾市 |author2=酒井健 |author3=栃折妍子 |date=1956-09-25 |title=オオワライタケの培養に関する研究 |journal=金沢大学薬学部研究年報 |volume=6 |issue= |pages=19-23 |naid=120005317481 |url=http://hdl.handle.net/2297/35382}}</ref>。
*オオワライタケ 既出 日本のオオワライタケにはシロシビンは検出されず[[ジムノピリン]]が神経に作用するとみなされている{{sfn|長沢栄史|2009|p=159}}<ref name="naid110006678328">{{Cite journal |和書|author1=野副重男 |author2=小池隆 |author3=辻恵美 |author4=草野源次郎 |author5=瀬戸治男 |author6=青柳富貴子 |author7=松本春樹 |author8=松本毅 |author9=奥野智旦 |date=1982-09-10 |title=38 オオワライタケの苦味成分,新ポリイソプレンポリオール,GymnopilinおよびGymnoprenol類の単離と構造 |journal=天然有機化合物討論会講演要旨集 |issue=25 |pages=282-289 |naid=110006678328 |doi=10.24496/tennenyuki.25.0_282 |url=http://dx.doi.org/10.24496/tennenyuki.25.0_282}}</ref>。群馬、樫の木、新潟の楢の木<ref name="食毒菌"/>。9月の東京渋谷区、10月の町田市<ref>{{Cite book|和書|author=都会のキノコ図鑑刊行委員会、長谷川明、大舘一夫|title=都会のキノコ図鑑|publisher=八坂書房|date=2007|isbn=978-4-89694-891-2|page=113}}</ref>。富山、樫の木<ref name="naid120005317481">{{Cite journal |和書|author1=黒野吾市 |author2=酒井健 |author3=栃折妍子 |date=1956-09-25 |title=オオワライタケの培養に関する研究 |journal=金沢大学薬学部研究年報 |volume=6 |issue= |pages=19-23 |naid=120005317481 |url=http://hdl.handle.net/2297/35382}}</ref>。

*[[ヒカゲシビレタケ]] ''Psilocybe argentipes'' 公園や道端の草地など身近にも発生<ref name="観察を楽しむ">{{Cite book|和書|author=中島淳志、吹春俊光|title=しっかり見わけ観察を楽しむ きのこ図鑑|publisher=ナツメ社|date=2017|isbn=978-4-8163-6303-0|page=131-132}}</ref>。7月の滋賀県彦根、8月から11月の山形県より以南<ref name=きのこ"">{{Cite book|和書|author=成田伝蔵 |title=きのこ|series=フィールドセレクション |publisher=北隆館|date=1991|isbn=4-8326-0237-3|page=114、132頁}}</ref>。宮城県名取市の堆肥化した雑草地<ref name="naid130003692615">{{Cite journal |和書|author1=牛沢勇 |date=1985 |title=ヒカゲシビレタケによる食中毒 |journal=食品衛生学雑誌 |volume=26 |issue=5 |pages=550a-551 |naid=130003692615 |doi=10.3358/shokueishi.26.550a |url=http://dx.doi.org/10.3358/shokueishi.26.550a}}</ref>。
*[[ヒカゲシビレタケ]] ''Psilocybe argentipes'' 公園や道端の草地など身近にも発生<ref name="観察を楽しむ">{{Cite book|和書|author=中島淳志、吹春俊光|title=しっかり見わけ観察を楽しむ きのこ図鑑|publisher=ナツメ社|date=2017|isbn=978-4-8163-6303-0|page=131-132}}</ref>。7月の滋賀県彦根、8月から11月の山形県より以南<ref name=きのこ"">{{Cite book|和書|author=成田伝蔵 |title=きのこ|series=フィールドセレクション |publisher=北隆館|date=1991|isbn=4-8326-0237-3|page=114、132頁}}</ref>。宮城県名取市の堆肥化した雑草地<ref name="naid130003692615">{{Cite journal |和書|author1=牛沢勇 |date=1985 |title=ヒカゲシビレタケによる食中毒 |journal=食品衛生学雑誌 |volume=26 |issue=5 |pages=550a-551 |naid=130003692615 |doi=10.3358/shokueishi.26.550a |url=http://dx.doi.org/10.3358/shokueishi.26.550a}}</ref>。
*[[アイゾメシバフタケ]] ''Psilocybe subcaerulipes''
*[[アイゾメシバフタケ]] ''Psilocybe subcaerulipes''
*[[シビレタケ]] 札幌<ref name="naid120005905658"/>。
*[[シビレタケ]] 札幌<ref name="naid120005905658"/>。
*[[センボンサイギョウガサ]] ''Panaeolus subbalteatus'' 沖縄<ref name="naid10031161946"/>。
*[[センボンサイギョウガサ]] ''Panaeolus subbalteatus'' 沖縄<ref name="naid10031161946"/>。
*[[ミナミシビレタケ]] 同上 沖縄<ref name="naid10031161946">{{Cite journal |和書|author1=玉那覇康二 |date=2013-01-31 |title=沖縄県で発生している自然毒中毒事例 |journal=マイコトキシン |volume=63 |issue=1 |pages=55-65 |naid=10031161946 |doi=10.2520/myco.63.55 |url=http://dx.doi.org/10.2520/myco.63.55}}</ref>。
*ミナミシビレタケ 既出 沖縄、傘0.03%柄0.02%<ref name="naid10031161946">{{Cite journal |和書|author=玉那覇康二 |date=2013-01-31 |title=沖縄県で発生している自然毒中毒事例 |journal=マイコトキシン |volume=63 |issue=1 |pages=55-65 |naid=10031161946 |doi=10.2520/myco.63.55 |url=http://dx.doi.org/10.2520/myco.63.55}}</ref>。
*[[アイゾメヒカゲタケ]] ''Panaeolus trqpicalis'' 熱帯、小笠原諸島<ref name="naid40001376134">{{Cite journal |和書|author=本郷次雄 |date=1977 |title=小笠原産高等菌類I |url=http://ci.nii.ac.jp/els/contents40001376134.pdf?id=ART0006481349 |format=pdf |journal=国立科学博物館専報 |volume=10 |issue= |pages=31-41 |naid=40001376134}}</ref>、沖縄<ref name="naid10031161946"/>。
*{{仮リンク|アイゾメヒカゲタケ|en|Panaeolus trqpicalis}} ''Panaeolus trqpicalis'' 熱帯、小笠原諸島<ref name="naid40001376134">{{Cite journal |和書|author=本郷次雄 |date=1977 |title=小笠原産高等菌類I |url=http://ci.nii.ac.jp/els/contents40001376134.pdf?id=ART0006481349 |format=pdf |journal=国立科学博物館専報 |volume=10 |issue= |pages=31-41 |naid=40001376134}}</ref>、沖縄、傘0.42%柄0.16%<ref name="naid10031161946"/>。


== 作用 ==
== 作用 ==
[[ファイル:Visualization of the persistence homological scaffolds.jpg|サムネイル|脳の異なる部位が連絡して働く様子を視覚化した図。右:シロシビン影響下にて脳の各部位は多様に連絡しあう。左:通常時。]]
[[ファイル:Visualization of the persistence homological scaffolds.jpg|サムネイル|脳の異なる部位が連絡して働く様子を視覚化した図。右:シロシビン影響下にて脳の各部位は多様に連絡しあう。左:通常時。<ref name="pmid25401177">{{cite journal|last1=Vaccarino|first1=F.|last2=Petri|first2=G.|last3=Expert|first3=P.|coauthors=et al.|title=Homological scaffolds of brain functional networks|journal=Journal of The Royal Society Interface|volume=11|issue=101|pages=20140873–20140873|year=2014|pmid=25401177|pmc=4223908|doi=10.1098/rsif.2014.0873|url=http://rsif.royalsocietypublishing.org/content/11/101/20140873}}</ref>]]
{{See also|シロシビン}}
{{See also|シロシビン}}
こうしたキノコには、催幻覚性の[[シロシン]]と[[シロシビン]]が0.03-1.5%の濃度で含有され、熱にも安定しているため破壊除去されないため、調理して摂取されることもある<ref name="臨床中毒学">{{Cite book|和書|author=上條吉人|authorlink=上條吉人|editor=相馬一亥(監修)|title=臨床中毒学|publisher=医学書院|date=2009-10|isbn=978-4260008822|pages=233-236}}</ref>。発作などの重症はきわめてまれで、死亡例もほとんどない<ref name="臨床中毒学"/>。
こうしたキノコには、催幻覚性の[[シロシン]]と[[シロシビン]]が0.03-1.5%の濃度で含有され、熱にも安定しているため破壊除去されないため、調理して摂取されることもある<ref name="臨床中毒学">{{Cite book|和書|author=上條吉人|authorlink=上條吉人|editor=相馬一亥(監修)|title=臨床中毒学|publisher=医学書院|date=2009-10|isbn=978-4260008822|pages=233-236}}</ref>。発作などの重症はきわめてまれで、死亡例もほとんどない<ref name="臨床中毒学"/>。
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==栽培==
==栽培==
1960年代には栽培法のパンフレットが出回り、1970年代にはテレンス・マッケナらの『マジックマッシュルーム栽培ガイド』''Magic Mushroom Growers Guide'' が出版されるが、その後も続いており、1991年には技術を簡略化した『シビレタケの技』 ''The Psilocybe Technique''、1996年には過酸化水素を減菌した培地を維持する薬品として用いる『キノコの簡単な育て方』 ''Growing Mushroom Easy Way'' 、その後の書ではポール・スタメッツの書が有名とされ、インターネット上にも情報が増加している<ref name="マイコ"/>。マッケナの著書密閉した瓶で栽培するが、後の著書は桶などを使うようになっている。
1960年代には栽培法のパンフレットが出回り、1970年代にはテレンス・マッケナらの『マジックマッシュルーム栽培ガイド』''Magic Mushroom Growers Guide'' が出版されるが、その後も続いており、1991年には技術を簡略化した『シビレタケの技』 ''The Psilocybe Technique''、1996年には過酸化水素を減菌した培地を維持する薬品として用いる『キノコの簡単な育て方』 ''Growing Mushroom Easy Way'' 、その後の書ではポール・スタメッツの書が有名とされ、インターネット上にも情報が増加している<ref name="マイコ"/>。マッケナの著書は密閉した瓶で栽培するが、後の著書は桶などを使うようになっている。


また、収穫後に乾燥させることについても紙面が割かれている。ハチミツに入れ貯蔵する方法もあるが半年程度で成分が活性を無くす。
また、収穫後に乾燥させることについても紙面が割かれている。ハチミツに入れ貯蔵する方法もあるが半年程度で成分が活性を無くす。
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;イギリス
;イギリス
:2005年に販売が違法となる。(自生するため)新鮮なキノコについてはいまだ合法である<ref name="ukshroom">{{cite news |author=Robert Dickins |title=A UK Magic Mushroom Flashback |url=http://psypressuk.com/2010/08/29/a-uk-magic-mushroom-flashback/ |date=2010-8-19 |newspaper=Psychedelic Press UK |accessdate=2017-4-12}}</ref>。店頭では新鮮なマジックマッシュルームが販売されている<ref name="shrooms">{{cite web |author=Malcolm Ritter |title=Magic mushrooms may ease anxiety and depression in cancer patients, studies find |url=https://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/magic-mushrooms-ease-anxiety-depression-cancer-patients-studies-a7449186.html |date=2016-12-1 |publisher=Independent |accessdate=2017-4-12}}</ref>
:2005年に販売が違法となる。(自生するため)新鮮なキノコについてはいまだ合法である<ref name="ukshroom">{{cite news |author=Robert Dickins |title=A UK Magic Mushroom Flashback |url=http://psypressuk.com/2010/08/29/a-uk-magic-mushroom-flashback/ |date=2010-8-19 |newspaper=Psychedelic Press UK |accessdate=2017-4-12}}</ref>。店頭では新鮮なマジックマッシュルームが販売されている<ref name="shrooms">{{cite web |author=Malcolm Ritter |title=Magic mushrooms may ease anxiety and depression in cancer patients, studies find |url=https://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/magic-mushrooms-ease-anxiety-depression-cancer-patients-studies-a7449186.html |date=2016-12-1 |publisher=Independent |accessdate=2017-4-12}}</ref>


;チェコ共和国
;チェコ共和国
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;アメリカ、カナダ
;アメリカ、カナダ
:アメリカのほとんどの州で胞子の所持は合法である<ref name="マイコ"/>。
:アメリカのほとんどの州で胞子の所持は合法である<ref name="マイコ"/>。
:2017年冬の報道では、娯楽的なマジックマッシュルームの使用を非犯罪化するための2018年のカルフォルニア州での住民投票に向けて署名を募っているとのこと<ref name="guar2017">{{cite web |author=Olivia Solon |title=After marijuana, are magic mushrooms next to be decriminalised in California? |url=https://www.theguardian.com/us-news/2017/nov/25/magic-mushrooms-decriminalization-california |date=2017-11-26 |publisher=guardian |accessdate=2017-12-05}}</ref>。その成分シロシビンがうつ病、依存症などに役立つ可能性があるため<ref name="guar2017"/>。
:2017年冬の報道では、娯楽的なマジックマッシュルームの使用を非犯罪化するための2018年のカルフォルニア州での住民投票に向けて署名を募っているとのこと<ref name="guar2017">{{cite web |author=Olivia Solon |title=After marijuana, are magic mushrooms next to be decriminalised in California? |url=https://www.theguardian.com/us-news/2017/nov/25/magic-mushrooms-decriminalization-california |date=2017-11-26 |publisher=guardian |accessdate=2017-12-05}}</ref>。その成分シロシビンがうつ病、依存症などに役立つ可能性があるため役立てたいとのこと<ref name="guar2017"/>。オレゴン州のオレゴン・シロシビン協会 (Oregon Psilocybin Society) は心理療法を行う夫婦によって運営されており、近年の治療研究があるため、監督下で使用するため2020年に投票法案が策定できるよう活動している<ref>{{cite web |author=Aaron Kase |title=Shrooms Could Be Legalized Sooner Than You Think |url=https://www.vice.com/en_us/article/mba3m3/shrooms-could-be-legalized-sooner-than-you-think |date=2017-7-12 |publisher=VICE |accessdate=2017-12-05}}</ref>。


== 注釈 ==
== 注釈 ==

2017年12月7日 (木) 09:11時点における版

マジックマッシュルーム(シロシベ・メキシカーナ)メキシコ、ハリスコ州

マジックマッシュルーム(Magic mushroom[注 1])は、幻覚剤であるトリプタミン系のアルカロイドシロシビンシロシンを含んだ、菌類キノコ。200以上の種が存在し、世界中の様々な場所で自生している。毒キノコだが、主に幻覚作用であり重症や死亡はまずない[1]。日本では『今昔物語』にて古代の呼び方で舞茸(今でいうマイタケとは違う)とされており、後世にも笑茸(わらいたけ)、踊茸などと言及されてきた。多くが20世紀に菌類として同定され、大半はシビレタケ属 Psilocybe や糞を好むヒカゲタケ属 Panaeolus に属し[2]、広範囲に自生しており、具体的な種としてはワライタケオオワライタケミナミシビレタケ (Psilocybe cubensis)、リバティーキャップ英語版 (Psilocybe Semilanceata) など。

中世の南米のアステカ帝国ではテオナナカトルと呼び、神聖なるキノコとして扱ったが、そうした扱いは原住民の間に現代まで続いている。日本では1917年に菌類分類学者の川村清一が中毒症状を起こすワライタケを確認した。欧米では1950年代になると、アメリカの菌類研究者のロバート・ゴードン・ワッソンらの実地調査によって西洋においてキノコの存在が明らかにされ、マジックマッシュルームの名称が広まった。1959年ごろアルバート・ホフマンが幻覚成分を特定し、成分にシロシビンとシロシンと名をつけた。栽培されるなどしてLSDなどと共に「サイケ」の原動力となった。

乱用され、1971年の向精神薬に関する条約はシロシビン単体を規制したが、その第32条4項は含有成分の自生国における少数集団による伝統的な使用を除外している。欧州でも合法であったり、抜け道があったり規制は様々である[3]。日本では、2002年よりシロシビンを含有するキノコは故意に使用・所持することは規制されているため、もっぱら鑑賞用となる。菌糸はシロシビンを含まないため規制されていない。2010年代に入り、成分シロシビンはうつ病や薬物依存症の治療薬として注目されている。

歴史

タッシリ・ナジェールの7000年以上前の壁画(再描画した画像)、踊り子が持つキノコ末端から頭の中央へと2本の点線が伸びている。
タッシリ・ナジェールの7000年以上前の壁画(再描画した画像)、踊り子が持つキノコ末端から頭の中央へと2本の点線が伸びている。
タッシリのマタレン・アマザール(Matalem-Amazar)と呼ばれる壁画(同・再描画)では、手にキノコを持ち、またキノコが体を取り囲んでいる。
タッシリのマタレン・アマザール(Matalem-Amazar)と呼ばれる壁画(同・再描画)では、手にキノコを持ち、またキノコが体を取り囲んでいる。

人類が出現したとみられているアフリカにおいて、テレンス・マッケナによる仮説として、意識の出現に幻覚剤がかかわったではないかというものがあるが、好糞性のミナミシビレタケ (Psilocybe cubensis) は熱帯地方に広く分布し、コブウシの糞のある場所で成長し、摂取のための技術も不要なため、このキノコを有力な候補としている[4]ロバート・ゴードン・ワッソンは、『エレウシスの道』(邦訳なし)にて、魂という概念の認識や、宗教の起源においてこうしたキノコや他の向精神性植物がきっかけになったのではないかと考えており、これらは畏怖、崇敬、愛といった感情を高い水準に到達させるような、啓示的なものを呼び覚ました可能性が考えられる[5]

円頭期(7000-9000年前)のタッシリ・ナジェール(現アルジェリア)の壁画には、右手にキノコの様なものを持つ踊り子が描かれており、その右手から2本の点線が頭の中央に向けて伸びており、このことは非物質的なものが流れていることだと解釈することができ、幻覚性キノコの特徴を考慮すれば、儀式における舞踏で恍惚となったとみなすことができる[6]

紀元前からあるとみられるキノコ石。グアマテラやサルバドール、メキシコの山岳地帯にて発見されている[7]。この辺りでは12世紀過ぎには宗教的、儀式的な要素が加わってキノコが用いられるようになった[7]

先コロンブス時代のメソアメリカ先住民の文化では、山岳一体でキノコ石が発見されており、12世紀にはマジックマッシュルームを宗教儀式や病気の治療などに用いてきた[7]マヤ文明の遺跡では、キノコの形をした小型石像がいくつも発掘されており、例えば300-600年頃のキノコ石はドイツのロートベルク美術館にて保管されている[7]。グアテマラのマヤ14-16世紀に栄えたアステカ王国では、ナワトル語で「テオナナカトル」と呼ばれ「神のキノコ」とか[7]、「神の肉」を意味し、キノコを食べる先住民の姿などが描かれた『マリアベッキアーノ絵文書英語版』も残っている。またアステカの花の神ショチピリ像には、幻覚キノコや幻覚性植物の彫刻が身体にほどこされている。スペインによる征服とカトリック布教に伴い、幻覚キノコや植物の使用の絶滅が試みられたが、完全には達成されず今日でも先住民が使い続けている[8]

ドミニコ派の修道士ディエゴ・デュランの記録では、1502年のモクテスマ2世(アステカ)の戴冠式にて、こうしたキノコを食べことが記載される[9]。16世紀のスペインの歴史家などによって、儀式で用いられていることが紹介され、ほどなくしてスペインに持ち込まれ、フランシス修道会の修道士ベルナルディーノ・デ・サアグンが1590年までに記した当時の史書『ヌエバ・エスパーニャ諸事物概史英語版』(スペイン語原題: Historia general de las cosas de Nueva España) にてたびたび触れられており、例えば商人が祝賀会で祝う時にキノコを用いたことが記載されている[10]。その会では、ハチミツと一緒に食べたキノコのほかには、チョコレートのみを食べ、キノコが効いてくると、はしゃいだり泣いたり、金持ちになったり、野獣に襲われたり…様々な幻覚を見て、体験後にその体験について語り合ったとされる[9]

日本

ワライタケ Panaeolus papilionaceus。日本では川村清一が1917年の石川県における中毒例から最初に確認。
ワライタケ Panaeolus papilionaceus。日本では川村清一が1917年の石川県における中毒例から最初に確認。
オオワライタケ Gymnopilus junonius(丹後半島)。それからほどなく1922年、群馬の中毒例から川村が確認。
オオワライタケ Gymnopilus junonius(丹後半島)。それからほどなく1922年、群馬の中毒例から川村が確認。

日本では、『今昔物語』(平安時代末期、12世紀に成立)の28巻28話は「女たちが山に入りて舞茸を食う話」(尼共入山食茸舞語)であり、山で道に迷った女の人たちはお腹が減り、見つけたキノコを酔いはしないだろうかと[注 2]食べたところ、踊りたくてしょうがなくなったという逸話があるが、この物語を収載しようとした当時に知られた舞茸ではそんなことは起こらないと記している。この物語は、近年の菌類学にて幻覚性のキノコだとして言及されている。

後にも笑茸などの逸話として伝えられている。元文(1736年から1741年)には、佐渡(現・新潟県)羽田町の金助という者がある年の秋も更けて、山へいった帰り道に太きなキノコをとって帰り、鍋に豆腐などと煮て食べると、家族8人は大いに笑い狂い、心配した親族が医者を呼び、医者が鍋のキノコを見て笑茸を食べたことを伝えると親族は安心し、その後中毒した家族は狂い倒れて熟睡し翌日には平静に戻ったという話が伝えられる[11]。江戸時代の町奉行の手記『耳嚢』(みみぶくろ)には以下の記載がある。(現・東京)小石川の大前孫兵衛の仲間が笑い出して止まらなくなり、山伏を呼んで祈祷したが止まらず、の下に生えたキノコを食べたとわかり笑茸だと判明したとか、伊豆に島流しにされた者の手記では、シメジのようなものをとって食べていると島の住民が毒キノコだと言い、酒に酔ったようになり屋根、木の上など高いところへ登りたくなることから登茸(のぼりたけ)と呼ばれているものであった[12]。他の書にも笑茸や踊茸の記載があるが、肝心のどういった形状かいった情報が欠けているため、菌類分類学者の川村清一は、具体的に知りたいと切望しており中毒例が出るのを待っていた。

1917年(大正6年)の石川県における玉田十太郎とその妻が、の木の下で採取したキノコを汁に入れて食べたところ、妻が裸で踊るやら、三味線を弾きだしたやらということであり、川村清一がワライタケ Panaeolus papilionaceus だと同定した。その3年前の『サイエンス』にはアメリカ、メイン州における男女の中毒例の記載があり、ピアノを弾いたり飛んだり跳ねたりおかしくてたまらず、部屋の花束が自分を巻いているようだというような幻覚が起きたという。それからほどなく、1922年(大正11年)群馬にての切り株に生えたキノコを食べた青年が、昨年も中毒したのに気にも留めず、今年も同じ場所に生えたキノコを食べ中毒したという事例から川村がオオワライタケ Gymnopilus junonius だと確認し、欧米では中毒症状は知られていないと記した。[13] 1920年には、化学的に薬剤として精製し、憂うつ者を快活するだろうと述べた川村の書を読んだ者が、そのようなキノコは伝説の話かと思っていたが、早くその薬を作り、笑ったことのないような今の官僚どもに服用させてみたいと記した[14]。1932年には今井三子が札幌にて発見したキノコをシビレタケと命名[15]

近代における発見

南米における古い古代史にはこのキノコの使用について記載されておらず、想像だとみなされていた[8]。1915年にはアメリカの植物学者のW・E・サフォードが植物学会で発表し、その元となったスペインの年代記の作者がメスカリンを含んだサボテン[注 3]だと思っていたという誤解もあったが、その謎に挑んだことに大きな意味がある[16]

メキシコのレコ医師はサフォードに反論してメキシコ南部山岳地帯で今なおキノコが使用されているとし、1938年までにハーバード大学の民族植物学リチャード・エヴァンズ・シュルテス英語版とバイトラナーの2人は現地でキノコを実際に発見し、住民の使用を確認、1938年に人類学者ジーン・B・ジョンソン英語版シエラマサテカ英語版におけるワウトラ・デ・ヒメネス英語版にてその秘儀に見物人として参列した[16]。そしてジョンソンの記事はスウェーデンの『民族学研究』に掲載された[16]。第二次世界大戦にて研究が一時中断することになる[16]

シロシベ・メキシカーナ英語版 Psilocybe mexicana。メキシコで発見されたのと同種のキノコ。

1953年、JPモルガン銀行の副頭取だったロバート・ゴードン・ワッソンは、ジョンソンの見出したマサテカの地に訪れ儀式について現地で発見し[17]、1955年5月末にはメキシコのマサテコ族のマジックマッシュルームを用いた儀式に白人として初めて参加した[18]。当時なお、聖なるキノコとして信じられており、秘術などではなく、神聖にして侵すべからずとして守られてきたことが判明した[17]。前後5日は性的に禁欲し[19]、その祭式は、古い信仰とキリスト教が混交しており、キノコはしばしばキリストの血と呼ばれ、血が土に落ちてそこから生えたキノコだとか、唾液が落ちて湿った地から生えたというように信じられており、キノコの効果によって話す言葉はキリストの言葉であるとみなされていた[20]。サビオあるいはクランデロ(男性)、サビアあるいはクランデラ(女性)という聖職者を意味する称号の司祭に対し、自分の抱えた問題を質問し、儀式が催される夜中を通してキノコを食べ続けるものである[20]。司祭は経文を唱え、皆が恍惚となると質問に対し司祭が、つまりテオナナカトルが回答するとみなされており、病める者には薬草を教える[20]。ワッソンの体験は自著『キノコ―ロシアの歴史』(未訳 、Mushrooms, Russia and History, 1957)に記されており[21]、幾何学的で色鮮やかな幻覚を見て、次第にこれは玄関に変わっていき、そこは宝石で彩られた宮殿であり、幻想上の動物が引く馬車がいて、そのような幻想の世界を漂ったのである[22]

フランスの国立歴史博物館所長の菌学者ロジェ・エイムはワッソンに同行し、キノコを Psilocybe mexicana Heim英語版と命名した[23]。研究室で栽培し、人工栽培に適していることが確認された[23]。フランスとアメリカの製薬会社がその成分の抽出に興味を示したが成果はなかった[24]

LSDを合成、発見したスイスのサンド社の化学者アルバート・ホフマンは、幻覚を生じさせるサボテン以外にそうした植物は知らなかったため、1956年にワッソンに関する新聞記事を読んで興味を持っていたが、そこには詳細までは書かれていなかった[25]。翌年、ロジェ・エイムが、パリのサンド社を介してメキシコのキノコの化学的研究を行ってくれないかと問い合わせ、ホフマンが研究を開始することとなる[26]。しかし成果はなく、パリで栽培したため成分がなくなっていないかを確認するためにホフマンは自らをモルモットにし、メキシコ風の色彩が見え、助手の医師がアステカの司祭に変化しており、次第に抽象的な像が揺れ動く内面的なトリップへと変わった[27]。このようにして有効成分がまだ存在することが確認されたが、難航し、モルモット役をかって出てくれた多くの同僚の手も借り、ついに最新の分留法によって成分を純粋な状態に精製し、2種類の分子構造をシロシビンとシロシンと名付けた[28]。その化学構造はLSDに類似していた[29]。(またアステカのオロリウキからリゼルグ酸アミドを抽出しLSDと近いものであった[30]

サンド社はシロシビンの錠剤商品「インドシビン」を製造。ワッソンの発見は、1957年にアメリカの雑誌『ライフ』誌にて『魔法のきのこを求めて』(Seeking the Magic Mushrooms)[31]として掲載される。「マジックマッシュルーム」という用語は、『ライフ』の編集者が考えたものであった。ヒッピーがメキシコに旅をして求めた。

研究と乱用のせめぎあい

1960年代にはハーバード大学で大規模なシロシビン実験が行われる。1960年にメキシコでマジックマッシュルームを食べた心理学教授のティモシー・リアリーは、神秘体験をして衝撃を受け、オルダス・ハクスリーやリチャード・アルパートらと共に研究を開始。刑務所の囚人での研究や、400人ものハーバード学生らにシロシビンの錠剤を投与した結果、前向きな変化が現れることを確認。神学校の学生に投与した研究では、10人中9人が本物の宗教的な体験をしたと報告した。しかし、この時代にはLSDが豊富に出回り、キノコはまだ栽培法が出回っていなかった。

乱用により1971年の向精神薬に関する条約にて、シロシビンは規制された。メキシコがキノコ自体を規制しないように呼び掛けた[32]

1970年代に入ると、LSDの規制に伴いナチュラルな幻覚剤の人気が上昇する。マジックマッシュルームが登場するカルロス・カスタネダの『呪術師と私―ドン・ファンの教え』や、テレンス・マッケナ、デニス・マッケナ兄弟による、『マジックマッシュルーム栽培ガイド』(未訳 Magic Mushroom Growers Guide)が出版され、『ハイ・タイムズ』などのカウンターカルチャー雑誌は、自宅でマジックマッシュルームを簡単に栽培するための菌糸や栽培キットの販売を行うようになった。

アメリカのテルユライド地域(Telluride)では、1980年からこうしたキノコの祭典であるテルユライド・マッシュルーム・フェスティバルが毎年開催されている[32]。1987年にはガストン・グスマン(多くの菌種を発見)が、著書『シビレタケ属』(未訳 The Genus Psilocybe)にて、467種の約半分223は存在しなかったり類似の種とした。

Psilocybe cubensisはキューバでの発見にちなんだもので、1997年に日本菌学会にて和名がミナミシビレタケに決定されたことが報告された。

日本では、露店でも「観賞用」と称して構わず販売されていたが、2001年に俳優の伊藤英明が摂取して警察が出動する騒ぎを起こすなど社会問題化したため、2002年に規制された。

第3次小泉内閣時の2005年10月に、首相官邸の植栽にヒカゲシビレタケが生えているのが発見された[注 4]。胞子はどこかから飛んで来たか、持ち込んだ土に含まれていたと考えられ、特に不自然なことではない。

2010年代に入りシロシビンによる心理療法の研究から、マジックマッシュルームに期待を込めて言及されることがある[33]。うつ病や、依存症を治療するための臨床試験が進行しており、ロンドンの研究者はシロシビンが薬として利用可能になるのは不可避なことだと考えている[34]

種類

乾燥マジックマッシュルーム(ミナミシビレタケ)。シロシンやシロシビンが酸化により青紫に変色する。
乾燥マジックマッシュルーム(ミナミシビレタケ)。シロシンやシロシビンが酸化により青紫に変色する。
Psilocybe semilanceataは、リバティー・キャップとも呼ばれ、形状がフランス革命の自由の帽子に似ていることが由来。
Psilocybe semilanceataは、リバティー・キャップとも呼ばれ、形状がフランス革命の自由の帽子に似ていることが由来。

マジックマッシュルームの多くは、シビレタケ属 Psilocybeヒカゲタケ属 Panaeolus に属する[2]。400種あるシビレタケ属の1/4が幻覚性であり、100種あるヒカゲタケ属の1/10もそうであり、ヒカゲタケ属の大半は草食動物の糞に生育する[2]。多くの種が存在し、その大きさや形態、生育地、シロシビン含有率は様々である。高熱や圧迫感などを受けると表面に青色をおびる種が多い。

代表的なマジックマッシュルーム
  • ミナミシビレタケ Psilocybe cubensis 北アメリカ南東部、中央、南アメリカ、南アジア、オーストラリア。牧草地、糞にたまに発生[35]。主に熱帯から亜熱帯。
  • リバティーキャップ英語版 Psilocybe Semilanceata 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、ニュージーランドの牧草地、草地によく発生し、たまに糞上に発生する[35]
  • ワライタケ Panaeolus papilionaceus 北中央、南アメリカ、ヨーロッパ、北アフリカ、北アジア、オーストラリア、ニュージーランド、牧草地、草食動物の糞によく発生し、傘が変化に富み、かつては数種に分けられていた[35]
  • オオワライタケ Gymnopilus junonius 糞ではなく木の株に生え、(カシ)、(ナラ)、リンゴ、トネリコの木に生えることが知られる[13]。北南アメリカ、ヨーロッパ、北アフリカ、アジア、オーストラリア、ニュージーランド、林地、広葉樹、まれに針葉樹の、幹、切り株、埋もれた木によく発生[35]。独特の深い臭いがあり、臭いで覚えられる[36]
  • シロシベ・キアネセンス英語版 Psilocybe cyanescens 最もシロシビン含有率が高い。大きなカサを持つ6-8cm程度のキノコ。硬材に発生。

日本

作用

脳の異なる部位が連絡して働く様子を視覚化した図。右:シロシビン影響下にて脳の各部位は多様に連絡しあう。左:通常時。[45]

こうしたキノコには、催幻覚性のシロシンシロシビンが0.03-1.5%の濃度で含有され、熱にも安定しているため破壊除去されないため、調理して摂取されることもある[1]。発作などの重症はきわめてまれで、死亡例もほとんどない[1]

シロシビンは、シロシンのリン酸エステルであり、共に同じ作用があるが、シロシンが酸素によって急速に壊れるのに対し、シロシビンは極めて安定している[46]LSDと共通の化学構造と幻覚作用があるが、作用時間はシロシビン4-6時間に対しLSDのは8時間以上と長く、またこれらはセロトニンに近い構造を持つ[46]

  • 肉体的作用
脱力感、悪寒、瞳孔拡散、嘔気、腹痛などが挙げられる。一般的には、嘔気、腹痛、悪寒は摂取後より1時間ほどで収まる。脱力感は使用時の状況により感じない場合も多いが、多量摂取時には多くの場合それを感じる。
  • 知覚的作用
視覚の歪み、色彩の鮮明化(瞳孔拡散に起因する場合もある)、皮膚感覚の鋭敏化、聴覚の歪みなどが挙げられる。閉眼時にも視覚的な認識があり、何らかの模様や色彩的な変化を感じる。LSDの知覚的作用に良く似ているが、一般的に視覚的な変化はLSDを上回る。
  • 感情的作用
感情の波が激しくなり、摂取者の経験に因る部分もあるが自身での感情のコントロールが難しく、偏執に捕らわれることも多い。基本的には多幸感が伴うが、感情の波がネガティブな方向に向かってしまう薬物経験(いわゆるバッド・トリップ)になるとパニック症状を起こしたり、ネガティブな偏執に捕らわれたりする。効果が消えてからも、摂取経験からくる何らかの偏執に捕らわれることもある。

摂取より1時間ほどで効果が現れ、5時間から6時間ほど持続する。セットとセッティング、つまり摂取時の周りの環境や自分自身の精神状態の良し悪しにより、体験も大きく変わる。

身体依存はないが、大麻と同程度の精神依存がある[1]。アメリカ国立薬物乱用研究所(NIDA)の評価では、大麻はカフェインより低い依存性である[47]。国際統計 (Global Drug Survey) では、マジックマッシュルームは救急医療につながることが最も少ない薬物であり、毒性や乱用の可能性が低かった[34]

成分の合成経路

キノコ中のシロシビンはアミノ酸のトリプトファンから直線的に生合成され、脱炭酸酵素反応PsiD(脱炭酸化)、水酸化酵素反応Pish(ヒドロキシ化)、リン酸化酵素PisK反応(リン酸化)、2回のN-メチル化酵素PsiM反応(メチル化)の順に反応が起こり生成される[48]

栽培

1960年代には栽培法のパンフレットが出回り、1970年代にはテレンス・マッケナらの『マジックマッシュルーム栽培ガイド』Magic Mushroom Growers Guide が出版されるが、その後も続いており、1991年には技術を簡略化した『シビレタケの技』 The Psilocybe Technique、1996年には過酸化水素を減菌した培地を維持する薬品として用いる『キノコの簡単な育て方』 Growing Mushroom Easy Way 、その後の書ではポール・スタメッツの書が有名とされ、インターネット上にも情報が増加している[32]。マッケナの著書では密閉した瓶で栽培するが、後の著書は桶などを使うようになっている。

また、収穫後に乾燥させることについても紙面が割かれている。ハチミツに入れ貯蔵する方法もあるが半年程度で成分が活性を無くす。

法規制

デビッド・ナット薬物に関する独立科学評議会(ISCD)による2010年に『ランセット』に掲載された薬物の相対的な有害性に関する論文。マジックマッシュルームは最下位の有害性である[49]

成分のシロシビンとシロシンは、1971年の向精神薬に関する条約にて最も厳しいスケジュールIに指定されている。その延長で、シロシビンを含有するキノコについての規制は、国の法律により様々である。シロシビン、シロシンを含んでいない胞子に関してはさらに曖昧になっている。

日本
日本ではシロシンおよびシロシビンを含有するキノコを、「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令[50]の第2条で麻薬原料植物として規制対象にしている。
麻薬及び向精神薬取締法では厚生労働大臣の許可なく栽培することが禁じられており、同時に同法では麻薬成分を自然に含む植物を麻薬として扱わない規定が、麻薬原料植物の指定を受けて適用されなくなる。許可なく「輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない」と定められ、違反すれば罰せられる。
1990年代より、サブカルチャー向け雑誌等で脱法ドラッグの一種として紹介されていた。当時は栽培等を規制する法律がなく、またヒカゲタケ属などに属する腐生菌が多いため栽培も容易であり、野放し状態であった。薬として、また食品として販売することはそれぞれ薬事法、食品衛生法に触れるため、「観賞用」等の名目で販売されることが多かった。雑誌の通販などでほそぼそと販売されていたが、インターネットの普及でより広範に販売されるようになった。
2001年には、有名俳優がマジックマッシュルームを摂取して入院するという騒動が発生、社会問題化しつつあった。その際に、販売者は摂取した人の体験談を掲載し「このような症状に陥るため、間違っても食べないようにしてください」と、危険性を訴えているかのように見える表現をしながら、興味を煽るような態度をとった。マジックマッシュルームを摂取すると、人によっては重篤な精神異常が現れて治療が必要になる例も見受けられた。
2002年6月6日に施行された「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」(※公布は5月7日)により麻薬原料植物に指定され非合法化された(この時点では、シロシビン及びシロシンの抽出のみを禁止していた)。しかし、日本国内に自生している種をいくつも含むため、そのような種は人里や山野に自生しているものを容易に観察することができる。一方、キノコの研究者の間からは、
  1. 調査研究用に、自然に生えているものの標本や胞子紋を採集することも不可能になること
  2. ベニテングタケなどのイボテン酸を含むキノコは規制対象になっていないこと
の2点を疑問視する声もある。
現在では、麻薬取扱者のうち麻薬研究者免許の所持者のみがキノコの標本および胞子紋などを取り扱うことができ、彼らは厳重に管理することが義務付けられている。

欧州では、スペインとチェコでは完全に合法である[3]

オランダ
2001年に乾燥マジックマッシュルームの所持、使用が違法化されたが、加工されていない生のマジックマッシュルームは合法のままであった。2007年、オランダ政府は、旅行者などによる事故による、マジックマッシュルームの所持や栽培の違法化を検討し、2008年にマジックマッシュルームの生産と販売を禁止した。代わって、マジック・トリュフが合法的に販売されている[3]
イギリス
2005年に販売が違法となる。(自生するため)新鮮なキノコについてはいまだ合法である[51]。店頭では新鮮なマジックマッシュルームが販売されている[33]
チェコ共和国
胞子は幻覚成分を含まないため合法。2010年に麻薬取締法が緩やかになり、マジックマッシュルーム(40本以下)の所持・栽培が軽罪として罰金を課されるのみになった。
オーストリア
2016年に非犯罪化された。販売は違法である。
アメリカ、カナダ
アメリカのほとんどの州で胞子の所持は合法である[32]
2017年冬の報道では、娯楽的なマジックマッシュルームの使用を非犯罪化するための2018年のカルフォルニア州での住民投票に向けて署名を募っているとのこと[34]。その成分シロシビンがうつ病、依存症などに役立つ可能性があるため役立てたいとのこと[34]。オレゴン州のオレゴン・シロシビン協会 (Oregon Psilocybin Society) は心理療法を行う夫婦によって運営されており、近年の治療研究があるため、監督下で使用するため2020年に投票法案が策定できるよう活動している[52]

注釈

  1. ^ ほかに Psychedelic mushroom, Psilocybe mushroom, Psilocybin mushroom
  2. ^ 原文: 酔ひやせむずらむ
  3. ^ 多聞柱英語版 学名 Echinopsis pachanoi、サン・ペドロとも呼ばれるメスカリン含有サボテンは南米で用いられた。
  4. ^ 正確には、内閣総理大臣官邸玄関脇にあるシラカシに、マジックマッシュルーム数本が発生しているのが発見された。詳しくは、ヒカゲシビレタケを参照。

出典

  1. ^ a b c d 上條吉人 著、相馬一亥(監修) 編『臨床中毒学』医学書院、2009年10月、233-236頁。ISBN 978-4260008822 
  2. ^ a b c ニコラス・P.マネー 著、小川真 訳『キノコと人間 医薬・幻覚・毒キノコ』築地書館、2016年、164頁。ISBN 978-4-8067-1522-1  Mushroom, 2011.
  3. ^ a b c Tom Mulvihill (2015年6月2日). “Eight things you didn't know about magic mushrooms”. Telegraph. http://www.telegraph.co.uk/gardening/grow-to-eat/eight-things-you-didnt-know-about-magic-mushrooms/ 2017年4月12日閲覧。 
  4. ^ テレンス・マッケナ 2003, pp. 53, 56–59.
  5. ^ テレンス・マッケナ 2003, p. 82.
  6. ^ Samorini G. (1992). “The oldest representations of hallucinogenic mushrooms in the world (Sahara Desert, 9000–7000 B.P.)”. Integration 2 (3): 69–78. http://www.artepreistorica.com/2009/12/the-oldest-representations-of-hallucinogenic-mushrooms-in-the-world-sahara-desert-9000-%E2%80%93-7000-b-p/. 
  7. ^ a b c d e A・ホッフマン 1984, p. 127.
  8. ^ a b A・ホッフマン 1984, p. 128.
  9. ^ a b A・ホッフマン 1984, pp. 125–126.
  10. ^ A・ホッフマン 1984, p. 125.
  11. ^ 田中従太郎『佐渡奇談』斎藤長三、1894年、14-15頁http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/767896/18 
  12. ^ 本山荻舟『飲食系図』関書院、1948年、244-246頁http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1065557/131 
  13. ^ a b c d 川村清一『食菌と毒菌』岩波文庫、1931年。100-105、170-172頁。
  14. ^ 宮武外骨『裸に虱なし』文武堂書房、1920年、118-119頁http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/907238/71 
  15. ^ a b 今井三子一新毒菌シビレタケに就きて」『札幌博物学会会報』第12巻第2号、1932年7月10日、148-151頁、NAID 120005905658 
  16. ^ a b c d A・ホッフマン 1984, p. 129.
  17. ^ a b A・ホッフマン 1984, p. 130.
  18. ^ A・ホッフマン 1984, p. 133.
  19. ^ A・ホッフマン 1984, p. 132.
  20. ^ a b c A・ホッフマン 1984, p. 131.
  21. ^ Wasson, Valentina Pavlovna, and R. Gordon Wasson. Mushrooms, Russia and History. 1957.
  22. ^ A・ホッフマン 1984, pp. 133–134.
  23. ^ a b A・ホッフマン 1984, p. 136.
  24. ^ A・ホッフマン 1984, p. 137.
  25. ^ A・ホッフマン 1984, p. 123.
  26. ^ A・ホッフマン 1984, p. 124.
  27. ^ A・ホッフマン 1984, pp. 139–140.
  28. ^ A・ホッフマン 1984, pp. 140–141.
  29. ^ A・ホッフマン 1984, p. 142.
  30. ^ A・ホッフマン 1984, pp. 153, 157.
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参考文献

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  • テレンス・マッケナ 著、小山田義文、中村功 訳『神々の糧(ドラッグ)―太古の知恵の木を求めて』第三書館;、2003年。ISBN 4-8074-0324-9  Food of Gods, 1992
  • A・ホッフマン 著、福屋武人(監訳)、堀正、榎本博明 訳『LSD-幻想世界への旅』新曜社、1984年。  LSD, mein Sorgenkind, 1979.
  • 長沢栄史『日本の毒きのこ』(増補改訂版)学習研究社、2009年。ISBN 978-4-05-404263-6 

外部リンク