「抗うつ薬」の版間の差分
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2007年12月28日 (金) 20:23時点における版
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抗うつ薬(こううつやく)とは、主としてうつ症状を緩和する薬剤である。うつ病、うつ状態、パニック障害、強迫性障害、摂食障害、ある種の不眠、慢性疼痛などに投与される。
主な抗うつ薬
抗うつ薬は、次のような種類がある。
- モノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害薬)
- 副作用により扱いにくく、現在はほとんど使われない。
- 詳細はモノアミン酸化酵素阻害薬を参照
- 三環系抗うつ薬
- 詳細は三環系抗うつ薬を参照
- 四環系抗うつ薬
- 詳細は四環系抗うつ薬を参照
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
- 詳細はSSRIを参照
- セロトニン-ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)再取り込み阻害薬(SNRI)
- 詳細はSNRIを参照
- ドパミン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(DNRI)
日本国内においては未承認である - その他
- リチウム塩の抗うつ作用は国内では承認されていないが、海外では一般的に用いられている。国内では承認されてはいないものの、抗鬱剤の効果が思わしくない場合などに、多くの精神科医が抗鬱剤と併用してリチウム塩(商品名:リーマス)を処方しているのが現状である。
副作用
抗うつ薬が効果を表すのは、セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質に作用するからであるとされている。しかし、三環系や四環系抗うつ薬では、抗コリン作用、抗α1作用なども併せ持っており、そのために以下のような副作用が生じることがある。副作用は薬の種類によって細かく異なる為、注意が必要である。
新しい世代の薬であるSSRIやSNRIではこれらの副作用は少ないが、振戦、吐き気、性欲減退、セロトニン症候群、悪性症候群と言った副作用が報告されている。性欲減退についてはDNRIとの併用で解消できる場合があることが報告されている。
また、年齢に関わりなく、抗うつ薬(特にSSRI)の処方開始直後に、未遂を含めた自殺のリスクが上昇するという報告があり、アメリカ食品医薬品局(FDA)から警告が発せられた[1]。これは機序不明であるが、余りにも重症で自殺を行う意欲すらなかった患者が部分的に改善することで、自殺を図るエネルギーを得てしまうという説や、また、SSRIは受容体のダウンレギュレーションを行う為、開始直後には一時的にうつ病の症状が悪化するなどという説がある。
さらに、うつ状態を呈する患者に抗うつ薬を投与した後に、躁状態を惹起することが(疫学上の反証があるものの)経験上知られており、躁状態が顕著でない場合、とりわけ双極II型と単極性うつ病の鑑別を要する。
重要な警告
抗うつ剤を「ハッピードラッグ」と称し、前向きに生きる気分を持つ事を目的として服用する例が、近年増加している。しかし抗うつ剤はその作用の複雑さから、必ず専門医による判断に基づいた処方が必要である。安易な服用は本来の脳の機能を失調し、深刻な副作用を招くことが有るので避けるべきである。
抗うつ剤を使用しない治療方法
抗うつ薬が投与されるのは主にうつ病、うつ状態の患者に対してである。しかし、これらの疾患の治療は薬物療法のみではない。軽症の場合には精神療法のみを行われる場合もあるし、より重症であっても、薬物療法以外の治療を併用することは有効である。ただし、余りにも症状が重い場合は、無理に精神療法などを行うことは逆効果であり注意を要する。いずれにせよ、精神科医の指示のもとで行われることが絶対である。
薬物療法以外の治療法の例
- 認知療法・行動療法
- カウンセリング
- 電気けいれん療法(ECT)
- ソーシャル・スキルの習得
- 運動療法
- 趣味などによる欲求の健全な解消法の習得
- 音楽療法
- 近年セント・ジョーンズ・ワート等ハーブの利用等にも注目が集まっている(ただし、抗うつ薬を含む様々な薬において、併用すると薬の効果を減弱させてしまうことが判明している。薬を服用中の患者は注意が必要である。)
脚注
- ^ http://www.fda.gov/cder/drug/advisory/SSRI200507.htm FDAの自殺念慮とSSRIの関連についての勧告