硫化水素アンモニウム

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硫化水素アンモニウム
識別情報
CAS登録番号 12124-99-1 チェック
ChemSpider 23805 チェック
RTECS番号 BS4900000
特性
化学式 H5NS
モル質量 51.111 g/mol
外観 黄橙色の発煙液体
密度 1.17 g/cm3[1]
への溶解度 任意に混和
溶解度 soluble in アルコール、液体アンモニア、液体硫化水素に可溶; ベンゼンヘキサンエーテルに不溶
屈折率 (nD) 1.74
危険性
主な危険性 毒性
NFPA 704
3
3
0
Rフレーズ R11, R23, R24, R25.
半数致死量 LD50 168 mg/kg (rat, oral)[2]
関連する物質
その他の陰イオン 硫化アンモニウム
その他の陽イオン 硫化水素ナトリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

硫化水素アンモニウム(りゅうかすいそアンモニウム、英語: ammonium hydrosulfide)は、(NH4)SH の化学式で表される化合物である。アンモニウムイオン硫化水素イオンに由来するである。無色水溶性で雲母状の結晶となる。固体ではなく主に水溶液として存在する。硫化水素アンモニアを混合することで生成する。

生成[編集]

硫化水素アンモニウムの水溶液は、濃いアンモニア水溶液に硫化水素を通すことで生成する[3]。1895年の詳しい報告によると、硫化水素は室温で濃アンモニア水溶液と反応し、(NH4)2S・2NH4HS を生成した。この物質を0 ℃に冷却し、さらに硫化水素を加えると (NH4)2S・12NH4HS が得られた[4]。これを0 ℃に保ち、硫化水素を通し続けると硫化水素イオンを含む化合物が生成した。

一般的な悪臭弾は、硫化水素アンモニウムの水溶液である。この混合物は容易にアンモニアと硫化水素に分解する。この反応は次の式で表せる。

アンモニアも硫化水素も強烈な悪臭を発する。

出典[編集]

  1. ^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0-07-049439-8
  2. ^ Record of ammonium hydrosulfide 労働安全衛生研究所(IFA)英語版発行のGESTIS物質データベース, accessed on October 22, 2010
  3. ^ Goodman, J. T.; Rauchfuss, T. B., (2002). “Tetraethylammonium-tetrathioperrhenate [Et4N][ReS4]”. Inorganic Syntheses 33: 107–110. 
  4. ^ W. P. Bloxam (1895). “The Sulphides and Polysulphides of Ammonium”. J. Chem. Soc., Trans. 67: 283. doi:10.1039/CT8956700277.