「Max Payne 2: The Fall of Max Payne」の版間の差分

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{{Infobox video game
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|Title = Max Payne 2:<br/>The Fall of Max Payne<br/>マックスペイン2<br/>ザ・フォール・オブ・マックスペイン
| title = Max Payne 2: The Fall of Max Payne
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|Genre = [[アクションアドベンチャー]]
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| director = Markus Mäki
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『'''MAX PAYNE 2: The Fall of Max Payne'''』は、[[レメディー・エンターテインメント]]開発<ref>{{Cite web|title=東京レトロゲームショウ2015:第28回 「Max Payne 2: The Fall of Max Payne」で,時間よ止まれ|url=https://www.4gamer.net/games/301/G030139/20151118049/|website=www.4gamer.net|accessdate=2020-04-12|language=ja|first=Aetas|last=Inc}}</ref>、[[3D Realms]]監修、[[ロックスター・ゲームス]]と[[テイクツー・インタラクティブ]]より発売された3Dアクション[[シューティングゲーム]]。[[マックスペインシリーズ]]第2作目。前作『[[マックスペイン]]』は日本でも発売されたが、今作は日本版が発売されていない<ref>{{Cite web|url=https://www.famitsu.com/news/201112/14006994.html|title=『マックス・ペイン』シリーズの歴史を紹介――第1作目のモバイル版発売も決定|accessdate=2020年4月12日|publisher=ファミ通公式サイト}}</ref>。


『'''Max Payne 2: The Fall of Max Payne'''』(マックス・ペイン2:ザ・フォール・オブ・マックス・ペイン)は、2003年にリリースされた[[サードパーソン・シューティングゲーム]]で、[[マックスペインシリーズ]]の第2作目。制作は[[レメディー・エンターテインメント]]、販売は[[ロックスター・ゲームス]]。前作『[[マックスペイン]]』から2年後、ニューヨーク市警の刑事に復職したマックス・ペインを主人公とし、過去の悪夢に悩まされながらも活躍する中で、女暗殺者モナ・サックスとの不意の再会をきっかけに、再び死と裏切りに満ちた陰謀に巻き込まれる。そして解決のために警察を裏切り、彼女と共に歩むかの選択を迫られる。
== ゲームシステム ==
『マックスペイン』のゲームシステムとほぼ同じ。バレットタイム時に敵を倒さないと0.6倍速だが、敵を倒すと砂時計の色が白から黄色に変わっていき最高0.2x3倍速になる。0.2x3倍速というのは、敵は0.2倍で動くのだがMaxは0.6倍速で動けるという事である。


ゲームシステムは前作を踏襲しており、プレイヤーは様々な武器と[[バレットタイム]]能力を使い、襲いかかる敵を倒していく。また、一部のステージではプレイヤーは主人公マックスに代わってモナを操作する。本作では前作の特徴であったバレットタイムが強化され、より多くの敵を倒すことで移動速度が上がり、銃器のリロードも瞬時に行えるように改良されている。[[物理エンジン]][[Havok]]の採用により、[[ラグドール物理]]による制御も向上している。また、ストーリー面では従来のカットシーンの演出も踏襲されており、ボイスオーバー付きのコマ割りされた[[グラフィックノベル]]の絵で物語展開が説明されていく。前作が[[北欧神話]]や[[ハードボイルド]][[探偵小説]]を下敷きにしていたのに対し、本作では[[フィルム・ノワール]]に見られるような悲恋劇が中心となっており、マックスとモナの関係が物語のテーマとなっている。
バレットタイムの時間は敵を倒すと回復するだけでなく、時間によっても回復するようになった<ref>{{Cite web|url=https://www.4gamer.net/review/max2/max2.html|website=www.4gamer.net|accessdate=2020-04-12|title=Max Payne 2:The Fall of Max Payne|publisher=}}</ref>。強制バレットタイムの回数が少なくなり、ライフが簡単に減らなくなった。また前作ではステージの途中、!マークが出たらグラフィックノベルが出てゲームが中断されたが2ではグラフィックノベルではなくリアルタイムレンダリングムービーであり途中でゲームを止めることがなくなった。


2003年10月にWindows版がリリースされた後、同年11月にXbox版、12月にPlayStation 2版がリリースされた。
その他手榴弾や火炎瓶は二次武器として選択できSecondary Attackキーで即投げられるようになり、バレットタイム中にリロードするとリロードアクションが入りすぐ弾をこめる事が出来る。ちなみにバレットタイム中の砂時計が黄色の時にリロードアクションを行うと、[[モーションブラー]]がかかるのと同時にカメラがマックスの周りを一回転する。


本作も前作と同様に、批評家からそのアクションとストーリーが高い評価を受け、史上最高のテレビゲームの1作に挙げられる。一方で、プレイ時間の短さを批判する声もあった。2004年度のゴールデン・サテライト・アワードのアウトスタンディング・アート・ディレクション、GamePro、IGN、GameSpyのエディターズ・チョイス・アワードなど、いくつかの業界賞を受賞した。好評を博したものの、売上は悪く、ロックスター・ゲームスの親会社である[[テイクツー・インタラクティブ]]は、2004年の同社の財務状況予測の修正を余儀なくされた原因として本作を挙げている。
== ストーリー ==
1作目の後、ニューヨーク市警の刑事に戻ったマックス・ペインが同じく1作目に登場したモナという女性と再会し、再び事件に巻き込まれていく。


2012年5月に続編『[[マックスペイン3]]』がリリースされた。また2022年にはリメイク版が開発中であることが発表された。
== 武器 ==

*'''Melee''' - 銃の台尻で殴る。銃を持っている時にしか使えない。ドアの前で敵を待ち伏せしこれをやると結構Meleeが強いのが分かる。
== ゲーム内容 ==
*'''Molotov Cocktail''' - [[火炎瓶]]。可燃性の液体を瓶につめ、火をつけてなげる。
本作は[[サードパーソン・シューティングゲーム]]で、プレイヤーは前作と同様に主人公マックス・ペインを操作する。ゲーム内容も前作と同様に、直線的(リニア)な複数のステージを攻略していく形であり、物語展開としては3つの章(チャプター)で構成される。第2章及び第3章の一部のステージではマックスではなく、本作のヒロインであるモナ・サックスを操作することになる。
*'''Grenade''' - [[手榴弾]]。火炎瓶と違い壁に撥ね返させることもできる。
ゲーム開始時において主人公は拳銃のみを所持しているが、進行に応じて他のハンドガン、ショットガン、サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフル、手投げ武器など、より強力な武器を使用できるようになる。プレイヤーは幕間におけるマックスの心中の独白を通じて、次の目標を知らされる<ref name=manual>{{cite book |title=Max Payne 2 instruction manual |publisher=Rockstar Games |date=15 October 2003 }}</ref>。
*'''9mm Pistol''' - [[ベレッタ]][[ベレッタM92|M92FS]]、9mm弾を16発装填できるセミオートマチック[[ピストル]]。今作では、なぜかBerettaという名前ではなくなりブローバックもしなくなった。敵が弱くなり入手できる弾の数も多いため、一定ステージを除き最後まで使える銃。

*'''Dual 9mm Pistols''' - 9mm Pistolをもう一丁手にいれ二丁持ちしたもの。
本作も前作と同様に「[[バレットタイム]]」システムが採用されている。バレットタイム中は、画面はセピア調に変化し、時間の流れが遅くなる。使用はバレットタイムゲージで管理され、バレットタイム中はゲージが徐々に消費され、プレイヤーが任意で終了するか、ゲージが0になるとバレットタイムは終了する。ゲージは通常時に敵を倒すことで回復する。飛び込みジャンプなどで宙に浮いた状態でもバレットタイムが発動するが、この時はゲージは消費されない(シュート・ドッジ)。またバレットタイム中の効果をシミュレーションする「シュート・ドッジ・マヌーバ」という機能もある。他に戦闘システムの改良面では、マックスに手榴弾や火炎瓶などの副武器を持たせることができ、近接状態では拳銃で殴ることもできるようになった。またNPCがマックスを支援に来ることもあるが、彼らの死がゲームプレイやストーリーに影響を与えることはない<ref name=eurogamer/>。
*'''Desert Eagle''' - [[イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ|IMI]] [[デザートイーグル]]、.357マグナム弾を10発装填できる大型セミオートマチックピストル。

*'''Dual Desert Eagles''' - Desert Eagleをもう一丁手に入れ二丁持ちしたもの。集弾性が良くなくあまり使う事はない。
本作の難易度は初回時は1つだけである。ただし、ゲームオーバー回数が多いなどプレイヤーにとって難易度が高すぎる場合は自動調整される。例えば敵AIが弱められ、鎮痛剤によるライフゲージの回復量も上がる。1度クリアすると他の難易度と、2つの特殊モード「New York Minute」と「Dead Man Walking」がアンロックされる<ref name=gamezone-pc>{{cite web |access-date=19 December 2008 |url=http://pc.gamezone.com/gzreviews/r20516.htm |archive-url=https://web.archive.org/web/20081225163756/http://pc.gamezone.com/gzreviews/r20516.htm |archive-date=25 December 2008 |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne (PC) |publisher=GameZone |date=15 October 2003}}</ref>。「New York Minute」は各ステージのクリア時間を基に獲得したスコアを競うモードである。「Dead Man Walking」は5つのステージのいずれかにおいて、無限にリスポーンする敵を撃破し、できるだけ長く生き延びることを目指すモードである<ref name=eurogamer>{{cite web |access-date=19 December 2008 |url=http://www.eurogamer.net/articles/r_maxpayne2_pc |title= Max Payne 2: The Fall Of Max Payne Review |publisher=Eurogamer |date=20 October 2003 |author=Reed, Kristan}}</ref>。
*'''Sawed-Off Shotgun''' - 12ゲージバックショット弾薬を2発装填できる水平二連の[[散弾銃|ショットガン]]を切り詰めたもの。前作ではあまり使い物にならなかったソードオフも2ではバレットタイムと組み合わせる事で使い物になる。

*'''Pump-Action Shotgun''' - [[レミントン]][[レミントンM870|M870]]、12ゲージバックショット弾薬を7発装填できるポンプアクションショットガン。前作より使い勝手が向上している。
== プロット ==
*'''Striker''' - [[RDI ストライカー12]]、12ゲージバックショット弾薬を10発装填できるセミオートマチックショットガン。実際のストライカー12は12発装填できる。Pump-Action Shotgunより威力は弱いが連射速度は速い。
{{seealso|マックスペイン#プロット}}
*'''Ingram''' - [[イングラムM10|Mac10]]、.45ACP弾を32発装填できる[[サブマシンガン]]。集弾性は悪く弾をばら撒く感じである。

*'''Dual Ingrams''' - Ingramをもう一丁手に入れ二丁持ちしたもの。
前作から2年後。マックス・ペインは、秘密結社「インナーサークル」の力によって無罪となり、ニューヨーク市警の刑事として復帰していた。本作ではマックスがここ数日のうちに起きた出来事を回想するという形で進む。
*'''MP5''' - [[ヘッケラー&コッホ|H&K]] [[MP5|MP5A3]]、9mm弾を30発装填できるサブマシンガン。集弾性も良く光学式スコープもついている為、遠距離の敵にも対応できる。実はゲーム中に登場するモデルが民間向きのHK94の改造品になっている。

*'''Kalashnikov''' - [[56式自動歩槍]]([[AK-47]])、7.62mmx39弾を30発装填できるロシア製[[アサルトライフル]]。序盤から登場しており、最初から最後まで使やすい銃。
銃撃を受けて病院に入院していたマックスは数人の暗殺者たちによる襲撃を受ける。マックスはそれを逃れながら、病院内を移動し、最終的に死体安置所にたどり着く。そこでマックスは、最近自分が殺した女性の遺体を見つける。ここで物語はさらに数日前の夜にまで遡る。
*'''M4 Carbine''' - [[コルト・ファイヤーアームズ|コルト]][[M4カービン|M4A1]]、5.56mmx45弾を30発装填できるアサルトライフル。威力はKalashnikovより多少落ちるが、集弾性と連射速度はKalashnikovより上。

*'''Sniper Rifle''' - [[ステアー|Steyr]] [[ステアーSSG|SSG69]]、7.62mmx51弾を5発装填できるボルトアクション[[スナイパーライフル]]。スコープを使って射撃をすると弾の後追い視点に変わる。
ロシアンマフィアのボスで、友人でもあるウラジミール・レム(ヴラド)が所有する倉庫で起きた銃撃戦を捜査していたマックスは、倉庫内の銃器を狙ってやってきた殺し屋集団「クリーナー(掃除屋)」と出くわし、返り討ちにする。さらに前作の事件で死んだと思われていた女殺し屋のモナ・サックスとも偶然再会する。マックスはクリーナーについてヴラドから事情を聞き出そうとアジトである彼のレストランに向かうが、現在のニューヨーク・マフィアのアンダーボスで、マックスとも因縁があるヴィニー・ゴニッチの襲撃を受けており、ヴラドを助け出す。ヴラドによれば、ヴィニーは闇市場の銃取引を独占しようとしており、競合者のヴラドを排除しようとしているのだという。
*'''Dragunov''' - [[PSL狙撃銃]]、7.62mmx54R弾を10発装填できるセミオートマチックスナイパーライフル。このゲームではDesert Eagleなみの連射性能であり近距離戦でも使えるのと同時に、スコープを使って狙撃をしても弾の後追い視点はない。スコープには目標までの距離を測る目盛りがあるがこのゲームでは飾りにすぎない。

自宅アパートでクリーナーの襲撃を受けたマックスは、モナが関係していると見て彼女を追跡する。その結果、クリーナーがインナーサークルを知る者を殺していることに気づく。マックスはクリーナーに殺害された上院議員の死体を発見するが、ニューヨーク市警は議員殺しの犯人としてモナを指名手配し、逮捕する。警察署内でマックスは、同僚の女刑事ヴァレリー・ウィンターソンが電話で誰かとモナについて会話している声を耳にする。その時、モナを狙ってクリーナーが警察署を襲撃し、マックスはやむを得ず彼女を脱出させ、彼女のアジトに逃げる。アジトでもクリーナーの襲撃を受けると、2人は協力して黒幕を見つけ出し、事件を解決することを決める。

マックス達は、見つけ出したクリーナーのアジトを襲撃して殲滅したところで、現場にヴァレリーがやってくる。ヴァレリーはマックスに逃亡犯のモナを逮捕するためというが、モナは彼女は自分を殺そうとしていると訴える。悩んだ結果、マックスはモナを逃すことを決め、ヴァレリーと撃ち合いになる。ヴァレリーは死ぬが、マックスも重傷を追う。ここで物語の時間軸は冒頭の病院に戻り、女性の遺体はヴァレリーであり、マックスが入院していた理由、襲撃者がクリーナーであることなどがプレイヤーに明かされる。

クリーナーを返り討ちにしたマックスは、インナーサークルの指導者で、実は上院議員であったアルフレッド・ウォーデンの元に向かう。そこで実はヴラドもインナーサークルのメンバーであり、彼が結社とニューヨーク裏社会の両方を牛耳ろうとし、クリーナーを雇っていた黒幕であったことが判明する。急ぎヴラドのレストランに向かうが、彼はヴィニーを殺すために出発した後であった。また、そこでマックスはヴァレリーがヴラドの愛人で、彼のために捜査情報などを流していたことなどを知る。

ヴラドの部下に襲撃されていたヴィニーを助けたマックスは、モナの隠れ家に向かう。しかし、先を読んでいたヴラドの待ち伏せに遭い、ヴィニーは射殺され、マックスは負傷する。モナに助けられたマックスは2人でウォーデンの屋敷に避難する。襲撃してきたヴラドの部下を返り討ちにしたところで、実はヴラドに内通していたモナが裏切る。しかし、彼女はマックスを殺すことができず、彼に抱いた感情に気づく。それを知ったヴラドはモナを撃ち、対峙したウォーデンを殺害する。燃える屋敷の中で、マックスはヴラドと戦い、彼を殺す。

警察が駆けつける中、致命傷を負っていたモナはマックスの腕の中で息を引き取る。マックスは悲劇に折り合いをつけ、次に進むことを決意する。ただし、最高難易度でアンロックされる別エンディングでは、モナは一命を取り留め、マックスにキスして終わる。

== 開発 ==
[[File:Sam Lake.jpg|thumb|upright|前作・今作と脚本を担当した[[サム・レイク]]は前作でのマックスの容姿のモデルであった。|alt=Sam Lake]]

2001年12月5日、[[テイクツー・インタラクティブ]]は、[[レメディー・エンターテインメント]]と3D Realmsから、マックス・ペインに関する知的財産権(IP)を現金1000万ドルと株式97万株で買収し、続編となる『マックス・ペイン2』を販売する計画であることをプレリリースした<ref>{{cite web |access-date=31 January 2009 |url=http://www.take2games.com/index.php?p=pr&release=Max%20Payne%202%20Announced%20by%20Take-Two&page=1 |title=Take-Two Interactive Software, Inc. Announces Max Payne 2 is in Development |publisher=Take-Two Interactive |date=5 December 2001 }}</ref>。
その後、2002年5月22日にテイクツーはレメディー・エンターテインメントと3D Realmsに『マックス・ペイン2』の開発奨励金として、最大800万ドルを支払うことに合意したと発表した<ref>{{cite web |access-date=5 February 2009 |url=http://legacy.3drealms.com/press/max2announced.html |title=Take-Two Interactive Software, Inc. Announces Max Payne 2 Is In Development |publisher=3D Realms |date=22 May 2002 }}</ref><ref>{{cite web |access-date=21 December 2008 |url=http://www.gamespot.com/pc/action/maxpayne2/news.html?sid=2869750 |title=Max Payne 2 worth $8 million? |publisher=GameSpot |date=6 June 2002 |author=Walker, Trey }}</ref>。
そして2003年9月3日にテイクツーは、続編が2003年10月15日に発売予定であると正式発表した<ref>{{cite web |access-date=5 February 2009 |url=http://ir.take2games.com/phoenix.zhtml?c=86428&p=irol-newsArticle&ID=444953&highlight= |title=Take-Two Interactive Software, Inc. Reports Record Third Quarter Fiscal 2003 Financial Results |publisher=Take-Two Interactive |date=3 September 2003 }}</ref>。

前作において主人公マックスの外見デザインは、ゲームの脚本を担当した[[サム・レイク]]がモデルであったが、本作にあたってはプロの俳優である{{仮リンク|ティモシー・ギブス|en|Timothy Gibbs}}に変更された。声優は引き続き{{仮リンク|ジェームズ・マカフリー|en|James McCaffrey (actor)}}が担当した<ref name=edge>{{cite web |author=''Edge'' Staff |title=Max Payne turns 20: Remedy Entertainment looks back on the making of its iconic action game |url=https://www.gamesradar.com/making-of-max-payne-20th-anniversary/ |website=gamesradar |access-date=18 July 2022 |language=en |date=23 July 2021}}</ref>。
プロットは、前作と同様にレイクが行い、マックスの役割に最も適しているとして、「[[フィルム・ノワール]]的なラブストーリー」とすることが決まった。レイクは、ストーリーが新境地を切り開くことに期待し、「少なくとも正しい方向への一歩だ。ゲームやゲームの中で展開される物語に、新しく、予想もつかない題材があることを期待したい」と語っている<ref name=ign-pain/>。
レイクは古典的フィルム・ノワールに見られる基本かつ典型的なジャンル要素は、物語を語る上で「大きな役割を果たす(can go a long way)」と述べ、敵対的で犯罪に満ちた都市、大雨の深夜に始まる物語、運の悪いシニカルでハードボイルドな刑事といった例を挙げた。レイクはマックス・ペインの続編を書くことを、「それ自体が芸術である」とみなした<ref name=ign-pain/>。
設定とキャラクターは既に確立しているために、レイクは続編のメイン目標を「良いものは残し、あまり良くないものを修正する」こと、そして物語を意外な方向に引っ張っていくことに決めた。脚本は前作の3倍もの長さとなった。レイクは、より複雑なストーリーがゲームにおけるリプレイ性の価値を高めると考えた<ref name=ign-pain>{{cite web |access-date=22 December 2008 |url=http://pc.ign.com/articles/450/450824p1.html |archive-url=https://web.archive.org/web/20030922100309/http://pc.ign.com/articles/450/450824p1.html |url-status=dead |archive-date=22 September 2003 |title=Max's Pain |publisher=IGN |date=19 September 2003 }}</ref>。

前作と同様に本作のカットシーンの演出には、ボイスオーバー付きのコマ割りされた[[グラフィックノベル]]が採用されている。これはよくあるフルアニメーションのシネマティクスよりも効果的であり、コストも減らせると判断されてのものであった。また、その解釈をプレイヤーに委ねることによって「そのニュアンスは読み手の頭の中にある(中略)ゲーム内のプリレンダリングのシネマティクスでさえ、そのレベルに達するのははるかに困難であろう」と指摘している<ref name=edge/>。
加えてゲームの開発中にはプロットの変更が生じた場合にもコミックのコマ割を再編することは容易だとわかった<ref name=edge/>。

本作の開発で用いられた[[ゲームエンジン]]は、前作のものと同じであるが、いくつか重要な改良が施されたものである<ref name=mobygames>{{cite web |access-date=21 December 2008 |url=http://www.mobygames.com/game/windows/max-payne-2-the-fall-of-max-payne |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne |publisher=MobyGames }}</ref>。
本作は[[DirectX]] 8.1 のみのサポートであったが、反射、屈折、シェーダー、ゴーストなどの効果を最適利用することで、DirectX 9 の性能に近づけていた。開発者はエフェクトが上手く使われていたマックスの明晰夢のシーンを分析していた。このシーンでは画面や焦点がぼやけたように見える演出がなされていた。ポリゴン・カウント(1フレームにレンダリングされるポリゴン数)を増加させることでキャラクターモデルのエッジを滑らかにしていた<ref name=inq-graphics>{{cite web |access-date=21 December 2008 |url=http://www.theinquirer.net/inquirer/news/1029508/max-payne-magnificent-graphics |archive-url=https://web.archive.org/web/20110611182804/http://www.theinquirer.net/inquirer/news/1029508/max-payne-magnificent-graphics |url-status=unfit |archive-date=11 June 2011 |title= Max Payne 2 has magnificent graphics |work=The Inquirer |date=2 November 2003 |author=Abazovic, Fuad }}</ref>。
また、キャラクターの表情表現の幅が格段に広げられていた。前作ではマックスの表情は1つしかなかったが、本作においては、しばしばニヤニヤと笑ったり、眉を動かすなどして様々な状況に応じた表情を見せることができた<ref>{{cite web |access-date=21 December 2008 |url=http://pc.ign.com/articles/433/433505p1.html |archive-url=https://web.archive.org/web/20030815093332/http://pc.ign.com/articles/433/433505p1.html |url-status=dead |archive-date=15 August 2003 |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne |publisher=IGN |date=13 August 2003 |author=Butts, Steve }}</ref>。

本作では[[物理エンジン]]に「[[Havok]]」が用いられ、開発者によれば「私たちのニーズに対して最適なソリューション」という理由で選択された<ref name=gamespot-qa/>。
本作の特徴である戦闘シーンを「よりリアルに、よりドラマチックに、より映画の様なアクションで」作るには専用の物理エンジンが不可欠であることに気がついたという<ref name=gamespot-qa/>。
物理エンジンにより、いくつかの状況がよりリアルに見せることができるようになった。例えば、戦闘中にプレイヤーは箱の後ろに隠れることができるが、敵の弾丸が箱に当たるとそれが倒れ、プレイヤーは別の遮蔽物に身を隠すために動かなければならない。また敵が壁を遮蔽物として隠れている場合には、その横に手榴弾を投げて弾き飛ばすことで、無防備な状態に追い込むことができる<ref name=gamespot-qa>{{cite web |access-date=21 December 2008 |url=http://www.gamespot.com/pc/action/maxpayne2/news.html?sid=6075506 |title=Max Payne 2 Q&A, exclusive media |publisher=GameSpot |date=19 September 2003 |archive-date=3 November 2012 |archive-url=https://web.archive.org/web/20121103073942/http://www.gamespot.com/news/max-payne-2-qanda-exclusive-media-6075506 |url-status=dead }}</ref>。
Havokエンジンは、武器、爆弾、火炎瓶がより自然に動作するように調整され、音響もよりリアルに聞こえるように調整されている。新しい物理エンジンは前作では不可能であった特定の動作も可能にした。箱を動かして重力の作用を受けさせたり、爆発によって吹き飛んだ敵の身体を自然に落下させたりすることが可能になっていた<ref name=inq-graphics/>。

『マックス・ペイン』の特徴として知られた「[[バレットタイム]]」についても改良が行われ、開発サイドではこれを「バージョン2.0」と呼んでいた<ref name=inq-graphics/>。
スローモーションになることで、敵をより簡単に倒すことが可能となるこのモードでは、倒すたびにバレットタイムゲージが一部回復し、連続で敵を殺すことが容易になると同時に、時間経過がさらに遅くなるように強化された。これは敵と距離をとって安全な場所から待ち伏せするのではなく、危険な状況に自ら積極的に呼び込ませるプレイを促すためのものであった。リロードアニメーションも一新され、バレットタイム中にリロードすると、マックスが敵の銃撃を避けるために身を屈め、カメラが回転することで戦闘状況を確認しやすくしたり、短い一時停止状態となってプレイヤーが攻略法を考える時間猶予が与えられるといったことが可能となった<ref>{{cite web |access-date=22 December 2008 |url=http://pc.ign.com/articles/453/453588p1.html |archive-url=https://web.archive.org/web/20031018011820/http://pc.ign.com/articles/453/453588p1.html |url-status=dead |archive-date=18 October 2003 |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne |publisher=IGN |date=7 October 2003 |author=Butts, Steve }}</ref>。
本作ではロックスター・ゲームスとレメディー・エンターテインメントが、開発ツールを公開することによって、プレイヤーがゲームを改造することもできた。こうした改造では、新しい武器やスキル、視点、環境、キャラクターを追加するなど、いくつかの機能を実行することができた<ref>{{cite web |access-date=21 December 2008 |url=http://www.rockstargames.com/maxpayne2/mods/index.htm |archive-url=https://web.archive.org/web/20090430123736/http://www.xbox.com/en-US/games/m/maxpayne2/20090424-payneoriginal.htm |archive-date=30 April 2009 |title=Max Payne 2 Mod Info |publisher=Rockstar Games }}</ref>。

音楽面では前作でも担当した作曲家のKärtsy HatakkaとKimmo Kajastoが制作を行った。ApocalypticaのメンバーであるPerttu Kivilaaksoによるチェロが特徴である。エンドクレジットの曲は、サム・レイクが作詞したバンドPoets of the Fallの『Late Goodbye』である。この楽曲は彼らのファーストシングルであり、フィンランドのシングルチャートで14位<ref name="charts">{{cite web|url=http://finnishcharts.com/showitem.asp?interpret=Poets+Of+The+Fall&titel=Late+Goodbye&cat=s|website=www.finnishcharts.com|title=POETS OF THE FALL - LATE GOODBYE (SONG)|access-date=20 January 2018}}</ref>、Radio Suomipopのトップ30チャートで1位を獲得した<ref name="suomi">{{cite web|url=http://www.poetsofthefall.com/news/9_late_goodbye_hits_no_1/|title=Late Goodbye hits no. 1|archive-url=https://web.archive.org/web/20071007114654/http://www.poetsofthefall.com/news/9_late_goodbye_hits_no_1/ |date=8 May 2004|archive-date=7 October 2007|access-date=20 January 2018|website=poetsofthefall.com}}</ref>。
ゲーム中にも何度も登場し、多くはキャラクターが歌ったり、鼻歌で流れる。

== 評価 ==
{{Video game reviews
| MC = PC: 86/100<ref name=metacritic-pc>{{cite web |url=https://www.metacritic.com/game/pc/max-payne-2-the-fall-of-max-payne |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne for PC Reviews |publisher=[[Metacritic]] |access-date=17 December 2008 }}</ref><br />XBOX: 84/100<ref name=metacritic-xbox>{{cite web |url=https://www.metacritic.com/game/xbox/max-payne-2-the-fall-of-max-payne |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne for Xbox Reviews |publisher=[[Metacritic]] |access-date=17 December 2008}}</ref><br />PS2: 73/100<ref name=metacritic-ps2>{{cite web |url=https://www.metacritic.com/game/playstation-2/max-payne-2-the-fall-of-max-payne |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne for PlayStation 2 Reviews |publisher=[[Metacritic]] |access-date=17 December 2008}}</ref>
| 1UP = PC: B−<ref name=1up>{{cite web |access-date=19 December 2008 |url=http://www.1up.com/reviews/max-payne-2 |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne (PC) |publisher=1UP |author=1UP Staff |url-status=dead |archive-url=https://web.archive.org/web/20110524033523/http://www.1up.com/reviews/max-payne-2 |archive-date=24 May 2011 |df=dmy-all }}</ref>
| GSpot = PC: 9.0/10<ref name=gamespot>{{cite web |access-date=19 December 2008 |url=http://www.gamespot.com/pc/action/maxpayne2/review.html |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne Review |publisher=GameSpot |date=16 October 2003 |author=Kasavin, Greg}}</ref>
| GSpy = PC: 5/5<ref name=gamespy>{{cite web |access-date=19 December 2008 |url=http://archive.gamespy.com/reviews/october03/maxpayne2pc/ |title=Max Payne 2: The Fall Of Max Payne (PC) |publisher=GameSpy |date=20 October 2003 |author=Kosak, Dave}}</ref>
| GameZone = XBOX: 9.3/10<ref name=gamezone-xbox>{{cite web |access-date=19 December 2008 |url=http://xbox.gamezone.com/gzreviews/r20516.htm |archive-url=https://web.archive.org/web/20081207054433/http://xbox.gamezone.com/gzreviews/r20516.htm |archive-date=7 December 2008 |title=Max Payne 2: The Fall of Max Payne (Xbox) |publisher=GameZone |date=25 November 2003}}</ref>
| IGN = PC: 9.4/10<ref name=ign>{{cite web |access-date=19 December 2008 |url=http://pc.ign.com/articles/455/455259p1.html |archive-url=https://web.archive.org/web/20031204234527/http://pc.ign.com/articles/455/455259p1.html |url-status=dead |archive-date=4 December 2003 |title=Max Payne 2 Review |publisher=IGN |date=16 October 2003}}</ref>
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| rev5 = ''[[The Sunday Times]]''
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}}

本作は批評家から高く評価された。特にアクションとストーリー面で称賛を受け、一方で批判点としてはその短さに言及された。

オーストラリアのダイアリー・テレグラフ紙のスティーブ・ポラクは、前作も楽しんだとした上で「初代の魅力的な部分であった雰囲気やガンプレイ重視のアクションが生きている」、「傑出した」ゲームであると称賛した。前作と比較して、より洗練されたストーリー、よりプロフェッショナルな脚本、より優れた演技とグラフィックなど、制作価値が向上していると評している。また、マックスという複雑なキャラクター像は、しばしばゲームの主人公が単純化されたものだと感じていたポラクにとって歓迎する要素であった<ref name=dailytelegraph/>。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙のダン・トゥースは「残酷だが美しい銃撃戦ゲーム」と評している<ref name=smh/>。

ニュージーランド・ヘラルド紙のジョン・ミニフィは、ストーリーを高く評価し、「よく練られたノワールなストーリーを持ち、エンターテイメント性の高いダークな三人称シューティングだ」と評した。さらにレメディ社が、コンソール、特にXboxへの移植に成功したと評価し、PC版と同等のビジュアルであったことに着目している。しかし、PlayStation 2への移植版については「まあまあの仕事」と評し、その結果「かなり目に優しくない」品質で、より強力なプラットフォームには負けると断言した<ref name=nzherald/>。
サンデー・タイムズ紙のスティーブン・プールは、「(前作と)まったく同じで、改良されただけ」と評し、最終的に「面白いが、衝撃的ではない」と述べている。この中では物理エンジンのおかげで、弾丸が当たった敵の反応が説得力のあるものになったと評価している<ref name=sundaytimes/>。

トロント・サン紙のスティーブ・ティリーは、レメディ社が「素晴らしい仕事(killer job)」を行ったとし、前作の優れた点を維持しながら「他のすべてが調整・オーバーホール・強化(juice up)されている」としている。彼は前作のバレットタイムのファンであったがために、続編での「さらに印象的な」ビジュアルになったバレットタイムを高く評価している。また、本作の「実物そっくりな物理エンジン」が特に優れているとし、手榴弾を部屋の中に投げ込んだ際に、それが爆発して敵がリアルに宙を舞ったことを挙げている。他にもレメディ社がファンの不満を汲み取り、本作では明晰夢のステージが改善されるなど、前作の問題点を解決したと称賛している。しかし、全体的にリニアな(直線的な)構成には失望したとし、フィルム・ノワールのテーマ性に興味がないプレイヤーは本作を楽しめないだろうと指摘した。最後にゲームについて「[[ジョン・ウー]]や[[フランク・ミラー]]のタッチを加えた『[[ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア|ソプラノズ]]』を好む人たちを、興奮させるのに十分な洗練された映画的才能(flair)とあからさまな暴力(mayhem)がある」とコメントしている<ref name=torontosun/>。

本作のアクションは何人かのレビュアーから称賛された。
GameZoneは、映画的でアクションに溢れていると評し、ラストシーンは大画面に相応しいと述べている<ref name=gamezone-xbox/>。
同様にGameSpyは、アクションを「アドレナリンが溢れ出る(adrenaline-pumping)」と表現し、映画のものに匹敵するとした<ref name=gamespy/>。
ストーリーについては称賛するものもあれば、批判するものもあった。
IGNのトム・マクナマラは、フィルム・ノワールの舞台でのプレイを楽しみ、それがマックスとモナの物語に劇的な深みを与え、「何が起こっているかを、より重要で興味深いものにしている。大騒動を引き起こすこともいいが、事態を複雑にする恋敵がいることは素晴らしく、モナ・サックスは間違いなく、その役割を担っている」と考えている。しかし、いくつかの「大げさな(hammy)」セリフにはうんざりしたという<ref name=ign/>。
一方、1UP.comは、ラスボスについて、それ以外は素晴らしいゲームだったのに不完全なエンディングに変えたとし<ref name=1up/>、サンデー・タイムズ紙のプールはストーリーを「辛口のチーズ(pungently cheesy、多少の刺激はあるが安っぽい)」と評した<ref name=sundaytimes/>。
本作のストーリーの短さはGameSpotやIGNなどの批評家を失望させ、苦言を呈された。シドニー・モーニング・ヘラルドのトゥーズもまた、ストーリーの短さについては批判的であったが、高難易度とは別の特殊な「サバイバー」モードが、リプレイ価値を引き上げていると評価している<ref name=smh/>。

=== 受賞歴 ===
本作はゴールデン・サテライト・アワード2004のOutstanding Art Directionのほか<ref>{{cite web|access-date=19 December 2008 |url=http://www.pressacademy.com/satawards/awards2004.shtml |title=2004 8th Annual SATELLITE Awards |publisher=International Press Academy |archive-url=https://web.archive.org/web/20081218060836/http://www.pressacademy.com/satawards/awards2004.shtml |archive-date=18 December 2008 |url-status=dead }}</ref>、Choice Awards from GamePro、IGN、GameSpy、GameSpot、Game of the Month from Game Informerなどの業界賞を受賞している<ref>{{cite web |access-date=19 December 2008 |url=http://www.rockstargames.com/maxpayne2/mp2_awards.html |title=Max Payne 2 awards |publisher=Rockstar Games}}</ref>。

=== 売上 ===
本作は好評を博したものの、売上は芳しくなかった。ロックスター・ゲームスの親会社であるテイクツー・インタラクティブは2004年の会社の売上高予想を修正したが、この理由の1つに本作の売上が期待外れだったことが含まれている<ref>{{cite web |access-date=19 December 2008 |url=https://www.gamespot.com/articles/take-two-adjusts-financials-south-blames-max-paynes-poor-showing/1100-6087292/|title=Take-Two adjusts financials south, blames Max Payne's poor showing |publisher=GameSpot |date=2 February 2004 |author=Feldman, Curt}}</ref>。

== その他 ==
2022年にはロックスター社から資金援助を受けたレメディ社が、自社のゲームエンジン「ノースライト(Northlight)」を使用して前作と本作のリメイク版を開発することが発表された。Windows版、PlayStation 5版, Xbox Series X/S版でのリリースが予定されている<ref>{{cite web |last=Peters |first=Jay |date=6 April 2022 |title=Max Payne remakes are on the way |url=https://www.theverge.com/2022/4/6/23013920/max-payne-1-2-remakes-remedy-rockstar-take-two |url-status=live |work=[[The Verge]] |publisher=[[Vox Media]] |accessdate=7 April 2022 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20220406220556/https://www.theverge.com/2022/4/6/23013920/max-payne-1-2-remakes-remedy-rockstar-take-two |archivedate=6 April 2022}}</ref>。


== 関連項目 ==
* [[マックスペイン3]] - シリーズ3作目。
== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references />
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典 ===
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [https://www.rockstargames.com/jp/games/info/maxpayne2 Max Payne 2: The Fall of Max Payne] - ロックスター・ゲームス
{{Commons category|Max Payne 2: The Fall of Max Payne}}
* [https://www.rockstargames.com/jp/games/maxpayne2 Max Payne 2: The Fall of Max Payne] - ロックスター・ゲームス

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2023年1月11日 (水) 13:34時点における版

Max Payne 2: The Fall of Max Payne
ジャンル サードパーソン・シューティングゲーム
対応機種
開発元 レメディー・エンターテインメント[注釈 1]
発売元 ロックスター・ゲームス
ディレクター Markus Mäki
デザイナー Petri Järvilehto
シナリオ サム・レイク
プログラマー Kim Salo
音楽
  • Kärtsy Hatakka
  • Kimmo Kajasto
美術 Saku Lehtinen
シリーズ マックスペインシリーズ
人数 シングルプレイ
発売日
エンジン RenderWare[注釈 2]
テンプレートを表示

Max Payne 2: The Fall of Max Payne』(マックス・ペイン2:ザ・フォール・オブ・マックス・ペイン)は、2003年にリリースされたサードパーソン・シューティングゲームで、マックスペインシリーズの第2作目。制作はレメディー・エンターテインメント、販売はロックスター・ゲームス。前作『マックスペイン』から2年後、ニューヨーク市警の刑事に復職したマックス・ペインを主人公とし、過去の悪夢に悩まされながらも活躍する中で、女暗殺者モナ・サックスとの不意の再会をきっかけに、再び死と裏切りに満ちた陰謀に巻き込まれる。そして解決のために警察を裏切り、彼女と共に歩むかの選択を迫られる。

ゲームシステムは前作を踏襲しており、プレイヤーは様々な武器とバレットタイム能力を使い、襲いかかる敵を倒していく。また、一部のステージではプレイヤーは主人公マックスに代わってモナを操作する。本作では前作の特徴であったバレットタイムが強化され、より多くの敵を倒すことで移動速度が上がり、銃器のリロードも瞬時に行えるように改良されている。物理エンジンHavokの採用により、ラグドール物理による制御も向上している。また、ストーリー面では従来のカットシーンの演出も踏襲されており、ボイスオーバー付きのコマ割りされたグラフィックノベルの絵で物語展開が説明されていく。前作が北欧神話ハードボイルド探偵小説を下敷きにしていたのに対し、本作ではフィルム・ノワールに見られるような悲恋劇が中心となっており、マックスとモナの関係が物語のテーマとなっている。

2003年10月にWindows版がリリースされた後、同年11月にXbox版、12月にPlayStation 2版がリリースされた。

本作も前作と同様に、批評家からそのアクションとストーリーが高い評価を受け、史上最高のテレビゲームの1作に挙げられる。一方で、プレイ時間の短さを批判する声もあった。2004年度のゴールデン・サテライト・アワードのアウトスタンディング・アート・ディレクション、GamePro、IGN、GameSpyのエディターズ・チョイス・アワードなど、いくつかの業界賞を受賞した。好評を博したものの、売上は悪く、ロックスター・ゲームスの親会社であるテイクツー・インタラクティブは、2004年の同社の財務状況予測の修正を余儀なくされた原因として本作を挙げている。

2012年5月に続編『マックスペイン3』がリリースされた。また2022年にはリメイク版が開発中であることが発表された。

ゲーム内容

本作はサードパーソン・シューティングゲームで、プレイヤーは前作と同様に主人公マックス・ペインを操作する。ゲーム内容も前作と同様に、直線的(リニア)な複数のステージを攻略していく形であり、物語展開としては3つの章(チャプター)で構成される。第2章及び第3章の一部のステージではマックスではなく、本作のヒロインであるモナ・サックスを操作することになる。 ゲーム開始時において主人公は拳銃のみを所持しているが、進行に応じて他のハンドガン、ショットガン、サブマシンガン、アサルトライフル、スナイパーライフル、手投げ武器など、より強力な武器を使用できるようになる。プレイヤーは幕間におけるマックスの心中の独白を通じて、次の目標を知らされる[1]

本作も前作と同様に「バレットタイム」システムが採用されている。バレットタイム中は、画面はセピア調に変化し、時間の流れが遅くなる。使用はバレットタイムゲージで管理され、バレットタイム中はゲージが徐々に消費され、プレイヤーが任意で終了するか、ゲージが0になるとバレットタイムは終了する。ゲージは通常時に敵を倒すことで回復する。飛び込みジャンプなどで宙に浮いた状態でもバレットタイムが発動するが、この時はゲージは消費されない(シュート・ドッジ)。またバレットタイム中の効果をシミュレーションする「シュート・ドッジ・マヌーバ」という機能もある。他に戦闘システムの改良面では、マックスに手榴弾や火炎瓶などの副武器を持たせることができ、近接状態では拳銃で殴ることもできるようになった。またNPCがマックスを支援に来ることもあるが、彼らの死がゲームプレイやストーリーに影響を与えることはない[2]

本作の難易度は初回時は1つだけである。ただし、ゲームオーバー回数が多いなどプレイヤーにとって難易度が高すぎる場合は自動調整される。例えば敵AIが弱められ、鎮痛剤によるライフゲージの回復量も上がる。1度クリアすると他の難易度と、2つの特殊モード「New York Minute」と「Dead Man Walking」がアンロックされる[3]。「New York Minute」は各ステージのクリア時間を基に獲得したスコアを競うモードである。「Dead Man Walking」は5つのステージのいずれかにおいて、無限にリスポーンする敵を撃破し、できるだけ長く生き延びることを目指すモードである[2]

プロット

前作から2年後。マックス・ペインは、秘密結社「インナーサークル」の力によって無罪となり、ニューヨーク市警の刑事として復帰していた。本作ではマックスがここ数日のうちに起きた出来事を回想するという形で進む。

銃撃を受けて病院に入院していたマックスは数人の暗殺者たちによる襲撃を受ける。マックスはそれを逃れながら、病院内を移動し、最終的に死体安置所にたどり着く。そこでマックスは、最近自分が殺した女性の遺体を見つける。ここで物語はさらに数日前の夜にまで遡る。

ロシアンマフィアのボスで、友人でもあるウラジミール・レム(ヴラド)が所有する倉庫で起きた銃撃戦を捜査していたマックスは、倉庫内の銃器を狙ってやってきた殺し屋集団「クリーナー(掃除屋)」と出くわし、返り討ちにする。さらに前作の事件で死んだと思われていた女殺し屋のモナ・サックスとも偶然再会する。マックスはクリーナーについてヴラドから事情を聞き出そうとアジトである彼のレストランに向かうが、現在のニューヨーク・マフィアのアンダーボスで、マックスとも因縁があるヴィニー・ゴニッチの襲撃を受けており、ヴラドを助け出す。ヴラドによれば、ヴィニーは闇市場の銃取引を独占しようとしており、競合者のヴラドを排除しようとしているのだという。

自宅アパートでクリーナーの襲撃を受けたマックスは、モナが関係していると見て彼女を追跡する。その結果、クリーナーがインナーサークルを知る者を殺していることに気づく。マックスはクリーナーに殺害された上院議員の死体を発見するが、ニューヨーク市警は議員殺しの犯人としてモナを指名手配し、逮捕する。警察署内でマックスは、同僚の女刑事ヴァレリー・ウィンターソンが電話で誰かとモナについて会話している声を耳にする。その時、モナを狙ってクリーナーが警察署を襲撃し、マックスはやむを得ず彼女を脱出させ、彼女のアジトに逃げる。アジトでもクリーナーの襲撃を受けると、2人は協力して黒幕を見つけ出し、事件を解決することを決める。

マックス達は、見つけ出したクリーナーのアジトを襲撃して殲滅したところで、現場にヴァレリーがやってくる。ヴァレリーはマックスに逃亡犯のモナを逮捕するためというが、モナは彼女は自分を殺そうとしていると訴える。悩んだ結果、マックスはモナを逃すことを決め、ヴァレリーと撃ち合いになる。ヴァレリーは死ぬが、マックスも重傷を追う。ここで物語の時間軸は冒頭の病院に戻り、女性の遺体はヴァレリーであり、マックスが入院していた理由、襲撃者がクリーナーであることなどがプレイヤーに明かされる。

クリーナーを返り討ちにしたマックスは、インナーサークルの指導者で、実は上院議員であったアルフレッド・ウォーデンの元に向かう。そこで実はヴラドもインナーサークルのメンバーであり、彼が結社とニューヨーク裏社会の両方を牛耳ろうとし、クリーナーを雇っていた黒幕であったことが判明する。急ぎヴラドのレストランに向かうが、彼はヴィニーを殺すために出発した後であった。また、そこでマックスはヴァレリーがヴラドの愛人で、彼のために捜査情報などを流していたことなどを知る。

ヴラドの部下に襲撃されていたヴィニーを助けたマックスは、モナの隠れ家に向かう。しかし、先を読んでいたヴラドの待ち伏せに遭い、ヴィニーは射殺され、マックスは負傷する。モナに助けられたマックスは2人でウォーデンの屋敷に避難する。襲撃してきたヴラドの部下を返り討ちにしたところで、実はヴラドに内通していたモナが裏切る。しかし、彼女はマックスを殺すことができず、彼に抱いた感情に気づく。それを知ったヴラドはモナを撃ち、対峙したウォーデンを殺害する。燃える屋敷の中で、マックスはヴラドと戦い、彼を殺す。

警察が駆けつける中、致命傷を負っていたモナはマックスの腕の中で息を引き取る。マックスは悲劇に折り合いをつけ、次に進むことを決意する。ただし、最高難易度でアンロックされる別エンディングでは、モナは一命を取り留め、マックスにキスして終わる。

開発

Sam Lake
前作・今作と脚本を担当したサム・レイクは前作でのマックスの容姿のモデルであった。

2001年12月5日、テイクツー・インタラクティブは、レメディー・エンターテインメントと3D Realmsから、マックス・ペインに関する知的財産権(IP)を現金1000万ドルと株式97万株で買収し、続編となる『マックス・ペイン2』を販売する計画であることをプレリリースした[4]。 その後、2002年5月22日にテイクツーはレメディー・エンターテインメントと3D Realmsに『マックス・ペイン2』の開発奨励金として、最大800万ドルを支払うことに合意したと発表した[5][6]。 そして2003年9月3日にテイクツーは、続編が2003年10月15日に発売予定であると正式発表した[7]

前作において主人公マックスの外見デザインは、ゲームの脚本を担当したサム・レイクがモデルであったが、本作にあたってはプロの俳優であるティモシー・ギブス英語版に変更された。声優は引き続きジェームズ・マカフリー英語版が担当した[8]。 プロットは、前作と同様にレイクが行い、マックスの役割に最も適しているとして、「フィルム・ノワール的なラブストーリー」とすることが決まった。レイクは、ストーリーが新境地を切り開くことに期待し、「少なくとも正しい方向への一歩だ。ゲームやゲームの中で展開される物語に、新しく、予想もつかない題材があることを期待したい」と語っている[9]。 レイクは古典的フィルム・ノワールに見られる基本かつ典型的なジャンル要素は、物語を語る上で「大きな役割を果たす(can go a long way)」と述べ、敵対的で犯罪に満ちた都市、大雨の深夜に始まる物語、運の悪いシニカルでハードボイルドな刑事といった例を挙げた。レイクはマックス・ペインの続編を書くことを、「それ自体が芸術である」とみなした[9]。 設定とキャラクターは既に確立しているために、レイクは続編のメイン目標を「良いものは残し、あまり良くないものを修正する」こと、そして物語を意外な方向に引っ張っていくことに決めた。脚本は前作の3倍もの長さとなった。レイクは、より複雑なストーリーがゲームにおけるリプレイ性の価値を高めると考えた[9]

前作と同様に本作のカットシーンの演出には、ボイスオーバー付きのコマ割りされたグラフィックノベルが採用されている。これはよくあるフルアニメーションのシネマティクスよりも効果的であり、コストも減らせると判断されてのものであった。また、その解釈をプレイヤーに委ねることによって「そのニュアンスは読み手の頭の中にある(中略)ゲーム内のプリレンダリングのシネマティクスでさえ、そのレベルに達するのははるかに困難であろう」と指摘している[8]。 加えてゲームの開発中にはプロットの変更が生じた場合にもコミックのコマ割を再編することは容易だとわかった[8]

本作の開発で用いられたゲームエンジンは、前作のものと同じであるが、いくつか重要な改良が施されたものである[10]。 本作はDirectX 8.1 のみのサポートであったが、反射、屈折、シェーダー、ゴーストなどの効果を最適利用することで、DirectX 9 の性能に近づけていた。開発者はエフェクトが上手く使われていたマックスの明晰夢のシーンを分析していた。このシーンでは画面や焦点がぼやけたように見える演出がなされていた。ポリゴン・カウント(1フレームにレンダリングされるポリゴン数)を増加させることでキャラクターモデルのエッジを滑らかにしていた[11]。 また、キャラクターの表情表現の幅が格段に広げられていた。前作ではマックスの表情は1つしかなかったが、本作においては、しばしばニヤニヤと笑ったり、眉を動かすなどして様々な状況に応じた表情を見せることができた[12]

本作では物理エンジンに「Havok」が用いられ、開発者によれば「私たちのニーズに対して最適なソリューション」という理由で選択された[13]。 本作の特徴である戦闘シーンを「よりリアルに、よりドラマチックに、より映画の様なアクションで」作るには専用の物理エンジンが不可欠であることに気がついたという[13]。 物理エンジンにより、いくつかの状況がよりリアルに見せることができるようになった。例えば、戦闘中にプレイヤーは箱の後ろに隠れることができるが、敵の弾丸が箱に当たるとそれが倒れ、プレイヤーは別の遮蔽物に身を隠すために動かなければならない。また敵が壁を遮蔽物として隠れている場合には、その横に手榴弾を投げて弾き飛ばすことで、無防備な状態に追い込むことができる[13]。 Havokエンジンは、武器、爆弾、火炎瓶がより自然に動作するように調整され、音響もよりリアルに聞こえるように調整されている。新しい物理エンジンは前作では不可能であった特定の動作も可能にした。箱を動かして重力の作用を受けさせたり、爆発によって吹き飛んだ敵の身体を自然に落下させたりすることが可能になっていた[11]

『マックス・ペイン』の特徴として知られた「バレットタイム」についても改良が行われ、開発サイドではこれを「バージョン2.0」と呼んでいた[11]。 スローモーションになることで、敵をより簡単に倒すことが可能となるこのモードでは、倒すたびにバレットタイムゲージが一部回復し、連続で敵を殺すことが容易になると同時に、時間経過がさらに遅くなるように強化された。これは敵と距離をとって安全な場所から待ち伏せするのではなく、危険な状況に自ら積極的に呼び込ませるプレイを促すためのものであった。リロードアニメーションも一新され、バレットタイム中にリロードすると、マックスが敵の銃撃を避けるために身を屈め、カメラが回転することで戦闘状況を確認しやすくしたり、短い一時停止状態となってプレイヤーが攻略法を考える時間猶予が与えられるといったことが可能となった[14]。 本作ではロックスター・ゲームスとレメディー・エンターテインメントが、開発ツールを公開することによって、プレイヤーがゲームを改造することもできた。こうした改造では、新しい武器やスキル、視点、環境、キャラクターを追加するなど、いくつかの機能を実行することができた[15]

音楽面では前作でも担当した作曲家のKärtsy HatakkaとKimmo Kajastoが制作を行った。ApocalypticaのメンバーであるPerttu Kivilaaksoによるチェロが特徴である。エンドクレジットの曲は、サム・レイクが作詞したバンドPoets of the Fallの『Late Goodbye』である。この楽曲は彼らのファーストシングルであり、フィンランドのシングルチャートで14位[16]、Radio Suomipopのトップ30チャートで1位を獲得した[17]。 ゲーム中にも何度も登場し、多くはキャラクターが歌ったり、鼻歌で流れる。

評価

評価
集計結果
媒体結果
MetacriticPC: 86/100[18]
XBOX: 84/100[19]
PS2: 73/100[20]
レビュー結果
媒体結果
1UP.comPC: B−[21]
GameSpotPC: 9.0/10[22]
GameSpyPC: 5/5[23]
GameZoneXBOX: 9.3/10[24]
IGNPC: 9.4/10[25]
The Toronto SunPC: 4.5/5[26]
The New Zealand HeraldXBOX: 4/5[27]
The Daily Telegraph (Aus)PC: 5/5[28]
The Sydney Morning HeraldPC: 4/5[29]
The Sunday TimesPC: 2/5[30]

本作は批評家から高く評価された。特にアクションとストーリー面で称賛を受け、一方で批判点としてはその短さに言及された。

オーストラリアのダイアリー・テレグラフ紙のスティーブ・ポラクは、前作も楽しんだとした上で「初代の魅力的な部分であった雰囲気やガンプレイ重視のアクションが生きている」、「傑出した」ゲームであると称賛した。前作と比較して、より洗練されたストーリー、よりプロフェッショナルな脚本、より優れた演技とグラフィックなど、制作価値が向上していると評している。また、マックスという複雑なキャラクター像は、しばしばゲームの主人公が単純化されたものだと感じていたポラクにとって歓迎する要素であった[28]。 シドニー・モーニング・ヘラルド紙のダン・トゥースは「残酷だが美しい銃撃戦ゲーム」と評している[29]

ニュージーランド・ヘラルド紙のジョン・ミニフィは、ストーリーを高く評価し、「よく練られたノワールなストーリーを持ち、エンターテイメント性の高いダークな三人称シューティングだ」と評した。さらにレメディ社が、コンソール、特にXboxへの移植に成功したと評価し、PC版と同等のビジュアルであったことに着目している。しかし、PlayStation 2への移植版については「まあまあの仕事」と評し、その結果「かなり目に優しくない」品質で、より強力なプラットフォームには負けると断言した[27]。 サンデー・タイムズ紙のスティーブン・プールは、「(前作と)まったく同じで、改良されただけ」と評し、最終的に「面白いが、衝撃的ではない」と述べている。この中では物理エンジンのおかげで、弾丸が当たった敵の反応が説得力のあるものになったと評価している[30]

トロント・サン紙のスティーブ・ティリーは、レメディ社が「素晴らしい仕事(killer job)」を行ったとし、前作の優れた点を維持しながら「他のすべてが調整・オーバーホール・強化(juice up)されている」としている。彼は前作のバレットタイムのファンであったがために、続編での「さらに印象的な」ビジュアルになったバレットタイムを高く評価している。また、本作の「実物そっくりな物理エンジン」が特に優れているとし、手榴弾を部屋の中に投げ込んだ際に、それが爆発して敵がリアルに宙を舞ったことを挙げている。他にもレメディ社がファンの不満を汲み取り、本作では明晰夢のステージが改善されるなど、前作の問題点を解決したと称賛している。しかし、全体的にリニアな(直線的な)構成には失望したとし、フィルム・ノワールのテーマ性に興味がないプレイヤーは本作を楽しめないだろうと指摘した。最後にゲームについて「ジョン・ウーフランク・ミラーのタッチを加えた『ソプラノズ』を好む人たちを、興奮させるのに十分な洗練された映画的才能(flair)とあからさまな暴力(mayhem)がある」とコメントしている[26]

本作のアクションは何人かのレビュアーから称賛された。 GameZoneは、映画的でアクションに溢れていると評し、ラストシーンは大画面に相応しいと述べている[24]。 同様にGameSpyは、アクションを「アドレナリンが溢れ出る(adrenaline-pumping)」と表現し、映画のものに匹敵するとした[23]。 ストーリーについては称賛するものもあれば、批判するものもあった。 IGNのトム・マクナマラは、フィルム・ノワールの舞台でのプレイを楽しみ、それがマックスとモナの物語に劇的な深みを与え、「何が起こっているかを、より重要で興味深いものにしている。大騒動を引き起こすこともいいが、事態を複雑にする恋敵がいることは素晴らしく、モナ・サックスは間違いなく、その役割を担っている」と考えている。しかし、いくつかの「大げさな(hammy)」セリフにはうんざりしたという[25]。 一方、1UP.comは、ラスボスについて、それ以外は素晴らしいゲームだったのに不完全なエンディングに変えたとし[21]、サンデー・タイムズ紙のプールはストーリーを「辛口のチーズ(pungently cheesy、多少の刺激はあるが安っぽい)」と評した[30]。 本作のストーリーの短さはGameSpotやIGNなどの批評家を失望させ、苦言を呈された。シドニー・モーニング・ヘラルドのトゥーズもまた、ストーリーの短さについては批判的であったが、高難易度とは別の特殊な「サバイバー」モードが、リプレイ価値を引き上げていると評価している[29]

受賞歴

本作はゴールデン・サテライト・アワード2004のOutstanding Art Directionのほか[31]、Choice Awards from GamePro、IGN、GameSpy、GameSpot、Game of the Month from Game Informerなどの業界賞を受賞している[32]

売上

本作は好評を博したものの、売上は芳しくなかった。ロックスター・ゲームスの親会社であるテイクツー・インタラクティブは2004年の会社の売上高予想を修正したが、この理由の1つに本作の売上が期待外れだったことが含まれている[33]

その他

2022年にはロックスター社から資金援助を受けたレメディ社が、自社のゲームエンジン「ノースライト(Northlight)」を使用して前作と本作のリメイク版を開発することが発表された。Windows版、PlayStation 5版, Xbox Series X/S版でのリリースが予定されている[34]

脚注

注釈

  1. ^ Xbox版とPS2版はRockstar Viennaが移植を担当。
  2. ^ Xbox版とPS2版で使用。

出典

  1. ^ Max Payne 2 instruction manual. Rockstar Games. (15 October 2003) 
  2. ^ a b Reed, Kristan (2003年10月20日). “Max Payne 2: The Fall Of Max Payne Review”. Eurogamer. 2008年12月19日閲覧。
  3. ^ Max Payne 2: The Fall of Max Payne (PC)”. GameZone (2003年10月15日). 2008年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月19日閲覧。
  4. ^ Take-Two Interactive Software, Inc. Announces Max Payne 2 is in Development”. Take-Two Interactive (2001年12月5日). 2009年1月31日閲覧。
  5. ^ Take-Two Interactive Software, Inc. Announces Max Payne 2 Is In Development”. 3D Realms (2002年5月22日). 2009年2月5日閲覧。
  6. ^ Walker, Trey (2002年6月6日). “Max Payne 2 worth $8 million?”. GameSpot. 2008年12月21日閲覧。
  7. ^ Take-Two Interactive Software, Inc. Reports Record Third Quarter Fiscal 2003 Financial Results”. Take-Two Interactive (2003年9月3日). 2009年2月5日閲覧。
  8. ^ a b c Edge Staff (2021年7月23日). “Max Payne turns 20: Remedy Entertainment looks back on the making of its iconic action game” (英語). gamesradar. 2022年7月18日閲覧。
  9. ^ a b c Max's Pain”. IGN (2003年9月19日). 2003年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月22日閲覧。
  10. ^ Max Payne 2: The Fall of Max Payne”. MobyGames. 2008年12月21日閲覧。
  11. ^ a b c Abazovic, Fuad (2003年11月2日). “Max Payne 2 has magnificent graphics”. The Inquirer. 2011年6月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月21日閲覧。
  12. ^ Butts, Steve (2003年8月13日). “Max Payne 2: The Fall of Max Payne”. IGN. 2003年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月21日閲覧。
  13. ^ a b c Max Payne 2 Q&A, exclusive media”. GameSpot (2003年9月19日). 2012年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月21日閲覧。
  14. ^ Butts, Steve (2003年10月7日). “Max Payne 2: The Fall of Max Payne”. IGN. 2003年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月22日閲覧。
  15. ^ Max Payne 2 Mod Info”. Rockstar Games. 2009年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月21日閲覧。
  16. ^ POETS OF THE FALL - LATE GOODBYE (SONG)”. www.finnishcharts.com. 2018年1月20日閲覧。
  17. ^ Late Goodbye hits no. 1”. poetsofthefall.com (2004年5月8日). 2007年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月20日閲覧。
  18. ^ Max Payne 2: The Fall of Max Payne for PC Reviews”. Metacritic. 2008年12月17日閲覧。
  19. ^ Max Payne 2: The Fall of Max Payne for Xbox Reviews”. Metacritic. 2008年12月17日閲覧。
  20. ^ Max Payne 2: The Fall of Max Payne for PlayStation 2 Reviews”. Metacritic. 2008年12月17日閲覧。
  21. ^ a b 1UP Staff. “Max Payne 2: The Fall of Max Payne (PC)”. 1UP. 2011年5月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月19日閲覧。
  22. ^ Kasavin, Greg (2003年10月16日). “Max Payne 2: The Fall of Max Payne Review”. GameSpot. 2008年12月19日閲覧。
  23. ^ a b Kosak, Dave (2003年10月20日). “Max Payne 2: The Fall Of Max Payne (PC)”. GameSpy. 2008年12月19日閲覧。
  24. ^ a b Max Payne 2: The Fall of Max Payne (Xbox)”. GameZone (2003年11月25日). 2008年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月19日閲覧。
  25. ^ a b Max Payne 2 Review”. IGN (2003年10月16日). 2003年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月19日閲覧。
  26. ^ a b Tilley, Steve (2003年10月26日). “Payne Sequel has Grit and Polish”. The Toronto Sun: p. S12 
  27. ^ a b Minifie, Jon (2004年1月22日). “Max Payne 2 (PS2/Xbox)”. The New Zealand Herald 
  28. ^ a b Polak, Steve (2004年1月8日). “Max is back and the fun is right on target”. The Daily Telegraph: p. T18 
  29. ^ a b c Toose, Dan (2003年12月13日). “All guns blazing”. Sydney Morning Herald: p. 22 
  30. ^ a b c Poole, Steven (2004年1月18日). “Max Payne 2: The Fall of Max Payne”. Sunday Times 
  31. ^ 2004 8th Annual SATELLITE Awards”. International Press Academy. 2008年12月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年12月19日閲覧。
  32. ^ Max Payne 2 awards”. Rockstar Games. 2008年12月19日閲覧。
  33. ^ Feldman, Curt (2004年2月2日). “Take-Two adjusts financials south, blames Max Payne's poor showing”. GameSpot. 2008年12月19日閲覧。
  34. ^ Peters, Jay (2022年4月6日). “Max Payne remakes are on the way”. The Verge. Vox Media. 2022年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月7日閲覧。

外部リンク